北村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年7月3日

(令和2年7月3日(金) 11:31~11:55  於:中央合同庁舎第8号館1階S106記者会見室)

1.発言要旨


 今日は報告が4件ございますので、少しお時間を頂くかもしれませんが、よろしくお願いします。
 1件目でありますが、地方分権改革についての提案募集は、新型コロナウイルス感染症対策で御多忙の中にもかかわらず、今年も地方から250件を超える提案を頂きました。今回は、これまでに提案の実績のない80もの団体から新たに提案を頂くとともに、複数の団体による共同提案がほぼ半数となるなど、これまで以上に幅広い団体で共通して直面している支障に基づく提案を頂いたところであります。本件に関しては、今朝の閣僚懇談会におきまして、私から各大臣に対して、地方からの提案をいかにして実現するかという基本的な姿勢、立場に立って、提案の最大限の実現に向け、地方からの提案を大臣自ら御確認をいただいて、検討に当たっては強力なリーダーシップを発揮していただくようにと要請をした次第であります。今後、年末の対応方針の取りまとめに向けまして、関係府省と調整を行っていく予定であり、提案の最大限の実現に向けて努力してまいりたいと考えております。
 次、2件目でありますが、昨日、規制改革推進会議では、会議の集大成となる答申を頂きました。議長の小林喜光様から安倍総理に直接お渡しいただきました。答申においては、4つの観点、第1に「成長の実現」、そして2つ目に「未来を支える人材の育成」、3つ目に「人手不足経済への対応」、そして4つ目として「行政サービスの効率化」、これらに基づいて改革事項をまとめていただきました。特に、今回の答申では、コロナ対策を含むデジタル化への対応に重点を置いていただいて、デジタル・トランスフォーメーションに向けた規制・制度の見直しとして、各省ごとに重点的な見直し事項を取り上げ、検討を行うことを求めております。御関心の高い書面・押印・対面規制の見直しにつきましては、恒久的な制度的対応として、全ての行政手続を対象に、各省に年内の点検、見直しを求めています。今後、答申で示された事項を政府として推進するために、「規制改革実施計画」として、「骨太方針」と同じタイミングで今月中に閣議決定することを目指しております。
 次に3件目ですが、今日、企業版ふるさと納税を活用する地域再生計画を認定いたしました。今回の認定によって、企業版ふるさと納税を活用する地方公共団体の数は700団体、都道府県で45、市町村で655となり、全体の4割を超えたところであります。企業版ふるさと納税は、令和2年度税制改正により大変使いやすい仕組みとなりました。その効果も生かして、地方創生の取組がより一層進むよう、活用促進に努めてまいりたいと思っておりますので、皆様方の周知に関する御協力を願えればありがたいと存じます。
 最後の4つ目ですが、先日、交付限度額について御説明させていただいた「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」の使い道に関連して、政策資料集と事例集を作りましたので御説明させていただきます。緊急事態宣言が解除されて今なお、日常生活では引き続き、これまでの常識が通用せず、対症療法では解決できない多くの課題が生じております。また、今後いつどこで類似の感染症が拡大、発生するか分からない状況と言えます。したがって、これらの事柄に関して、人々の意識も大きく変わり始めておりますし、ピンチをチャンスに変えるという考え方で、足下の感染症対策に万全を期すと同時に、この意識の変化を、一挙に政策で後押しをして、感染症に強い、次の時代の地域経済や「新しい生活様式」の構築に向けた改革を進めなければならないと考えます。今回の臨時交付金では、単なる協力金や家賃補助ばかりでなく、少しでも多くの金額をこうした将来を見据えた前向きな対策に活用していただけないかと考えまして、「地域未来構想 20」という政策資料集を作ったわけであります。ここで挙げる多くの分野は、地方創生本来の取組としても大変重要であり、このコロナを機に、これまでの様々な取組や、国の施策を取り込んで、一挙に、あるべき地方創生を加速させるための取組リストと言うべきものでもあろうと思います。
 共通するのは、この機会に、各取組分野のプロを巻き込むこと、そしてITを上手に活用していくこと、また言い換えれば、地方経済のいわゆるデジタル・トランスフォーメーションを進めること、そして地域にこうした社会的取組を進める新たな事業主体を生み出していくことが大切であると考えます。詳しいことは、この後事務方から説明させますが、コロナの時代に共に闘い、「協生」の取組と同時に、ピンチをチャンスに変える、地方創生の新たな取組局面として、今回の交付金を活用して、弾みをつけていただきたいと考えるものであります。なお、各自治体の皆さんがこれらの20のメニューに取り組むことを後押しするために、関心のある政策分野と当該分野にソリューションを持つ企業などをつなぐ「地域未来構想20オープンラボ」を創設することを予定しております。次の週から、各自治体との連携に関心のある企業の受付を開始する予定であります。これについても、後ほどまた事務方から御説明をさせていただきたいと思いますので、お忙しいでしょうが、お聞き取りを願えればと思います。この交付金を通じまして、一つでも多くの前向きな対策が地域で立ち上がっていくように、官民の連携を促し、「協生」の活動としての支援に、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。

2.質疑応答

(問)規制改革についてお伺いします。昨日安倍総理に対して行われた答申について、大臣はどのように評価をされているのか、お聞かせください。
(答)規制改革推進会議は、御承知のとおり、昨年の10月に新たなメンバーで開催されて以降、8か月の間に各ワーキング・グループを含め、実に83回も開催を頂いたわけです。本会議は8回、延べ8時間58分、成長戦略ワーキング・グループは11回の23時間39分、雇用・人づくりワーキング・グループは10回の延べ15時間55分、投資等ワーキング・グループは18回の延べ28時間44分、医療・介護ワーキング・グループは12回の延べ22時間30分、農林水産ワーキング・グループは11回の延べ20時間47分、最後に7番目として、デジタルガバメントワーキング・グループは計11回、延べ14時間32分など、合計で137時間28分もの長い時間にわたって、多忙な委員の皆様の大変熱心な議論を頂いたというものでございます。この他、記録にはもちろん残らないお一人お一人の会議に向けた準備、さらに会議に臨む委員間のやり取り、また事務局との打ち合わせやすり合わせのための時間、多忙を極める皆さん方が、本当に大事な時間を、この規制改革推進会議のためにたくさん捧げていただいたことについて、担当大臣として感謝を申し上げたところであります。同時に、岩盤とも言われた規制に穴を開けることの難しさもまた強く実感した次第であります。日本の生産性を引き上げ、日本経済を成長させ続けるためには、今後も更に規制改革を進めていかなければならないし、各府省の規制、制度の見直しを引き続き促すとともに、規制の見直しが実行に移されているか、絶えざるチェックをしてまいらなければならないと認識しています。
(問)新型コロナに関連して、昨日、東京都の新規感染者数が100人を超えました。これに対する大臣の受け止めと、大臣が先月の記者会見で7月にも地方視察を再開できるよう調整していると御発言されましたけれども、ここ最近の感染状況が大臣の視察スケジュールに影響を与えるかどうか、お聞かせください。
(答)昨日、官房長官が記者会見において、これまでの感染状況に照らして、直ちに再び緊急事態宣言を発出する状況に該当するとは考えていないが、いずれにしても警戒感を持って感染状況を注視しながら東京都と緊密に連携して対応をしてまいりたいと御発言があったことと承知いたしております。私としても対策本部の一員として、引き続き緊張感を持って対応しなければいけないと考えているところであり、お尋ねの地方視察につきましては、感染者の状況などを注視しながら、受入れ先の地方自治体とも良く連携をし、調整をしながら、今後御迷惑を掛けないように、視察本来の目的は果たせるような調整を十分行った上で、実行いたしたいということ、そしてできるだけ早く取り掛からなければならないと考えておりますが、いかんせん、相手があり、またコロナの状況の変化についても、大変な確認や調整が必要と思いますので、御迷惑を掛けないように、ということも第一に考えながら日程の調整に当たっているところであります。決まったときには早めにお知らせいたしたいと思っていますから、よろしくお願いします。
(問)先ほどの規制改革推進会議に関連して、改めてお伺いしたいのですけれども、こういう会議からの答申、議長も会議の中でかつておっしゃっていたのですけれども、言いっ放しになってしまうということも一般論としてある中で、今回コロナの感染症の拡大などもありましたけれども、今後、答申を受けて、閣議決定などの実施計画はこれからだと思いますが、実現性の担保について、大臣はどのようにお考えでしょうか。具体的にお聞かせいただけますか。
(答)今月中にこの答申を反映した「規制改革実施計画」、これを閣議決定するように目指していきますということを、先ほども少し申したかもしれませんが、今月中の閣議決定を目指していく。そして引き続き、各府省の規制の見直しを要請するとともに、この見直しが実行に移されているかどうか、チェックが是非必要だと考えております。それをどのようにして実現できるかということについては、また確認が必要であろうかと思いますが、チェックをしなければいけない、それを実行するということを申し上げておきます
(問)確認なのですけれども、そのチェックの仕組みはこれからの検討ということになりますか。
(答)そうです。これから。
(問)今の規制改革推進会議の答申で、少し具体的な項目の部分で伺いたいのですけれども、特に農産物検査について、この検査を受けない米についても、産地や品種を表示したり、補助金を受けられるようにするという方針を示しました。これに対して、不正な表示や補助金の受給であったり、この農産物検査制度の形骸化を招くといった指摘もありますが、担当大臣としてこうした懸念にどう対応するお考えでしょうか。
(答)今回の答申では、米の産地、品種などの表示や、いわゆるナラシ交付金などの支給、これらの要件から、農産物検査の撤廃ということが言われております。そして、農産物検査規格と商習慣の総点検をする必要があると言われております。さらに利用者などの需要を取り込んだ米のJAS規格の制定、これらを求められたものと承知しております。様々な議論が行われたわけですけれども、ここから先が大事なのですが、農水省も含む関係者が納得できる良い答申を頂いたと考え得ると認識しておりますので、そこのところをぜひ御確認いただければと思います。
(問)今の御説明だと、特に先ほど私が説明した懸念は考えられないということでしょうか。
(答)今おっしゃられたようなことで良いと思いますが、詳しいことについては、内閣府の規制改革推進室が担当しておりますので、なぜ農水省も含む関係者が納得できる良い答申を頂いたと思うかということについての詳しい説明は、規制改革推進室のほうに尋ねていただくと正確に御理解が頂けると思いますから、どうぞよろしくお願いします。
(問)地方創生臨時交付金の使途についてお伺いします。自治体はこれまでの補正予算などで、財政調整基金などを取り崩してコロナ対策に充てているところも多いと思うのですが、今回の配分額はこうした基金の取り崩しの補てんに使えるのかどうか、御見解をよろしくお願いいたします。
(答)御承知のとおり、交付金は極力自由にお使いいただける仕組みとするという基本的な考え方でやってきておりますから、本当に自由な考え方で、それぞれの関係自治体が役に立てていただきたい。ただ一つ、「新しい生活様式」を踏まえた地域経済の活性化等への対応分の枠について、「新たな生活様式」の確立、そして地域経済の活性化に資するものであるという範囲内で自由度高く使ってください、としています。事業の執行期間の長い短い、そういうことも考えながら柔軟に対応していただきたいと思っていますけれども、念のため申し上げなければならないのは、単純な基金の積み立てには、この交付金は充てることは考えておりません。ただ単純な基金の積み立てというところが一つ詳しい説明がいるところでありますので、この辺については事務方、残っておりますから、確認いただければ正確な御理解が頂けるかと思いますので、よろしくお願いします。財政調整基金を取り崩して、いろいろな裏負担などに、あるいは各地方自治体が工夫をしているというところに助けとなるように仕組みを作り、また予算措置もしたわけですから、何遍も繰り返しになるようですけれども、極力自由にお使いいただける仕組みであるということを念頭に置いて、そういう取組をしていただければと思います。相談の窓口も、しっかり担当者も待っておりますから、いろいろ具体的に諸例を挙げて、事例を挙げてお話しいただければ。この上限があるということも地方は気になるところではないかと思いますけれども、とにかくやらなければいけない、そして「新たな生活様式」を作っていこう。その前にまず病気にかからないように、命を守るためにいろいろな医療、保健、衛生、そういった仕組みについて、自治体が必要と思われることにお使いくださいということですから、是非事例を具体的に相談していただきたい。事例集も詳しくやっていますから、役立てていただければと思います。

(以上)