衛藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年9月16日

(令和2年9月16日(水) 12:20~12:45  於:中央合同庁舎第8号館1階S101・103記者会見室)

1.発言要旨


 昨年の9月の就任以来、ちょうど1年の任期でしたが、本日をもって退任させていただきます。皆様には大変お世話になりました。ありがとうございました。心から感謝申し上げます。
 担当業務は多岐にわたりましたけれども、就任のときから様々な皆様のお声をお伺いし、施策に反映していくことに努めてまいりました。また、施策を具体的に実現するため、国会審議や施策の検討過程の一つ一つにおいて、全力で職務に取り組んできたところであります。
 この1年を振り返りますと、まず、我が国共通の困難である少子化について、担当大臣として少子化社会対策大綱を取りまとめ、今年の5月29日に閣議決定することができました。
 「希望出生率1.8」は、結婚・妊娠・出産・子育ての各段階で、希望の実現を阻む隘路を一つ一つ取り除かなければ、到底達成できません。大綱では、1つ目の柱として、出会いや新生活への経済支援などの結婚支援を、2つ目の柱として、不妊治療への保険適用拡大や不妊治療と仕事の両立のための職場環境の整備を、3つ目の柱として、育児休業給付金の充実や男性の育児休業、出産前からの男性の子育て準備、従業員の仕事と子育ての両立に熱心に取り組む企業へのインセンティブなどの子育てと仕事の両立を、4つ目の柱として、近隣の認定こども園や保育所で総合的な子育て支援が受けられる環境整備などの安全・安心して子育てができるシステムの構築を、5つ目の柱として、児童手当の充実や高等教育の修学支援の充実、公営住宅における多子世帯の優先入居や空き家の活用などの多子世帯支援などを盛り込むことができました。これらの総合的な少子化対策により、「希望出生率1.8」への道筋を示すことができたと考えています。
 少子化は、「86万ショック」や、「合計特殊出生率1.36」、さらに、新型コロナウイルス感染症の流行により一層厳しさを増す懸念もある現状であり、次期内閣でも大胆に政策を進めていただきたいと思います。
 また、企業主導型保育の事業者の募集開始、子供の貧困対策大綱の策定、障害者差別解消法の見直しなど、就任時の課題も進められました。新型コロナウイルス感染症の流行に対応し、臨時特別給付金をはじめとする子育て世帯の支援や、天皇陛下からの御下賜金を活用した子供の貧困に対する緊急支援事業も行い、青年国際交流事業の実施にも目途が立ちました。
 一億総活躍については、みんなが居場所を持って、生き生きと暮らせる社会が一億総活躍社会であると考えています。その実現に向け、これまで十分と言えなかったひきこもり支援の形を作ろうと考え、家族会や支援団体等の皆様と政策対話を行い、現場での様々な取組や当事者の方々のいろいろな思いをお聞きいたしました。そうした話をもとに、全国全ての地方自治体で具体的な施策を進められるよう、政策の基本線をまとめました。来年度の予算編成過程の中で具体化に向けた検討を進めるよう、各省庁にお願いしています。
 沖縄振興については、在任中、7度沖縄を訪問させていただき、那覇空港第2滑走路供用セレモニーなど、様々な沖縄振興の現場を訪問させていただきました。
 特に、昨年10月に焼失した首里城については、担当大臣として発災直後に現地を訪問するとともに、工程表の策定や予算の確保等に取り組んでまいりました。息の長い取組が必要となりますが、首里城の一日も早い復元に向け、道筋をつけることができたものと考えています。
 また、就任以来、沖縄の市町村の皆様の御意見をお伺いすることに注力してきたところであり、本年4月の沖縄総合事務局沖縄市町村施策支援室の設置により、国として沖縄の市町村の相談に丁寧に応じる体制を整備することができたと考えています。
 沖縄の本土復帰50年まで2年を切りました。また、今後、嘉手納以南で約1,000ヘクタールに及ぶ駐留軍用地の返還が予定されています。まさに沖縄の将来の在り方に関わる大きな転換期を迎えているところであり、私自身、このような重要な時期に担当大臣として、首長を初めとする地元の皆様と様々な意見交換をすることができたことは、非常に意義深いものがあったと考えています。
 北方対策及び領土問題の関係では、北方領土問題、竹島問題、尖閣諸島をめぐる諸情勢、我が国の領土・主権に関する情報を総合的に発信する拠点である領土・主権展示館のリニューアルオープンなど、特に普及啓発活動の強化等に取り組みました。このほか、北方対策担当として北方領土隣接地域を、海洋政策担当として対馬を訪問させていただいたことが感慨深く思い起こされます。
 消費者行政では、令和2年通常国会で、事業者に対して公益通報に適切に対応するための必要な体制の整備を義務付けること等を内容とする公益通報者保護法の改正法案を全会一致で可決いただきました。
 また、今年7月末、政府関係機関の中央移転に関する最も先進的な取組として、「消費者庁新未来創造戦略本部」を徳島県に設置しました。消費者庁の政策研究や国際交流機能を担う本部として、新時代の消費者行政がつくり出されることを期待しています。
 さらに、これまで多数の被害を出してきた販売預託取引の原則禁止や、デジタルプラットフォームが関与する消費者取引のルール整備等今後の法改正項目を具体化するとともに、食品ロス削減の基本方針や第4期基本計画を取りまとめ、今後の消費者政策の方向性を示すことができたのではないかと思います。
 このほか、個人情報の漏えい等が生じた場合の報告制度や、イノベーションを促進する観点から仮名加工情報制度の創設等を盛り込んだ個人情報保護法の改正法案についても、令和2年通常国会で可決いただくことができました。
 この場でこれまでの全てについて申し上げることはできませんが、幅広く多岐にわたる任務の中で、様々な施策を展開してまいりました。その中には、約1年の在任期間の中で道半ばのものもありますけれども、一つの道筋はつけられたものと考えております。
 このたび大臣の任を離れることになりますけれども、今後とも私が担当した関係分野の更なる発展を期待するとともに、私自身も引き続き、その発展に陰ながら尽力してまいりたいと存じています。
 終わりに、在任中の皆様方の御厚誼に改めて感謝申し上げ、退任の挨拶とさせていただきます。

2.質疑応答

(問)大臣、お疲れ様でした。沖縄担当大臣として、先ほど言及がありましたように、就任間もなく首里城の焼失があって、その後、再建に向けて取り組み、道筋をつけられました。また、第2滑走路の運用開始、新型コロナウイルス対応など、沖縄にとっては大きな節目となる期間を大臣として務められたと思うんですけれども、改めての御所見と、後継の大臣に期待されることを併せてお願いします。
(答)沖縄の問題は、担当大臣となって改めて何度も訪問させていただき、いろいろな方から、できるだけ本音の御意見をお聞きさせていただけるように頑張ってまいりました。そういう中で、沖縄は返還50年を迎える直前でありますけれども、やはりもう一回大きく変わるべきときだということを感じて、そのために新しい沖縄の方向性を見つけ出すことができればと思って頑張ってまいりました。
 いきなり首里城の焼失という非常にショッキングな出来事がありましたけれども、しかし、結果的には沖縄の方々、それから、それを支援する全国の方々の愛念が集まった対策をいただいた、御支援をいただいたと思って感謝いたしています。
 あと、やはりそういう意味で、沖縄はすごい可能性のあるところだと認識いたしておりますので、その可能性を十分発揮できるよう、沖縄の県民の方々も力を合わせていただきたいし、我々も一緒に力を合わせて沖縄振興のために頑張りたいと思っております。そういうことを後任の方に、そういう思いをぜひ伝えて、また具体的にはどういうことをやってきたかということについてもお伝え申し上げて、更なる後任の担当大臣に尽力を賜りたいと考えている次第であります。
(問)関連で、大臣、今、先ほど新しい沖縄の方向性を見つけることができるのかというふうなお言葉がありましたけれども、大臣としては、もう少し具体的に、こういう沖縄像というか、そういったものがもしおありでしたら教えていただきたいのと、あと、1年やってみて、沖縄政策の中でここがやはり一番難しかったというか、印象に残っているようなお仕事があれば教えてもらえますか。
(答)基地縮小の問題は、なかなか難しいところでありますけれども、いずれにしても、みんなその方向に向いて走っているわけですから、そういう中で、北部の4,000、それから嘉手納以南の500、500の1,000ヘクタールの返還がなされ、そして、今まで第5次にわたる振興計画の中で、インフラ整備、それからいろいろな産業振興について、方向は、相当みんな頑張って出てきていると思います。
 そういう中で、所得水準がまだ低い、県民所得の水準が低いということで、せめて九州中位まで行くことができるような形で、更なる産業振興を重ねていかなければいけない。そしてまた、この中で議論されてきた、リーディング産業である観光業の進展のみならず、やはり沖縄という特色を活かした流通拠点としての沖縄の在り方、それから、ここで健康医療拠点として、東南アジアにおける、少なくとも健康医療拠点として発展する可能性があって、今、それが西普天間住宅地の跡、51ヘクタールに着々とつくられようとしていますから、それだけではなくて、もっと大きく計画をやっていくと。あるいはバイオだとか、あるいはIT関係だとか、そういう形での振興をみんなで図ってきているところですけれども。そして、そういう中でこれだけの大きな返還がなされるわけですから、もう一つ、先ほど言いました県民所得は、九州中位までは行かせることができればありがたい。
 それから、安定的な職業という意味では、やはり製造業とか、そういう形の比率が、全国平均は20%でも沖縄は5%ぐらいですから、せめて10%ぐらいまで引き上げるぐらいの思い切った政策を各省庁にもお願いして沖縄の支援策をまとめたいと思ってきたんですが、そこのところまで行くことはできませんでしたが。それから、沖縄の方々が本当に幸せを感じて暮らしていただくためには、沖縄の文化や芸能を大事にしながら、社会保障制度の一層の充実を行わなければいけないと思っています。
 そこで、市町村の、施策支援室というのをつくりましたけれども、もっとそのレベルまでちゃんと入って、我々としては丁寧に沖縄の振興を図っていくため頑張らなければいけないと考えたところでありまして、その入り口というか、方向性はつけることはできたかと、正直言って思っている次第でございます。
 後任の方には、今までの経過もよくお話をさせていただいて、更なる沖縄の振興・発展のために御尽力をいただければ、もう本当にありがたい。1年間模索してきたかいがある、頑張ってきたかいがあるものと思っています。
(問)お疲れ様でした。新内閣ができて、新総理もデジタルに力を入れていくというような発言をされていますけれども、今、消費者庁で行っている消費者保護に関するデジタルプラットフォームの法規制というのはかなり大事な話になってくると思うんですが、一方で、やっぱり業者の方から、一部の業者からは透明化法との板挟みになるんじゃないかというような声も聞いていて、大臣として消費者庁に、この消費者保護の観点からのデジプラの法規制に関して、どういった着地点を求めるかという点を聞きたいです。
(答)消費者庁の問題は、私も元々詳しい分野ではありませんでしたので、どなたか国会議員さんから「あなたは消費者行政をやるんですか」とちらっと委員会で言われた覚えがありますけれども、懸命に努力をしてまいりました。
 消費者庁として、やはり全体的に消費者庁の立場に立ちながら、企業からも事業主からも、みんなからも協力を得られる体制をつくらなければいけないということを最初に感じました。
 それから、大変なデジタルプラットフォーム、企業が介在する消費者取引の環境整備の検討も積極的に、大変だとは思いますけれども、やっていきたいという思いがありました。それから、販売の預託制度につきましても、ジャパンライフのような問題が起こりました。昔は山口さん、ジャパンライフの、あそこを応援する議連まであったんですよね、実は。そういう状況の中で消費者庁も、その規制について頑張ってきましたけれども、そういう状況の中で、まだ何かはっきりしない。これが新しいお仕事ではないのかと言われるような状況の中で、消費者庁はおかしいものはおかしいということで懸命に頑張ってきましたが、その成果を十分に我々としては見極めができたわけですから、もっと、この販売預託取引制度についても、法的な根拠を明確に持って、原則禁止の内容を法改正に向けてやっても良いのではないのかということを、消費者庁の設置10年に当たり、私も実は幹部の皆さんとも相談の上、新しいそういう段階に入ったという認識をして、そういう方向性で今立法作業を急いでいるところであります。そういう意味では、私は、ちょうど消費者庁設置10年に、大臣としていさせていただいて、いろいろなところをやらせていただくことができたので、非常に感無量でございます。
 そしてまた、その間、フランス、消費者行政、法規制と直接じゃないですけれども、フランスのスーパーでの視察もやらせていただいて、食品ロス対策とか、あるいはここで貧困世帯に対する支援の在り方とか、フランスの独特の支援の在り方とか、いろいろなことを勉強することができたところでございまして、これも非常に参考になりました。
 大体そんなところですかね。特に消費者行政の場合は、高齢者や、それから障害者や、それから若者に対しての日常の対応などをもっと取り組まなければいけないということを感じてまいりました。私は障害者問題等も、高齢者問題もずっと長い間取り組まさせていただいておりましたので、それが消費者行政の中に反映していただけるようになりつつあるということは、これも非常にありがたいと思っている次第でございます。
(問)お疲れ様でした。先程の質問に関連して、このデジタルプラットフォーム企業に関する検討会が一段落して、方向性は見えたものの、業界の自主的な取組に任せるのか、法整備をするのかということが今後主な議論になってくると思うんですけれども、大臣としてはどういった方向性に進むべきだとお考えか、最後にお聞かせいただければと思います。
(答)先月、8月の検討会で論点整理をまとめていただきました。非常に思い切った論点整理をしていただいたと思っております。ですから、これは市場の実態調査とか、あるいは事業者の自主的な取組の状況も把握しながら。最近では、これだけ指摘されている中で、事業者の方の自主的な取組もどんどん出てきていますので、これは、先程言いましたように、事業者とも対立関係というよりは、一緒に安心・安全な消費者行政を実現できるという方向に向かって話し合いもちゃんとやり、そして必要な法的な枠組みなどの環境整備といった具体化に取り組んでいくということになると思います。
 事業者との話し合いは、我々も消費者の安心・安全を守るという観点に立っております。その観点に立って、デジタルプラットフォーマー側にも、この企業にも必ず協力をお願いできる、彼らも納得させるような案を我々としてはつくり、やっていく必要があると思っております。骨抜きではなくて、実効性あるものとしてつくっていく必要があると思っております。

(以上)