竹本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年6月16日

(令和2年6月16日(火) 17:13~17:29  於:中央合同庁舎第8号館1階S108記者会見室)

1.発言要旨


 2件ございます。一つは、科技法等の一部改正法案が、今日参議院内閣委員会で可決されまして、明日本会議で採決という運びになりました。イノベーションという概念を入れるということと、人文科学の概念を入れるということを基本とした法案でございますが、これにより新しい展開をしていくことになります。法律は25年前にできたもので、本当に久しぶりの改正でございますが、時代に適応した法律として有効に活用されれば良いなと思っております。特にコロナを経験しましたので、まさにその必要性が増してきたと考えております。それから、組織的なことでございますけれども、来年4月に内閣府に新たに「科学技術・イノベーション推進事務局」が設置されることになりました。それで、その他の健康・医療(戦略)室、これは内閣官房にあったものでございますが、それを内閣府に持ってきまして、その他知財とか諸々の各事務局と横串で統一してこういった問題に当たることができるということでございます。
 もう一つは、科学技術白書でございます。(本日、令和2年度の科学技術白書を閣議決定しました。)今回の科学技術白書は、「未来社会」に焦点を置いております。2040年に焦点を置いて、ポストコロナ時代における様々な社会課題を解決していくためには、科学技術の力は当然必要でございます。どういう展開があるかということを考えながら白書を編んでみました。現在取りまとめております次期「統合イノベーション戦略」の早期策定とその着実な実行、さらには来年から始まります次期の科学技術基本計画を通じまして、我が国の科学技術・イノベーションの能力の向上に努めてまいりたいと思っております。

2.質疑応答

(問)科学技術白書なんですけれども、2040年の未来社会、これはさまざまなことが書かれているんですけれども、こういう社会を実現するために大臣としてこれからどんな取り組みが必要だとお考えなんでしょうか。
(答)何といってもSociety5.0の仕組み、それがやはり導入された社会でございますので、それを前提とした未来図を描いていかなければいけないと思っております。したがって、その中にはムーンショットで我々が描いているようなものもたくさんあるわけでございまして、そういったことが実現する中で、それを実現した基礎の力として、科学技術の力ということは皆さんに認識される必要があろうかと思います。また、そうされるように、科学技術がリスペクトされるような社会にしていくことによって初めてその夢が実現していくのではないかと思っております。
(問)もう一つ、先ほど統合イノベーション戦略の話も出たんですけれども、統合イノベーション戦略の早期の取りまとめは、いつごろ取りまとめられそうなんでしょうか。
(答)まだ時期は決まっていないんですけれども、準備の会議は近々やりまして、早晩、基本的な戦略として決定いたしまして、それを基に今度は計画をやりますけれど、計画は年末か、あるいは年明けると思います。
(問)今回、科技法の件なんですけれども、委員会の審議を通して、やはりイノベーションの概念が入ることによっていわゆる社会実装を意識した研究が重視されて、基礎研究が先細りするのではないかという懸念が出ましたけれども、こうした懸念が出た、相次いだことに対して大臣はどう受けとめているのかと、払拭するために何が政府としてできるかというのを教えてください。
(答)私はいろいろな議論を、今日も随分議論があったんですが、通しまして感じましたのは、基礎研究、基礎の科学技術とイノベーションとは相対立するものではなくて、基礎研究あって初めてイノベーションができ上がるものだと思っております。したがって、イノベーションに力を入れることによって基礎研究の分野が狭くなるとか弱められるということは絶対にないし、そういうことをしてはいけないと思っております。むしろ逆に、基礎研究があればこそ、今日までたくさんの方がノーベル賞を貰うことになってきたわけでございますが、ただせっかくの成果を現実社会に当てはめて、社会実装して役立てるという側面も確かに必要だろうと思います。それがイノベーションという概念を取り入れた一番の動機だと思います。諸外国を見ましても、そうやってイノベーションの側面に力を当てることによって社会に役立てている、それを見ますと、やはりそういう側面も必要だろうと思っております。
(問)関連してなんですけれども、一部野党からは運営費交付金、大学の基盤的な経費とか運営費交付金を増額というか元に戻せという意見もありましたけれども、すぐに戻すというのは難しいとは思うんですけれども、大臣としてはこの経費については今後どうするお考えですか。
(答)最近、減少が止まってはいるのですけれど、私は研究費は少ないよりあった方が良いと思いますので、運営研究費も含めましてね。両方とも増やしていくように努力をするべきだと思っております。日本のようにこれといった天然資源のない国は、やはり科学技術で生きていくしかないと思います。そのためにそれを支える研究費が潤沢にないとやはり発明・発見というのはなかなか出てこないと思っておりますし、また、それを支える社会の人々が研究者が研究しやすいような環境をつくらないといけないという意識を持ってもらう必要が絶対にあると思っているんです。今日参考人で呼びました元東工大の教授ですか、シカゴから帰ってこられた方ですが、日本の学者は非常に気の毒だと。年間で教授で20万円しかお金をもらっていないと、信じられない話だとこんな話をしておりました。アメリカはまた別だと思いますが、古井貞熙さんという方でございますけれども、現在東京工業大学名誉教授で豊田工業大学シカゴ校の理事長をしておられたという方です。その方がそういうことを言っておりました。先日も私が申し上げましたように、パテントをとりましても、アカデミアで発明された特許でも、特許をつくるのに産業界と共同でやっているわけでありますけれど、学者の取り分が75万円しかなくて、それがアメリカであれば1,600万円あると。この大きい差です。同じものをつくっても、日本でやれば75万円しかないのに、アメリカでやれば1,600万円あると。やっぱりアメリカの方がはるかに科学技術をリスペクトしている、そういう社会であろうと思います。高い評価を金銭的にもあげなければいけないのではないかと思っております。本当にここが大事だと思っています。もし今のようなまま続けていきますと、だんだん科学技術に打ち込もうと、一生をかけようという人が少なくなってきます。それが一番怖いです。そういうことにならないように施策が必要だと思っています。
(問)確認というか4月からの新体制についてちょっと確認をさせていただきたいのですが、CSTIと統合イノベーション戦略推進会議という二つの閣僚会議があるんですが、これの役割分担とかそういうのはどうなっているんでしょうか。
(答)内閣府に科学技術・イノベーション推進事務局、その事務局長は次官級で置きます。それから健康・医療、知財、宇宙、海洋、こういったことの横串を刺して、科学技術・イノベーション推進事務局長が科技イノベの統合的な政策を展開していくということであります。
(問)それで、その上位に閣僚会議がある。CSTIの本会議とか昨年立ち上がった官房長官を長とする統合イノベーション戦略推進会議、これはどういうふうな整理整頓をされているんですか。
(答)統合イノベーション戦略推進会議がありまして、その議長は官房長官です。それで、議長代理が私、科学技術担当大臣。その下にイノベーション政策強化推進チームときまして、そのチーム長が総理補佐官。その下に今申し上げた組織がある。
(問)CSTIというのはどこに位置づけられるという理解をすればよろしいですか。もうCSTIはなくなってしまうのかなとちょっと心配をしたんですが。
(答)いえいえ、それはない。CSTIの事務局の役割を果たすのが科学技術・イノベーション事務局だということです。

(事務局)今回事務局体制の変更ということであって、会議はそのまま、CSTIはそのまま残ります。
(問)それからもう1点なんですけれども、統合戦略を策定しますけれども、それを決定するのはCSTIなんですか、それとも推進会議、どちらでしょうか。
(答)(事務局)統合戦略は最後は閣議決定します。
(問)議論するのはどちらなんですか。
(答)(事務局)議論するのは両方で。

(答)先ほど言いましたように、戦略をまず決めて、それから年末から年明けに計画をつくるということであります。
(問)接触確認アプリについて先日厚労省から発表があったと思うんですけれども、感染者との接触日がわかるようにしたと思うんですが、その理由と、そうなった場合に感染者の特定につながるおそれがあるんじゃないかと思うんですが、それについて大臣の見解をお聞かせください。
(答)(アプリを利用している)人が、(アプリを利用している)誰か陽性者と接触したらちゃんと通知されるということでございます。(通知を受けた)本人が保健所でも行くでしょうという意味で、感染を予防するということが可能になる。我々が一番気にしているのが、個人情報を侵害することはないだろうかということを一番中心に置いているのですが、そういう意味ではその心配はないだろうと思っております。どこでということもわかりませんし、名前や電話番号が把握されているわけでなし、位置情報もわからないということですので。
(問)日付が分かっただけだと個人の特定につながるおそれは相当低いんじゃないかということですか。
(答)はい。
(問)それともう1点、アプリの利用者が自らボタンを押さないと感染者との接触があったかどうかわからないということにしたんですが、これは結構消極的にアラートを発することになるんじゃないかなと思うんですが、何故そうしたんでしょうか。
(答)あくまでも接触したかどうかを知りたいのは本人だと、本人の意思が確認ボタンを押すことによって自分が2人と接触したかあるいはゼロかということを確認するという本人の意思を最重要視したという仕組みであります。
(問)当初は、接触があったら表の画面にアラートがぽんと出るというような当初の構想だったんじゃないかなと思うんですが、それを変更したのは。
(答)(事務局)IT室でございます。当初、細かい仕様が、表示をするかどうかということは、これは決まっていたわけではなくて、あくまでイメージとしてそういうものをお出ししていました。実際、厚生労働省のほうで運営・開発をしたので、先日厚生労働省から出したイメージには、ご指摘のとおりアプリは自分で積極的にとる形になっているので、当初から特に変更したというものではございません。

(以上)