竹本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年9月11日

(令和2年9月11日(金) 11:18~11:32  於:中央合同庁舎第8号館1階S108記者会見室)

1.発言要旨


 こちらから3件、報告することがございます。
 1つは、「宇宙利用の現在と未来に関する懇談会」、これは私、大臣に対する諮問機関というか、そういうものを作りまして、全部で5回、会合を行いました。約20名の有識者、大体、宇宙飛行士を含むいろいろな分野の方が入っておられますが、あるいは企業ベンチャーの方もおられまして、そういった方を交えて、宇宙基本計画が対象としております今後10年間よりも、もっと遠い将来20年、30年後の宇宙利用の未来像について大いに語っていただきました。若い人が多いものですから、非常に盛り上がった会合でございました。これを基に、今後いろいろな、宇宙に対する政府及び民間の取組について環境づくりをしていこうと考えております。私がしばしば申し上げておりますように、宇宙は我々の生活空間に必ずなるし、もうなってきているわけでございまして、したがってその利用に対しては、しっかりとした体制を組んでいかなければいけない、官も民も、と思っております。 もちろんアメリカ、中国、EU、カナダ、こういった国と伍して、宇宙開発に取り組める体制をとっていきたいと思っております。もちろん宇宙政策委員会というのは別途ありますけれど、今回は大勢の若い人に夢を語ってもらったということでございます。その報告書ができましたので、今日皆さん方にお渡しすることになりました。それが1つであります。
 それから、今日ですが、堺市における起業家支援者との意見交換会を行います。今日午後、堺の新事業創造センターというところがございますが、そこで現場のスタートアップの人々の「生の声」を聞いていきたいと。御承知のとおり堺は刃物とか、いろいろ工芸品で素晴らしいものを持っておりますが、そういったものを技術の背景としてスタートアップがどんどん育ちつつあります。京阪神のコンソーシアムのエリアの一環として堺を捉えておりますので、本日午後からそちらへ行って、もちろん堺市長も来ますけれど、いろいろ意見交換をやっていきたいと思っております。今まで、全国を大分歩きましたけれど、どの地域においても非常な熱気を感じられます。これはコロナ後における日本の若い人たちの一つの希望の、期待が抱ける分野の1つになるのではないか、夢を与えられるという意味では非常に良いことかと思って、期待をしてこれから行ってまいります。
 それから、自動運転の発表です。自動運転の国際ワークショップについてでございますが、SIPの1つでございます自動運転のプロジェクトで、国際的な取り組みである国際ワークショップの開催を今年も行います。今年の11月に開催いたしますが、コロナの最中でございますので外国から来ていただくというわけにはいかないので、リモートによるテレビの会議ということになりますけれど、そのようにしていきたいと思っております。今、(自動運転のレベルで言うと)レベル1、レベル2ぐらいまでは来ておりますけれど、ドイツ等非常に日本と同じような技術領域に達している国がありますので、そういった所との意見交換が非常に大事であろうと思っておりますが、いずれにいたしましても社会実装を重ねながら現実に使えるようにしていきたいと思っております。

2.質疑応答

(問)先ほどの宇宙の報告書なんですが、大臣としては今回の報告書についてどういう点を特に強調したいとお考えでしょうか。
(答)そうですね、宇宙は生活空間の一部になりつつありますので、私は未来産業の発生の場所、エリアとして宇宙産業を捉えていきたいと思っております。
 何回も言いますけれど、既存の産業はある意味では頭打ちのところがたくさんあります。住宅産業はその典型でございますが、それに比べれば宇宙はあらゆる可能性を秘めておりますし、他国と比較しても別に技術的な面では我が国に遜色はない。国家の予算だけで見ますと日本の予算は、宇宙開発はアメリカの15分の1ですけれど、今のうちにこれをもっと増やして、そしてアルテミス計画をはじめとした諸々の国際的な取り組みに日本も積極的に参加し、そこに実績を残すと同時に日本の得意な技術、例えば物を運ぶ技術であるとか、いろいろありますから、それを世界に誇示していくことが大事だろうと思っております。
 未来を託せる産業だと思っておりまして、そういう意味で、どのようにしてそれを大きくしていくのかということでございますけれど、1つは宇宙分野でヒーローを誕生させなければいけないということであります。
 豊田佐吉とか盛田昭夫さんのようなビジネス界のヒーローがこの分野において誕生して欲しいと思っておりますのが1つと、それから国民のやはり理解が絶対的に必要でありまして、今までは特別な人たちが扱っている分野であったけれど、これからは我々の世界だと、another worldではなくてour worldだという認識で国民の意識を上げていくことが大事だと思っております。
 そういうことを達成するためには、やはり宇宙へ投資していただかなければいけません。そういう意味でも民間の意識を高めることが必要かと思っております。現実にアメリカなんかは、NASAという大きな国家組織があるにもかかわらず、大きな資金が民間からも投じられているということを考えますと、日本もやはりそのような形に持っていく必要があるだろうと思っております。
(問)自民党で、今、総裁選が開かれていまして、菅官房長官が例えばデジタル庁ですとか、岸田政調会長はデータ庁の創設を掲げられていて、省庁横断的にしてデジタル化を進める体制が必要だというふうな趣旨の主張をしているんですが、ある意味、今のIT政策担当をされていらっしゃいますけれども、ある意味、今の体制が不十分というような意見でもあると思うんですけれど、実際このような意見をどう捉えていらっしゃいますか。
(答)私のところはIT政策を担当しておりますので、既に相当手を打っております。
 例えば各省庁のLANがそれぞれ別々で、隣の役所とテレビ会談ができないのが現状であります。今は民間のテレビ会議システムを使ってそれでやっていると、こんなことはあってはならないと思いまして、全省庁を1つのLANで結ぼうということで、既に省庁に対してその指示をしております。1つのLANに、それを早くやりたいと思っております。これを実現すると年間、今よりは数百億円ぐらい経費も節減できるだろうと思っております。中央省庁のLANの統一、これは既に取り組んでおります。
 2番目に自治体との連携も図らなければなりません。自治体は少し手間がかかりますがこれをやりたいと。そうしますとデジタルの流れがすんなりいって、一本化されて、非常に効率的になると思っております。
 そのような努力をしておりますので、それを見られたのだろうと思いますが、さらに強化するという意味でおっしゃっているのかと思っております。
 総裁選のことは私がここで述べる立場にありませんけれど、推測で申し上げればそういうことかと思います。
 いずれにしろ、世界中でデジタル化が非常に進んでおります。日本の場合はやはりSARS、MERSの経験をしていないために台湾等と比較すると非常に遅れているのは事実です。台湾の場合は非常にシビアな状況を経験しましたので、マスクの数とか、不足の場所とか全部データとして把握しているのです。
 日本はそういう経験をしなかったものだから、言ってみればアナログ的な方法で対処できると考えて今まで来ております。要はデータが不足しているんです。ですからデータの準備をして、そして、AIを使ってデジタル化を進めることが大事だと思っております。候補者の思いは全く私と同じだろうと思っておりますけれど。
(問)方法論として、お二人は独立した庁をつくるべきだというふうな主張なんですけれども、現役の担当大臣としては今の体制で十分というふうにお考えでしょうか。
(答)それは好みの問題というか、政府CIOというのを御存じだと思いますが、それをつくって各省に副CIOを置いております。既にやってるのですけれど、それを庁として大臣の下に置くということなのだろうと推測しておりますけれど。
 例えば経済産業省の中に中小企業庁があると、こういう感じで置かれるのではないでしょうか。
(問)最後に菅官房長官がテレビ番組の中ではリーダーとして民間からの、専門性が高い若い民間人の起用などの可能性に言及しているんですが、大臣としては、そこはやはり議員の方でやった方が良いという考えか。
(答)いや、それはないです。それは民間でも良いのではないですか。やはり適材適所、オープン・イノベーションの時代ですから、役人でなければいけないとか、政治家でなければいけないとか、全くそれはないと思います。極めて技術的な分野ですので、なおさらそれは民間の方でも優秀な方であれば就いていただいて、私は良いとは思います。そういうものがもしできるのであれば、仮想の話ですけれど。
(問)宇宙利用懇談会のことに関してなんですが、2040年から50年を見据えた報告ということになっておるんですが、一方でこの懇談会は概算要求を見据えて9月末までに終わらせるというスケジュール感でやってこられたと思います。
 近々の予算化というところでいうと、どういった施策に今回の報告書を反映していけるということになりますでしょうか。
(答)日本の宇宙関係の予算は政府関係で3,600億円ぐらいです、今年で。アメリカは5兆円ぐらい持っていますので15分の1です。これではアルテミス計画で日米協力するといっても体力差がありすぎるので、やはり予算を増やさなければいけません。
 おっしゃるとおり、9月末締切の予算には大きく盛り込んでもらおうと思って全省庁を先日、もう大分前ですけれど、1カ月半ぐらい前だと思いますが、集めまして、そこで各省で宇宙関係の予算を要求してくださいと。例えば環境省ですと、あそこは衛星を打ち上げてもおりますし、宇宙における宇宙デブリの処理ということは環境問題ですので、非常に関心があり、対策を講じようとしております。
 ですから、その関連の予算を要求してくださいというようなことを含めて、例えば国交省でもGPSが既に衛星でやっているわけですけれど、それも予算を増額できるのではないですかと。各省の宇宙に関する予算を上げてくださいと、そうすることによって、私の思惑は、せめて1兆円ぐらい、3倍ぐらいの予算に到達してくれれば良いと思っているわけでございます。
(問)大臣は以前から1兆円という目標を掲げていらっしゃいますけれども、どれぐらいまで達成できそうでしょうか。
(答)まだ集計というか来ていないんですが、大きい期待を私は持っています。
(問)あと先ほど質問のあったデジタル庁、データ庁の関連ですけれども、大臣としてはそういった新しい組織の必要性に関してはどのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。
(答)いや、別にその方が効率が良いとか、あるいは効果が良いというのであれば当然つくって良いとは思います。
(問)今回の総裁選で菅さんが創設を唱えられているデジタル庁、それから岸田さんが唱えられているデータ庁、この2つ、それぞれ大臣としてはどんなところが違うなというふうにご認識されていて、どちらのほうがより大臣のお考えに近いかというところを伺えますでしょうか。
(答)そこまで聞かれますと、ここは国務大臣としての考えを述べる場なので総裁選についてコメントするのは差し控えたいです。

(以上)