竹本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年7月3日

(令和2年7月3日(金) 11:17~11:35  於:中央合同庁舎第8号館1階S108記者会見室)

1.発言要旨


 こちらから発表するものが5つございます。
 最初に福岡出張でございまして、実は昨日、福岡へ行ってまいりました。福岡のグロースネクストというベンチャーキャピタルの集まっているところ及び九州大学を視察してきました。最初のグロースネクストというのは、高島市長が非常に積極的でして、160社ぐらい集まっていると言っていましたけれど、そこでいろいろな生の声を聞いてまいりました。九州大学では久保総長から、産学連携の状況やオンライン授業の取組などについてのお話を聞きました。九大はこの新しい、非常に広い所へ移転したものですから、素晴らしい環境であるのは事実であります。そこで場所をたくさん確保できるものですから、「水素エネルギー国際研究センター」がありまして、佐々木先生という方が地元と一体となって水素の研究をなさっておられます。社会実装をして水素を実用化したいということですが、水素は皆さん御承知のとおり、発電時にCO2を出さないけれど、製造コストが高いんです。それをどうするかという問題があるようです。この会合には、福岡県の小川知事も同席してくれました。そんなことで昨日帰ってまいりました。それが第1点であります。
 第2番目に、今日、愛知県、それから来週の月曜日、大阪府に出張いたします。ともに、ベンチャーの現場の意見を聞いてこようということであります。スタートアップ・エコシステムを念頭に置いておりますが、別にそのことのために行くわけではなくて、大体日本でベンチャーを始めると出資者とどのような出会いを確保することができるのか、どういうことで悩んでいるのか、そういったことについて、若い人たちからいろいろ意見を聞いてまいります。そこで、今日行きます愛知県では名古屋大学へ行くわけですけれど、ノーベル物理学賞受賞の天野先生から、産学連携のお話をお聞きしようと思っております。それから、文科省の世界トップレベル研究拠点プログラムの採択拠点になりました「トランスフォーマティブ生命分子研究所」がございますが、そこも訪問してこようと思っております。大阪府の場合は、梅田の駅の上にイノベーションハブをつくっておりますので、そこで起業家、研究者などとの意見交換を図ってまいりたい、経済界も含めて図ってまいりたいと思っております。
 次に、3番目ですけれども、「ニューノーマル時代のITの活用に関する懇談会」の中間論点整理の発表でございます。先月、6月中旬から開催しております「ニューノーマル時代のITの活用に関する懇談会」、これはIT政策の方向性をまとめるためにやっているわけでございますが、アフターコロナでの新しい「ニューノーマルの時代」においてITをどう活用していくかということを基本的な課題として、私の、大臣懇談会をつくりました。竹中平蔵先生に座長を務めていただきまして、議論を重ねていただいております。現在、中間の状態ですけれど、現時点における論点を少し申し上げますと、1つはデジタル化による競争の激化に対応するためのデジタル・インフラの更新と拡充と言っておりますが、要は、例えば国土整備等も含めまして、全国にデジタル化の網を張るということを、デジタル・インフラ整備をやっていきたいということが1つです。それから「デジタル・デバイド」、誰一人残さないという意味で、お年寄り等、デジタルについていけない人に対してどういう対応をするかという、これは大きい課題であります。それから、政府の完全デジタル化も大きい問題だと思っております。政府のLANの統一に向けては既に議論を開始しましたけれど、こういったことも含めまして政府の完全なデジタル化を目指したい。それからもう1点、4点目ですが、諸々のことを考えますと、政策の基盤となるIT基本法というのがございますが、これはやはり改正していかなければいけないのではないかと思っております。政府CIO等を持っておりますけれど、司令塔機能をさらに充実する必要があるだろうと思っています。こういった大きく分けて4点ぐらいを念頭に置いて議論をしていただきました。この中で上がってきたものを、骨太の方針に入れていきたいという希望を持っております。この議論の中身につきましては、後ほど竹中座長の方から皆さん方に詳しい説明をしていただくことになっております。
 それから次に、「宇宙利用の現在と未来に関する懇談会」の設置でございます。来週の月曜日、6日に「宇宙利用の現在と未来に関する懇談会」を開催いたします。宇宙は今後、日本の成長を牽引し得る有望な分野だと思います。特に思いますのはアフターコロナとなりますと、今までとは違う社会状態が発生するわけでございますけれど、必ずしも明るいものばかりではありません。例えば現在の経済状況を見ましても、住宅は800万戸の余剰がございますから、ある意味では、産業としてはある程度頭打ちであります。自動車もそうであります。その点、宇宙というのは、今まではその分野の研究の科学者であるとか、あるいはそれに趣味を持っている人たちであるとか、言ってみれば一部の人たちの関心の的であったような感じがしますが、よくよく考えますと、これからの20年、40年後を考えますと、宇宙ということは放っておけない分野だと考えられますし、宇宙産業が大きく成長することは間違いないと思います。しかも国際競争の分野で見ましても、アメリカ、中国、EUから相当宇宙関係予算の面では遅れております。日本の3倍ぐらいがEU予算でありまして、アメリカの予算は日本の15倍ぐらいであります。そういうことを考えますと、やはり、予算の増額も考えなければいけない。そしていろいろな技術分野の開発もしっかりとやらなければいけない。アメリカからはアルテミス計画の協力を求められておりますし、それには応諾しておりますけれど、これにもやはり予算がかかります。あれやこれや、やることがたくさんございますので、日本の未来の夢を託す意味で、やはり宇宙というのは非常に重要だという私の認識でございます。そういう意味で各界の有識者からいろいろな意見をお伺いしたいと思って懇談会を立ち上げました。座長は角南篤先生、政策研究大学院大学の客員教授であります。また、宇宙飛行士の山崎直子さんにも入っていただいております。そういったことで来週月曜からやります。冒頭は取材をしていただけますので、よろしくお願いしたいと思います。
 最後に、第1次補正、第2次補正ときましたので、全体でどれだけの科学技術予算がついているのか、まとめました。その資料をお渡しするわけでございますが、第1次補正においては4,425億円、要するに科学技術関係で、それから第2次補正では3,302億円。令和2年度の本予算等を合わせますと全体で5兆1,500億円になります。これで全部集計していきますと、24.6兆円になるわけであります。5カ年で26兆円という政府の計画でありますから、少し足りない。それをどうするのかということでございますが、地方自治体の科学技術関係の予算は毎回5,000億円ございますので、それを引きますと約9,000億円ぐらいが、我々サイドで努力しなければいけない予算の額だと思っております。何とか達成したいと思っておりますが、そういう状況を御説明いたしました。

2.質疑応答

(問)昨日の福岡出張でいろんなベンチャー、スタートアップ企業とお話したかと思うんですけれども、特に印象に残ったところとか、この内容は重要だとか、そこら辺はどうだったでしょうか。
(答)そうですね。いろいろありましたけれども、1つはアメリカ人の方もおられまして、ベンチャーで、非常に面白かったのと、例えば、蚕からPCR検査の材料というか、薬品を作ろうという努力をしておられる方がおられました。私は、蚕というのは関東地方だけでやっていると思っていたら、実は九州でも元々やっていたらしいです。その蚕の技術でPCR検査に役立つものを作るというようなものもございました。
 それから、いろいろポストコロナで、例えばホテルに泊まる人がぐっと少なくなるとか、あるいはオフィスのレンタル料は高いから、小さい、ホテルの一部をオフィスに使うように、だから部屋を細分化するんでしょう、そうしてコストを下げる。そんなことをやっている人たちとか、諸々おられまして、160社ぐらいという御説明でしたけれど、非常に熱気がありまして。だから九州の伝統産業の例えば焼き物なんかもそのものだけを全国に販売するのではなくて、何かプラスアルファの付加価値をつけてデザインを良くするとか、何かいろいろやっておられるようですが、諸々のことがございました。
 そこで言っておられたのは、どんな思いつきでもやはりお金が必要です。インキュベータになる人がいるのかと聞いたら、地元にもおられるようですが、結構東京からもアプローチが相当かかってこちらへ来ておられる出資者が多いと言っておられました。
 非常に熱気があったのは事実でありまして、凄いと思いました。
(問)科技予算の件でちょっとお聞きしたいと思います。なかなかこういうふうに目標を掲げたものを達成するのは難しいなというふうに思いますけれども、GDPの1%とか、いろいろ別の指標で見るべきところはあるかとは思うんですが、予算の編成の仕方としてどうしても補正頼りとか、あとは4期と計算方法が変わっているのでなかなか比較はできないんですが、例えばそのイノベ転換を加えることで、要は金額が大きくなってきているというふうな理解をしています。
 実際に研究現場にどれだけの真水の研究費が届いているかということも含めて、大臣の所感をいただければというふうに思います。
(答)おっしゃるように、1つは科学技術関係予算を膨らませるために近々、各役所、関係のところを呼びまして、これは宇宙に関してですけれど、宇宙関係予算を伸ばしたいので、各省でそれぞれ、そういう予算を上げていただきたいと要請するつもりです。例えば防衛省、宇宙作戦隊というのができておりますが、それの更なる発展等々を考えますと相当予算が必要になるだろうと思っております。それが要求してくれればありがたいと思っておりますし、国土交通省もGPSがありますから、GPSあるいは衛星の打ち上げ等々のことも公共事業の中でやっていただくと同時に、科学技術関係予算として計上できる面があると思います。
 また、例えば、土木の測量等におきましても、ドローンを使えばそれは科学技術関係予算として計上できます。あれやこれや、ともかく科学技術関係予算を増やすためにいろいろな努力をしたいと思っております。
(問)これで、これからも研究強化も含めて、これまでの予算の立て方として正しかったかも含めてどうなんですか。
(答)いや、もっと欲しいのは事実であります。ですから、GDPが500兆円としてそれの1%です。それを5年間続けるということでございますが、要は政府の予算と民間の予算を合わせて、どれだけの科学技術関係の予算が膨らんでいるか、一番問題になると思っております。
 そういう意味で、PRも含めて相当努力をしないといけないと思いますが、やはりコロナという1つの経験を積みまして、科学技術を使って世の中を変えていかなければならない、トランスフォーメーションしていかなければならない、そういう需要が現実に大きくありますので、それは関係者の皆さんの理解をいただいていると思っております。ですから、増やしていきたいということでございます。
(問)今の科学技術関係予算の件ですけれども、現状のままいくと約9,000億円足りないじゃないかということですが、ちょっと基本的なことですが、今後どういった場でこの約9,000億円というのを増やしていけるんでしょうか。
(答)いや、分野的には私は、先ほど言いました宇宙関係が増やし得る分野としては大きいのではないかと思っております。
(問)その予算編成としてはどういった場があるんでしょうか、今後。
(答)それは今度、7月末ですけれど、骨太方針を締め切ります。予算は例年より1カ月遅らせていますので、その間に今まで議論していたことで、予算をつけられるものをどんと入れていきたいと思っています。
(問)宇宙利用の懇談会についてですけれども、来週月曜日に初回会合を行われるということですが、今後どういったスケジュール感で、どれくらい開いていくのかということと、最終的に何か形にされるのかということについて伺えますでしょうか。
(答)回数は決めてはおりませんけれど、最終報告はきちんと出していくつもりです。、総理を本部長とする本部で最終的には宇宙政策を決めているのですが、やはり、行政を指導する立場として、宇宙についての1つのピクチャーを提示して、どこに重点を置くかということをはっきりさせた予算要求及び各関係の団体への要求をしていきたいと思っています。
(問)すると、概算要求までに終わらせるようなイメージということでしょうか。
(答)そうです。9月です。
(問)ちょうどこの間、宇宙基本計画が改訂されたばかりで新しく懇談会ができる形にはなるんですけれども、その宇宙基本計画と今度懇談会が報告書を出されるものとの関係というのは、例えば見通しているタイムスパンが違うのか、どういう位置付けというか関係性を考えていらっしゃるんでしょうか。
(答)宇宙基本計画は10年という1つの大きいスパンで見ております。そのために、下部にある委員会等には専門家を集めて我々が具体的にいろいろなことをやっていただいて、それをオーソライズして計画に上げているのですけれど、宇宙の世界も刻々と変化していきますし、アルテミスのように、いろいろ各国から要請がいろいろ入ってまいります。ですからそのようなことを念頭に置きながら、今、どこに力を置くべきか、ということを常に動きながら見ていかなければいけません。それがこの懇談会を設置した理由です。
(問)その報告書を踏まえて、例えばその後、宇宙政策委員会の部会で検討するということもあるのでしょうか。
(答)もちろんです。そちらへ反映させていきます。種探しです、プロジェクトファインディングなところもございます。

(以上)