竹本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年5月29日

(令和2年5月29日(金) 10:33~10:45  於:中央合同庁舎第8号館1階S108記者会見室)

1.発言要旨


 まず科学技術イノベーション国際協力に関するテレビ会議をやりました。26日火曜日ですが、ガブリエル欧州委員会の委員長、向こうの大臣ですけれど、そちらと約40分近く(テレビ会議を行い、科学技術・イノベーション協力の強化に関する合意文書(LOI)に署名しました。また、28日にはG7科学技術会合に出席しました)。中身は、いろいろな意見交換をしたわけでございますが、コロナで全世界が苦しんでいる中で、やはり各国の研究協力の情報交換というか連携が必要だということ、それからデータの可能な限りの公開をしなければいけない、そういうことを議論し合いました。また、スーパーコンピューター、我が方は「富岳」を持っておりますが、そういったものをお互い使うこともやりましょうという話もしました。そういうことで非常にいい自由討議もできまして良かったと思っております。それが1つであります。
 2番目に「新型コロナウイルス感染症の緊急経済対策」についてであります。御承知のとおり、27日に第2次補正予算が閣議決定されました。この中に科学技術・イノベーション関係で申し上げますと、新型コロナウイルス感染症対策に関するワクチン、治療薬の開発で600億円、新型コロナウイルス感染症拡大の影響下における着実なバイオリソースの維持の設備整備等で9億円、あるいは強靭な経済構造の構築のために政府のネットワーク環境の再構築で8億円、スマートライフ実現のためのAIシミュレーション事業で14億円、それから大学等における基盤構築で21億円、スタートアップでも施策が盛り込まれております。私が担当するものを具体的に申し上げますと、政府のネットワーク環境の再構築。これは、この間LANの統一ということでやりました。全省庁のLANを1本にまとめるということでございますが、それに関する予算が8億円近くついております。また、スタートアップ資金繰り対策が、これはもう私は非常に強く各界に要望していたことでございますけれど、その関係の予算がついております。いずれにしろ、「ニュー・ノーマル」という時代を迎えますので、その中にはデジタルは欠かせないことでありまして、どのような社会にしていくことが一番社会が効率よく安全で、人々の幸せ感を確保できるかという広い観点からいろいろ研究をしなければならないと思っておりますが、その関連の予算を入れてもらったということでございます。
 3番目ですが、新型コロナウイルス感染症の研究開発費のことでございます。御承知のとおりコロナが始まりましてから2月に第1弾で20.3億円、それから第2弾で3月に31.1億円、4月17日に32.5億円、それから4月30日には緊急経済対策で751億円と、これは1次補正予算の中身でございますが、そのように1次、2次、3次とやってきたのですが、今回第2次補正で総額609億円を追加する予定です。今まで配分してきましたトータルの額が835億円ございまして、609億円に835億円を足しますと1,444億円ということでございます。金額の多さを問題にするわけではなくて、ともかく何が何でもこのコロナに対する治療薬を見つけていただこうということで、国として全力を挙げているということでございまして、その予算をきちんと見ていただいたということでございます。
 次に少し細かい話でございますが発表いたします。先般、全国の8,000の病院、これは20床以上の病院ですが、その情報を全部1点にまとめてやるという話をしましたが、その中に医療従事者の人材募集機能を加えるということでございます。つまり、非常に医療が逼迫しておりまして、人材不足に陥っております。従って、例えば看護師の資格は持っているけれど、家で主婦として生活しておられるような方も、それを見て、では病院で働いてやろうかという方を探すということでございます。
 次に、知的財産戦略本部会合でございます。先般、知的財産戦略本部会合において「知的財産推進計画2020」を決定いたしました。これは言うまでもなく、コロナ後の「ニュー・ノーマル」の時代において、どのような社会を実現していくかということと、その中において、例えば無形資産の価値を大きく見なければいけないということもあり、いろいろな多方面の知的財産についての考察をきちんとやることによって、世界のリーディングカンパニーの1つとしてその分野でも存在感を示すような国になりたいという思いの中で、「知的財産推進計画2020」を決定したわけでございます。1つは大学発の知財を評価、活用する仕組みの強化でございます。大学でいろいろな知財が発明、発見されておりますが、それを一般社会が日本の場合は余り高く評価していない。アメリカとの比較をしますと、例えば特許等を見ますと、日本で特許等を大学で発明した場合に1人当たりで割って計算したんですが、75万円しかもらっていない。ところがアメリカの大学で特許等を取った人たちは1,600万円以上のお金をもらっている。20倍ほどの差があります。これでは日本の優秀なアカデミアの研究者はアメリカへ行ってしまうのではないか。これは何とか是正しなければいけない、それにはアカデミアと産業界、製造業界との一定のコンセンサス、相互にリスペクトする関係がないといけないのではないかと私は考えております。そういった大学発の知財をより育て、そして大事にする、そういう社会をつくらなければいけないということでございます。第2にクールジャパンの取り組みを地域に根づかせようというようなことが中身として入っております。さらに、デジタル時代におけるコンテンツの充実と、こういったことを内容とした「知的財産推進計画2020」を決定したということでございます。
 それから次、これが最後でございますが、「Gサイエンス学術会議」共同声明についてでございます。日本学術会議を含みますG7サミット参加各国等の科学アカデミーの集合体でございます「Gサイエンス学術会議」がございます。ここが5月28日に3つのテーマについて取りまとめを行い、そして共同声明として出しました。中身は、1つは基礎研究の重要性を認識するということ、健康推進への情報技術の活用を図るということ、それから地球規模で昆虫が非常に減っていると、それについて危機感をこの学術会議では持っておられまして、その研究をきちんとやろうと、こういう声明を出されたということでございます。

2.質疑応答

(問)2つ教えてください。1つは、昨日の科学技術・イノベーション特別委員会で科学技術基本法の改正についての審議が始まったかと思うんですが、改めて科学技術基本法改正の意義と、成立に向けた見通しについてはどのようにお考えなのか教えてください。
(答)科学技術こそ資源の少ない我が国が一番重視しなければいけないことでありますから、従来の体制以上にあらゆる分野に気を配った総合的な科学技術体系をつくっていかなければならない。その中にイノベーションを入れなければいけない。それから、人文科学だけの科学も入れなければいけないということになっているわけでございます。
 そして、その科学技術を支える社会体制をやはり、今少し申し上げましたけれど、大学発ベンチャーがもっと育つような環境をつくるとか、あるいは発明発見に対する評価を国際標準並みにしていただけるような社会にするとか、そんな気持ちを込めて、この法律を何とか今国会で、もちろん通していただきたいと思っております。
 国会の会期が少ないですけれど、国会の方でお決めになることではありますが、会期内できちんと通していただきたいという強い希望、要望を持っております。
(問)もう1つなんですけれども、昨日の委員会でも日本の基礎研究が低下しているんじゃないか、そういう発言があって、今日のGサイエンスの共同声明でも基礎研究の重要性について触れられています。大臣としてはこれから基礎研究を強化していくためにどのようなことを行っていくべきだと考えていますでしょうか。
(答)基礎研究に従事する研究生の、例えばポスドクの方とか、そういった研究者の経済的環境を含めました環境を抜本的に良くする必要があると思っております。
 例えば、任期付きの研究員が非常に多くて5年とか10年でやっておられまして、例えば5年経ったら次どこに行こうかとなると腰が落ち着かないんです。それでは気の毒だと、それが1つ。
 それから、研究して何か成果を挙げようと思ってその世界に入った人でも、実際に働いてみると雑務が無茶苦茶多いと聞いています。これも少し気の毒な話でありまして、この辺の環境を良くしなければいけない。
 さらに、生活をする日々において、研究費が足りないということと、生活費も十分でないという問題があります。この問題に対しましては昨年の補正で1人700万円程度、最長10年間支給するという制度をつくりました。数百億の予算を当てておりますが、それでももちろん十分ではございません。そういったことをいろいろやりながら自分の一生を科学技術の研究に捧げてみようという、そういう若い人たちがチャレンジできるような魅力ある職場にしていかないといけないと思っておりまして、そういうことを調整することが私の方の仕事だと思っております。

(以上)