武田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年9月16日

(令和2年9月16日(水) 9:33~9:57  於:中央合同庁舎第2号館18階第4会議室)

1.発言要旨


 先ほどの閣議におきまして、内閣総辞職について決定を受けました。安倍内閣の一員として、非常に多くの担務を担ったわけでありますけれども、多くの方から支えられて、何とか仕事をすることができたわけでありまして、まずは、支えていただきました多くの皆様方に心から感謝を申し上げたいと、このように存じます。政治家としての人生経験においても、非常に学ぶべき点が大変多い1年であったと、この教訓というものをいかしながら、今後とも国家、国民のために尽くしてまいりたいと、このような考えを持っております。
 まずは国家公安委員会委員長としてですけれども、本当に、日本の警察の優秀さというものを、これを誇りとしたところであります。平成から令和に時代が移り、宮中行事もたくさん行われました。また、ラグビーのワールドカップと、治安大国日本というものを世界に知らしめることができた、本当に喜ばしいことであったと思います。
 災害対応に関しましても、最前線で全国の警察官の諸氏に頑張っていただきましたし、今後とも世界に誇る治安大国を維持するためにも、また、犯罪に対する最前線の抑止力を発揮するためにも頑張っていただきたいと、このように考えているところであります。
 また、防災担当もいたしました。昨年の9月11日に着任したわけですけれども、9月9日の時点で台風15号が接近、上陸しました。千葉県を始めですね、多くの地域において、大変な災害に見舞われたわけでありますけれども、1か月後には台風19号が接近、上陸しまして、またこれも広範囲に渡って大変なる被害を被ったわけであります。改めてお亡くなりになられました方々に心から哀悼の意を表するとともに、今なお、復旧・復興に対して積極的に取り組んでおります被災地の多くの皆様方には、お見舞いを申し上げたいと思います。
 また今年に入りましても出水期、そして今から台風シーズンを迎えるわけですけれども、7月の豪雨で大変な、多くの犠牲が出ました。また台風10号に関しましては、今なお、地元県警等が捜索活動に全力を挙げてくれているわけですけれども、行方不明になられた方がおられるわけでありまして、一刻も早いこの捜索と、復旧活動に努めていただきたいと、このように思っているわけであります。
 国土強靱化担当とも絡んでくるわけですけれども、気候変動等の影響もありまして、頻発化、甚大化する災害に対して、国民の生命と財産を守るために、いかなる政策を前もって、事前に果たしていくか、この重要性というものを痛感をいたしたわけであります。発災後の即応体制、これも重要でありますけれども、今日までの多くの災害に携わった教訓と積み重ねることによって、いかに事前に災害を防ぎ国民の命を守るか、この重要性というものを、我々は身をもって感じたわけでありまして、今後とも、これは政治だけではなくて、地域行政だけではなくて、国民一人一人が自らの問題として、防災意識を高めていただいて、この日本国の防災に対する問題に取り組んでもらう、こうした空気、環境をどうやって作るかということもあわせて、今後とも努力を重ねていかなくてはならないなと、思っているわけであります。
 そのためには、強くしなやかな国土形成というものが求められてくるわけでありますけれども、3か年の緊急対策が、今年160項目、ラストの年を迎えるわけであります。今後の国土強靱化政策に関しましては、3年間でしっかりとした国土が作れるわけではなく、この3年間でしっかりと学んだことというものをフォローアップしながら、今後の国土強靱化政策に努めていかなければならないと思っているわけであります。全ての市町村に対しまして、地域計画というものを策定するように要請をいたしておりますし、その地域地域の事情に応じた国土強靱化政策というものを、これをドンドン前に推し進めることによって、事前防災、そして国民の生命と財産を守る防災体制の構築につながるのではないかなと、このように考えているところであります。
 また、国家公務員制度、これは人事局も絡むわけですけれども、少子高齢化を迎えた日本の国家体制というものは、変わったことに伴って、国のスキームというものも常に見直していかなくてはならないのではないかなと思うわけであります。
 特に今年は、コロナ禍という特殊な緊急事態の中で、テレワーク等々の新たなる試み、デジタル化の必要性、様々なことを、我々は今なお、学んでいるわけであります。新たなる日本を作る上でも、新たなる社会構造というものを目指して、着実にそれを一歩一歩前に進めて、いかなる危機にも対応できる国家に仕上げていかなくてはならないのではないかなと、思っております。
 働き方改革、育休含めて、今、全ての試みを我々は取り組んできたわけでありますけれども、今後もこれは積極的に推進しながら、新たなる日本の社会構造、国家構造というものを着手するために、国民全員で責任が果たせる国づくりに、今後ともコミットしてまいりたいと、このように考えているところであります。
 また、カジノ管理委員会も発足をいたしました。この中において様々な問題というものはあるわけですけれども、我が国においては初めての事業計画でありました。なかなか今日まで、そうしたものが存在しなかったために、知見の少なさというものを痛感したわけでありますけれども、様々な方々が諸外国のカジノの実例というものを導きながら、一定のスキームというものを作り上げていただいたわけであります。
 もっとも、これは国土交通省の所管になるわけでありますけれども、こうしたカジノというものは、本当に地域のためになっていく、そしてまた、公正で安全なものであるということを、しっかりと確立するためには、このカジノ管理委員会というものが、機能していかなくてはならないと、このように考えているわけであります。今後また、カジノ管理委員会の皆様方にはお骨折りをいただきまして、このカジノがどういうふうな形で国民に理解いただけるか、そうしたものを考えながら、御尽力を賜りたいと、このように考えているわけであります。
 またちょっと戻りますけれども、行政改革の一環ですけれども、今まで、事業に対して民間企業のような中長期的な計画と、B/Cですね、費用対効果というものをしっかりと計算をした上での事業計画を、各省庁が立てていたか否かということを、徹底して検証していかなくてはなりません。検証するについては、それぞれの省庁でいろんな役割が違ってくると思いますけれども、EBPMをはじめ、行政レビューというものを通じて、一つ一つの事業が本当に、これが実効性のあるものか、国民のためになるものなのか、これは省益を代表しているだけのものではないのか、いろんなことを検証しながら、国民の広く多くの理解をいただける事業になっていくために行政改革も、これは推進していかなくてはならないと、このように思っております。
 死因究明に関しましては、4月から厚生労働省に移管されたわけでありますけれども、必要な分野でありますので、しっかりと頑張っていただきたいと、このように思っているわけであります。
 取り急ぎ、ざっと今、各担務に対しての、いろんな、今日までの経験についてお話しさせていただいたわけでありますけれども、新たなる時代、新たなる国家像というものを作り上げる上で、非常に重要な分野ばかりではなかったかなと思うわけでありまして、この、培った経験というものを、教訓というものをいかして、今後とも励んでいきたいと、このように考えているところであります。いずれにしましても、今日お集まりいただいた記者の皆様方にも大変お世話になりましたし、携わっていただいた多くの皆様方、国民の皆様方に、心から感謝御礼を申し上げたいと、このように思っているわけであります。以上です。私の方からは。

2.質疑応答

(問)お疲れ様でした。約1年間の在任中で、国家公安委員長としてのお仕事で、今幾つか挙げられましたけれども、最も印象深かった出来事、あるいは関わったテーマを挙げるとすれば、何になりますでしょうか。一方、その中で、少しやり残した感というか、こうすれば良かったなという部分があるとすれば、そこも併せてお願いします。
(答)とにかく、国民の命を守っていかなくてはならない、という常に緊張感というものを持ち続けてきたわけでありますけれども、この1年間、テロその他、大きな事案というものが発生しなかったことには、これはほっとしているところでありますけれども、一番、我々が緊張感を持ったのは、先ほど申しましたように警備態勢、ワールドカップであったり、宮中行事であったり、各国の世界の要人が、この日本に足を運んでいただき、しっかりとした警備態勢で治安を維持したということ、これは本当に充実したものがあったと思っております。
 いろいろやらなければならないこと、枚挙にいとまがないわけですけれども、やり残した感というのは、客観評価でありますけれども、自分なりには精一杯頑張らせていただいた、こういう思いです。
(問)もう一つよろしいでしょうか。先ほど日本の警察の優秀さ、誇りを持っているとおっしゃりました。国家公安委員長として頑張ってこられて、日本の警察の組織、あるいは一線の方も含めた警察職員への印象、例えば具体的なお話も頂ければと思いますけれども、改めまして、どのような印象を持たれましたかということと、国家公安委員長を去られるに当たりまして、警察組織、あるいは一線の方も含めて、警察職員にメッセージといいますか、残す言葉があればお願いします。
(答)一人一人がしっかりと、自分達がやるべきこと、やらなければならないことを認識している集団だなということ、これは素晴らしいことだと思います。それぞれの分野において、国民生活を犯罪の脅威から守らなければならない、そうした高い意識を持って、志を持って仕事に臨んで、全国の警官が頑張ってくれているということは、これは本当に、私自身も多とするところであるわけです。
 日本の警察の優秀さというところは、これは様々な角度からいろんな評価があるのでしょうけども、いろんな諸外国のニュースと、それが全てではないにしても、いろんな人種差別があったり、様々な問題というのが世界で起こっている、報道されておりますけれども、そうしたことを考えるときに、日本の警察というのは、常に国民の基に軸足を置いているという面では、世界に冠たる警察組織だと私は思っているわけであって、今後とも、常に謙虚に、そして常に前向きで頑張っていただきたい、国民を犯罪から守るために、様々な脅威から守るために、志高く頑張っていただきたい、この強い思いを抱いているところであります。
(問)国土強靱化であったり、公務員制度改革とか、国家公安委員長以外の担務において一番印象的に残っていることと、御自身の評価というか、振り返って何点くらいだったとかありましたらお願いします。
(答)私の評価は大したことはありませんよ。様々な分野で思い出はあるのですけれども、1年のうちに4か月近く防災服を着ていたというのは、日本の実情なんですね。この災害に対して、本当にみんなで頑張ってきたなという強い思いはあるわけでありますけれども、今日まで積み重ねた教訓、本当に災害に対する対応、チームで各省庁横断的に、今なんか縦割り行政ということを言われていますけれども、防災に対しては、完璧に、パーフェクトに近い形での連携というものは、取ることができた1年ではないかなと思っています。ここのところはおそらく、多くの地域の被災者の皆様方、各自治体の皆様方に評価していただけると思うのですけれども、そうしたところが一番の思い出になっていると言いますか。私自身の評価は大したことはありません。
(問)あと、一つ課題として、コロナ禍における防災というのが、本当に新しいテーマとして突きつけられたわけですけれども、次の大臣にしっかりと本気取り組んでほしいと思いますけれども。
(答)とにかく先手先手で手を打っていったということが、これが功を奏したのだと思います。出水期を迎える前、2月3月の段階からですね、避難所における感染拡大防止対策というものを、全ての自治体に対して呼びかけていった。それともう一個は分散避難、コロナ対策の一環として分散避難の体制。ホテル、旅館等、どうしたものが避難所として利用できるかどうかということを、事前に自治体の方に知らせることができた。そして、避難時における感染防止対策。パーテションや1人あたまのスペースだとか、あとは消毒のやり方、それとか動線に至るまでですね、事前に対応ができたことによって、本当にコロナ対策というのは完全に近いくらい、各自治体、またボランティアの皆様方果たしていただいた。このことは大きかったと思います。
 次なる大臣にも、浅はかな経験で学んだことについてはお伝えさせていただきますけれども、新たに組んだ即応体制のチームの皆様方は、もうなかなかのプロフェッショナルになっていますので、彼らにも緊張感を持って、今から台風シーズン迎えるわけですから、取り組むようにお伝えして私は去っていこうと、このように考えております。
(問)東京オリンピック・パラリンピックが来年に延期されました。コロナ等、様々な課題もありますけれども、関係する全国警察に求めたいこと、期待したいことあれば、よろしくお願いします。
(答)先ほど言いましたように、ラグビーのワールドカップという、アジア初の40万人近くの諸外国の方々が訪れる、本当に大過なくしっかりとした警備態勢で務め上げていただいた、この実績というものは、全国の警察官にとって、非常に、今後とも力になると思うわけであります。防災の時に言いましたけども、一個一個の局面で携わった経験というもの、また、総括した反省点というものを次にいかす。繰り返し次にいかすことによって、更に治安というものが強化される。そのことをよく認識してもらって、全国の警察官には、なお一層励んでいただきたいと、大いなる期待をしているところであります。
(問)防災の関係でお伺いしたいのですけれども、大臣が在任中の1年間で、被災者の再建を支援する制度をいくつか拡充されました。特に、被災者生活再建支援制度の、半壊への対象拡大する方針を表明されて、当初は財政負担の問題もあり慎重にという国会での御答弁もあったと思うのですけれども、一方で全国知事会と実務者レベルでかなり詳細に検討をされてきまして、その中で大臣の政治判断といいますか、思いといいますか、大臣としては、どういう思いでこの問題に取り組んでこられたのかというのを教えていただけますか。
(答)法律によって、そうした被災者、または被災地を助けることもできますけれども、法律によってですね、限定的な力しか発揮できない部分というのはたくさんあると思います。しかし、被災者の皆様方からしてみれば、嫌でもたまらない状況に置かれているわけですから、解釈運用を柔軟にすることによって、本当に国民のためになる法律に、政治は変えることができると思うのですね。
 全国知事会との協議によって、準半壊だとか、半壊に対しては、いろんな柔軟な政策をとってまいりましたけれども、プッシュ型支援に対してもですね、これはメニューに載っていないものであっても、我々が政治判断で、被災地の方に支援をしてまいりました。この法律の、だからできないという、硬直的な発想しか持たないチームであったなら、本当に被災者のためにはならない、というふうに私は考えておりますし、今ある法律がもし邪魔になるのであれば変えれば良いことであって、そこのところは柔軟に対応していかなくてはなりませんし、法律の中身を、十分にいろんな角度から運用を柔軟に対応することによって、さらに被災地のためになる部分があると思うので、そうした政治の力を発揮できる場面においては、しっかりと柔軟な対応をとっていかなくてはならない、こういうふうに私は思っております。
(問)今の質問にも関連するのですけれども、地方自治体との向き合い方というのは、今の問題ではテーマだと思うのですけれども、組閣がどのようになるのか今日発表されるわけなのですけれども、今後に生きる部分という視点も踏まえて、自治体との向き合い方という点について、思うところがあれば教えていただきますでしょうか。
(答)十人十色という言葉がありますように、各自治体のリーダーによって、いろんな価値観も違ってまいります。そして、対応のやり方、スピードも、これ異なってまいるわけであります。さはさりながら、ただ単に、こっちが投げかけるだけではなくて、一個一個にですね、一つ一つチェックをしていく、災害に対してこういった物は揃っていますか、避難所は大丈夫ですか、それをただ単に投げかけるだけではなくて、我々がしっかりとコミットしていくということが、重要になってくるのではないかなと思っております。
 この1年で、今回台風10号に対する各自治体の対応も含めてですね、本当に、国民一人一人、各地方自治体が、防災意識というものが高まってきたなということが、これは多とするところではないかと思いますので、今後ともしっかりと、内閣府防災と、各省庁と、地方自治体が一体となって取り組むスキーム、これは訓練です。平素の訓練と情報交換と情報共有と、あと連携というものを常日頃から、顔の見える形でやっていくことが重要だと思いますので、私が去った後に、大臣にですね、そのことだけはしっかりとお願いしていきたいと、このように思っております。

(以上)