西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和元年9月19日

(令和元年9月19日(木) 17:36~17:53  於:中央合同庁舎8号館1階S101・S103会見室)

1.発言要旨

 本日から未来投資会議の進行、取りまとめを担当することになりました西村です。
 平成24年から27年まで、この副大臣も務めておりましたし、ここ2年は官房副長官として、後ろの席ですけれども議論を聞いておりましたので、皆さん方に御挨拶をした上で、引き続きよろしくお願いしますということでスタートいたしました。
 本日は、新たな年度の新たな成長戦略に向けた議論をスタートさせたということであります。
 初回である本日は、もう資料お配りのとおりでありますけれども、夏の成長戦略取りまとめ以降の宿題事項、主要項目について説明した後に、審議の進め方について議論を致しました。
 委員からの発言については、もう既に説明がされたと聞いております。
 概要を申し上げますと、第1に、Society5.0の実装についてであります。
 将来をにらんだ足の長い研究開発投資が重要となってくるという中で、資金面、人材面で豊富なリソースを有している、既存企業、大企業によるスタート・アップ企業などへの新たな分野への投資が実際に進んでいくことが大事だということであります。ある意味で、資金、人材を大企業から、既存の企業から新しい企業へというところで動かしていくところが大事だということであります。個々のやる気のある経営者を支援していくということであります。
 第2に、デジタル市場のルール整備についてです。
 新たにデジタル市場競争本部を設置し、デジタル市場の専門家に入っていただいて議論を行うことと致しました。総理からは、本部長の官房長官を中心に、デジタルプラットフォーマーとの取引の透明化や個人情報保護の在り方などについて、年内に具体的な結論を得てもらいたいということの御指示がありました。私が副本部長として官房長官を支えていくことになります。
 デジタル市場競争本部の下にデジタル市場競争会議を置き、有識者にも参加していただいて調査・審議を行っていくことになります。月内に設置をしたいと考えております。
 第3に、モビリティ分野や金融分野についての取組であります。
 高齢運転者による交通事故についても、自動ブレーキの搭載などSociety5.0の技術を利用して、年内に具体的解決の方向性を得られるよう議論を進めたいと考えております。
 第4に、地域のインフラ維持と競争政策の検討であります。
 地域における地方銀行や乗合バスの機能の維持のため、年内に具体的な法制度、法案を取りまとめていきたいと考えております。
 総理からは、全体を通じて、成長戦略について本年末までに中間報告を取りまとめ、来年夏までに新たな実行計画を閣議決定したいという御発言ががありました。私を始め関係閣僚において、早速、具体的な検討を開始するように御指示があったところであります。
 第30回目となります未来投資会議については以上であります。
 それから、夕方行われました「月例経済報告等に関する関係閣僚会議」についても、その概要を御説明いたします。
 景気の現状についての総括判断は、「景気は、輸出を中心に弱さが続いているものの、緩やかに回復している。」として判断を据え置いております。
 先行きについては、当面、弱さが残るものの、雇用・所得環境の改善が続く中で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されます。ただし、通商問題を巡る緊張の増大が世界経済の世界経済に与える影響に注意するとともに、中国経済の先行き、海外経済の動向と政策に関する不確実性、原油価格の上昇や金融資本市場の変動の影響に留意する必要があります。
 今月のポイントとして、私の方から2点申し上げました。
 資料の3ページでありますけれども、また後で見ていただければと思いますが、企業収益と設備投資の動向についてであります。
 2018年度に過去最高を記録した企業収益の動向を見たものです。製造業では、外需の弱さを背景に伸び悩んでいるものの、非製造業は底堅く、全体として高い水準が維持されています。
 こうした企業収益の動向を受け、設備投資が緩やかな増加傾向にあるということです。製造業で機械投資に弱い動きが見られるものの、非製造業は底堅く、特にソフトウエア投資が高い伸びとなっております。これは、キャッシュレス化等の新しい第4次産業革命のSociety5.0の実装に向けた投資が進んでいるものと思います。
 そして、雇用・所得環境と個人消費の動向について御説明を致しました。
 雇用情勢については着実に改善をしております。有効求人倍率は、1974年1月以来の高水準を維持しておりまして、完全失業率も92年10月以来の低水準で2.2%という状況です。
 雇用者数は、女性や高齢者を中心に、2012年から2018年にかけて397万人増加をしております。よく就業者数で384万人増加という数字も使いますが、こちらは廃業がある自営業者を含んだ数字ですので、雇用者数の方が397万人増加と、大きい数字となっております。そのうち正規の雇用者数は、131万人増加を致しております。
 また、ちなみに足元の雇用者数ですけれども、本年7月までのデータの雇用者数を、2012年の同じ期間の1-7月で比べますと、492万人増加をしておりますので、足元でいえば、500万人近く雇用者数が増加しているということであります。
 また、賃上げについても、今世紀に入り最も高い水準の賃上げが6年連続で実現をしているところであります。実質総雇用者所得も緩やかに増加をしております。こうした雇用・所得環境の改善を背景として、個人消費は持ち直しているという状況であります。 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)未来投資会議と月例、1点ずつお伺いしたいんですけれども、未来投資会議の方は、デジタルプラットフォーマーへのルール整備、このルールが厳しくなり過ぎれば、そのコストが価格に転嫁されたり、結果的にサービスの利便性が下がったり、イノベーションが起きにくくなったりという懸念もあると思います。規制とそういう市場の新興のバランスをどういうふうに取っていかれたいと考えていらっしゃいますか。
(答)大きな課題となっていることは、先程も申し上げましたけれども、取引の透明化であるとか、個人情報の保護、こうした課題があることは事実だと思いますので、こうしたことにしっかりと取り組んでいきたいと思いますが、御指摘のように新しい技術の革新とか、そういったことに抑制的にならないようにということは、委員の中からも御指摘がございました。
 よくバランスを見ていきたいと思いますが、いわゆる中小企業を始めとして取引している企業との関係が不透明であったり、不利益を生じたり、あるいは個人情報の保護の問題があったりするのも事実でありますので、そうした観点はしっかりと対応していきたいと思いますけれども、全体としてやはり新しい技術革新が進むような、そういうバランスも見ていきたいと思います。
(問)もう一点、月例経済報告なんですが、消費増税が近付いていますが、政府としては2012年12月から始まった戦後最長の景気回復期が続いているという認識でよろしいでしょうか。
(答)今回も緩やかに回復しているという認識を示したところでありますけれども、景気の山・谷の判定については、専門家による事後的な検証を経て正式に決定されるということでありますので、それを待たなければいけませんけれども、政府としては現時点で景気回復が途切れたとは考えておりませんので、現時点でいえば御指摘のように2012年12月から82か月ということになりますけれども、いずれにしても事後的に専門家がしっかりと検証されるということであります。
(問)先程、今日は日銀の決定会合はありましたけれども、いろいろな期待、思惑もある中で、現状維持という判断をされたということですけれども、その後の市場の動きを含めて、御所見を可能な範囲でお願いします。
(答)マーケットの動向、あるいは日銀の金融政策について、私の立場から何か申し上げることはないんですけれども、日本銀行としてこの経済状況を見ながら適切に判断をされていると思っております。
 引き続きデフレ脱却、そして成長軌道に日本経済が乗っていくように、特に今申し上げたような第四次産業革命、Society 5.0という新しい時代の成長戦略をしっかり作って、日本経済を成長軌道にしっかりと乗せていきたいと考えております。
(問)月例経済報告のところで1点、今少し言及いただいたところなんですけれども、今回、先行きで原油価格の上昇について言及があるわけですけれども、一旦上がって足元、落ち着きを取り戻している様には見えるんですが、改めて先行きについての御所見をお伺いできればと思うんですが。
(答)サウジアラビアのエネルギー大臣の御発言で月内には生産能力は回復するという見通しを示したこともありますので、原油価格は一旦急上昇したわけですけれども、その後下落をし、比較的落ち着いた状況にマーケットもなっているのではないかという印象を持っております。
 ただ、中東情勢始め、この地政学的なリスクについては、しっかりと注視をしながら、経済運営には万全を期していきたいというふうに考えております。
(問)消費増税が間もなく実施されますけれども、前回の増税時に比べて駆け込み需要は小さくなっているとはいえ、4-6月期のGDPでも駆け込み需要が確認されたと思います。そうした駆け込みの反動が今後ですね、多少出てくると思います。また、実質の所得が下押しされるということで、消費自体の下振れの可能性などですね、大臣の御所見をお願いいたします。
(答)2%の消費増税を実施することになります。そのうちの1%分は、幼児教育・保育の無償化に使われるということになっておりますので、いわゆる子育て世代には、負担軽減の分もあると思いますし、それから軽減税率であり、また、経産省の方で今進めていますポイント還元、なかなか分かりにくいというのもありますけれども、実際に消費税率引上げ分以上にポイントが還元なされるケースも多いわけでありまして、そうなると実質減税的な効果もあると思いますし、それから、私のところで担当しておりますプレミアム商品券、これも2万円分で2万5,000円分の買物ができる商品券が各市区町村からその引換券のような形で今通知がずっとなされていると理解をしております。
 この対象者が2,450万人全国におられますので、こういった方々については商品券も活用していただいて、負担の軽減にうまく活用していただければと思いますし、自動車、住宅も、税制措置を講じているところでありますので、様々なこうした措置でできる限り経済の影響は最小限になるようにということで我々努力をしてきているところでありますけれども、丁寧にこうした施策も説明しながら、また、私自身も税率引上げの前後、しっかりと現場を見ながら、あるいは現場の声も聞きながら経済運営には万全を期していきたいと考えております。
 今のところ、先程来申し上げたとおりですね、雇用・所得の環境は非常にいい環境が続いてきておりますので、こうした対策とあいまって、何とか経済に大きな影響がないようにしっかりと注視をしていきたいと思っております。
(問)未来投資会議のことでちょっとお伺いしたいんですけれども、6月の閣議における宿題というところで「スーパーシティ」構想の早期実現であったり、先程も地域インフラの維持といった話をされていましたけれども、これに関して新たに審議された、今日の会議で審議されたことというのはございますでしょうか。
(答)先程申し上げたとおり、地域インフラの維持はですね、先程の地方銀行であったり、乗合バスの機能であったり、こういったものを、しっかりとその機能を維持するための独禁法の特例法案をしっかりと検討していこうとということであります。そういう議論がなされました。総理からも指示をいただいたところであります。
 それから、「スーパーシティ」についても委員の中から御指摘もあり、いわゆる「Society5.0」の実装していくシンボリックなプロジェクトでありますので、これについてもしっかりと進めてほしいという御意見はございましたので、今政府内で検討を進めているところであります。
(問)これから今後また検討していくということでよろしいんですか。
(答)はい。前国会に提出をして一旦廃案の形になっておりますので、国家戦略特区の追加項目もありますので、その項目の法制的な検討と併せて、どういう形で提出するのがいいのか今政府内で検討しているところであります。

(以上)