西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和元年10月18日

(令和元年10月18日(金) 11:11~11:25  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。少し案件がありますので、夕方1回でということでしたが、このような形で午前中も閣議後の会見を行うことにしました。急な御相談でしたけれども、ありがとうございます。
 まず、冒頭、閣議で本日、外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案について閣議決定をしたところでありますが、私から次の2点を発言を致しました。
 一つ目は、本法案は日本経済の発展に寄与する健全な対内直接投資を一層促進するとともに、国の安心等を損なうおそれのある投資に適切に対応するため、めり張りのある対内直接投資制度を目指す法案であること。
 そして、二つ目に、今後詳細は政省令や告示で規定されることとなると聞いているけれども、国の安心等を確保しつつ、対内直接投資を促進という目的に沿った制度設計となるよう期待していること、このことを発言を致しました。
 それから、今日の二つ目のテーマでありますけれども、日米貿易協定の経済効果分析についてお知らせを致します。
 もう既に一枚紙はお配りしていると思いますけれども、先週署名され、15日に承認議案を国会に提出した日米貿易協定について、経済効果分析の暫定値が出ましたので、本日お知らせを致します。
 TPP11、元のTPP、それから、TPP12、CPTPPに係る経済効果分析と同様、いわゆるGTAPモデルという経済モデルを使いまして、今回の日米貿易協定の効果を試算を致しました。
 これまで同様、専門家による検証等を経て、最終的な分析結果は年内に取りまとめることとなりますけれども、現時点の暫定値としてお示しをさせていただきました。
 我が国の実質GDPは、日米貿易協定がない場合に比べて約0.8%押し上げられると見込まれております。これを2018年度のGDP水準で換算をすると、約4兆円ということになります。
 TPP11とTPP12の効果の差分は約1.1%でありますけれども、それより若干低い数字となります。これは、日米協定、そもそもTPP未満のTPPまでは行っていないということもありますし、ルールの面、あるいは12か国によって相乗効果が働くという、いわゆる貿易円滑化等の効果が見込まれませんので、そうした効果を見込んでいないことにより、1.1%よりも少し小さな数字になるということであります。
 いずれにしましても、我が国の成長に資する協定でありますので、今国会で御審議を頂いた上で、政府としてはできるだけ早い発効を目指していきたいと考えております。
 分析の結果の詳細は、事務方から別途追って説明をさせていただきたいと思います。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)2点お伺いします。詳細は事務方からということだったんですけれども、日本経済への影響をもう少し具体的に、どのようなところ、分野で経済にプラスの影響が出るとお考えか教えてください。
(答)一つにはというか、最も大きいところはやっぱりアメリカの市場に向けて様々な工業品の輸出が期待できること、特に中小企業、部品などもありますので、中小企業の輸出も期待ができると思いますし、それから、牛肉もアメリカの枠が拡大をされておりますので、低関税枠ですね。6万トン強に拡大をされますので、こうした面でも牛肉の輸出も含めて、アメリカの市場に対する市場拡大による企業の、あるいは農業の市場拡大が考えられると思います。
(問)もう一点、今回のこの経済効果分析には、継続協議となっている自動車の部分、自動車と自動車部品の関税撤廃の影響は、考慮に入っていますでしょうか。
(答)御案内のとおり、貿易協定では、日米の協定では自動車・自動車部品については、単なる交渉継続ではなくて、更なる交渉による関税撤廃と明記をされているところであります。
 関税撤廃が前提となっておりますので、これを元に計算を行うということにしております。
 なお、このGTAPモデルというのは全ての関税、この約束したことが行われて、そして、それが静的にいわゆるスタティックな状態になった時点での分析でありますので、撤廃時期は直接この分析結果には関係ないと、影響しないということであります。ですので、是非これは御理解いただければと思います。
(問)TPP11とか、日EU・EPAの過去の連携協定の試算を出した際は、農林水産物への生産額の影響、減少額ですね。これも試算として示していたかと思うんですけれども、今回については、この農林水産物の生産額については、試算を出すのか。もし出すとしたら、いつ出すのかという見通しがあれば教えていただけますか。
(答)農林水産物については、TPP11、TPP12、それから日EU・EPAの経済分析、効果分析を実施したときと同様の手法によって、農水省から示された暫定試算結果、これを頂いておりますので、これをGTAPモデルに組み入れて経済全体への影響を分析しているところであります。
 この農水省の影響試算の暫定版も本日、農水省から公表される予定となっております。
(問)経済分析のところなんですけれども、自動車と部品を除いた数字を出す御予定はありますでしょうか。よろしくお願いいたします。
(答)それはありません。先程申し上げたとおりですけれども、自動車及び部品を除いて試算することは、あくまで完全撤廃が前提となっておりますので、この自動車部品ですね。ですので、それは今回の交渉結果に反するものでありますし、また、今後の撤廃時期などに係る今後の交渉にも悪影響を与えかねないということで、それは行っておりません。
(問)ちょっと貿易協定と離れてしまうんですけど、先程、中国の7-9月のGDPが発表されて、前年同期比でプラス6.0と、四半期ごとに発表され始めてから過去最低ということなんですけども、中国の減速を今どういうふうに受け止めてらっしゃるかということと、大臣よくおっしゃってる経済変調の兆しを捉えるという意味でいうと、今回のGDPってどのように見てらっしゃるでしょうか。
(答)世界経済の動向については、日頃から細かく分析を行い注視をしているところであります。様々な指標を見ましても、特に輸出が弱含みであるというのがここのところの傾向でありますし、非常に注視をしているところであります。
 米中の通商交渉は様々な報道がありますけれども、いい方向に向かっていることを期待をしつつ、そうしたこともにらみながら、中国は中国として経済状況をにらんで様々な対策を講じてきているところだと思いますし、そのレベルについては私からコメントは致しませんけれども、世界経済全体、IMFも下方修正をしたところでありますし、ちょうどG20の財務大臣会合も行われております。G20の大阪での会合のときも、各国連携をしてしっかりと経済の変調に備えていこうと、様々な政策を多用しようということで合意もしておりますので、引き続き注視をしていきたいと思っております。
 今申し上げたとおりなんですけれども、今後の経済の変調を見る上で三つのこと、一つは、やはり海外経済の動向、米中の交渉状況も始めとして、この辺はしっかり注視をしていきたいと思いますし、二つ目に、消費税率引上げ後のこの状況についても、いろんなデータを見ながら分析をしているところですけれども、消費者マインドにどういう影響が出ているのかということも含めてしっかり見ていきたいと思っております。
 三つ目に、今回の台風19号の、そしてその前の15号を含めて、この一連の災害の動向であります。報道もなされておりますけれども、自動車メーカーの操業停止も今発表されて何日間か停止があるようですし、中小企業の被害も、これ広範囲にわたっての被害でありますので、中小企業もかなりの企業が被災をしておりますので、そういった影響。それから、北陸新幹線とか箱根登山鉄道とか止まっているところがありますので、観光、インバウンドへの影響、かなり旅館でもキャンセルも出ているようでありますので、こういった面をよく注視をして見ていきたいと思っております。
 いずれにしましても、今後の経済運営には万全を期していきたいと考えているところです。
(問)民間消費が2兆円ぐらい増えると。それから、この労働供給の0.4%、28万人、これはいわゆる労働需給に対して28万人分の雇用が増えるということなのか、このことが国民の実質賃金を少しどれぐらい上げるというような推計があるんでしたら分かりやすいと思うので教えていただきたいんですけど。
(答)先程申し上げましたとおり、このGTAPモデルは、全ての約束したことがなされて、関税の引下げなどがなされて、それで安定した状態でのモデルでありますので、通常は、全てなされてから10年とか20年とか、そういうスタティックな状態になってからの時点でどれくらいの効果があるかということですので、少し先の数字ではあります。ただ、需給がひっ迫する中で、更にこれだけのいわゆる労働供給が必要となってくるわけでありますので、当然賃金にもプラスの影響があるということですけれども、他方で、人手不足にも対応していかなきゃいけませんから、外国人の特定技能の制度を通じた活用であるとか、あるいは新たな生産性向上のためのいろんな投資、IT関係の投資とかロボットとか、こういったことも是非期待をしたいと思っております。
(問)1点お願いします。今回の協定発効によって、農林水産業への国内対策が必要になると思うんですが、その予算の大体の規模感というか、これぐらいを計上する見通しとかそういったものがあったら教えてください。
(答)正に今過去のTPP11、それから日EUのときに作った大綱を分析し、検証しているところでありますし、今回、農水省から数字も出されますので、それを踏まえて連携しながらしっかり検討していきたいと思います。

(以上)