西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和元年11月8日

(令和元年11月8日(金) 10:26~10:45  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

おはようございます。本日の閣議におきまして、総理から新たな経済対策の策定について御指示を頂きました。
 具体的には、台風19号など相次ぐ自然災害からの復旧・復興の加速に加え、米中貿易摩擦など海外発の下方リスクは顕在化し、我が国経済への悪影響が生じることに備え、あらかじめ万全の対策を講じるとともに、先端技術や人材への投資を喚起しながら、生産性を高めることにより、来年の東京オリンピック・パラリンピック後においても、民需を中心とした自律的な経済成長を実現していくため、私を中心に新たな経済対策の取りまとめに向けた準備を進めるよう御指示がありました。
 新たな経済対策は、三本の柱からなります。
 第一の柱は、災害からの復旧・復興と安全・安心の確保、被災者の生活・生業の再建に向け、本日決定されました予備費1,316億円に加えて、補正予算により切れ目なく復旧・復興を加速する。
 防災・減災、国土強靭化については、3か年緊急対策を着実に実行しつつ、今回の台風被害を踏まえて、これを更に強力に進める。
 第二の柱は、経済の下振れリスクを乗り越えようとするものへの重点支援であります。生産性向上など、未来に向かってチャレンジし、様々なリスクを乗り越えようとする中小・小規模事業者、農林水産業、そして、地方などを重点的に支援をしていきます。
 生産性向上につながる投資としては、従来型の設備導入に限らず、スキル取得などの人材投資や、IT、デジタル技術の実装に向けた様々な取組も後押ししていきたいと考えております。
 また、海外展開企業の事業円滑化、農林水産業の成長産業化や輸出力強化、地方創生の推進に取り組んでいきます。
 併せて、就職氷河期世代への支援策についても、大胆に講じていきたいと考えております。
 第三の柱は、未来への投資と東京オリンピック・パラリンピック後も見据えた経済活力の維持向上であります。
 Society5.0やSDGsの実現に向けたイノベーションの促進、インバウンドの喚起など、ポストオリ・パラを見据えた成長力の強化に重点的に取り組んでいきたいと考えております。
 特に、今年も含めて近年の自然災害を機に、気候変動問題が大きな課題となっております。環境エネルギー分野において、世界をけん引するイノベーションを加速していきたいと考えております。
 さらに、国の将来は何よりも人材に関わっておりますので、Society5.0時代を担う人材の育成・教育にもふさわしい環境を整えていきたいと考えております。
 また、ポスト5Gの推進、Society5.0時代の高齢運転者による交通事故対策、生産性向上を支えるインフラの重点整備、子育てしやすい生活環境の整備などにも取り組んでいく考えであります。
 併せて、現行の消費税率引上げ対策の期限も踏まえ、しっかりと個人消費の下支えを図るための方策についても検討していきたいと考えております。
 この新たな経済対策は、いわゆる15か月予算の考え方の下、今年度の予備費のほか、今年度補正予算、さらには来年度の臨時特別の措置を適切に組み合わせることとしております。
 私といたしましては、本日の総理の御指示をしっかりと踏まえて、広く関係各省に検討いただき、そして、また与党の御意見もよく伺いながら、通商問題をめぐる緊張の影響など、経済の下振れリスクを確実に乗り越え、民需主導の持続的な経済成長の実現につながるよう、いわゆるワイズスペンディングの考え方、これをしっかりと意識をして、実効性のある経済対策の取りまとめに向け、尽力していきたいと考えているところであります。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)まず、大臣から御発言のありました件について、今回あえて補正編成版もそうなんですけれども、それと併せて今回あえて経済対策を取りまとめるという、この狙い、期待するところを改めて大臣はどうお考えでしょうか。
(答)はい。我が国の景気は、内需を支えるファンダメンタルズはしっかりしておりますので、基調として緩やかに回復しているという認識に変わりはないんですけれども、一つは台風19号などの自然災害からの復旧・復興に加えて、海外発の下方リスク、これはIMFなども経済見通しを下方修正しております。こうした海外発の下方リスクの顕在化が経済に悪影響をもたらすおそれ、これにあらかじめ備えるという観点で、新たに経済対策を策定するよう指示があったと認識をしています。
(問)関連しているんですけれども、取りまとめの時期ですとか、あとは経済対策、あるいは補正のそれぞれの規模感というのはどういうふうにイメージをお持ちでしょうか。
(答)そうですね、現時点で何か具体的に決まっているものがあるわけではありませんけれども、今日御指示いただきました三本の柱、これはいずれも喫緊の課題であります。補正予算の編成に向けて、各省に検討をお願いを、今日指示がございましたので、私からもお願いもしたいと思いますし、できるだけ早期に取りまとめていきたいと考えております。
 規模も正にこれから関係省庁で検討が進むと思いますので、その提案も含めて効果的な施策として、吟味した結果としておのずと規模感は決まってくるのかなと思っています。
(問)全世代型社会保障検討会議の議事録で、在職老齢年金についての中西経団連会長の発言が議事録に記載されていないとの報道が一部にございます。事実関係を教えてください。
(答)報道は承知をしております。議事録についてなんですけれども、公表された議事録は一言一句全て発言されたとおりに書いているものではございません。その民間の委員の方、議員の方に、御本人にも確認をしながら、発言のあったその御趣旨を整理して、できるだけ正確に議事録として残しているものであります。
 事実誤認、数字の間違いであったり、言い間違いであったり、あるいは不適切、不明確な表現があった場合など、あるいは「てにをは」、こうしたことも含めて、御本人とやり取りしながら確認をし、記載をしているところであります。
 この中西議員の御発言についても、経団連の事務局にその案を送付し、御確認を頂いた上で記載をしたものと聞いております。
 その公表された議事録にもありますけれども、慎重に検討という御本人の意図はきちんと記載をしておりますので、何か改ざんとかいうことを行ったものではありません。
(問)それに関連してなんですけれども、今回その経団連の会長の方は、高齢者の働く意欲を損ねているという、在職老齢年金についての指摘に対しては、経営者から見ると働く高齢者の意欲を減退されることはないといった、そういった反対意見が削除されたのではないかという報道もあるんですけれども、それについてはいかがでしょうか。
(答)中西議員がその後何か発言をされているかどうか、これは私は承知をしておりません。この議事録はきちんと御本人にも御確認を頂いた上で公表しておりますので、これ以上私はコメントをできませんし、差し控えたいと思います。
(問)今回こういう報道が出ていて、今後その議事録の作成について、何かこう改めるべきものとか、そういうものがあれば教えていただきたいと思うんですけれども。
(答)先程申し上げましたとおり、議員の発言につきましては、御本人とやり取りをしながら、御本人に代わる代理の方かもしれませんけれども、きちんとルールに従ってやり取りをしながら、御了解を頂いた上で公表をしてきております。
 ですので、このルールはこれでいいと思うんですけれども、ただ、いずれにしても議員の御趣旨、御発言ですね、これについては、できる限り正確に残せるよう、我々としても引き続きしっかり取り組んでいきたいと考えています。
(問)関連して確認なんですけれども、その今回報道では在職老齢年金について、政府の方針と必ずしも一致しない部分の発言が落とされているという報道があるので、それが問題ではないかという形だと思うんですけれども、これは政府の方針と違うから意図的にやったということではないということでいいのか、再度確認させてください。
(答)繰返しになりますけれども、きちんと御本人に最初御確認いただいて、議事録として公表させていただいております。
 そして、内容を見ていただいてもお分かりになりますとおり、中西議員の慎重に検討というその御本人の御意図は、御意思、御発言のその趣旨はしっかりと記載をしているということであります。
(問)ちょっと別の経済指標の話になるのですが、今朝、総務省が発表した消費増税直前9月の家計調査が、前年同月比実質で9.5%増加しまして、市場予測を上回る数字でした。
 この受け止め、今まで消費増税前の駆け込み需要の緩和ということだったんですけど、大臣の考え方、変わりないか教えてください。  
(答)本日、閣議でも報告がありましたけれども、家計調査、9月の分ですね。この2人以上の世帯の消費支出について、前年比で名目で9.8%増、実質で9.5%増となったということで承知をしております。
 これには昨年9月の消費支出が台風とか地震の影響、こういったものにより減少しているという昨年との対比でありますので、そういう部分もあります。
 一方、消費支出を季節調整済みの前月比で見ると、前回の消費税率引上げ直前の2014年3月の時点の数字を見ますと、実質で11.6%増加をしているのに対しまして、今回は5.5%の増加ということでもあります。
 それから、引上げ前3か月の前月比を平均で比較しても、前回が約4%増加しているのに対して、今回は約2%の増加ということでありますので、全体的に駆け込みは前回ほどではないという認識に変わりはありません。ただ、繰り返しになりますけれども、消費税率引上げ後の動向、特に消費者マインド、これは海外のいろんな影響も受けますし、輸出、製造業が弱くなっているという部分の影響も出てきますので、こういった面は引き続き注視をしていきたいと考えています。
(問)先日、大臣がBSの番組に出演されたときに、マイナンバーカードのお話をされたと思うんですけれども、ポイント還元、経済対策の一環にもなる内容だと思うんですけども、マイナンバーカードのポイント還元制度が10月に開始するというふうなことなんですが、改めてなぜ10月なのか、10月に開始したいのか、なんで10月なのか。あとは普及率、マイナンバーカードの普及率ですけれども、マイナンバーカードが低い中でも効果ある対策になるのか、お聞かせください。
(答)先日放送で私が発言したのは、自民党の方で検討が進められている中で10月からというような方向性が示されたということを踏まえて発言をいたしました。正確に申し上げますと、政府内では開始時期も含めて、与党のそうした考え方も含めてですけれども、踏まえてですけれども、具体的な制度設計を行っているところであります。6月にポイント還元事業が終了しますので、その後の消費の下支えということをしっかり行っていきたいと考えております。その一環として、マイナンバーカードを活用したポイント制度についても、是非いい形で導入ができればと思っておりますので、政府内でも検討を進めていきたいと、更に深めていきたいと考えております。
 併せて、総務省の方でマイナンバーカードの普及については、できるだけ多くの方に活用していただけるようということで、マイナンバーカードを活用した医療の保険証との統合というか、活用ですね、こういったことも含めて検討策を考えてくれておりますので、利用の拡大も考えてくれておりますので、是非普及に向けても私自身も取り組んでいきたいと考えております。
(問)先程、国土強靭化の3か年計画を強力に進めるというお話があったと思うんですが、飽くまでも今決まっている事業規模の7兆円の3か年計画を進めるという意味か、先を見据えた話であるのか、見直しであるとか、増額、前倒しなど、報道されているところもあるもんですから、飽くまでも3か年計画を進めるという意味合いでよろしいんでしょうか。
(答)国土強靭化、防災・減災ですね。これについては昨年末に2020年度、来年度までを計画期間とする3年間の緊急対策、取りまとめられて集中的な取組ということで、3年間で7兆円の規模だということでありますけれども、今も進められているところであります。その上で、今年のまた災害対応、これで様々な経験をしましたし、また知見も出てきているんだろうと思いますので、こうしたことも踏まえて必要な予算を確保した上で国土強靭化を更に強力に進めていくということが重要であります。
 本日、総理からは、正に3年間集中の防災・減災、国土強靭化の緊急対策を着実に実行するとともに、今回の台風被害を踏まえた課題を検証し、水害対策を中心に防災・減災、国土強靭化を更に強力に進め、国民の安全・安心を確保するという御指示を頂いたところであります。
 今後、内閣官房の国土強靭化推進室を始め、関係省庁と緊密に連携をして、正に国家100年の大計にふさわしいしっかりとした対策を検討していきたいと考えております。
(問)3か年計画に捉われずに、その先のことも考えたというふうに考えての検討をしていくというふうに考えられますでしょうか。
(答)そうですね。その先も必要な予算を確保して、正に国民の安心・安全、安全・安心を確保するという、そういう姿勢で臨んでいきたいと考えています。
(問)議事録の件に戻ってしまって恐縮なんですけれども、先程中西会長の御発言に関しては、趣旨は変えていないという旨の御発言かと聞いたかと思います。そういった意味では、もともとの御発言を確認された上での御回答かなと思いますけれども、改めてもともとどうおっしゃっていたのでしょうか。
(答)繰返しになりますけれども、きちんと御本人に確認を頂いた上で、その御発言の内容を公表しておりますので、これ以上のことについては差し控えたいと思っています。ただ、繰り返しになりますけれども、議事録見ていただいたら分かりますが、慎重に検討という中西さん自身の本人の御意思、御意図はきちんと記載をしているということでございます。
(問)本人に確認したことをもって趣旨は変えていないとおっしゃっている、そういうことでよろしいんでしょうか。
(答)ええ、御本人に確認して、この趣旨でいいですか、この記載でいいですねということを確認しているということです。

(以上)