衛藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年1月17日

(令和2年1月17日(金) 9:41~10:04  於:中央合同庁舎第8号館1階S103記者会見室)

1.発言要旨


 1月12日から昨日まで、フランスに出張いたしました。
 フランスにおいては、消費者及び食品安全担当大臣、そして少子化対策担当大臣として、アンヘル・グリアOECD事務総長、それからクリステル・デュボス連帯・保健大臣付担当長官と会談いたしまして、日仏双方及び国際機関との種々の協力関係を強化することを確認いたしました。
 また、食品ロスの削減に関する取組状況に関しては、在仏日系企業との懇談や、あるいはフランスでの大手スーパーの視察を行い、社会的弱者への食糧支援活動を続けている団体との意見交換も行いまして、現地も見てまいりました。
 さらに、子ども・子育て支援施策の検討に資するため、家族手当金庫、保育園等も訪問して、様々な知見を得てきました。今回の出張で得られた知見等を、今後の施策の推進に活かしてまいりたいと考えています。
 さらに、本日の閣議において、領土・主権展示館の開館について報告いたしましたので、それについて皆様に報告したいと思います。
 領土問題担当大臣として、領土・主権展示館については、昨年末、御報告させていただいたとおり、来週1月21日(火)に、移転先の虎ノ門において会館する予定であります。国会情勢が許せば、前日20日の夕方、現地において開館式典を執り行う予定であります。
 また、同日開館式典に先立ちまして、報道関係者向けの内覧会を実施する予定であります。
 本件に関連して、先程行いました閣僚懇談会で御報告申し上げましたが、広報や職員研修、各種イベント等における活用等について、協力を各閣僚にもお願いいたしました。
 私自身、昨日移転先を視察してまいりまして、最新技術も活用しながら、それぞれのコーナーにおいて、分かりやすく、しかも、しっかりと解説されているのを確認してまいりました。
 できるだけ多くの皆様にお越しいただき、親しまれてこその展示館だと考えておりますので、関係府省庁、地元自治体、関係機関、専門家の方々等とも緊密に連携し、展示内容や各種イベントの一層の充実に努めてまいります。

2.質疑応答

(問)本日、小泉環境大臣に第一子が誕生されました。小泉大臣、育休を宣言されているんですけれども、少子化担当大臣として受止めをお願いできますでしょうか。
(答)ちょうど小泉大臣は閣議の席も私と隣り合わせでございますので、改めて今日は男の子の誕生おめでとうと申し上げたところでございます。そのときにも、育休に入りたいというお話をお聞きしました。前のときにもそれを聞いていましたから、良いことですと、見本を示してやってくださいということを申し上げました。
 フランスでもそうですけども、やはり子育てをするということは家族全体に対する支援を、政府も家族に対してやっておりますけれど、やはり家族で育てるということは、非常に定着しているという感じでありました。
 ですから、男女共にその中でそういういろいろな分担をやっているのでしょうけれども、一緒に家族として子育てに携わるということを、更に我々よりもはるかに徹底してやっておられるというのが感想でした。そんな意味で、父親も主体的に育児等に参加するということになっていただければ良いなと思います。
 小泉大臣がこれをやりますから、一つの何かみんなに対するアピールにもなって、理解を深めていくことは大事だと思っています。もちろん、それに当たっては、これからは職場環境の整備もしていかなければいけないと思っておりますけれど、まだまだ日本の場合、男性の育児休業が平均で10日ぐらいですけれど、もっとちゃんと取って、一緒に家族として子育てをやれるような形でないといけないと思っています。ですから、私どもの少子化対策の中で、やはり応援をお願いしなければいけないことになりますので、小泉大臣のこの取組について、私どもとしては大変歓迎をしている次第でございます。
(問)昨日までフランス出張されていたということですけども、少子化関係に関してはいろいろ視察もされたかと思うんですけれども、参考になった点ですとか、日本で今後こういった点は取り入れたいなとお感じになった点などありましたら、お聞かせください。
(答)やはり一つは、少子化問題を取り扱うのは、家族政策だというのが非常に徹底しています。日本の場合は、何か戦前の大家族主義みたいな時々イメージが付きますが、もっとすっきりとした形でそれが行われているんです。それが家族として育てるのが当たり前だということは、徹底してきているのではないかと思います。
 それから、また、フランスという国の特徴で、市民の貧困等いろいろなことも支えるのは、近所として支えていったり、みんなが支えるべきである。それが当たり前の原理になっているということについて、我が国もかつてはそうあったんでしょうけれど、工業化に伴って大分それが薄れてきたということについて、改めて見直して良いのではないかという感じを持ちました。
 いろいろな施策にしましたら、いろいろなところをずっとやっていますけれど、日本もこれは平成6年から、ちょうど私、自民党の社会部会長のときに、少子高齢化社会対策ということで、少子化対策も一緒に始めたのですけれど、その段階、段階で一生懸命やってきているけれども、もう一回全体の冷静な分析をして、そして、もっと徹底してやらなければいけないのではないかという感じを持っています。
 フランスは、1.6ぐらいから2.0に向けて回復をしましたけれど、また今は1.87に落ちていますし、それから、パリは1.6ぐらいまで落ちています。ですから、我々が抱えているのと同じような問題がどこかにあるのだろうという感じはしましたから、その意味ではフランスの例とかいろいろなことを勉強しながら、日本が世界で最先端の少子化に突入している、もちろん、韓国は0.98とか、シンガポールとかいろいろなところありますけれど、これだけの大きな国でそういうところに突入しているということで、やはり我々が最近の時代の先頭ランナーだということをよく認識して、もっともっと徹底的にやらなければいけないと思っています。
 社会科学的に言っても、その分析をちゃんとやって、どういうことをやるかというのは、政治の極めて大きな任務に関わることだと認識いたしておりまして、更にその認識を深めてまいりました。
(問)関連して、フランスと日本の家族観の違いというのはやはりあると思うんですけれども、非嫡出子がやはりフランスは日本に比べて格段に多いということもあると思うんですが、そういった家族観の違いの中で、どういった点がフランスの少子化対策について参考になったかというのを改めて教えてください。
(答)シングルマザーが増えて、それで増えたという言い方はしませんでした。ただ、その女性が1回結婚しても、また次の男性と実質的な結婚状態に入って、そこでもまた子供が産まれるという形で、女性が1人だけではなくて、いろいろな形で2人、3人と産んでいける状況はある。ですから、日本で言われているように、シングルマザーだから増えたというよりも、シングルマザーがもう一回実質的な結婚をして、そこで第二子を産み、また、その次に第三子をという形が保障されていることは、増えたことの理由ではないかという説明がありまして、なるほどと思いました。
 日本の場合、シングルになったらそのままシングルのままで、二子、三子、子供を持っている方が離婚してシングルになっているというケースはありますけれど、シングルでシングルのままということになってくると、やはりなかなかその後いっておりませんから、1のままだということになってきますので、なるほどという感じを持って帰りました。
(問)今回の視察の中で、家族手当金庫の理事長とも会談されたと。こういったその会談で何か気付きというか、所感、感想をちょっとお聞かせください。
(答)これはそういう家族の社会保障関係の手当を全部やって、これを通じながらやっているんです。ですから、全体のところで見たら、よくやっているという具合には一応思うんですけれど、日本は、そこは個々でやっているんですが、それはいろいろな形の資質を持っていて、個々で見れば結構日本も充実していると、決して遜色はないというように思いました。
 ただ、例えば個人に対する手当は15歳までで今1万円です。3歳までが1万5,000円ということで、それはまた所得制限をいろいろずっとかけてますけれど、そういう点では日本よりも徹底しているということを思いました。日本の場合、子ども手当を入れたのは、民主党が2万6,000円支給することを構想していたんですが、その中でいろいろな議論をして、自民党のときにまず1万円で、それから3歳までは1万5,000円で、15歳までというのを決めたんですけれど、やはりインセンティブとしてはちょっと弱いなという感じを持ちました。
 どうもフランスも早くから始めて二子目の平均が2万円で、三子目は3万5,000円ですけども、今その金額で本当にやっていけるのかという感じも持ってきましたから、日本でどれぐらいの、直接的な家族支援、児童支援をやらなければいけないのかということについて、よく考えるときだと感じてまいりました。
(問)フランス出張についてですけれど、食品ロス削減推進関連で企業との懇談、あと、スーパーの視察をされたということですが、その内容と、今回の視察を基本方針策定にどう活かしていきたいかお願いします。
(答)カルフールという最大手のところに行きました。食品ロスが出そうだというときに、これをまとめて安く売るとか、そういう形のものをちゃんととってます。それから今度は貧困者対策、スーパーで出たものを貧困者対策用にどんと出すシステムを自分たちでやって作り上げてきたんです。
 ですから、食品ロスをなくそうというような全体的な運動もある中でロスが出ないようにということで、これはスーパー自身が、ものすごい努力をしてきていると思います。
 また、そういう中で、例えばロスが出そうだということになってきたら、早目に果物であればジャムにできるものはジャム工場に回すとか、工場というほどではないかもしれないけれど、そういう手作りで作っているところに回して、製品として出すとか、そういうような努力をしているんです。これは日本の子供食堂でも一部行われていることですけれども、彼らから大量の寄附をしてそういう事業所に出していく。ですから、貧困者の対策として、みんなで支えていきましょうということがある。
 生活保護については、やはり日本の方がレベルは相当高いと言っていいと思います。けれども、そういうところに貧困者も一緒にみんなで守っていかなければいけないというフランスの風土のようなもの、考え方があるということについて感じてきましたので、我々もそういう、今震災以来、きずなを大事にしましょうということになってますけれど、これは家族のきずなであったり、地域のきずなであったりいろいろなことですが、そういうものはフランスに伝統的に残っていたものであるという感じがいたしまして、我々がどういう形で、きずなというか、彼らはこれを「連帯」という形で表現してまして、お会いした大臣付の長官の名前も連帯・保健大臣付担当長官という形でして、そういう感じで帰ってきたところでございます。
 カルフールは、最大大手のスーパーですけれど、大変な努力を自らしている。ただ、政府としては、そういうことをやったのに免税措置を取るというインセンティブを与えているということについて、なるほどという感じを持ってきました。
(問)話題変わりまして沖縄振興について伺いますが、琉球新報が沖縄県と県内41市町村を対象にこのほど行ったアンケートで、現行の沖縄振興特別措置法に基づき実施されている一括交付金について、全自治体が現行法の期限が切れた後の22年度以降も継続を希望すると回答しましたが、沖縄振興を所管する大臣としての受止めをお願いします。
 関連して、現在の特措法の見直しに向けた議論が今年からまた本格化していくかと思いますが、対応方針を併せてお願いします。
(答)一括交付金は、第4次までのインフラ整備中心のものが、一括交付金によって、もっと産業を振興していこうという趣旨を持ちながらここまで頑張ってきた。そしてそれに向けて、非常に多額の投入をしてきたと思います。今、余すところあと2年の中で、この検証をやっておりますので、その検証を十分にやっていかなければいけないと思っております。
 そういう一括交付金だとか、あるいはそのほかの補助金も入れて、産業振興という面では、例えば空港、流通関係としては、沖縄としては頑張っていきたいということで、空と海の流通。それから海の方は取り分け西海岸の牧港とか、そういうところの返還に備えて全体の流通整理をするとかという形で言ってますけれど、各々振興政策を練っている。それからまた、今度返ってきた西普天間の米軍住宅については、主に健康医療拠点としてやっていきたい。
 これはまだこのままで良いのかどうかというのはあると思うんです。私にすればちょっと計画が小さいのではないのかと思っていますけれど、本気でもっと日本及びアジア全体に開かれた医療拠点になり得るではないのか。それから、もともとの観光の振興をどうするか、それから、取り分け今度は中部から北部にかけてのバイオだとか、あるいはITの拠点化だとかという形で、産業振興について今考えてきているところですから、もう一回どういう具合にすれば良いのかということについて、私ども今検証中ですから、それについて何とも言える立場ではありません。
(問)沖縄でCSF(豚コレラ)の感染が広がっています。現場では防疫措置などに当たる人が足りないだとか、あるいはアグーの保存の必要性など、様々な課題が出ています。農水省の所管だとは思いますが、沖縄担当大臣としての受止めと、検討している支援等あればお願いします。
(答)うるま市、沖縄市で4例のCSFが発生いたしました。もちろん中心は農林水産省と沖縄県が、今懸命に対策会議を重ねながら頑張ってきているところであります。それで殺処分、あるいは埋却などの迅速な防疫措置、それから、拡大防止のための発生農園周辺の消毒の強化などを進められていると承知いたしております。
 内閣府としては、農林水産省と沖縄県とも連携を密にして、引き続き動向を注視してまいりたいと思います。その上で、沖縄県等の要望等がございましたら、必要な対応を図ってまいりたいと思っています。
 今のところ沖縄県からは、これについて具体的にという話はまだないですから、これからの話になるのではないかと思っております。
 ただ、我々としては、CSFは人に感染するものではないという具合に早くからポスターも作り、その徹底を申し上げているところでございます。今はそういう状況でございます。

(以上)