西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和元年10月1日

(令和元年10月1日(火) 11:23~11:44  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 私から申し上げます。3点ございます。
 まず、消費税引上げにつきましてであります。
 本日、消費税率が引き上げられました。今朝の閣議では、総理から、消費税引上げに当たって、教育無償化や各種対応策の円滑な実施が図られるよう政府一丸となって対応するようにとの御発言がありました。
 私からは、引き続き「経済再生なくして財政健全化なし」との基本方針の下、経済再生と財政健全化に一体的に取り組んでいくこと、それから、引上げが経済の回復基調に影響を及ぼさないよう、プレミアム付商品券事業など十二分な対策を講じており、その着実な実行を進めていくこと、それから、「全世代型社会保障検討会議」での議論を通じて、誰もが安心できる社会保障制度へと改革を進めていくことの3点について発言をしました。
 消費税率引上げに当たりましては、大臣就任後、各地で引上げの準備に当たる現場の視察や意見交換を行うなど経済状況の把握に努めてきているところであります。引き続き、世界経済の動向も含め、税率引上げ後の経済動向を分析するとともに、ヒアリングや視察等を通じまして現場の声をしっかりと吸い上げ、経済の実態をきめ細かく確認しながら、内外のリスクの健全化に備えた万全の経済財政運営を行っていきたいと考えております。
 それから2点目に、税制調査会の答申であります。
 先程の閣議におきまして、私から、税制調査会が9月26日に答申として、「経済社会の構造変化を踏まえた令和時代の税制のあり方」について取りまとめた旨を御報告いたしました。
 それから、3点目、TPP等総合対策本部についてであります。
 本日、「TPP等総合対策本部」を開催いたしまして、「総合的なTPP等関連政策大綱改訂に係る基本方針」を決定させていただきました。基本方針の中身は、配付の資料、お手元にあるとおりであります。
 本年9月25日に、我が国にとっての主要な貿易相手国であります米国との間で、日米貿易協定の最終合意に至ったところであります。今般の最終合意を踏まえ、引き続き早期署名に向けて作業を進めるとともに、経済効果分析も含め、本協定の成果を最大限に生かすために必要な政策の検討に着手をいたします。
 具体的には、TPP11、日EU・EPAの発効後の動向も踏まえた政策を改めて体系的に整理し、本年秋を目途に、前回の決定から2年経過したこの「総合的なTPP等関連政策大綱」を改訂することといたします。
 今後は、本日決定された基本方針を踏まえ、効果的・効率的な政策を大綱に盛り込み、しっかりと対策に盛り込むことで我が国経済の更なる発展につなげていきたいと考えております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)改めてですけども、午前零時に消費税率8%から10%に上がりました。そのいよいよ増税が実現したことの所感と、先程、経済財政運営の方針を述べられましたけども、特にその注意するポイント、課題を改めて教えてください。
(答)はい。本日から消費税率が引き上げられたわけであります。これは、先程もお話を申し上げましたけれども、全世代型社会保障の大きな第一歩、改革への第一歩だというふうに考えております。
 以前から申しておりますけど、医療などは全世代、全国民対象に行ってきているわけでありますけれども、正に安倍内閣が進める全世代型社会保障改革、誰もが安心していただける制度構築に向けての大きな第一歩だと思っております。
 更に申し上げると、私自身、当選後間もない頃、自民党の幼児教育無償化の委員会の事務局長を務めて、正に党が最初に幼児教育の無償化の提言をまとめたときの事務局長でもありましたので、この幼児教育の無償化がなされることについては感慨深いものがございます。
 世界的に幼児教育の重要性が多くの国で認識され、そういう方向で施策がなされる中で、日本においても幼児教育をしっかり取り組んでいこうということでありますし、正に子育て世代の負担軽減にもつながっていくということであります。全世代型社会保障の大きな一歩だと考えております。
 この引上げに際しては、増収分のおおむね2分の1を幼児教育の無償化等に充てるということでありますし、併せて最大6万円の年金生活者支援給付金も実施をいたしますし、それから介護保険料の軽減などの措置も行います。
 軽減税率の導入によって、経済の影響は2兆円程度に抑制されるものと認識をしております。それに加えて今回の対策、ポイント還元であったりプレミアム付商品券発行の事業であったり、自動車・住宅の減税措置であったり、防災・減災の国土強靱化の予算であったり、先程の2兆円を上回る規模の2.3兆円の予算・税制上の措置を講じているところでございますので、これらの施策を円滑にしっかりと実施することによって経済への影響が最小限で済むように取り組んでいきたいと考えているところであります。
(問)今朝、日銀が発表した企業短期経済予測調査なんですけれども、大企業製造業の業況判断がプラス5で3四半期連続の悪化となり、2017年6月以来の低水準となりました。今月末に日銀は金融政策決定会合を開く予定ですけれども、今日の短観の結果が金融政策にどういう示唆をするのか、お考えがあったらよろしくお願いします。
(答)はい。まず、日銀短観が本日発表されまして、全体で「良い」が「悪い」を上回っている状態がまだ続いております。ただ、全規模全産業の景況感は、前回の調査と比べて2ポイント低下をしているということであります。そのうち、特に製造業の景況感が前回調査より4ポイント低下をし、特に注目されている大企業・製造業は、2ポイント低下ということでありますが、まだプラスを維持しているということであります。
 他方、非製造業の景況感は、国内需要が引き続き底堅いことを踏まえて横ばいで推移をしているところであります。
設備投資の動向を見ましても、製造業において特に弱含んでいる感じがありますけれども、なお底堅いものがあると認識をしております。
 こうした海外発の下方リスクには我々も十分留意をしながら、特に消費税率引上げ後の経済運営、状況をしっかり見ながら万全を期していきたいと思っております。日本銀行におかれても、こうした状況をしっかりと認識をされていると思いますので、適切に判断をされていくものと思います。
(問)今朝の総合対策本部で、日米貿易交渉の大筋最終合意を受けて国内対策の検討を始めたと思うんですけれども、以前にTPP12の段階で既に対策予算を組んでいると思うんですけれども、更にその上で検討に、国内対策が必要になりそうなところというのは、現時点でどの辺りを考えてらっしゃるんでしょうか。
(答)今日、関係閣僚間で合意をして、この基本方針に基づいて今後の対策を検討していこうということになりましたので、関係省庁としっかり議論していきたいと思いますけれども、正に基本方針にありますとおり、海外市場を開拓していく、特に中小企業の皆さんが開拓をしていく、そうした支援、あるいは、それとも関連しますけれども、グローバルなサプライチェーンを構築していく、そうしたことへの取組、それから、農業に関しては正にTPPの範囲内でありますし、例えば米は完全除外となるなど、農協の皆さんを始め多くの方から評価する声も頂いておりますが、なおやはり品目的には削減するものがございますので、なお残る農家の不安にどう応えていくかという観点から、しっかりと検討を進めて必要な対策を講じていきたいと考えております。
(問)今回のこのTPP等関連政策大綱の改訂をした後に、農業対策とかで具体的に今後必要な予算を計上していくことになるかと思うんですけども、これはいつ頃から具体的に予算を計上するかと、そういう時期的な見込みはありますでしょうか。
(答)まず、今回の日米の合意、これ、早期発効を目指して署名をすべく最終の詰めの作業を行っているところであります。この発効のどういうタイミングになってくるのかということ、それから、以前にも申し上げましたけど、TPP11が発効したときの4年前の大綱、それを日EUがEPAが発効したときに改訂を行いまして、2年前に改訂を行ってきております。こうした大きな経済連携協定の発効後の状況もしっかりと見極めて、それを検証して、その上で対策を講じていきたいと思っておりますので、そうした期間の後に、速やかに対策を講じていきたいと考えております。
(問)あと、対策の方針について、今回3点示されてますけども、前回2年前の改訂とどういった違いを出していきたいかと、改めてこの違い、どういった違いを出していきたいかという点についてちょっと教えていただけますでしょうか。
(答)一つは、やはり日米は非常に大きな貿易量の、大事な貿易のパートナーで、もちろん同盟国であるという大前提の上に、通商貿易の大事なパートナーであります。そうした中で、双方がウイン・ウインとなる形で今回協定を結ぶことになりましたので、双方に様々なビジネスチャンスが広がってくるんだろうと思います。これは、先程申し上げた日本の中小企業にもアメリカの市場開拓に向けてのチャンス、あるいは、もう既にあるTPPあるいはEUとのこうしたサプライチェーンに加えて、アメリカも含めた形でのグローバルなサプライチェーンを構築していくという、そういう面でのいろんな取組もあると思います。
 あわせて、農家の皆さんが不安に思っておられる点、TPPと比べて、TPPは関税撤廃率が80%を超えておりますけれども、今回4割を切っておりますので、こういった点で我々しっかりと説明をして御理解を頂けるように努力をしていきたいと思っておりますし、評価も頂いているところですけども、関税撤廃する部分もありますので、農家の皆さんにはなお不安も残るという中で、しっかりとそれに対する対策を講じていきたいと思っております。
 あわせて、アメリカ側も、例えば牛肉の低関税枠を300倍にしますので、そういったことでこちらから、例えば牛肉の輸出のチャンスも広がりますし、日本酒などの流通の形態も四号瓶、一升瓶でできるというようなことも含まれております。いろんな食品産業、農林水産業のチャンスも広がってきますので、そういったところでのどういった対応が必要なのか、支援が必要なのか、しっかりと検討していきたいと考えております。
(問)一つの内閣で短期間に2回消費税を上げるというのは、やはり経済史に残る私は壮挙だと思うんですが、なぜ安倍政権においてこういうことが実現できたのか。しかも、今年は参議院選挙があって、なおかつできたわけですけど、ずっと官邸におられた西村さんとして、この出来事をどう評価されているか。
 もう一つの壮挙は、やはり複数税率だと思うんですが、こちらについては正直言って、与党の中にもいまだに納得していない人もいるように私は思います。それから、現場に行かれて、ポイント制も含めて区々になった消費税については批判もあると思うし苦情もあると思いますが、この部分について大臣どういうふうに御認識して、これを克服していこうとお考えになっているか、この2点を伺いたい。
(答)はい。まず、安倍政権の取組についてでありますけれども、私は、安倍総理の政治的なリーダーシップの下、十分な議論を重ねた上でこの新しい時代に必要な政策を着実に実行していこうという、その強い意志、将来の日本のために正しいと思うことをしっかりと進めていこうという、その強い意志が私はこの政府・与党にあると思っております。
 確かに、不人気な政策を実行してきております。いろんな御批判も頂いておりますし、もちろん御批判にはしっかりと耳を傾けて丁寧に説明をしたり、我々も謙虚に対応していかなきゃいけないんですけれども、この世界が大きく変化する中で、そしてまた日本の社会の構造が大きく変化する中で、日本の将来にとっては必要だと、議論した上でこれはやらなきゃいけないということを、私は総理のリーダーシップの下でやっていこうという強い意志が、私は政府・与党にあると。その上で、政府・与党が一体となって、そして政府の中も議論を重ねた上で、しっかりと方向性を一致して進めていってる、そこに私は政策を一つ一つ実行している、結果を出している力があるものと思っております。
 軽減税率につきましては、報道でも若干、今朝の報道でも、戸惑いの声が聞かれたり、ポイント還元を巡って若干の混乱もあったような報道も承知をしております。なかなか初めてのことでありますので、商店、小売店の皆さんにも御負担をかけながらでありますけれども、しっかりとした支援策、レジの対応の補助金であったり、今回のポイント還元もそうですし、プレミアム商品券もその一つと思っていただいてもいいと思います。
 しっかりと対応して、引き続き丁寧に説明をしながら、特に担当する省庁が責任を持ってしっかりと説明し対応していただきたいと思いますし、私の立場からは、政府全体として連携をしながら円滑に進んでいくように、いろんな状況を見ながら対応していきたいと考えております。
(問)本日、景気動向指数の一致指数を算出する際の経済指標が出そろって、8月の基調判断が、景気の後退の可能性が高いことを示す悪化となる見通しとなりました。この悪化となる見通しに対しての受け止めと、改めて政府の景気に対する見解というのをお願いします。
(答)はい。昨日のIIP、鉱工業生産の数字と本日の有効求人倍率が発表されましたので、こうした8月の統計を反映した景気動向指数については、7日月曜日の公表に向けて現在作業をしているところであります。
 これは、機械的に当てはめていきますので、その結果がおのずから出てくるわけでありますけれども、経済全体としては、雇用・所得の環境は引き続きいい環境で改善が続いているという認識でありますし、企業収益も現時点で高い水準にあって、こうしたことを背景に内需を中心に非常にファンダメンタルズは引き続きしっかりしているという認識であります。
 ただ、こうしたそれぞれの統計のデータ、それから本日から消費税率引上げもあると、消費者のマインドにはやっぱりマイナスの影響もあると思いますので、こうしたこともしっかり見ていかなきゃいけないと思いますし、個人消費、設備投資の動向、あるいは海外の国際情勢ですね、輸出入の動向、こうしたものをしっかり見ながら、また個別に企業からのヒアリングなんかも行いながら総合的に勘案をして、政府の景気判断については、次の月例経済報告のときにしっかりとお示しをしたいと考えております。

(以上)