竹本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年9月4日

(令和2年9月4日(金) 14:00~14:10  於:中央合同庁舎第8号館1階S108記者会見室)

1.発言要旨


 こちらから報告することが3件あります。
 1つは「宇宙利用の現在と未来に関する懇談会」、これは2カ月前から始めまして、5回開催しました。実は、先ほど終わったばかりなのですが、それで宇宙利用の現在と未来に関する諸々のことについての見解の案を議論していただきました。本日は最終回で、映画監督の押井守さんをお招きしまして、講演を特別にやっていただきました。押井さんは30年ぐらい前に、30年後の未来社会を描くなど、いろいろな素晴らしい映画をつくっておられます。我々は、宇宙は今後の日本を支える成長産業の基盤になると考えておりますので、そういう思いを関係者皆が持ってもらう必要があるという思いの中で、この懇談会を開催したわけでございます。言うまでもなく、国の宇宙政策については宇宙政策委員会というのは既にあるわけでございますが、それを支えるというか、より広く、特に若い世代からの意見を求めたいということで20数名の有識者や宇宙関係企業の技術者、New Spaceと呼ばれるベンチャー企業の方に入っていただきまして、報告書案をまとめました。宇宙は、今までは特別な人たちだけが研究し、活動しているanother worldという感じで見ていた人が多いと思います。私もそうだったのですが、これからはour worldであり、我々の生活空間であると、そういう目で宇宙を見ていく必要があるという思いでこういう懇談会を行った次第であります。
 2番目、やはり宇宙に関係するのですが、「宇宙ビジネス創出推進自治体」、お手元に資料を配ると言っておりましたが、今まで4つの自治体、北海道、茨城、福井、山口県の4県を「宇宙ビジネスの創出推進自治体」として指定をしていたのですが、今回更にこれに加えまして福岡県と大分県を付け加えました。福岡県は県内企業の宇宙関連産業が結構多いということと、それのさらに増進というか増産というか、増やそうという努力をしておられまして、特に衛星データの利活用による新ビジネスの創出に熱心であるということで新たに認定をさせていただきました。それから、大分県は有名になりましたけれど、スペースポートを核としたエコシステムを作りたいという希望を持っております。つまり、衛星を打ち上げるのに、最初からドンと打ち上げるのではなくて、飛び立つ旅客機の懐にそれを抱えて旅客機が一定の高度まで上がったところで抱えている衛星をそこから打ち上げるということで、コストも安いしということで、そういうことを大分県は作ろうと努力をしておられます。そういったことがございましてこの福岡県と大分県、2県を「宇宙ビジネス創出推進自治体」として指定をいたしました。
 3番目は9月1日、この間の火曜日に東京工業大学を視察いたしました。大きく分けて3つのテーマで現場を見せていただいたのですが、益学長に御案内いただいたのですが、「ダイヤモンド固体量子センサ」の研究室を訪問しまして、最先端の量子技術や産学官の連携、あるいは若手人材の育成について説明を受けました。特にダイヤモンドを作って、それで量子を生産するという研究をなさっているとのことでございました。それから、2番目に訪れたところは、人文科学の研究者があるべき人間の姿の探求をしまして、未来の科学技術のあり方について提言を行う「未来の人類研究センター」という銘を打った展示物がございまして、それを見せていただきました。さらにもう一つ、「未来社会デザイン機構」、実はこの間科技法を改正しまして、人文科学も科学技術の対象にするとしましたけれど、東工大ではそれを先取りする形で、未来社会がこうなるということを人文科学もフルに使って予想しておられました。年表も作っておられまして、そういう御案内をいただきました。いずれにしろ、日本の科学技術のトップを走っている大学でありますので、非常に実りの多い視察をさせていただいたと思っております。

2.質疑応答

(問)宇宙利用懇談会の件で改めてお聞かせいただければと思うんですけれども、報告書がどんな内容だったかということと、この内容を踏まえて、どのような施策を推進したいかということのお話を聞かせていただければというふうに思います。
(答)懇談会の報告書は宇宙利用の現在と将来について書いているのですけれど、現在、測位、通信・放送、地球観測の3分野でいろいろ衛星利用しておりますが、その現状を申し上げるとともに2040年から50年、ですから20年、30年後の社会システムがどうなるかということについて、特に今回コロナという予期しなかったものを経験しておりますので、その後どのようなことになるのかということについて記述をしております。
 さらに、宇宙利用の未来、これは20、30年後に宇宙利用はどうなっているかということについても記述をするということでございます。そういう中身になっております。
 宇宙利用の未来についてでございますが、宇宙利用システムの発展と高度化、それから宇宙開発、宇宙における新たな市場の創出、それから地上から宇宙、宇宙から地上へのフィードバックサイクルの形成という3つの方向性で整理をいたしております。
 今日、いろいろと御意見も出ましたので、それも現在まとめているところでございますが、この報告書が取りまとまりましたら、政府としてしっかり取り組みを進めたいということでございまして、宇宙に対する国民の理解、共感、支持が拡大するような環境づくりが必要だということでございます。
 今日、押井先生に御講演いただいきましたが、人々の意識を置きかえなければいけない。置きかえというのは、今までの意識と全然違う意識を持っておかなければいけないとおっしゃっていたと思います。すなわち、先ほど私が申し上げましたように、宇宙というのが我々の住む生活空間なのだ、我々は宇宙に住んでいるのだという意識を持って、月や太陽、あるいは火星、そういったものの利活用を考える時代が来たということを言っておられるのだと思います。そういう意味合いにおいて、宇宙こそ未来産業のフロンティアだと考えておりまして、是非ここにはきちんと力を入れたいと思っております。
 以前に申し上げたことがありますけれど、宇宙関連予算は今年3,600億円ぐらいで、EUが1兆円、それからアメリカが5兆円ですので、アメリカの15分の1です。これでは十分な実力を付けるわけにはいかないので、これをせめて今の3倍、1兆円ぐらいにまず国の予算をして欲しい。加えて、民間企業がビジネスとして宇宙に参画してもらうという環境づくりがやはり政府としての大きい役割であろうと思っております。
 オープン・イノベーションの時代でございますので、政府の技術と民間の技術、相互をすり合わせてそこにイノベーションが生まれてくるという、そういう環境をつくっていきたいと思っております。
(問)前回の会見に引き続いてまたお伺いするんですけれども、総裁選で菅官房長官、岸田政調会長、石破元幹事長、3人が出馬を表明しておりまして、ほぼ構図が決まったような状態だと思うんですけれども、改めて竹本大臣の支持する候補などがございましたら教えてください。
(答)ここは国務大臣としての会見の場でございまして、国政に関する自分の所掌事務について御説明し、質疑に答える場所だと思っておりまして、今おっしゃったことは、その対象外でございますので、ここでお答えすることは適切ではないと考えます。

(以上)