竹本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年9月1日

(令和2年9月1日(火) 10:38~10:52  於:中央合同庁舎第8号館1階S108記者会見室)

1.発言要旨


 4件、こちらから発表することがございます。
 まず一つは、「令和元年度原子力白書」についてでございます。いわゆる原子力白書を、本日の閣議で資料配付いたしました。これは原子力政策の現状や取り組みについて書いているのですけれど、特に重点を置いておりますのは、原子力に携わる人材をどう確保するかということについての考え方と、政府としての方針、そういったものを詳しく書いているものでございます。どうぞお読みいただきたいと思います。
 2番目に、少し耳慣れない言葉なのですけど、「エビデンスシステム」e-CSTI公開の立ち上げでございます。科学技術・イノベーション分野において、EBPMを推進するため、インプットやアウトプットの関係性を分析する機能やデータを共有するプラットホームであります「エビデンスシステム」の公開サイトを立ち上げました。日本の科学技術力を評価する場合に、どうしても大学等における「研究力」、「教育力」、それから「資金獲得力」、こういったものが問題になるのですけれど、こういったものをデータ化しまして、今までは関係者だけでそういうデータを共有していたのですけれど、一般の方も外から見られるようにしたというのが今回の発表のポイントでございます。
 それから、昨日でございますが、NECの視察をやってまいりました。NEC本社の1階に大きいショールームを持っておられまして、顔認証システム等を初めとする最新型の技術を見せていただきました。「NEC Future Creation Hub」といっておられる施設でございます。先般、私は和歌山県の白浜町を視察いたしまして、これは内閣府がお金を出して民間と共同で実証実験をやっていた顔認証システムです。それが、例えば空港で降りまして顔認証しますと、白浜町内における買い物、宿泊料金の支払い等が全部キャッシュレスで行えるという実証実験でございましたけれど、そういったことはこれからどんどん増えてくるであろうと期待しているわけでございます。同時に議論になりましたのは、2025年に大阪万博がございますけれど、そこの一つの出し物として、顔認証で入場できるのではないか、またそのようにしたいという希望でございます。確定ではありませんけれど。例えばそういうこととか、あるいは、自動運転に類する空飛ぶタクシーがそのころ実証実験できるかどうかという話にも議論が及びまして、非常に夢のある視察ができたと思っております。いずれにしろ、5GにこのNECさんは真剣に取り組んでいただいているので、オープンイノベーションを推進する我々の立場としても非常に助かっているということでございます。
 それから4つ目、今後の予定でございますが、9月2日、明日、茨城県の東海村に出張いたします。茨城県の東海村を訪問いたしまして、次世代のがん治療法の一つでありますBNCTというのがございますけれど、その実用化が進んでおりますので、いばらき中性子医療研究センターを視察する予定でございます。また、日本原子力研究開発機構(JAEA)におきましては、放射線について幅広い研究開発を行っておりまして、当日は大強度陽子加速器J-PARC、それから、今後の再稼働が期待される研究用原子炉、JRR-3を視察予定でございます。現場の声を真剣に聞いて帰ってまいりたいと思っております。

2.質疑応答

(問)e-CSTIの一般公開サイトの立ち上げなんですけれども、一般への活用を促進していくために今後どのような取り組みを行うのか。あと、今回公開されているデータは限られているんですけれども、今後どのようなスケジュールで公開データを増やしていくのか、そこら辺について教えてください。
(答)まず、一般に公開いたしますので、皆さん方はスマホからも見られるようになるわけでございまして、その中で今後こうして欲しいとか、こういうデータがあった方が良いのではないかという声が当然あろうかと思います。詳しいことは後ほど、担当者が来ておりますのでそちらで説明させますけれど、そこは柔軟にやっていきたいと思っております。
(問)先日、安倍総理が辞任を表明されまして、7年8カ月にわたった安倍政権が終わるわけですが、この7年8カ月を振り返って、科学技術・イノベーション政策に関して一番功績があったと思う点、それから、これからまだ取り組んでいかなければいけない課題についてどういう認識を持っていらっしゃるか、大臣にお話を伺いたいと思います。
(答)約1年、安倍政権の一員としてこの科学技術政策を担当してきたのですけれど、正直言って、非常に対応が早いということと、前を向いて積極的に進んでいるということについては、安倍総理の大きい御功績だと私は感じております。
 さて、具体的に申し上げますと、安倍政権は発足後に2013年にImPACT、挑戦的研究開発を推進する計画でございますが、これをスタートさせました。2014年には経済社会の様々な課題解決のための府省横断型のSIP、これも発足させました。それから2018年にはムーンショット型の研究開発制度、これを発足させました。それから2014年度には、科学技術の司令塔でございます総合科学技術会議を総合科学技術・イノベーション会議として、イノベーションという概念を入れた会議に編成替えいたしました。
 このように、例えばImPACTですと550億円を5年間で使うとか、それから2014年度のSIPだと300億円を1年で使うとか、それからムーンショットですと1,000億円以上を5年で使うとか、割に思い切った投資をやっておりまして、これにより日本の技術力がさらに磨かれることによって、世界から注目も浴びるであろうと思っております。
 いずれにしろ、御質問のどういう成果があったかということについては、私は相当大きく踏み出した成果があったと感じておりますし、今後もそれに続く努力をしていかなければいけないと思っております。
(問)課題ですね。例えば若手研究者の支援とか基礎研究について、まだちょっと足りないところもあるという指摘もあると思いますけれども。
(答)はい、若手研究者については、若手研究者の社会的地位が低いとは言えないかもしれませんが、十分恵まれた環境でないのは事実であります。ですから、創発的研究支援制度、研究費を700万円を10年間出すと、7,000万円ですね。相当の支援になると思います。そういう創発的研究支援制度をスタートさせましたし、科学技術大臣表彰も設けましたし、いろいろやりまして、科学技術に従事することが非常に誉れあることであると感じられるような状況をもっとつくっていかないといけない。
 現実に、米国と比較しますと、研究者の待遇が余り良くないのも事実でありますし、最近に至っては、例えばIT関係ですと、中国が年俸2600万円で大卒の方を雇っているというような話もこれありでございまして、給料もある程度上げないと、国際マーケットの中で優秀な人を日本にとどめ置くことができないのではないか、あるいは途上国から日本に呼び寄せることが難しいのではないかと思っておりますので、その辺の向上をしっかりと図っていきたいと思っております。
 それからもう一つは、やはりポスドクに見られますように、身分の安定、これもしなければいけない。それから大学で発明、発見された知的財産については、しっかりと産業界がそれを評価しなければいけない。日米比較すると、日本の評価はアメリカの20分の1というデータもございます。こういうことでは優秀な研究者がどんどんアメリカへ行ってしまうのではないかと、それは困ると思っております。
(問)大臣が内閣の一員として、今回の総理の辞任の意向を示されたことについてどう思うかということと、あと、総理大臣がかわると思うんですけれども、今後の総理大臣に望むことがあれば教えてください。
(答)安倍総理が辞めると言われたのは全く驚きそのもの以外の何物でもない、全くそんなことはあり得ないと思っておりましたのであれですけれど。ですからアベノミクスを初めとして、安倍政権の中で展開されたいろいろな施策が、私の思いとしては成功をそれなりにしているし、今後も足りないことを補うことによって同じ方向でやっていただければ良いのではないかという、個人的な期待はしております。
(問)例えば今後の方に求める対策ですとか、こういう内閣にしていって欲しいとか、そういうことは何かありますか。
(答)どういう方が次、後を継がれるのかもちろん分かりませんので、今それについては発言は差し控えておきたいと思います。
(問)自民党総裁選に関してなんですけれども、昨日、竹本大臣の方から菅官房長官に総裁選の出馬を要請されたという報道がなされておりますけれども、これに至った経緯と理由についてお聞かせいただけますでしょうか。
(答)ここは国務大臣としての会見の場でございますので、そういうテーマについてはお答えいたしかねます。
(問)同じく自民党総裁選についてお伺いいたします。岸田政調会長、そして菅官房長官両氏が正式に出馬を表明された場合は、大臣は菅官房長官を支持するという御意向なのでしょうか。
(答)今申し上げましたように、ここは国務大臣としての、私の施策等について御説明し、質問を受ける場所でございますので、そういう政務に関することをお答えする場ではございませんので、そういうことはお答えいたしません。

(以上)