竹本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年5月26日

(令和2年5月26日(火) 11:02~11:20  於:中央合同庁舎第8号館1階S108記者会見室)

1.発言要旨


 こちらから報告すべきことが4件ございます。
 まず第1番目は、科学技術・イノベーション協力の強化に関する欧州委員会とのテレビ会議のことでございます。本日、欧州の科学技術担当大臣という立場にありますマリヤ・ガブリエル委員とテレビ会議を行うわけであります。中身は、我が国がやっておりますムーンショットの計画がございますが、それと相応するようなことをEUでもやっておりまして、共通のものもございますので、そういった中身等について、あるいは協力のところがあるのであれば、そういったことについて協力を申し合わせしたいと思って、その会議を開きます。それが一つです。
 それから2番目は、G7科学技術大臣会合でございます。先ほどのはEUと我が国とだけでしたけれど、これはアメリカが主催しておりまして、G7科学技術大臣会合ということで、電話会議で開催されます。日時は5月28日、日本側からは私が出席いたします。中身は、新型コロナウイルス感染症対策や、経済回復の推進に関する科学技術が果たす役割について科学技術担当大臣間で協議をしようということでございます。これは5月28日21時から2時間ぐらい、深夜にかけてやります。
 それから三つ目が、前にも少し申し上げましたけれど、ガバメントネットワーク・キックオフ会合の開催でございます。現在の政府のネットワーク環境でございますが、他の府省庁間とかあるいは民間との間でウェブ会議ができない、これが現状であります。デジタル化を進め、社会の効率化を図っていこうとする我が方の立場としては極めて残念なことでございますので、早急にこれはやはり変えなければいけないということでございます。そこで、なぜこうなったかということでございますが、各府省間で個別最適の観点からいろいろネットワークの整備を図ってきております。ですから省によってネットワークが違うということでございまして、しかも省庁間でウェブ会議ができないという現状は放置できないことでございます。したがいまして、当座は民間のウェブ会議システムを借りまして省庁間で会議ができるようにしますけれど、全体のLANの統一を図る必要があるということで、どのようにそれを進めていくかという会合を、全省庁を集めまして、政府CIOもそこには出席いたしますけれど、各省の副CIOとの間できちんと打ち合わせをしたいということでございます。日時は27日10時半から予定いたしております。
 それから、最後の4点目でございますけれども、接触確認アプリの仕様書の公開でございます。これも何度かここで申し上げておりますけれど、コード・フォー・ジャパン等の民間企業による開発成果を踏まえました「仕様書」を本日公表いたします。本日公表する「仕様書」を踏まえまして、可及的速やかにそれを利用して具体的に活動できるようにしたいと思っております。時期は6月中旬と考えております。随分遅れたような感じもいたしますが、実はApple、Googleを使っている立場から、他の国、欧州諸国、例えばドイツ、エストニアなども、時期を同じくして具体的にこれを使っていくとこういうことでございます。スマホの無線通信機能、いわゆるBluetoothの機能を使いまして、可能な限り個人情報に配慮しております。そういうことでございまして、例えばシンガポールの場合は、自分の電話番号を登録するとかになると参加者が全体の2割ぐらいしかないということで、それでは機能しない。せめて6割ぐらいは、あるいは8割近くやってくれれば理想ですけれど、そういうことができないので、個人情報が絶対に外に漏れないという配慮をしながらやっていきたいということでございます。

2.質疑応答

(問)EUとの協力の合意文書の署名なんですけれども、先ほどムーンショットなんかで協力できないかというお話だったんですが、もうちょっと具体的にこんなことをやりたいというのがありましたら教えてください。
(答)ヨーロッパの方では「ホライズン・ヨーロッパ」ということをやっておりますので、我が国のムーンショットは6テーマプラス1ですけれど、そういうことで非常に共通性がございます。それで具体的には、気候変動、農業、量子技術などの分野での協力、これが一番大きいテーマになろうかと思っております。非常に中身についての事務方での情報交換を相当密にやっておりますので、いい会議になればいいと思っております。
(問)冒頭御紹介いただいたアプリの狙い、どういうことを期待されるかというのをお聞かせいただけますか。
(答)一つは、アジアの例えば台湾とか韓国とか中国等では、個人情報をそれほど気にしないで効率を考えてやっておられますので、ここは一つの結果が出てはいるんですけれど、シンガポールでやっておりますのは、やはりBluetoothを使いますものの個人情報が外に出ることを嫌がることで参加者が少なくなる。
 では、我が国でどうするかということでございますが、やはりいろいろ関係者の意見を聞きましても、個人情報が外に出ることは絶対に困るということで、個人の名前を出さない。そして濃厚接触した事実がありますと、それは接触した方に行きますが、誰が感染した人であるかという、もちろん名前は出さないということでございます。その通知をいただいた方は、自分がそういう病気になった人と接触したという事実だけが知らされるわけで、その方は例えば保健所に通知して、そんな通知を貰ったけれど私は大丈夫ですかということでPCR検査をするとか、そのようにして蔓延を防いでいきたいということでございます。
 クラスターの防止にどのように役立つかという点につきましては、クラスターの防止に資すると総理も言っておられます。資するという効果があることだけは間違いないですが、完全にこれだけでクラスターが全部抑えられるかどうかということは、今後、もう少し実験を通して工夫をしていかなければいけないと思っております。
(問)このアプリは国民の大多数が利用しないと意味がないというふうに聞いているんですけれども、プライバシーの面でどういうふうに安心させてアプリの普及・啓発を図っていくお考えでしょうか。
(答)安心させるためには、やはり役所の方で発信しなければいけないと思っておりまして、厚労省と我が方の内閣府とで共同で国民の皆様にこのアプリを使ってくださいということを申し上げようと思っております。政府が言うことによって安心感を持ってそれを使っていただくことができるということでございます。
(問)G7科学技術大臣会合なんですが、この新型コロナと経済回復がテーマということですが、日本側として提起したいテーマ、具体的な提起したい内容とかがあれば教えてください。
(答)まとめて言いますと、今、新型コロナウイルスの対策で非常に困っております。これは我が国のみならず全世界がそうでございますので、この問題についてアメリカではどうしているか、我が国はこういうふうにしていますと、こういう意見交換。
 それからさらに、ステージ2と私が勝手に言っているのですが、一応緊急事態宣言を収束しました。いつまでも経済活動を止めていくわけにはいかないから、これからは通常の経済活動に戻らなければいけない。けれど昔のような状況には戻れない。ニュー・ノーマルの状態というのは当然発生するであろうし、またそういう工夫もしなければいけない。そこにはITの活用というのは当然あるわけでございまして、そういったことをアメリカとの間でいろいろ科学技術大臣同士ということで相談をしたいということでございます。
(問)今まではワクチンの開発とかについては国際協力というのはあったんですけれども、IT関係での国際的な協力というのはあんまり聞いたことがなかったんですが、具体的にどういうものをイメージすればいいんでしょうか。
(答)いろいろなところでITの活用でやっている分野がございますので、それをさらに相談をしていきたいと思っています。
 例えばコロナに関して申し上げますと、日本は死者数は非常に、致死率は低く抑えられております。アメリカは6%を上回っております。これはどうしてかということですけれど、ITを使った連絡とかそういったことはアメリカもしっかりやっているはずなんです。にもかかわらず結果はこういうことであるということも、私は大きい関心の的になっております。先般の科学技術大臣会合でもそのことを申し上げております。アジアの致死率は低くて、ヨーロッパ、欧米が高い、なぜかと。ITを使った、使っていないという話ではなさそうな感じもするわけです。そういったことも含めていろいろ議論したいと思っております。
(問)昨日大臣が、総理に知的財産推進計画の関係で面会されたと思うんですけれども、内容と、あと総理からどういったような回答があったかというのと、また、差し支えなければそのほか何か話題に上ったような話があればお願いします。
(答)昨日、総理のところに業務説明に行きました。知的財産推進計画2020についての説明でございます。中身は、ニュー・ノーマルに向けた知財戦略をどう考えるかということが一つ。それから、イノベーション・エコシステム。実は近々日本にもシリコンバレーをつくるというのでエコシステムの試験をやりますけれども、それとの関連において知財はどのように活用されるか、またするように仕向けるかということが関心の的でございまして、そこをきちんと説明しなければいけないということでございます。さらに、クールジャパン戦略。これをどういうクールジャパン戦略を考えているかという説明に上がったわけであります。
 総理との話の中で、日本は今回のコロナ対策におきまして、先ほど申し上げましたように致死率が非常に低い。強制権を発動することはしなかった。しかしながら死者の数は少なく抑えられている。要は、感染者の数と死者の数、両方非常に議論される方が多いですけれど、問題は死者の数、致死率の高さ低さだと考えておりまして、実は本庶先生も当初からそう言っておられました。感染者のことを気にするのではなくて、致死率のことに関心を持つべきだということでございまして、そういう意味では、割合日本の対策は成功していると言えるのだろうと思います。
 そのことは海外でも割合大きく報道してくれておりますし、各国それぞれ事情は違いますけれど苦労しておりまして、そういう中で結果として、まだ中間時点でございますけれど、致死率を低く抑えられたということは、日本の例えばタッチングカルチャーでないという一つの特徴、ハグもしない、握手もしない、遠くから挨拶だけ、おじぎだけするというこの文化の差だという人もいますけれど、それはもちろんあるだろうと思いますが、もちろんそれだけではないと思いますので、いろいろな側面からこういった問題の議論を詰めていく必要がある。
 いずれにしましても、日本は資源のない国でありますから、知財の価値を高めていくことによって日本の成長を加速しなければいけない、そういう立場にあると思いますので、非常に中身のある計画にしなければいけないと思っております。知財本部会議は近々開催する予定であります。昨日はその説明であります。
(問)宇宙関連で一つお伺いしたいんですけれども、28日にスペースX社の有人宇宙船クルードラゴンが2人の宇宙飛行士を乗せて試験飛行を行います。成功すれば次は日本人の野口飛行士が搭乗することになっていまして、JAXAでは安全確認などに気を配って準備を進めているそうです。今回の飛行試験について、大臣の所感をお伺いできればと思います。
(答)おっしゃるとおり、アメリカのスペースX社の新型有人宇宙船「クルードラゴン」といっておりますが、これの初めての有人飛行試験の打ち上げが5月28日早朝に予定されております。この飛行実験が成功すれば、JAXAの野口宇宙飛行士が「クルードラゴン」運用の初号機に搭乗することが予定されております。そういう意味で、この成功を強く私も望んでいるわけであります。
 アメリカは、一定期間、国際宇宙ステーションへ自ら行くことをずっとやっていなくて、行くときはロシアのソユーズを使っていたわけでございます。それではちょっとまずいだろうということで、アメリカが久しぶりにこの「クルードラゴン」で国際宇宙ステーションへ行くことをやってくれるわけであります。我が国はアルテミス計画でアメリカとの協力を約束しておりますので、ぜひこれに成功してもらって、野口さんにも行ってもらって、そしていろいろな知見を集めてきていただいて、その上でアルテミスに、アメリカに協力するということで、自由主義陣営の宇宙開発ということに本当に力を入れていきたいと思っております。
 今、宇宙関係の予算は3,000億円台でございますが、アメリカは10倍以上になっているかもしれませんが、圧倒的な予算を持っていますし、それより怖いのは、中国もアメリカと肩を並べるだけの規模でやっております。既に月の裏側に到達しております。アメリカはまだ行っておりません。そういう意味で非常にアメリカも気を使っているというか、緊張感があるのだと思います。きちんと日本も、宇宙開発はかつては4番目ぐらいの位置付けにありましたけれど、ぜひこの2か国に続くぐらいの実績を積んでいきたいと思っています。

(以上)