西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和元年11月22日

(令和元年11月22日(金) 18:02~18:13  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 お疲れさまです。
 月例経済報告等に関する関係閣僚会議の概要を御説明いたします。
 景気の現状についての総括判断は、「景気は、輸出を中心に弱さが長引いているものの、緩やかに回復している」として判断を据え置いております。
 先行きについては、「当面、弱さが残るものの、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されます。ただし、通商問題を巡る緊張、中国経済の先行き、英国のEU離脱の行方等の海外経済の動向や金融資本市場の変動の影響に加え、消費税率引上げ後の消費者マインドの動向に留意する必要がある」としております。
 今月のポイントとして、私から2点申し上げました。
 資料は皆さんもうお持ちですね。
 先週公表されたGDP速報値についてでありますけれども、2019年7-9月期の実質GDP成長率が、前期比プラス0.1%、年率に換算するとプラス0.2%と、4期連続のプラスとなりました。
 海外経済の減速などから、外需がマイナスに寄与したものの、図でピンク色で示しております、個人消費や設備投資、公共投資といった内需が増加し、全体として景気の緩やかな回復を示す結果となっております。
 ただし、消費税率引上げによる影響には十分注意するとともに、台風等の被害からの復旧・復興の取組を更に加速し、あわせて米中貿易摩擦など海外発の下方リスクによる悪影響に備える必要があります。と申し上げた上で、次にその海外経済、世界経済について御説明をしました。
 世界経済について、「回復テンポが鈍化」をしております。G20の成長率は、2018年後半から低下傾向が続いており、2019年第3四半期も更に低下する見込みとなっております。
 この背景には、米中貿易摩擦等による世界的な財貿易の伸びの低下があります。これにより主要国や地域の製造業生産の伸びも軒並み低下しており、特に外需の影響を受けやすいドイツでは、前年を下回って推移している。こういった点について御説明をしました。
 以上のようなマクロ経済の状況、それから台風等の被害状況を踏まえ、日本経済がしっかりと成長していけるよう万全の経済対策をしっかりと取りまとめてまいりますということを申し上げました。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)2点お伺いいたします。
 まず、1点目が総括判断についてなんですけれども、企業収益が雇用情勢で下方修正をしている中で、総括判断を維持された理由を改めて教えてください。
 2点目が、資料を拝見していると、消費税率の引上げの景気への影響を積極的に表記されていないように拝見するんですけれども、この点に関して今後どのように評価されていくのか、お考えを教えてください。
(答)まず、前半の1問目の御質問ですけれども、企業収益について、「高い水準にあるものの、製造業を中心に弱含んでいる」としております。
 製造業の生産の弱さが企業収益にも波及しており、この部分を下方修正したということですけれども、一方で非製造業は底堅く、全体としては高水準を保っているという状況です。
 また、雇用情勢については、「改善している」としたわけでありますけれども、有効求人倍率等で見た労働需給が引き締まっているという評価に変わりはありませんし、雇用者数の前年比もプラス0.9%となっております。
 ただ、海外経済の弱さもあって、製造業の新規求人数が弱めとなっていることなど、先行きに注視も必要なことから、「着実に」という部分を削除して、「改善している」としたところであります。
 以上のようなことから、企業収益と雇用の表現振りを修正はしましたけれども、引き続き雇用・所得環境の改善を背景として、内需を中心とした緩やかな回復が続いているとみておりますので、総括判断は維持をしたということであります。
 それから、消費税率引上げ後の経済に与える状況などですけれども、消費については正にお示しを今申し上げたとおり、雇用・所得環境の改善を背景に、持ち直しが続いているとみております。
 その上で、9月には家電や百貨店の高額品の販売が増加をしたわけであります。10月にはその反動もみられたわけでありますけれども、ただし、10月は台風による営業日数の減少などもありますし、その辺りをよく見ていかなきゃいけないと思っておりますが、業種によっては弱い数字になったものがあるということであります。
 ただ、その後、週次や日次のデータ、消費動向、あるいはヒアリングの結果なども分析をしているところでありますけれども、総じて基調に変化はないという見方をしております。
 ただ、個人消費の先行きについては、消費者マインドが低水準で推移していることもあります。消費に与える影響については引き続きしっかりと注視をしていきたいと考えております。
(問)雇用の部分なんですけども、5年ぶりに下方修正ということで、海外の外需の弱さがじわじわと国内部分にも出てきていると思うんですが、海外リスク、それから雇用への不安、その辺りはどのようにお考えでしょうか。
(答)そうですね。全体として、有効求人倍率も非常に高い水準でありますので、労働時給が引き締まっているという評価には変わりがありませんけれども、正に御指摘のように、世界経済の減速、今回の資料でも御説明をしましたけれども、世界経済の減速等を背景に、輸出を中心に弱さが長引く中で、製造業の生産も弱含んでおります。製造業の新規求人数にも弱さが見られること、また、有効求人倍率も若干低下もしているというようなことも踏まえて、軽微な下方修正を行ったわけでありますけれども、こうした雇用情勢の先行きに見られる一部の弱さが実態経済に悪影響を及ぼさぬよう、相次ぐ自然災害からの復旧・復興の加速に加えて、正に海外発の下方リスクに備えるという観点、あらかじめ万全の対策を講じるということで、現在、新たな経済対策の策定に取り組んでいるところであります。
 未来を見据えた力強い経済対策をしっかり取りまとめていきたいと考えております。
(問)雇用について、お話を先程も伺いましたけれども、新規求人数が減っているということで、これは今後長い目で見たときに、日本経済にどういう影響を及ぼすか、懸念があるかということを教えてください。
(答)当然、新規求人、これはハローワークでの数字とか、それから民間の紹介業を通じた数字とか、あるいは広告を通じたものとか、ちょっと全体を見ていかなきゃいけないと思っておりますけれども、ハローワークの数字で見ると、製造業は少し少なめになってきているところがありますので、この点はよく注視をしていかなきゃいけないと思っております。
 全体としては引き続き引き締まった状況にありますので、医療とか、ほかの分野で高い水準が続いておりますし、そういう意味で全体としては引き締まっておりますけれども、よく注視をしながら見ていきたいと思っておりますし、経済対策を通じてしっかりとこの所得環境の改善、これを継続していけるように是非取り組んでいきたいと考えています。
(問)海外経済の話なんですが、中国の減速などがあるとはいえ、下方リスクがそんな急激に強まったというわけではない状態かと思うんですが、その中でもやはり緊急での経済対策の必要性というのはやっぱり強いものなのか、大規模なものが必要なのかという点についていかがでしょうか。
(答)今日の資料でも御説明しましたけれども、世界のいわゆる財の貿易、いわゆる貿易量ですね、これも急速にこのところ落ちておりますし、ヨーロッパ経済、中国経済も非常に弱い動きになってきております。特にドイツを始めとして、工業生産が非常に落ちてきているという中で、IMFなども経済見通しを下方修正しているということで、そうしたことに対する備えをしっかりとしなきゃいけないと思っております。
 正にそういうリスクに対して挑戦をしていく中小企業であったり、チャンスと捉えて頑張る農業の方々であったり、あるいは地方であったりですね、あるいはインバウンドを更に活用しようと、そうした動きであったり、そうしたところをしっかり応援できるように力強い経済対策を取りまとめたいと考えております。

(以上)