竹本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年5月19日

(令和2年5月19日(火) 11:27~11:41  於:中央合同庁舎第8号館1階S108記者会見室)

1.発言要旨


 二つこちらから報告することがございます。一つは「Covid-19」アイデアボックスについてでございます。新型コロナ(ウイルス感染症)対策テックチームの新たな取り組みでございます「Covid-19」アイデアボックスでございますけれど、5月13日から市民や事業者から行政へのアイデア募集を行いました。いろいろたくさんの優れたアイデアも含まれておりまして、そのアイデアを基にネット上で関係者等と議論して、理解を深めるとともに、何かいいものがあればそれを行政で採用するということになるわけですが、その「Covid-19」アイデアボックスの運用を開始したということでございます。既に129名、53件の提案をいただいているということでございます。
 それからもう一つは、全国医療機関の状況調査、GMIS(ジーミス)と言っておりますけれど、以前にもこちらで御報告したことがございますが、全国に病床数が20以上の病院約8000を対象に、あらゆるデータをこちらへ集めまして、それを厚生労働省とともに運用するといいますか、共有しながら適切に医療機関への対応を図っているということでございます。全国のどこの病院でもこちらで一応データがわかりますので、例えば防護服とかマスクがどの程度あって、あるいは少なくなって不足しているかという話もすぐわかりますので、適切に対応できます。

2.質疑応答

(問)先週の金曜日に、健康・医療戦略推進専門調査会が開かれまして、そこで健康医療分野のムーンショット目標が示されたんですけれども、大臣としてはこの目標を達成するためにどのように取り組みを進めていくのか教えてください。
(答)御承知のとおり、1,150億円のお金をかけまして、科学技術の分野では6分野、そして医療の分野で1分野、合計7分野でムーンショットをやっていこうと思っております。非常に夢のようなものもあるんですけれど、しかしそれをやることによって、科学技術によって将来こういう未来が開けるということを社会に知らせることも非常に重要な役割であり、しかもそれを実現をしていくということになりますと、日本の科学技術に対する賞賛の声も聞かれようかと思いますので、しっかりとやっていきたいと思っています。
 それで、医療に関しては、6月頃に、夏になるかもしれませんが、基本的にこういうターゲットでやりますという発表をして、そして公募をしまして、それに手を挙げていただこうと思っております。
(問)今週の21日だと思うんですけれども、「こうのとり」9号機の打ち上げがあると思います。「こうのとり」は今回これで引退となり、次の新しいものになるんですけれども、それに関する科技大臣としての所感をお願いいたします。
(答)「こうのとり」はおっしゃるとおり今回最終運用になり、9号機でございますけれども、21日の未明にH-2Bロケットを発射するわけでございますが、これの成功を切に祈っているというところでございます。
 宇宙開発については、御承知のとおり圧倒的に中国が今先を行っておりまして、アメリカもむしろちょっと慌てているんではないかという感じでございます。日本に対してもいろいろ協力を、アルテミス計画をはじめとした協力要請も来ております。そういう中で我が国もしっかりやっていかなければいけないんですけれど、「こうのとり」が今まで果たしてきた機能、そしてこれから宇宙ステーション等で行っていく協力を考えますと、非常に日本の役割も大きいものがあると思います。ですから、取り残されないように、かつアメリカと自由主義陣営としてしっかり手を結びながら、着実に宇宙分野の開発を積極的にやっていきたいと思っています。
 付け加えて言いますと、日本の宇宙関係予算は3,600億円なんですけれど、これがアメリカは10倍以上あるわけです。中国も日本の相当上までいっていますから、やはりもうちょっと大きくして進めていきたいと思っています。全く個人的な希望ですが、1兆円ぐらいの予算をつけて欲しいという感じがしておりますし、また、そういう時期ではないかとも思っています。
(問)アイデアボックスなんですけれども、13日からアイデアボックスを行っているということですが、いつまで行って、どこで議論して、具体化することを検討するのか、この先の流れについてお聞きしたいのと、市民や事業者を対象にということで、どういうアイデアを求めているのかということと、アイデアがある事業者や市民は何処に伝えればいいのでしょうか。
(答)今コロナで世界中が苦しんでいるわけですが、我が国もそうであります。そこでITを使って、それに対してこういうことをすればこういう結果が出るという提案をたくさん、先ほどたくさん言ったように出してもらっているんですが、その中で、ここだと使えるものがあればそれを行政の中にインプットしていきたいと思っています。
 アイデアの例を挙げますと、例えばクラウドサービスによるリモート電子署名の普及、こんなことを提案されておりますし、あるいはコロナ関連データのオープンデータによる提供、今までは完全なオープンデータにはなっていませんので、オープンデータにして欲しいという要望。あるいは政府による情報マッチングの実現、これは先ほど言いました病院の情報を地図に落としてくれとかそういう要望だと思いますが、もろもろ出てきていますので、ものによると思います。それを取り入れて、実際に実務に活用できるところは当然あり得ると思いますので、全部というわけにはもちろんいかないと思いますけど。
(問)締切などは。
(答)いえ、特にそれは設けておりません。

(事務局)今大臣が申し上げたとおり、募集テーマを定めてアイデアをいただいていますけれども、ひとまずの期限を6月5日までで区切っています。ただ、これは状況を見て、またその次のラウンドにつなげていくということに恐らくなると思います。
(問)冒頭御紹介いただいたこのGMISについてなんですけれども、恐らく5月の頭のほうから運用されていたかと思うんですけれども、今回何か新たに機能が加わったということなんでしょうか。
(答)データの提供はいろいろ民間から要望が来ているんですけれど、それを今までとは違う運用というか、オープンデータとして開放するようにして、みんなに使っていただきやすいようにしようというところが今までとはちょっと違うところだと思います。そういう工夫を幾つかやっていきたいと思っています。
 それでオペレーションしていく中で、我々が気がつかないけれど、こうした方がいいのではないかという提案でいいと思うものがあればどんどん積極的に取り入れていきたいと思っています。
(問)まずこちらから情報提供として、国際比較でも使われている日本全体の研究費の8割は民間が支出しています。それから、科研費、創発、ムーンショットなどの国の施策の原資は税金です。それで、税金は企業などが納めています。それから、民間の科学技術系の財団は、大学などの研究者に助成をしていますという事実が、エビデンスがあります。先週、大臣が、産業界はアカデミアのつき合いをよく反省すべきというふうに発言されていますけれども、何か再度御発言があればお願いします。
(答)一つは、ちょっと分かりにくいので後でお渡ししますけれども、大学のライセンス収入の推移、日米比較をやっております。それで、一番最近の数字を見ますと、アメリカが2,284百万ドルですから、日本円で2,284億円と考えていいのか。その数字ですけれども、その同じ時点における日本のライセンス収入が幾らかというと、47.7億円、要するに2,284億円に対して日本は47億円。こんなに大きい差があるわけです。10分の1どころではないんです。ですから、これはやはり何としてでも変えていかないと、日本の優秀な学者は日本で研究するのをやめて、あるいは実績を上げたい方がアメリカへ渡ってしまうと、そのように思うんです。シリコンバレーとか。ですから、日本で科学研究をやることが非常に名誉のあることでもあるし、また利用料を考えてもそれなりの報酬があると思えば励みになるでしょうけれど、この余りにもすごすぎる評価の差。アカデミアで発明した特許とかそういうものが、アメリカだったら10倍20倍で評価してくれるのにこちらは1以下にしか評価されない。この現実を何とかしないと、科学技術がリスペクトされる社会にならないと思うんです。
 だからそういう意味で、アカデミアと産業界とのいい意味でのコンセンサスを持たないといけない。日本はそのバランスが十分とれていないのではないかと思っていまして、ぜひ欧米と同じような評価を科学技術に対して与えていただくような、そういう理解をいただくように努力しなければいけないと思っています。
(問)ライセンスの単価の問題はそのデータをよく見ていないのでわからないですが、要はその価値があるかないか、価値を低く見ているか見ていないかというのと、この二つが混在しているような気がするんですが、その辺のことはどういうふうに理解すればよろしいんでしょうか。
(答)日本で今世紀に入ってノーベル賞をもらった人がアメリカに次いで世界で第2位です。我が国はアメリカと比べれば三、四分の一の人口ですけれど、そういう国がこれだけの科学者を出すということは、やはりそれなりの実績があるわけです。にもかかわらず、アカデミアが受け取る利用料がそんなに少ないということは、決していいことであるとは私は思わない。
 昨日、実はノーベル賞をいただかれた大村先生と対談をしたんですけれど、大村先生の履歴の中に書いていましたけれど、アメリカでノーベル賞ものを発明されたときに、それをある薬品会社が3億円で買いに来たと。そんなもので売れるようなものではないといって、それが200億円になったという話をしておられました。ですからそんなもので、やはりアカデミアの成果品を極度に低く評価しているんではないかと思われるところもあります。全部がそうではないでしょうけれど。だからそこをやはりよく見ていただかないと、世界標準で見ていただく必要があるんだろうと思うんです。
(問)ちなみに、ノーベル賞学者の鈴木先生は、あえて特許を取らなかったというケースもございました。
(答)鈴木先生でしょうか。

(以上)