西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和元年12月10日

(令和元年12月10日(火) 11:23~11:38  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

特になし

2.質疑応答

(問)昨日、7-9月期のGDPの2次速報値が出まして、年率が1.8%と1次速報と比べるとかなり上振れ、上方修正されました。一方で10月-12月期のGDPを考えると、今のところの統計も余りよくないですし、土台の7-9月期が上がることで10-12月期マイナス厳しくなるんじゃないかという見方もありますが、大臣、どのように御覧になっていますでしょうか。
(答)もう皆さん御案内のとおりでありますが、御指摘ありました昨日公表しました本年の7-9月期のGDPの2次速報でありますけれども、実質成長率は前期比プラス0.4%、年率に換算するとプラス1.8%ということで、1次速報からは上方改定されたわけであります。また、名目GDPも559.2兆円ということで過去最高を更新しております。これは先日公表されました法人企業統計を踏まえまして設備投資が上方改定され、前期比プラス1.8%ということであります。
 法人企業統計の中身を見ますと、製造業では、情報通信機械、生産用機械、特に電子部品の生産能力増強ということで、以前にもちょっと申し上げましたけれども、電子部品関係が少し底を打ったような感がありますので、そうしたことへの投資が増えているということ。それから、非製造業におけます物流施設の新設あるいは店舗関係ですね、これもキャッシュレス化とか、あるいは新しいレジですね、軽減税率対応のレジであるとかそういったこと、それから、製造業、非製造業を通じてやっぱり省力化への投資もプラスに見られております。ということで、全体としてプラスに寄与ということで、内需の寄与度がプラス0.6%となっているところであります。
 他方、個人消費につきましてはプラス0.5%となっておりまして、これには9月に入っての駆け込み、それから、これまでも何度か御説明していますけれども、台風や気温の変化などの天候の影響の双方が含まれますので、今後も注意深く見ていく必要があると思いますけれども、駆け込み需要については前回ほどではなかったという判断をしております。
 また、10月以降の話でありますけれども、これも台風19号とその後の大雨の影響、これもありまして、個人消費関連の統計は全体として弱い動きになっておりますが、日次や週次のデータで11月以降の動きを見る限り、前回ほどの大きな反動減はないという見方を変えておりません。
 以上、全体として見ますと、景気の現状につきましては緩やかに回復しているとの認識を持っているところであります。
 ちなみに、昨日同じく公表した11月の景気ウォッチャー調査、これも現状判断のDIが前月から2.7ポイント上昇して39.4ということですし、先行きの判断DIも前月から2.0ポイント上昇して45.7ということであります。
 この背景には、10月調査では正に駆け込み需要の反動減とか、あるいは台風19号等による影響があったわけですけれども、それが和らいできたと、11月調査では、そうした背景があると思います。また、先行きについても年末年始の消費に対する期待もあったところであります。
 そうした状況も見ながらでありますけれども、引き続き11月の消費者マインドですね、これは上昇してきているんですけれども、まだ低い水準で推移をしております。米中の貿易摩擦など通商問題を巡る緊張、あるいは中国経済の先行き、ブレグジット等々様々な不確実性が存在し、海外発の経済リスクにはより一層注意が必要だと考えております。
 御案内のとおり、こうした海外発のリスクに備えるため総合経済対策を閣議決定したところでありまして、まずは今進めております補正予算と来年度の当初予算の編成を速やかに進めて、こうした対策を着実に実行して、その成果が早期に発現するよう努めていきたいと考えているところであります。
(問)昨日、総理の御発言にもありましたけれども、デジタル経済というのが非常に大事になっていて、大臣もデジタル・ニューディールという言葉を使って御説明されておりましたが、今朝、一部報道で補正予算案に1兆円近い予算、関連予算が計上されるという報道が出ましたが、このデジタル・ニューディールの重要性について改めてお伺いできますでしょうか。
(答)世界全体でデジタル化、そして、Industrie4.0、第4次産業革命、これが物すごいスピードで進展をしてきております。日本政府としては、こうした新しい技術を社会に実装していこうということで、Society5.0という構想を実現すべくこれまでも取組を進めてきているところでありますけれども、この新しい流れを産業全体、社会全体に取り入れることによって新しい時代にふさわしい構造に、構造改革を図っていくということだと思います。これを加速してやろうということで、今回の経済対策はその大きな一歩になると思っております。
 正にデジタル関係の、ICT関係の様々な投資を、未来への投資を呼び込むような形で政府が率先してそこに投資をしていくということでデジタル・ニューディールと。足元の経済対策であると同時に、未来へのそうした新しい社会をつくっていく、その大きな第一歩になると期待をしているところであります。
 学校のICT化もそうでありますし、子供たちがそうした環境のもとで新しい技術に習熟して、地域を担うあるいは日本、世界に羽ばたいていく、そうした人材を是非育てていきたいと思いますし、中小企業も今回の消費税率引上げに伴うキャッシュレス化でかなりの部分、もう90万店にも及ぶ店舗がキャッシュレス化に踏み切っておられます。
 私の訪問した地方や、あるいは巣鴨の高齢者のお客さんが多い地蔵通り商店街でも半分以上のお店がキャッシュレス化に取り組まれているということで、この大きな流れを是非加速して進めたいと。中小企業のICT、こうしたものへの投資、これを促すような形での補正予算をしっかり準備をしたいと思いますし、また、さらに先のポスト5Gであったり、それから、量子コンピューターであったり、AIをクラウドで活用する、これは地方でも中小企業でもどこにいても使えるような仕組みであったり、それから、今日閣議後に行われました農林水産業・地域の活力創造の本部でスマート農業、自動トラクターであったりセンサーを活用したものであったり、参考資料に水産業スマート林業のことも出ておりましたけれども、ドローンを活用したり、様々な技術を活用して生産性向上、人手不足ですけれども、生産性を上げていく、こうした取組を是非加速をしていきたいと思っております。
 その今回大きな第一歩になるということで、正に総理の昨日も御発言ありましたけれども、未来への投資ということをしっかり進めていきたいと思っております。
 是非民間の企業の皆様方には、内部留保の現預金が240兆円ぐらいあるということでありますので、これを是非未来への投資、新しいデジタルの技術に、そして、人材に是非投資をしていただきたいと思います。
(問)今のお話しいただいたデジタル・ニューディールについてなんですけれども、規模についてなんですが、報道で出ているのは1兆円近くの予算というふうに補正予算で出ているんですが、これについて大臣は、やっぱりそれなりに1兆円だとか大きい規模でこうした補正予算を組む必要性はあるというふうにお考えでしょうか。
(答)総理もいろんなところで、特に学校ICT化のところで、これは国家の意思として全ての子供たちにチャンスが、機会があるように進めるべきだと、地域間の格差がないようにということで強くおっしゃられていますけれども、この日本政府としてのデジタルの新しい未来への投資、これを強い意思を示すという意味でも、しっかりとした規模の補正予算、来年度の予算を組みたいと思っております。
 経済対策の中で、例えば中小企業の未来への投資とか、あるいは学校ICTについても複数年度にわたって安定的に、継続的にしっかりとした予算を確保して進めていくということが閣議決定をされておりますので、そうしたことを踏まえて、補正予算と来年度予算の当初予算の編成にしっかり当たっていきたいと考えています。
(問)全世代型社会保障に関して、年齢ではなく負担能力に応じた負担の必要性という報道がありますけれども、調整状況は如何かお願いします。
(答)先日、11月26日の第4回の検討会議におきまして安倍総理から御指示があったとおり、加藤厚生労働大臣など関係大臣と連携しながら、これまでの民間議員の方から頂いた御意見を踏まえながら与党との調整も進めているところであります。正に昨日、総理が御発言あったように議論が大詰めを迎えているということだと思います。
 御指摘あったように、ライフスタイルが多様化する中で様々な世代に安心していただけるような、既に幼児教育・保育の無償化はスタートしたわけでありますけれども、子育て世代、現役世代、そして、高齢者の世代、こうした方々に安心していただく年金、労働、医療、介護、幅広い社会保障全体にわたる改革を進めていきたいと考えているところであります。
 日本のこの誇るべき国民皆保険を初めとして、こうした仕組みを次世代にもしっかりとつないでいく、そうした持続可能な制度としていかなきゃいけませんので、しっかりと与党も含めて調整をしていきたいと思っています。まだ日程は決まっておりませんので、年末に向けてしっかり調整していきます。
(問)企業が内部留保を使われるようなきっかけは、政府の方は具体的に何か政策を考えているんでしょうか。
(答)これは正に三本の矢でこれを進めているところでありまして、まずはデフレではない状況をつくり出したわけであります。これは大胆な金融緩和によって、そういう状況になってきています。デフレの状況だと現金で持っている方が相対的な価値は上がりますので、ものに投資をするよりかは現金という方向になりがちなわけでありますけれども、デフレでない状況をつくり出してきておりますので、できるだけ早くデフレ脱却ということを目指して取り組んでおります。
 そして、金融政策と同時に財政政策によって需要を喚起し、また、今回の経済対策は安心と成長の未来を拓くということでありますけれども、正に災害からの復旧あるいは災害への備えというものをしっかりすることによって、企業の皆さんも安心して投資ができるということもあると思いますし、政府が先程申し上げたような新しい分野への投資を増やすことによって、それが呼び水となって民間企業への投資が起こることも期待をしたいと思いますし、3本目の正に成長戦略では、規制改革初めとして企業が投資をしようというときに何か障害となることがあれば、これはしっかりと取り除いていきたいと思いますし、また、今回の税調の審議の中でも、税制改革の中でもそうした新しい投資を促すような、そうした税制改革の議論が行われておりますので、是非この税制改革にも与党の議論も踏まえながらしっかりと取り組んでいきたいと考えているところです。

(以上)