衛藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年3月6日

(令和2年3月6日(金) 9:29~9:51  於:中央合同庁舎第8号館1階S103記者会見室)

1.発言要旨


 本日の閣議において「公益通報者保護法の一部を改正する法律案」が閣議決定されましたので、御報告申し上げます。
 この法律案は、最近における国民の生命、身体、財産の保護に関わる法令違反の発生状況に鑑み、法令遵守が図れるよう、必要な法整備を行うものであります。
 消費者の安全・安心を損なう事業者の不祥事の防止と是正のために重要なものであることから、早期の成立に万全を期してまいります。
 それから、企業主導型保育事業につきまして、少子化担当大臣として御報告申し上げます。
 本日、企業主導型保育事業における実施機関として、公益財団法人児童育成協会を決定いたしました。
 実施機関の選定につきましては、昨年10月から公募を開始し、約2か月間の公募期間を確保し公募を行った結果、2者からの応募がありました。
 その後、有識者等からなる点検・評価委員会において、基本要件の該当性の確認、提出書類のヒアリング、附帯条件の内容の協議など、丁寧に議論いただきまして、実施機関候補を選定していただきました。
 委員会からは、児童育成協会に対し、事業の実施方法等についての附帯条件が付されたほか、私ども内閣府に対しましても厚生労働省と連携・協力し、児童育成協会を指導・支援するよう要請がございました。
 今般の不正事案等により、本事業に対する信頼が損なわれたのは誠に遺憾であります。本事業に対する信頼が回復できるよう、これまで具体化を進めてきた本事業の課題に対する改善策を確実に実施するよう、私から重ねて事務方に指示しました。また、児童育成協会に対しても、附帯条件に対する対応方針に基づき、しっかりと改善策を講じて事業を実施するよう、事務方を通じて指示しました。
 また、今後、児童育成協会による事業の実施状況等について、継続的に委員会で点検・評価するとともに、内閣府としても、協会にしっかり指導・支援してまいります。

2.質疑応答

(問)冒頭御発言のありました公益通報者保護法の改正案の閣議決定についてですが、施行から十数年の初改正となりますが、今回の改正のポイントをお願いいたします。
(答)相当十分な議論を、党を始めいろいろなところで、関係省庁といろいろな協議をしながら、与党審議も重ねながら頑張ってまいりました。そういう中で、一番のポイントは法令違反を早期に是正するという観点から、新たに事業者に対して通報対応体制の整備義務を課しました。各企業に対しまして、自浄作用が発揮できるように体制整備をお願い申し上げました。
 それから、通報者が安心して通報できる制度とすることが重要と考えまして、事業者に対して通報者に係る情報漏えい防止を求めるだけではなく、それに関係する従業員等についても守秘義務を課すこととし、万全を期したものであります。
 以上2点が極めて大きな改正点のポイントだと思っております。
(問)企業主導型保育事業に関してなんですけれども、公募前と同じ児童育成協会に今回も改めて決まったという、問題があった児童育成協会と同じ団体が改めて再任されることになりましたけれども、それの受止めと、児童育成協会に対して、今後具体的にどのような改善点を求めていくのかというところを教えてください。
(答)児童育成協会に最終的に決定しました。2か月間の公募を経て大変慎重に議論をしていただきました。そういう中で、児童育成協会に対しては、やはり内閣府も責任がございますが、企業主導型保育施設に対しての監督がなかなかできなかったという意味において、深刻な反省をいたしておりますので、その中からもう一回スタートしてまいりたいと思っております。
 公募は御承知のとおり、2者から応募がありました。1者は議論しましたけども、自らが企業主導型保育事業をやっているということになりますと、明らかに監督してお金を決定して指導する側と指導される側という両方の立場を持つようになりますけれども、それについての変更の意思はございませんでしたので、結果的には児童育成協会のみとなりました。
 そういう中で児童育成協会に関しましては、今度は内閣府も、どういう要件かということの厳しい要件はちゃんと出して、それを詰めたところでございます。その中で最終的には、この点検・評価委員会から厳しい附帯条件の詰めをやっていただいた上で、そこまでちゃんとした体制が取れるのであれば、児童育成協会にやっていただく以外にないだろうということで決定に至ったというのが実情でございます。
 私どももそういう意味では、やはり事務方に対しましても、大変厳しい対応をすべきであるということを厳格に指示しましたし、そしてまた、内閣府からも、児童育成協会に対しては、今まで示した厳しい要件をちゃんとクリアして、そして、皆さんの期待に応じられる体制を責任を持って作っていただきたいということの指示も一緒に出されたところであります。以上です。
(問)関連してなんですけれども、衛藤大臣、結構物事をはっきり言われる方だと思うんですけれども、率直にお伺いしたいんですけども、最初公募を締め切った段階で2者しか応募がなかったと。しかも今回選ばれなかった1者は、もう多分早期の段階で利益相反もあって無理だろうというのが分かって、児童育成協会しかないということが早くから分かっていたと思うんですけども、そういう状況を事務方から聞いたときに、率直にどう思われましたか。その驚きとか、どういうふうに最初思われたでしょうか。
(答)2か月間の公募期間を持ちましたので、これがもっと短期であればもう一回やり直しという方法もあったかもしれません。しかし、十分この中身についての説明を内閣府としてもしておりましたので、そしてまた、2か月間ということですから、検討できるところは皆さん検討していただいたと思っていますから、これを再公募してもおそらく結果は変わらないだろうと。
 しかし、それにしてもやはりこういう形、企業からのお金を入れて、それから公費として、そこにちゃんと監督させるということの難しさについても改めて感じました。
 ですから、これはやはり児童育成協会だけの責任としてするのではなくて、もっと内閣府としても、国や、あるいは県や地方自治体、そういうところとも協力をしながら、十分これを監督し、指導していくという立場をちゃんと確保しなければいけないということを改めてそのときに感じた次第でございます。
(問)続けてなんですけども、2者しか応募がなかったという前提条件として、こういう不正事案があった関係で、その条件をかなり厳しくしたということもあったと思うんですけども、その裏腹だと思うんですけども、逆に言うと、児童育成協会があらかじめ選ばれるような、いわゆる出来レースじゃないかというような批判も、もしかしたら今後、これを公表した後に関係者からそういう声も上がるかもしれないと思うんですけども、そういう出来レースじゃないかという批判に対して大臣自身、そういう批判に耐えられるというふうにお考えでしょうか。
(答)出来レースだというようなことを、もし言われる方がおられれば、是非応募していただきたかったと思うんですけれど、この事業の難しさということを、おそらくいろいろな方々も感じていたと思うんです。元々の事業の性格の難しさがあります。企業から拠出された公費を預かって、それをうまくちゃんと使っていくという。ですから、自身が大きく利益を出せる形の事業でもありませんし、その中で監督をして、責任だけ追及されるという機関であるということについての難しさを、おそらく皆さんも感じていたんだろうと思うんです。利益がもっと出るということであれば、もっと応募してくれたかもしれません。しかし、どうしても公費を扱うということで、ある意味では、行政に代わってその仕事をしなければいけないという立場に立つわけですから、大変だったんだろうということは予測されます。
 そういう中で、児童育成協会も、最後までよくそれについてきてくれた、本気でいろいろな条件について、附帯条件等も付けましたけれど、本気でやっていくということについて、そしてまた、それについては内閣府もちゃんとした指導をするということを申し上げてきましたので、そういう中で今日に至ったと思いますので、その指摘は、おそらく実情を知ってる方からは出ることはないと私は確信いたしております。
(問)最後になんですけど、その保育の質を保てるかっていう面から見ると、保護者の方も今後これから始まった段階で、また新たに企業主導型保育をやりたいっていう設置者が、声を上げて新しいものができてくると思うんですけども、やっぱり保護者としては不安も、そういう不正とかいろいろあった関係で、企業主導型保育事業所に預けていいのかという不安とかもあると思うんですけど、保護者に向けて、あと企業主導型保育をやりたいという設置者、事業者に対して、大臣として今回、児童育成協会を選んだということに対して、どういうふうに呼び掛けをしていきたいかを。
(答)事業者に対しても、是非積極的に今後とも御協力を頂きたい。これは、やはり待機児童がこれだけ多い中で、みんなで協力しながらやっていこうということでございまして、そしてまた、企業内、企業主導型のものは、企業にとっても、それから働く人にとっても、大変有益な事業だということについて、改めて御認識いただきたいと思います。また、そこで預けるということに関しても、地域の方々も半分は認められていますので、そこの方々についても安心できるような形で運営されます。逆にこういうことがあればあっただけですね、厳しく運用されるということになると思いますから、安心していただいて結構ですということを申し上げたいと思っております。
(問)政府の新型コロナ対策についてお伺いします。安倍総理が昨日、拡大防止策として中国と韓国からの入国者全員の待機を要請しました。これまでにも保守派の識者の方などから、中国全土からの入国規制について指摘、要望などがありました。一方で、経済への影響なども考えられたりもしますけども、今回の総理の判断、決断について、大臣の受止めをお聞かせください。
(答)私もちょっと事前にそういう意見もあって、申し上げたこともありますけど、なかなか全体の中では決断できなかった。やはりこの勇気ある決断を総理がしてくれたと正直言って思っております。マスクの件もやはりそうですね。我々役所もいろいろな検討をしましたけれど、なかなか結論に至るまでは行かなかったのですが、正直言ってさすが官邸ですごいなと私は思ってます。もっと必要であれば本当は消費者庁から事前に、そういう思い切った決断をすべきではなかったのかと思っていますけれど、ぎりぎりのところで、官邸の方で、総理の方で決断をしていただいたと思ってます。
 この国民生活安定緊急措置法、この1週間ぐらいの間、予算委員会とかいろいろなところで質問がありましたけれど、それに対して誠心誠意答えてまいりましたが、そういう検討を私どもスタッフと一緒に大分検討してまいりましたけれど、これをもしやったときには、法文上こういう問題があるということを自覚しながら、最終的には3省庁、消費者庁、それから経済産業省、厚生労働省の協議になりますので、なかなかそこのところは開けなかったところを、官邸が思い切ってやるべきだということで主導したということについて、我が方は危機管理能力が若干足りなかったのではないのかと反省いたしております。よくここまでの決断をやられたと思います。
(問)日露交流についてお伺いしたいんですけれども、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、北方領土ビザなし渡航の事業計画を決める日露代表者協議が対面では開かれず、メールでの協議となりましたが、このことによる年間の事業計画策定や、ビザなし渡航の事業そのものへの影響の有無については、現時点でどのように見てらっしゃいますでしょうか。また、政府として、どのような実施団体に対するフォローアップを検討されているか教えていただきたいと思います。
(答)北海道は大変感染の広がった地域で、我が国の中で現実には一、二を争うスピードで感染が広がっている地域ですから、こういう措置については賢明ではなかったのかと思っております。ここで、対面で行うようなことをやれば、もうこの相当前からいろいろな仕事も、テレワークで頑張ってくださいとか、時差出勤してくださいとか、あるいは大きな大会とかいろいろなものを控えてくださいというお願いをしている以上、政府の関係としては当然の措置ではなかったのかと思っております。このマイナス影響は出ないように、我々としてもしっかりとフォローしてまいりたいと思っています。
 具体的な事業については、いろいろなものが協議が進んでるようでございますから、それはできるだけ影響が出ないように、我々としても見守ってまいりたいと思っています。
(問)1点だけすみません。児童育成協会の関係なんですけれども、公募を開始した当初は、年内を目途に選定をされたいというふうにおっしゃってまして、今回、事業が遅れたことによって、実際の受入れの開始時期もちょっと遅れることになると思うんですけれども、それに関する大臣の受止めをお願いいたします。
(答)年内又は年明けを目途に頑張ってきたことは事実です。しかし、今回の不祥事に関しては、児童育成協会だけではなくて、やはり内閣府としての指導体制の不備があったというか、的確な指導ができなかったということについての責任もあったと正直言って思っておりますから、それを事前にどうしても詰めていただかなければいけない。それがまた、点検・評価委員会の意思でもございましたし、それを十分に詰めさせていただくことができたという意味では、余分に1、2か月掛かりましたけれど、我が方の事前に詰めるという体制準備もできたし、そして、おそらくこれを受ける側の児童育成協会もこのことについて深く認識していただいて、改めて出直しの覚悟をしていただける期間になったのではないのかと思っております。
 2か月近くの遅れは、しっかりとやることによって、取り戻していくことはできると思っております。

(以上)