西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和元年9月12日

(令和元年9月12日(木) 16:02~16:47  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 皆さん、こんにちは。お疲れさまでございます。
 改めまして、この度、「経済再生担当大臣」、それから「全世代型社会保障改革担当大臣」を拝命いたしました。そして併せて、内閣府の特命担当大臣ということで、経済財政政策を担当することになりました、西村康稔でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 総理からは、デフレからの完全脱却に向けて、骨太方針に従って成長戦略を着実に実行すると共に、弾力的な経済財政運営を推進するように御指示を頂きました。併せて、「全世代型社会保障検討会議」を設置をして、お年寄りも若者も、全ての世代が安心できる社会保障制度へと改革を進めるように御指示を頂きました。全身全霊を懸けて、これらの問題に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
 経済財政政策につきましては、潜在成長率の引上げ、これが最大の課題であり、これにより成長力の強化に取り組んでいきたいというふうに思います。来月の消費税の税率引上げが経済の回復基調に影響を及ぼさないように、臨時・特別の措置を実施するなど、経済財政運営に万全を期していきたいというふうに思っております。
 財政健全化に向けては、「経済再生なくして財政健全化なし」との基本方針の下、新経済・財政再生計画に沿って、着実に取組を進めてまいりたいと思います。
 就職氷河期世代の方々への支援については、今後政府として社会全体の機運醸成に取り組むと共に、支援プログラムを着実に実施していきたいというふうに考えております。
 全世代型社会保障改革は、この安倍内閣の最大のチャレンジだと認識をしております。各方面から様々な御意見を頂いて、しっかりと議論をしていきたいというふうに思います。
TPP11協定につきましては、署名国による協定の早期締結を促すと共に、参加関心国・地域には必要な情報提供を行って、引き続き主導的な役割を果たしていきたいというふうに考えております。
 いずれも国民の皆さんの生活に影響を与える重要な課題でありますので、政策を総動員して、関係省庁ともしっかり連携をしながら、精一杯取り組んでいきたいというふうに思っております。
 私からは以上であります。

2.質疑応答

(問)ちょっと最初のお話とかぶるかもしれないんですが、経済財政運営から社会保障改革、通商交渉まで幅広い政策を御担当されることになりますが、初めて大臣になられての抱負、また、御自身として特に力を入れて取り組みたい課題があれば教えてください。
(答)本当に気の引き締まる、身の引き締まる思いですね、気は引き締まっていますけれども、身も引き締まる思いで、安倍内閣の本当に重要課題を担当するということで、使命感を持って是非取り組んでいきたいと思っております。
 経済については、とにかく経済運営に万全を期していきたいと思っております。消費税率引上げがありますし、それから海外の様々なリスクもありますので、何より経済運営に万全を期すということを第一に考えていきたいと思っております。
 その際に、しっかりと経済を成長軌道に乗せていくということだと思っています。成長戦略を着実に実行していきたいと思いますし、併せて弱い立場にある方々への目配り、これもしっかりやっていきたいと思います。これが全世代型社会保障改革にもつながっていくと思いますし、先程も言いました就職氷河期世代の方々への支援もしっかりと実行していきたいと思っております。
 そんな中で、私自身が甘利大臣の下で経済財政担当の副大臣として、アベノミクスの最初の立上げに携わりました。その3本の矢、この3本の矢の原点にしっかり戻りつつ、対応していきたいと思います。政府としては、何よりこの3本目の矢の潜在成長率の引上げ、繰返しになりますけれども、これをしっかりと実行していきたいと思います。そのためのいわゆる第4次産業革命への対応、世界は本当に非常に速いスピードで技術革新、普及が進んできておりますので、スピード感を持ってこの成長戦略、第4次産業革命への対応、即ち、生産性向上につながる、新しいIT関連の先端技術への投資であったり、人材への投資であったり、何か阻害をしている規制の改革であったり、しっかりとこれを取り組んでいきたいというふうに思っています。
 併せて、来月の消費税率引上げですけれども、このことに万全を期していきたいと思いますし、内外の経済状況には、様々なリスクがありますので、このリスクが顕在化してくるようなときには、機動的なマクロ経済政策、これを躊躇なく実行していきたいと思っております。3本の矢で成長戦略は3本目の矢であり、機動的な財政政策が2本目の矢ということで、いずれにしてもこの3本の矢の原点に立ち戻って、経済運営に万全を期していきたいというふうに思っております。
(問)もう一点。消費増税が10月に控えていますが、足もとの経済指標を見ると、消費者心理は悪化が続いていたり、製造業の設備投資なども弱含んでおります。担当大臣として現在の景気認識と、増税後の見通しについてお聞かせ願えますか。
(答)景気の認識は、輸出を中心に確かに少し弱含んでいる部分がありますけれども、全体としては内需が堅調ですので、堅調な内需に支えられて、「緩やかに回復している」との認識であります。
 先行きについては、当面弱さも残りますけれども、今世紀に入って6年連続で最高水準の賃上げが続いておりますし、雇用状況は非常にいい状況で、失業率も低い状況であります。雇用、所得の環境の改善が続いている中で、引き続き緩やかな回復が続くことが期待をされます。
 ただ、先程も申し上げたとおり、通商問題であったり、地政学的なことを含めて、海外発のリスクがありますので、そのことには十分留意をしていきたいと思いますし、消費税率引上げ後の経済運営にはその状況、影響をしっかりと見極めながら、万全を期していきたいというふうに思っております。
 今のところ、前回のような大きな駆け込み需要といったものも見られておりませんので、その辺りもよく注意深く見ていかなくてはいけませんが、いずれにしても経済の実態をしっかりときめ細かく見ながら、分析しながら対応していきたいと思います。
 そのためにも、各方面のヒアリングとか視察も行いたいと思っておりまして、1つには消費税率引上げへの対応のポイント還元とかセールであったり、プレミアム商品券の準備であったり、こういった10月に向けての準備をしている状況などもお聴きをしたり、見たいと思っていますし、また実際の経済の現場にも足を運んで、現場の様子も是非見ながらしっかりと見極めていきたいと思いますし、そうしたものを踏まえて万全の対応をしていきたいと思います。
(問)ちょっと2つあるんですけれども、先程おっしゃいました臨時・特別の措置を、増税関係で御検討というのは、それは海外リスク顕在化の場合という理解でよろしいですかね。
(答)経済状況を見極めながら必要があれば、必要があればしっかりと対応していきたいと思います。今のところ、緩やかな回復基調であるという認識でありますし、しっかりと、1つは消費税率引上げ後の状況も見たいと思いますし、経済の動向にもしっかりと目配りしていきたいと思います。
(問)あと2点目なんですけども、その3本の矢、原点に戻ってというお話でしたが、3本の矢の1つ目については今、どういう御認識でいらっしゃるか。まあ結構限界まで来ているんではないかという見方と、更にいろいろ強めてほしいというリフレ派的な方が、いらっしゃると思います。むしろ、今大臣としては財政政策を中心で今後経済対策は、ということなのか、その辺をお願いいたします。
(答)もう御案内のとおり、政府・日銀の間で共同声明を発表しているわけでありまして、これに基づいて3本の矢ということで、政府の側では2本目の機動的な経済財政政策、3本目の成長戦略、これにしっかり取り組むということであり、1本目の矢の金融政策については、日本銀行が責任を持って取り組んでいるという認識でありますので、2%の物価安定目標に向けて、その早期実現に向けて取り組まれているというふうに認識をしております。
 金融政策の具体的なこの政策については日本銀行が責任を持って行うということでありますので、黒田総裁も、先般も様々な手段が取り得るということを発言しておられますし、我々としては黒田総裁を初め、日本銀行の取組、対応に信頼をし、期待をしているところであります。
(問)すみません、ちょっと内閣改造後の通商交渉の方の体制についてちょっと確認させていただきたいんですが、TPPについての言及がございましたが、例えばTPPの加盟国が、増える場合のような交渉というのは、これは引き続き経済再生相である大臣がツーバイ交渉に出かけると、そういう理解でよろしいでしょうか。
(答)はい。TPPについては私が交渉も含めて担当しております。あるいは、国内の総合調整、国内措置も含めて担当するということであります。
御案内のとおり、日EUは外務大臣が責任者として交渉されて、それで私の前任である茂木大臣が国内対策を担当されたという仕分けになっております。日米の貿易交渉も、茂木大臣が外務大臣として交渉を継続して担当されて、その後必要な国内調整等あれば、私の方で担当するということになります。
(問)ブレグジットが実現した場合の日英FTAとかはどんなふうになるんでしょうか。今後また政府内で調整でしょうか。
(答)そうですね。まだどういう形で分担をするかということは決まっておりませんが、基本的には様々な経済への影響、対応については基本的には私の方で対応する、経済全体、経済財政政策全体を担当する立場から担当するものと思いますけれども、まだ具体的に分担が決まっているわけでないと認識しております。
(問)日米貿易交渉なんですけれども、引き続き茂木大臣の方がリードされるということなんですけれども、具体的には国内の調整といったときに、具体的にはどういったことを想定されて、どのように実際に国内での調整というのを進められる予定でしょうか。
(答)TPPのときもそうでありましたし、日EUのときもそうでありましたけれども、農林水産業への影響等もあり得ますので、国内対策について、これまでもTPP、EUについて総合的なTPP等関連政策大綱を策定しているところであります。
 ですので、今後の状況を見ながら必要に応じて、そうした大綱の改定等を検討していくことになるというふうに思います。
 この大綱も4年前TPPのときにつくり、2年前にEUができて改訂をしておりますので、この中身もしっかり検証、点検もしたいというふうに思っております。
 これは、日米の交渉のいかんに関わらず、2年たっていますので、経済財政政策全体を見る立場からしっかり点検もしたいなというふうに思っています。
 地方経済がどうなっているかということも含めて、そんなふうに考えています。
(問)全世代型社会保障の検討会議についてお伺いしたいんですけれども、昨日、来週にも1回目を開くということだったんですけれども、もしスケジュールがこの場で決まっていれば教えてください。
 また、メンバーについて、昨日も少し大臣おっしゃられていましたけれども、もう少し詳しいところが決まっていたら教えてください。というのが1点目です。
 2点目続けてよろしいでしょうか。安倍総理は10%に増税後には消費増税はこの10年間は必要ないというふうにおっしゃられていますが、大臣の御認識をお伺いしたいんですけれども、今後、社会保障について議論をされる際に、消費増税を今後しないということが前提になってしまうと、財源が限られた中での議論になってくると思いますけれども、そういった方向でその検討会議の中でも、消費増税の必要性などは議論しないという、そういった中での議論の方向性になりますでしょうか。
(答)まず、全世代型社会保障検討会議の方ですけれども、来週に第1回を開催したいと思っておりまして、現在、総理の日程も含めて調整をしているところであります。
 メンバーも昨日申し上げたとおり、民間議員の方々は社会保障に関する政府内の会議が幾つかございますので、経済財政諮問会議であったり、未来投資会議であったり、労政審であったり、こういった会議の代表者にお集まりいただくという形で構成する形を考えております。
 閣僚の方は、安倍総理をヘッドとして、財務大臣、官房長官、厚労大臣、経産大臣、総務大臣などに御参加をいただければと思って、これも調整を今しているところであります。
 総理からも御指示を頂いておりますけれども、私の方で進行し、取りまとめを担っていきたいというふうに考えております。
 ですので、メンバーも含めて、来週早々にでもメンバーにお話ができるように、今最終調整をしているところであります。
 それから、消費税につきましては、御案内のとおり、中期の見通しを出しておりまして、これに7月に公表した試算、中長期試算というものを出しております。これに基づきますと、いわゆるプライマリーバランスも着実に改善をし、2025年度の黒字化目標の達成に向けて、成長率を高めて、更に歳費削減も行っていくということで、姿が描かれております。これは10年先まで描いております。
 こうした中で、黒字化も目標に向けて進んでいける道筋を描いておりますので、安倍総理はそのことも念頭に置きながら発言をされたものというふうに思います。
 7月の前にも1月に試算を出しているんですけれども、これも同じような結果でありますし、よりいい試算が出ていますので、それを見ますと着実に改善する姿が見られますので、そのことを念頭に置かれて発言されたものというふうに思います。
(問)1点目なんですけれども、先程、全世代型社会保障改革のところで安倍内閣最大のチャレンジであるというお話がございましたけれども、最大というのは何かと比べているのかと思うんですが、何と比べてどのように最大なのかという、西村さんのニュアンスをもう少し教えていただけますでしょうか。
(答)昨日の安倍総理の会見をお聞きをしておりましても、それから安倍総理から指示を頂いたときにも、最重要課題だからしっかり頼むという趣旨で私は指示を受けましたので、それも踏まえてそのような認識を持っております。
 いずれにしても、最重要課題であることは間違いないと思いますので、しっかり取り組みたいと思います。
(問)それは、安倍政権になってから、まだ手つかずの社会保障改革って数々あると思うんですけれども、そういうものも、もう少し深掘りをしていくというニュアンスと捉えてよろしいんでしょうか。
(答)社会が大きく変化をしてきておりますので、これはまず長寿命化が進んで、人生100年時代と言われるようになっておりますし、それから他方で少子化も進んでいる。それから働き方も非常に多様な働き方になってきている。高齢の皆さんも、人生長生きされますけれども、健康寿命も延びておりますので、こういった大きな社会の変化に対応して、これまでの社会保障制度だけでは対応できなかった部分も含めて、しっかりこの検討会議で議論を進めていこうということだと理解しております。
(問)あともう1点なんですけれども、昨日の官邸での会見のときに社会保障と税の一体改革も推進していくということを、全世代型とTPPの間におっしゃっていたと思うんですけれども、これは今の全世代型の検討会議とは別に、何をするという意味なんでしょうか。特に税という言葉があったんですけれども、その部分で何かをされるという意味なんでしょうか。
(答)社会保障と税の一体改革は、その中で消費税率の引上げも決めて、社会保障の充実も進めていこうと。それからあわせて改革も進めていこうということと、私は理解をしておりますけれども、10月から引上げがございます。そして、その使い道も幼児教育・保育の無償化と併せて社会保障の充実、あるいはいわゆる歳出改革にもつなげていくということですので、そういう意味で、着実に実行していくという趣旨で昨日は申し上げたわけであります。
(問)先程、大臣、現場への視察だとか、あるいはヒアリングを予定されているということですが、もし時期とか場所とか御希望があれば、今の段階でお聞かせいただきたいんですけれども。
(答)先程言いましたように、問題認識、課題として是非見たいなと思っているのは、一つは消費税率引き上げに向けての準備ですね。これは経産省の方で、経産大臣が世耕大臣で、本当に熱心に取り組まれて、ポイント還元であったり、様々なレジの補助であったり進めてきておられますが、実際に現場でどのような対応をしているのか、あるいはプレミアム商品券について、各市区町村で準備を進められていると聞いていますが、これがどういう状況になっているのかとかですね。あるいは、実際に私は、官邸で中小企業へのしわ寄せが行かないようにという下請対策の会議を主催していましたけれども、実際にいろんな動き、しわ寄せが働き方改革に伴って起こったりもしておりましたので、そういった中小企業の現場であるとか、こういったものを見たいと思っておりますし、あわせて新しい取組をしている、既存の産業が何かITの技術なり新しい技術を使って、新しい取組をしている、そうしたものも是非見てみたいですし、あるいはベンチャー企業も見てみたいと思いますし、地方経済がよくアベノミクスは大企業中心、東京、大都市中心だということを言われますけれども、各地域の数字も全て有効求人倍率含め改善はしているわけですけれども、実際に現場も、これまでも何度となく見てきましたけれども、是非見てみたいというふうに、実際に声も聞いてみたいと思っています。
 ただ、昨日、就任したばかりでありますので、これからしっかり調整して、日程を調整して、是非現場に足を運びたいと思いますし、時間の許す限り関係者からもいろんな御意見もお伺いしたいと思っています。
(問)9月中もあり得るということですね。視察は。
(答)そうですね。はい。
(問)全世代型の社会保障改革の件で教えていただきたいんですけれども、取り上げるテーマというのは幅広くあると思うんですが、年金、介護、医療、どういうところに重点があって、そのほかにも最低賃金だったり、高齢者の就労とかいろいろテーマがあると思うんですが、優先順位含めて、スケジュール等も含めて教えていただければなと思います。
(答)昨日も申し上げましたけれども、この会議では全体の基本方針とか大きな方向性を議論をしたいと思っております。
 その中で、昨日総理も会見でも発言をしておられましたけれども、私が申し上げた、先程申し上げた点と重なりますけれども、少子高齢化と同時に、ライフスタイルが非常に多様化しているという中で、誰もが安心できる社会保障制度へと変えていくという、先程申し上げたようなことが一番大きな目的、目標であります。
 そんな中で、この5年間で新たに380万人もの方々が仕事につき、社会保障の支え手になっておられるわけであります。少子高齢化が進むわけですけれども、その中で、働く方、仕事につかれる方が増えて、社会保障を支える側になられたということで、これは非常に大きな点だと思っておりますので、前提としてはそういう仕事があり、賃金が上がっていくという経済状況、経済政策が第一だということですけれども、そうした中で、元気な高齢者が長く働きたいと思うときに、働ける選択肢をしっかり準備していきたいと思っております。これは例として昨日も挙げましたけれども、70歳まで働く就業機会の確保とか、こういったことだと思いますし、それから働きたいけれども、その就労を妨げるような仕組みとか制度があれば、これも検討していかなきゃいけないと思っております。それから、先程申し上げた多様な働き方の中で、それに対応した社会保障制度をつくっていくということだと思います。
 そういったことを議論をして、我が国の将来像をしっかり見据えた議論をしていきたいと思っておりますので、これから方向性をよく整理をしながら議論をしていただこうと思っています。
(問)今の質問にも多少関連するんですが、やはりプライマリーバランスの2025年度までの黒字化を考えますと、今までの給付増の議論だけではなくて、痛みを伴う改革といったものも断行される必要があるかと思いますけれども、大臣は現時点でどのようなことに問題意識を持っておられて、どこまで痛みを伴う改革を断行されるお気持ちか、その辺りをお聞かせください。
(答)財政の状況全体を見ますと、先程申し上げたように、中長期試算で出していますように、着実にプライマリーバランスは改善をしてきておりますので、できる限り2025年度に黒字化を実現できるように最善の努力をしていきたいと思っていますけれども、いずれにしても、成長が大事であり、もちろん歳出改革も大事だという中で、しっかりとまず総論として取り組んでいきたいというふうに思っております。
 それで、この社会保障については、先程申し上げたとおり、様々な新しい社会保障制度、この時代に合った新しい社会保障制度を構築していく上で、様々な議論をしていただきたいと思っておりますので、現時点で何か方向性を出しているわけでは、予断を持っては言うべきでないと思っておりますけれども、いずれにしても、給付と負担の在り方についても、その中でしっかりと議論をしていただければというふうに思っています。
(問)先程大臣は総理からデフレからの完全脱却に向けて、成長戦略を着実に実行して、弾力的な経済政策を実行するとの御指示があって、日本経済の最大の課題は潜在成長率の引上げというふうにおっしゃっていましたけれども、改めまして、物価上昇率は足もとで見ますと、政府、日銀が目標とする2%にはほど遠い状況ですが、この達成に向けて、大臣御自身が何が一番課題だと思っていらっしゃいますか。問題意識、どこにあるのか教えてください。
(答)これは、3本の矢をつくったときに、この3本の矢をしっかりと実行していけば2%達成はできるという、我々確信を、当時副大臣でありましたけれども、持っておりましたし、当時、世界のいろんな金融の関係者なり、エコノミスト、特に中央銀行の副総裁クラスと何人かと意見交換しても、日本の政策はすばらしいと。実現できると思うという言葉も何人かの方から私も聞きました。  ですので、自信を持って進めたわけですけれども、原油が非常に下がったり、いろんな要因がありましたし、それから、これは日銀の方で分析されてますけれども、デフレマインドがやはり根強く残ってるというようなこともありますし、それから、今のITの技術で様々なものが安く調達でき、安くつくれるようになり、あるいはネットで安価な料金で買えるようになったりとか、様々な要因があると思いますので、これはこれで日本銀行の分析もしっかり参考にしながら、また意見交換しながら考えていきたいと思いますけれども、デフレでない状況は、今、つくれてますので、そういう状況にはなっておりますので、これが後戻りしないように、しっかりと経済運営をやっていきたいと思います。  基本となる賃金は、今世紀に入って6年連続で最高水準の賃上げが続いてますので、この流れをしっかりと続けていけるように、これも努力をしていかなきゃいけないと思いますし、全体としては、全ての政策を総動員して成長軌道に乗せ、そしてデフレからの脱却に向けて着実に歩んでいきたいというふうに考えてます。
(問)全世代型社会保障改革会議、検討会議で、給付と負担についてしっかり議論するということだったんですが、給付と負担といったときに、負担というのが、社会保障制度の中の負担のことをおっしゃってるようにどうも聞こえるんですが、かつての国民会議なんかでは、社会保障制度と税制というものを一体で議論して、広く社会保障に必要な財源というものを考えながら社会保障改革を進めようということをやられたと思うんですが、先程来の御説明を聞いていると、今度の検討会議では、税制のこととかはあまり視野に入ってないように聞こえるんですが、そういう理解でよろしいですか。
(答)まずは、今、足もとで10%の引上げを、これを着実にというか、大きな影響がないように上げていくということが大事でありますので、そのためにまず足もとをしっかり状況を確認しながら万全を期していきたいということであります。  そして、給付と負担は、先程申し上げたように、いろんな議論をする中で、当然、その中でも議論をしていただくことになるというふうに思いますけれども、もちろん幅広い観点から様々な議論をしていただければというふうに思っておりますので、現時点でどうこうという方向性を私が示さない方がいいというふうに思ってます。
(問)それからもう一点、経済財政諮問会議では、もう2年前ですか、去年でしたかね、2040年までの社会保障費の推計というものを出されていて、ところがこの推計を出されていく、これをもとにした議論というのは全然されていないんですけれども、今度の検討会議というのはどのくらいのところを射程に入れた制度の持続性、あるいは安心できる社会づくりということをイメージされているのか。そういう長期推計にも耐え得るようなものを考えてらっしゃるのかどうか、そこのところはいかがでしょうか。
(答)議論の中身はこれからしっかり整理をしたいと思いますけれども、できるところからやりたいと思ってます、着手したいと思ってますので、これは骨太方針でも書かれてますけれども、来年の通常国会に向けて、法改正も視野に、年金介護、これはできるだけ早くしっかりとした議論をして、年末に中間報告としてまとめて方向性を出していきたいというふうに思っておりますし、来年の夏に向けて最終報告をつくりたいと思っておりますけれども、これからしっかり議論をして整理していきたいと思います。
(問)3本の矢の関係でお尋ねしたいんですけれども、3本目の矢の成長戦略、アベノミクスのもとでの6年半の成長戦略についてどういう評価を持ってらっしゃるのか、お聞きしたいのと、あと潜在成長率なんですけども、足もとで1%程度ということで、これは決して高いとは言えないという見方も一部であるかと思うんですが、そういった点も含めて、成長戦略の課題についてもどういうふうな見方を持ってらっしゃるか、お聞かせください。
(答)まず、この6年半、アベノミクスで成長戦略、特に最初の3年近く、私も携わってきました。国家戦略特区を始め、規制改革も進めてきておりますし、あるいは農産物の海外輸出であったり、海外からのインバウンドの外国人観光客であったり、様々な分野で成果を上げてきているというふうに思います。私の兵庫県の、選挙区ではありませんけれども、養父市でも民間企業が農業に参入するという、そういう特区で事業も行われておりますし、様々、これまで課題となってきたことを、私は着実に推進をしてきてると思います。  ただ、そのモメンタムを更に勢いをつけて発信、そして実行していきたいというふうに思っております。これは、先程も申し上げましたけれども、第4次産業革命がこれだけのスピードで世界で進んできておりますので、自動運転を初め、様々な実証実験も行われてきてますけれども、更にこれを前に進めるべく、新しい技術への投資であったり、技術開発であったり、ムーンショット型というのもできております。これはもう少し長い目で、より大きなものでありますから、直ぐに成果が出るというものではありませんけれども、こういったものもしっかり進めていきたいと思いますし、規制改革も更に様々なテーマを集めて、強化をしていきたい、進めていきたいというふうに思っております。  そういう意味で、人手不足でもありますし、地方では人手不足が言われておりますし、生産性が上がるような投資であったり、あるいは人材への投資であったり、これは働き方改革とあいまってということだと思いますけれども、是非それを進めていきたいと思いますし、企業の内部留保、現金の内部留保も、一般に内部留保というと様々なものがありますけれども、現金の内部留保もかなりの額になっておりますので、これをより投資に、あるいは人材に回してもらえるように、そういう環境を是非つくっていきたいというふうに思います。
(問)外需の状況についてお聞きしたいんですけど、今年は世界経済の成長が遅くなっていて、成長率が思ったより落ちてるんじゃないかという見方があるんですけど、その状況、弱い状況が続くと、日本経済に対して具体的にどういうふうなリスクがあるのでしょうか。
(答)冒頭でも申し上げましたけれども、外需が少し弱含んでいると。輸出が弱含んでいるという状況であります。このことはしっかりと注視していかなくてはいけないというふうに思っております。  ただ、アメリカ経済も非常に好調でありますし、中国経済も、悪いと言われながら対策も打たれておりますので、インド経済も悪いと言われながら、インドも対策を打ってるようでありますので、そういう意味で各国、対策を打つ中で、それぞれの国、それぞれの地域で金融緩和であったり財政制度であったり税制であったり、対策を打つ中で、IMFの予測も、足もと、今年は少し下方修正をしたと認識してますけども、来年はまた成長するというふうに公表されてると思いますので、そういう意味では、このリスクには十分注意をしながら、経済運営には万全を期していきたいというふうに思ってます。
(問)通商について2点お伺いします。  まず、茂木大臣との分担なんですけれども、日米貿易交渉、今月下旬に両首脳の署名が予定されていますが、その後も継続協議になる分野があると承知しています。継続協議についてはどちらが御担当されるんでしょうか。
(答)今月末の署名を目指して、今、本当に詰めの作業を行ってるところだと聞いております。報告受けております。ですので、継続になるということは想定をしておりませんが、基本的にアメリカとの交渉は茂木大臣が担当されるということで、私は必要に応じての国内対応、国内措置というふうに、国内調整ということで指示を受けておりますので、そういう分担になろうかと思います。
(問)もう一点、もう少し大局的な観点から伺いたいんですけれども、米国が保護主義の姿勢を強める中で、自由貿易を推進する立場の日本政府の担当大臣として、どのような姿勢で臨まれるか。特に、米国にTPPへの復帰を促す、そういった御意向があるか、お願いします。
(答)私は自由貿易が何より大事だと思っておりますし、自由貿易こそが世界の平和でつながっていく、まず繁栄につながり、そして平和につながっていくというふうに理解を、ずっと認識をしてこれまで政策に携わってきましたけれども、そうした中で、アメリカがTPPから出るというときに、私も大変ショックを受けました。私自身も、甘利大臣の代わりにフロマン代表とも交渉も直接やりましたし、アメリカには是非残ってほしいということで、ずっとトランプ大統領になってからも、安倍総理も働きかけをしてきたところであります。  ただ、現実にはなかなか難しいんだろうなというふうに思います。日米がこういう形で合意に向けて最終調整、署名に向けて最終の状況でありますし、基本的にアメリカの基本姿勢として、2国間、バイでの交渉を望むというのが基本的な姿勢であるように、これまでトランプ大統領との首脳会談に私も何度も同席をしましたけれども、そんなふうに感じておりますので、なかなか難しいのかなという認識を持ってますが、ただ、アメリカ自身も新NAFTAをつくり、日米をやり、してますので、そういう意味で、G20でも確認をしましたけれども、自由貿易の基本的な原則、自由で公正な貿易をつくっていくんだという、その基本原則には、トランプ大統領も合意をされてますので、日本としては、粘り強くアメリカに対しても、あるいはほかの国々に対しても、自由貿易の重要性を訴えながら、日本が是非主導的な立場で、世界のそうした新しいルールを含めて、自由貿易の仕組みをつくっていければと思ってます。  経産大臣が担当ですけれども、RCEPも年内にできればいいと思いますし、日本としてはTPP11があり、場合によっては参加国を増やしていこうということですし、日米ができ、既に日EUもできてますので、そういう自由貿易を推進する主導的な立場で、是非世界の多くの国に働きかけしていきたいと思います。
(問)御発言を確認させていただきたいんですけれども、TPPや日EU、EPA対策の見直しもされるというお話でしたが、その中に日米交渉関係の対策も、そのとき御検討するという理解でよろしいでしょうか。
(答)今の時点で見直しをするとははっきり言ったわけではなくて、今後の状況を踏まえて、その大綱の改定等を検討していくことになると思います。これは日米交渉がまだ終わっておりませんので、今、大詰めの主要な項目については合意ができ、最後、大詰めの詰め、交渉の詰めを行ってるわけでありまして、月末に署名を目指してやってるわけでありますので、それを状況も見ながら考えていきたいと思いますが、2年たってますので、私としては、地方経済の状況をしっかり点検するという意味でも、対策の中身はもう一度勉強して、点検したいと思ってます。
(問)どちらかというと、農業関係の対策が大きかったように記憶するんですけれども、日米となりますと、自動車産業、製造業系の対策も、こちらに盛り込むことも視野に入れてらっしゃるんでしょうか。
(答)まだ交渉は終わっておりませんので、予断を持ってはお答えしませんけれども、様々な観点から検討、合意の結果をしっかり検証して、検討して、どうするか考えていきたいと思います。

(以上)