西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和元年12月17日

(令和元年12月17日(火) 10:00~10:11  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

  おはようございます。閣議の前ですけれども、本日、第2回のデジタル市場競争会議が開催をされました。
 二つの法案の方向性、独禁法の二つのガイドラインと、それから今後のデジタル広告市場の競争状況の評価の論点について、取りまとめを行いました。
 まず、第1にデジタル・プラットフォーマーの取引透明化法案についてでありますが、大規模なオンラインモールやアプリストアを対象に、国が大枠を示しながらデジタル・プラットフォーム事業者が透明性や公平性の確保に向けて自主的に取り組んでいくという新しい枠組みで、通常国会に法案を提出すること。この際、取引の透明化・公正化を図ると同時に、過剰な負担やイノベーションの阻害とならないよう、バランスを取りながら法案の具体化を進めていきたいと考えております。
 改正個人情報保護法案につきましては、個人データの利用停止などを求める権利の範囲の拡大、企業内のデータ活用を進めるための仮名化情報制度の創設などの内容について、通常国会に法案を提出すること。
 それから第2に、独禁法関連につきましては、公正取引委員会におきまして、まず企業結合審査の際にデータの価値を評価するなど、デジタル市場の特性に対応するため、ガイドラインを改定すること。それから、デジタル・プラットフォーム企業が消費者の個人情報等を不当に取得・利用する場合に、優越的地位の濫用に該当し得ることを明確化したガイドラインを策定すること。この独禁法関係の二つのガイドラインにつきましては、本日午後に公正取引委員会から公表される予定であります。
 第3に、デジタル広告市場の競争状況の評価についてでありますが、今回提示がされました論点について、広く意見公募を開始するとともに、実態調査を進めながら、来春までに中間的な整理を行うこと、以上を取りまとめました。
 官房長官からは、専門家の知見も結集しつつ、副議長であります私を中心に関係大臣が連携して取り組むよう御指示があったところであります。詳細につきましては、事務方からこの後説明をさせます。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)先週の金曜日に補正が発表されたと思いますが、幾つか補正の中で就職氷河期世代に関する支援策がまとめられたと思います。改めて概要を教えてください。
(答)就職氷河期世代の方々には、それぞれ様々な事情を抱えた方々がおられまして、社会全体でそれぞれの地域や当事者のニーズに合ったきめ細かな、寄り添っていく、そういう寄り添い型の支援に取り組むことが重要であると考えております。
 先月27日の経済財政諮問会議におきましても、安倍総理から「一人ひとり事情が違うので、画一的な我々の思い込みで進めないほうが良い」との御発言もございました。正にそれぞれの地域、それぞれの当事者お一人ひとりのニーズに合った、きめ細かな対応が必要であると考えております。
 そのためには、国で全体で一律に進めるのではなく、地域の創意工夫を生かすことが重要であると考えております。こうした考え、観点から、先般取りまとめました経済対策に基づいて、補正予算案の中でも第1に地域の実情に応じた先進的・積極的な自治体の取組を支援するための交付金、これが30億円。それから、ハローワークの専門窓口の設置、17億円などの支援策を盛り込んでいるところであります。
 また、11月には当事者、あるいは支援団体、地方の代表団体等の関係者の参加を得まして、全国プラットフォーム会議体を立ち上げたところであります。これを既に幾つかの県ではスタートしていますけれども、是非多くの全国各地で広げていきたいと考えております。
 既に私からも幾つかの県知事、機会がございましたので、プラットフォーム設立の協力を要請しているところでもありますし、自主的にこれからも立ち上げたいというふうに、声も入ってきております。各地で創意工夫のある取組を広げていきたいと考えております。
 いずれにしましても、当初予算の中でもかなりの金額を要求しておりまして、最終、今は調整中でありますけれども、来年度予算が閣議決定されましたら、その後速やかに行動計画というものを作りまして、是非こうした予算をしっかりとそれぞれの地域、それぞれのお一人ひとりの事情に合った形で実行していけるように、支援ができるように取り組んでいきたいと考えております。
(問)先日ありましたイギリスの議会選挙で保守党が大勝しまして、EU離脱への道筋が立ったというふうにされています。
 日本政府のこの通商上の対応、スタンスをお聞きしたいんですけれども、日英のEPAというのを模索するのか、それとも、御担当、TPPの御担当だと思いますが、そのTPPの枠に取り込んでいくという方向を目指すのか、日本政府のスタンスをお願いいたします。
(答)日英間ではEU離脱後の英国との間で、日EUのEPAを踏まえて新たな経済的パートナーシップの構築に速やかに取り組むということで、首脳レベルでも一致をしているところであります。
 それから、一方でTPPのハイスタンダードでバランスの取れた21世紀型の新たな共通ルール、これを世界にできるだけ広げていきたいという考えの基、英国がTPP参加に対して関心を示していること、これを我が国としても歓迎をしているということで、首脳レベルでも伝えてきているところであります。
 私自身も是非TPPに関心を示してくれておりますので、情報提供を始め、しっかりとこれに取り組んでいきたいと思っております。
 今後、選挙結果を受けて、将来の英国とEUとの関係、まずは英国、EUが、年内に協議をする、取りまとめるという予定だと承知しておりますけれども、どうなっていくのかということを含めて、引き続き動向は注視していきたいと思っておりますけれども、いずれにしても必要な情報提供は行っていきたいと、TPPのこの枠組みは是非多くの国に広げていきたいという考えであります。
(問)ちょっと海外経済についてお伺いしたいんですが、今おっしゃっていたイギリス、さらに、米中通商協議の第1弾合意というのが最近ありました。
 このことが、大臣が常々おっしゃっているこの海外経済のリスクの顕在化、これがこの二つのことを踏まえると、これは大きくなる可能性は遠ざかっているのか、更にリスクって深まっているのか、どのように評価されているか教えてください。
(答)まず、米中でありますけれども、米中間では13日に第1段階の通商合意に達したと。米中両政府が15日に予定をしておりました追加関税の措置を見送る等の対応を発表したと承知をしております。
 今回こうした合意がなされたことは、前向きな評価をしたいと思っております。特に、正に私が指摘しておりました世界経済の減速、貿易の縮小ということが生じる中で、製造業を中心に輸出や生産、これは弱含んできたということでありましたので、これについては回復することを是非期待をしたいと思っております。
 ただ、合意文書の署名、あるいは更なる合意に向けた協議、この進捗状況については、今後も目配りが必要であると考えております。
 また、英国の下院選挙の結果も今、先程申し上げたとおりでありますけれども、来年1月末のEU離脱が見込まれている状況になるんだろうと理解をしておりますが、ただ、先程申し上げたとおり、離脱後の英国とEUの間の経済関係、これについてもしっかりと注視をしていきたいと思っております。
 したがって、合意なき離脱を回避しながら、また、米中間でも署名がなされていくという中で、回復を期待したいわけでありますけれども、まだ目配りが必要な状況であると考えておりますし、それ以外にもそもそも中国経済全体の減速、あるいは香港情勢、中東をめぐる地政学的なリスク、それから欧州経済の状況、あるいはインド経済、こういったところの海外の経済のリスクはいろいろと残っていると思いますので、しっかりと注視をしながら補正予算を編成致しましたけれども、当初予算の中でも、今週にも編成がなされると思いますが、これをしっかりと実行していくことが大事だと考えております。

(以上)