西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和元年10月29日

(令和元年10月29日(火) 9:59~10:13  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 私から、日米貿易協定の経済効果分析について、確定値を改めてお知らせを致します。
 日米貿易協定に係る経済効果分析の暫定値について、10月18日に公表したところでありますけれども、その後、経済学の専門家であります木村福成慶應大学教授の御指導の下、分析結果について検証し、確定値と致しましたので、改めてお知らせを致します。
 GTAPモデルを用いた分析結果として、我が国の実質GDPは、日米貿易協定がない場合に比べ、約0.8%押し上げられると見込まれております。これを2018年度のGDP水準に換算をすると、約4兆円に相当いたします。暫定値と同じ数字であります。
 過去の分析と同様に、労働供給に係る実質賃金弾性値を半減した場合、半減で置いた場合の数字も参考値として計算いたしておりますが、その場合の効果はプラス0.6%、約3兆円となります。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)今朝、10月分の都区部の消費者物価指数、CPIが出まして、生鮮食品のコアが前年同月比0.5%上昇で、前月と変わらない結果でした。
 この10月に消費税率を引き上げたことを踏まえると、弱い動きかとは思うんですが、大臣の受け止めを教えていただけますでしょうか。
(答)本日発表されました10月の東京都区部の消費者物価の総合は、前年比プラス0.4%、前月比0.0%ということであります。
 これらの数字には、10月の消費税率引上げによるプラスの効果と、それから幼児教育・保育の無償化の影響、これは引下げの方の、マイナスの方になるわけですが、両方含まれております。これを除いたベースで見ますと、前年比プラス0.3%ということであります。
 さらにコア、いわゆる生鮮食品を除いたコアと、生鮮食品、エネルギーを除いたコアコアについて、同じように消費税率引上げの効果、影響、それから幼保無償化の影響、これを除いたベースを公表資料から、これは内閣府で簡易的に推計を行いました。それぞれプラス0.4%とプラス0.5%と見込まれております。
 今日公表された数字を更に精査をして、消費者物価の基調についてはきめ細かく見極めていきたいと思っておりますが、この消費税率引上げ、それから幼保無償化の影響を除いた一部の系列は、総務省から公表されないため、本日簡易的に推計して今、申し上げた数字の精査も含めて、今後内閣府において試算をして、月例経済報告等でお示ししていきたいと考えております。
 いずれにしましても、物価の基調をしっかりと把握をしていきたいと思っております。
 以前から申し上げていますが、デフレ脱却に向けて、この物価の動きであるとか、あるいはGDPギャップであるとか、あるいは賃金の動向であるとか、こういった動きを見てきておりますけれども、デフレ脱却に向けた改善は続いているという認識でおります。
 引き続き、デフレ脱却に向けて政府・日本銀行で緊密に連携しながら、あらゆる政策を総動員して、デフレ脱却と力強い成長を目指していきたいと考えております。
(問)日銀の金融政策について伺います。
 今回、FOMC、FRBは利下げする一方、30日からの日銀の決定会合では、今回追加緩和を盛り込むというのが今の市場の見方です。
 日米両国間での金利差が拡大することも懸念されますが、今回の日銀の決定会合での議論、課題をお願いします。
(答)日本銀行においては、政府・日銀の共同声明、これに沿って経済・物価・金融情勢、様々な状況を踏まえつつ、2%の物価安定目標のできるだけ早期実現を目指して、取り組むことを期待しているところでございます。
 具体的な金融政策の手段は日本銀行に委ねられておりますので、私からコメントすることは控えたいと思いますが、いずれにしましても、日本銀行において状況を踏まえて適切に判断されると考えております。
(問)先程ちょっと物価の言及を頂いたんですけれども、もうすぐ消費増税から1か月が経つわけですが、その後の消費動向の受け止めと、今後の経済対策の必要性について、現時点での御認識をお伺いできればと思います。
(答)消費動向については、繰り返し申し上げておりますけれども、日次のデータとか、週次データも含めて、きめ細かく把握、分析を行いつつ、私自身もいろんな場所、現場に足を運んで、視察とか、ヒアリングとかを行っているところであります。
 昨日の諮問会議においても御報告をしたんですけれども、消費税率引上げ前後の経済動向については、軽減税率あるいは政府の政策の実施の効果もあって、駆け込み需要、あるいはその後の落ち込みは全体的に見て、前回の引上げ時ほどは大きくはないという声が多くあるということでありますけれども、一方で、消費者マインドの先行きを心配する声もあるということであります。
 政策の進捗状況についても、一部にポイント還元や軽減税率に伴うレジ対応で戸惑いもあるという声も聞いておりますし、また、その手続が進んでいないということも聞いております。
 全体としては、準備期間もあって混乱はしていないという認識ですけれども、そういった手続の遅れなどについては、経産省に改善を私からも要請しているところであります。
 その後、台風の影響も、台風19号、そして今週末も、21号も大きな被害が出ておりますので、消費全体の動向を見極めるには少しデータがまだそろっていないところ、それからこの台風の影響もよく見極めていかなきゃいけないと思っておりますけれども、いずれにしても、全体としては大きな落ち込みはないという認識で思いますが、いずれにしても、日々緊張感を持ってこうした分析に努めて、何か経済の変調があれば、必要があれば後手に回ることはないよう、機動的なマクロ経済政策を躊躇なく発動していきたいと、その決意でございます。
 現時点では、プレミアム付商品券、ポイント還元、こういったものの各種施策の効果がしっかりと発現をするよう、引き続き着実に実行してまいりたいと考えております。
 台風の影響、被害については、予備費、災害復旧を合わせて約5,000億円ございますので、これを活用し、生活再建、こういったことにパッケージで取り組んでいくというふうに今進めております。
 その上で、経済動向、世界の動向も見ながら、また、日次のデータ、週次のデータ、それから台風の影響等よく把握をして、後手に回ることはないよう、取り組んでいきたいと考えております。
(問)消費税増税対策の関連で、プレミアム付商品券の関係で伺いたいんですけれども、いわゆる住民税非課税世帯の申請者の方が、全国で低調になっているようなんですけれども、この受け止めと、それと、あと今後政府として買ってもらうように、てこ入れなどを考えていらっしゃるかどうか、教えてください。
(答)プレミアム付商品券につきましては、10月1日以降、ほぼ全ての自治体において購入、利用が始まっております。既に利用いただいている方からは、お得に買い物ができるので大変助かるとか、たくさんのお店で使えるので嬉しいといった喜びの声も多く頂いております。私も幾つかの商店街を回りましたけれども、商店街側もやはり増税対策の一環で取り組んでいる、あるいはキャンペーンをやっているようなところもありますので、全体として前向きに取り組んでもらっているのかなと思います。
 御指摘のとおり、一部報道で、現時点で非課税者の方々からの申請が低調であるという指摘があることは承知をしておりますが、ほとんどの市区町村で申請を11月以降まで受け付けておりますので、今後対象者からの申請、購入は増加していくということを期待しております。
 引き続き、一人でも多くの方に、対象の方に商品券を購入、そして利用していただこうということで、引き続き国としても10月に続いて、11月にもテレビCMを活用した集中的な広報を行いたいと思っておりますし、自治体においても10月下旬から11月にかけて、改めて住民税非課税世帯、非課税の方々に再度の通知を行うことを含めて、呼び掛けを行っていただこうということで、いろいろ連携、協議をしましたところ、1,000万人ぐらいの方にまた再度の通知をしてもらえるようでありますので、自治体からですね。全体で2,100万人強の非課税者の方がおられますけれども、半分近くの方に改めて通知をしてもらえるということでありますので、そういったことを通じて、一人でも多くの方に使っていただいて、負担の軽減、そして、全体として消費の下支えになればなと思っております。
(問)与党幹部から相次いで3か年のインフラ緊急対策の拡充を要望する声が出ておりますが、大臣として現時点でどのように考えていらっしゃるか、お願いいたします。
(答)まずは、3か年で7兆円規模の事業をしっかり、国土強靱化、行うということでやっておりますので、これは来年度まででありますので、まず、これをしっかりと必要な予算を、必要な場所に使っていくということを、まず着実に進めていきたいと思っております。
 そして、今回の一連の台風被害、そして毎年のようにこれだけのことが起こっておりますので、改めて防災・減災、国土強靱化、力を入れていかなきゃいけないなということを痛感しております。
 以前にもお話ししたかもしれませんけれども、私の地元の淡路島でも平成16年に台風23号、ちょうど10月の今の時期ですけれども、大きな被害が出ました。溜め池も百何十か所決壊をしたわけであります。10人の方が亡くなりました。
 その後、激甚災害の指定を受けて、大きな河川、洲本川流域、あるいは志筑川という二つの大きな河川を改修、大きな整備を行いまして、その後、何度もまた大雨に、豪雨に見舞われていますけれども、その後はそのときほどの被害はやっぱり出ないという状況でありますので、そういう意味で、しっかりと備えて対策を打てば、大きな被害にも、こうした豪雨にも備えることができるということだと思いますので、そういったことも踏まえて、今後も必要な予算はしっかりと確保して、国民の生活、生命をしっかり守れると、そういったことを考えていきたいと思っております。

(以上)