竹本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年6月2日

(令和2年6月2日(火) 11:04~11:15  於:中央合同庁舎第8号館1階S108記者会見室)

1.発言要旨


 三つこちらから報告するものがあります。
 一つは、宇宙基本計画の取りまとめであります。宇宙基本計画の改定案が取りまとめられる予定でございます。宇宙基本計画は、宇宙利用が非常に重要度を増しておりますし、民間の参画も非常に強くなっております。さらにアルテミス計画にありますように、月面への到着とその利活用、こういった要請が世界的にあるわけでございます。そこで、我が国としてはどう対応すべきか、ということですが、アメリカ、中国という超先進国が宇宙の世界にはあるわけですが、我が国も遅れじということで、宇宙利用大国を目指して頑張らなければいけません。ただ、予算等におきましてもそんなに多くないのも事実でありますが、これを伸ばしながら、何としてでも。宇宙というのはかつてはanother world、我が世界ではなかったけれど、our worldになってきているんです。ですから、日本の将来の発展を考えますとこれは座視できないということで、しっかりとした基本計画をつくろうということで、宇宙開発戦略本部決定、それから閣議決定を政府内で進めておりまして、近々そういう段階に持っていこうと思っております。それが一つであります。
 2番目に、衛星データ利用モデル実証事業の公募の開始でございます。衛星を使ったいろいろな、膨大なデータがございますが、そのデータを使っていろいろ先進的な事業がやれる可能性がたくさんあるわけでございますが、それを募集いたします。1件当たり最高で2,000万円といっておりますが、そういう募集をします。近年、衛星データの活用により、お米の収穫に最適な時期を判断し、おいしいお米のブランド化に成功した取り組みがございます。衛星から見ておりますと、稲刈りをする最適な時期というのが色彩が違うようでありまして、感知できるわけであります。それを衛星のデータを基に判断して、その時期に刈り取りをやる。そうするとおいしいお米ができる、こういう一つの例、あるいはインフラの変化や劣化を観察できる。国交省においては、インフラの老朽化というのを非常に心配をしておりますけれど、今までは金槌で叩いて、音で劣化していないかどうかと、そういう接触しないと実際は分からないということをやっていたんですが、これを衛星から見ることによってほとんど全部分かってしまうということでございます。これに類したことがあり得るんだろうと思って、それを民間から募集したいということでございます。
 もう一つございます。内閣府において戦略的イノベーションの創造プログラム、SIPといっておりますが、その下で自動運転の研究開発をやっております。自動車大国でありますドイツと、トヨタ等をはじめとする多くの優秀な企業を持っております我が国とで、日独間で安全性の評価、サイバーセキュリティーといった分野における研究連携をやっております。自動運転にはデジタルトランスフォーメーションを通じた、社会に新たな価値を創造する大きな可能性があると考えております。そういう意味で、日独で連携をして、これから来るであろうデジタル社会における新たな価値についての情報交換、技術連携をしていこうということで、日独の共同プレスリリースを本日午後5時に公表することにいたしております。

2.質疑応答

(問)今朝、文科省と経産省の合同の検討会がマテリアルの研究開発に関する提言をまとめて、提言の中でマテリアルの国家戦略をつくるべきだということを言っているんですけれども、総合戦略とか第6期科学技術基本計画にどのように今回の提言を受けて活かしていくのか、あるいは国家戦略、AI戦略だとかバイオ戦略だとか量子戦略みたいな、そういうマテリアル戦略をつくるのかどうか、そこら辺について教えてください。
(答)物質、材料、デバイスといったマテリアルは、我が国の科学技術・イノベーションを支える重要な基盤技術でございますが、我が国がこれまで数多くのイノベーションを生み出し、世界の経済社会を支えてきた非常に重要な分野であります。
 そこで、既に文科省と経産省によってデータの戦略的活用等を内容とする「マテリアル革新力強化のための政府戦略に向けて」という取りまとめが公表されると聞いております。内閣府といたしましては、産学官の共通ビジョンの下で政府戦略の策定等について関係各省とも相談しつつ、しっかり検討してまいりたいと思っております。
 要はマテリアルは、先ほどおっしゃった量子技術等と同列に極めて重要なものであり、我が国はインダストリーに非常に強いという特徴がございますが、その背景にはやはりマテリアルが強かったということもございますので、非常に重要な分野でございます。ですから、両省で研究開発しておりますけれど、我が方としても国家戦略を考える立場から、これに対しては深い関心を持っているということでございます。
(問)宇宙基本計画の改定、当初は6月ごろにも閣議決定というお話だったと思うんですが、コロナによるスケジュール感への影響というのは今あるでしょうか。
(答)コロナでいろいろな予定が狂っているんですけれど、基本的にはそんなにありません。大体、ほぼ予定通りやりたいと思っております。
(問)3月末ごろに改定案というのがある程度まとまって、その後パブコメに行ったと思うんですが、似たような質問で、緊急事態宣言が出た後、状況が変わってきていると思うんですが、計画への影響とかというのは何かあったりするでしょうか。
(答)緊急事態云々でこの中身が変わったというものは特にないと思います。それも踏まえまして、コロナ対策も一応踏まえて、緊急事態のようなときにどういう対応をするかということも踏まえて、対応を決めているところであります。
(問)では、特に緊急事態というかコロナが4月以降こうなって、緊急事態とかいろいろ状況も変わってきていますが、特に基本計画自体への影響というのはないということですか。
(答)はい。もちろんコロナというような事態が起こることを前提にして、その場合は緊急事態宣言が出される可能性もあるわけですから、それに対してデジタルの技術を使ってどう対応するかということは、当然中身に入っております。
(問)宇宙基本計画の関連ですけれども、近々本部決定、閣議決定ということですけれども、大体いつごろの見通しでいらっしゃいますでしょうか。
(答)6月中と思っているのですけれど。
(問)それと、衛星利用モデル実証事業についてですけれども、対象となる人工衛星には、例えばどういったものが想定されていらっしゃるのか教えてもらえますでしょうか。これは政府が運用している衛星ということですかね。
(答)(事務方)利用する衛星に特段の限定はなく、広く提案を募るものです。
(問)宇宙基本計画の関連で、四つ柱を案で挙げられていたと思うんですが、この中で大臣が一番重視されていきたい分野があればコメントをいただけますか。
(答)人工衛星、ロケット等について、産学官の連携による開発、実証体制の構築というのが一つございます。それから国の事業としてやる場合に、衛星データを利用すること、あるいは民間にできるものは民間でやらせなければいけない、こういった民間の活力の活用ということも一つのことでございますし、日本人宇宙飛行士の活躍の機会の確保、我が国の宇宙先進国としてのプレゼンスを発揮できる政府を挙げた戦略的な取り組みの推進、こういったことが盛り込まれるわけでございますが、何に一番私が関心があるかというと、予算です。
 予算が全然、我が国はアメリカの15分の1、これを何とかしないといけない。今3,000億円台の予算でございますので、せめて1兆円ぐらいいきたいと思って、この間も総理に申し上げたんですけれど、急に1兆円というのはいかないかもしれないけれど、しかしコロナでこういう災害があったときは、一つのチャンスだと私は思っております。
 先ほど申し上げましたように、宇宙というのはanother worldではなくなってきて、我々の社会になってきましたので、ぜひ予算を増やしていただきたいと思っております。

(以上)