竹本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年5月12日

(令和2年5月12日(火) 11:02~11:16  於:中央合同庁舎第8号館1階S108記者会見室)

1.発言要旨


 今日は二つこちらから報告するものがあります。
 一つは、政府のネットワーク環境の再構築ということでございますが、各役所がそれぞれの仕組みでやっておりますので、意外と気がつかなかったんですけれど、各省間でテレビ会談ができないんです。一体どうなっているのかという感じになりまして、これではいけないということで、全省庁一本にしようと思って、そのキックオフ会議を近々始めたいと思っております。そういう報告でございます。
 結局、現時点では4,800億円の金を使ってシステム関係の予算をつけているんですけれど、4,800億円のうち700億円ぐらいは内閣官房で持っていまして、全体の統合を進めようとしているんですが、やはり気合いを入れてやらないと、もともと各省がそれぞれの事情でもって、徴税の仕組みであるとか、あるいは国交省なら土地の管理の問題とか、別々のシステムでやっている。だから事情は分かるんですけれど、しかし全省庁でテレビ会議もできないというのは情けない話なので、絶対にこれはやれるように早くしたいということのキックオフ会議を近々、日にちは今調節中ですが、やりたいと思っております。その発表が一つでございます。
 それから、もう一つ、科学技術基本法の改正に絡む話なんですけれど、日本版のSBIR制度との関連で、先日一般の業界というか関連の人々のお話を聞きました。民間の方で、一つはLINK-Jという会社でございますが、健康・医療分野の企業を応援しているLINK-Jという会社と、それから日本橋で本格的なシェア型実験施設を運営しているBeyond BioLAB、この二つの会社の方に来ていただきまして、いろいろ御意見を交換いたしました。
 要は、我々はスタートアップ企業を応援しようとしているんですけれど、この方たちも、一方はあるいは場所を提供し、他方はそれに対する支援、例えば資金の支援だとかそういうことをあっせんするなどをしておられるんですけれど、やはりつなぎがなかなか難しいということでございます。例えば中小企業がスタートアップで何かしようとしたときに、従来のSBIR制度というのは中小企業の世話をするわけですから、いろいろな足らぬ資金の補充をするとかそういうことはやっていたんですけれど、我々の方はスタートアップを育てるという意味で、ぜひ(スタートアップ支援に資する)あらゆる関連の補助金を一括してこちらで応援をするというふうにやっていきたい。特にステージ1、ステージ2、ステージ3とプロジェクトが成り上がっていくにつれて、もうちょっと分かりやすく言うと、プロジェクトファインディング、プロジェクトフォーメーション、そしてフィージビリティスタディと、このように進んでいくわけですけれど、その辺の一貫した指導を、今度法律を改正するのに伴ってきっちりやっていきたいということで、中小企業庁が持っておったSBIR制度を、ベンチャー支援のために強化してやろうということを目指しております。それに関連する現場の意見を聞いたというのがこの間のことでございました。

2.質疑応答

(問)今の日本版SBIR制度なんですけれども、大臣としてはこのSBIR制度の現在の課題としてはどういうことが、何が課題になっているのか、それで今後改正するときに、その課題をどのように解決していくのか、その辺について教えてください。
(答)やはりベンチャーが仕事をしようとするのに一番困るのが財政的な問題なんです。例えば経産省が持っている、中小企業庁が持っている個々の、例えばものづくり補助金だとかあるいは持続化補助金とかいろいろありますけれど、それをつなぎ合わせてやっているのが今の現状です。しかし、ベンチャーで何か新しいことをやろうと思うと、それだけではもちろん不足ですから、だからいろいろな、厚労省とか文科省とかが持っている予算を組み合わせて連携をして、ステージごとに育っていくような、そういう温かい目で、育てるような目で内閣府でいろいろなお世話をして、しっかりとそのベンチャーが育ってくれるような、そういう環境をつくりたいと思っているんです。そういう連携がなかなかうまくいっていないというのが一番問題だと私は思っています。
(問)それは例えば、経産省とか文科省とか厚労省とか、そういう補助金を内閣府に全部統一してしまうとか、持ってきてしまうとかそういうことまでは考えていないですか。
(答)いや、そういうわけではないですね。予算の仕組みは厚労省なり文科省にあるんですけれども、それをこちらの助成制度(SBIR制度)と結びつけて運用していただくというふうにやっていこうと思っています。
(問)先日、イギリスの科学誌のNatureが、論文数に基づいて世界の研究機関の研究力ランキングというのをまとめまして、その中で日本の研究機関については東京大学の11位が最高で、2016年が一番最初にランキングをつけたんですが、それ以降では初めてトップテンから陥落したという発表がありました。大臣はこの結果についてどのように受けとめていらっしゃるでしょうか。
(答)正直言うとちょっと残念ではあるんですけれど、十分予測された事態だと思っております。最近取り上げられる論文の数が、日本はかつては物すごく多かったのに、非常に減っているということを気にしておりました。今おっしゃったように、日本の大学は10位までに入っていなくて11位に東京大学、37位に京都大学、そんな順位で入っているだけなんですけれど、やはり中国とか他の大学がどんどん上位に入っているという現実であります。
 私は今のポストに就きましたときから、科学技術がリスペクトされる社会をつくらなければいけないということでいろいろなことをやってきているつもりなんですけれども、やはり発明・発見されたものに対して高い評価を社会が与えていない、日本の社会は。アメリカと比較すると、例えば特許料の報酬なんかでも、アカデミアで発明されたものとそれをその産業界、例えば薬であれば医薬品業界がそれを評価して特許を買い上げるわけですけれども、その値段がアメリカの10数分の1です。ですからその社会を変えないと、せっかくアカデミアで発明しても、日本の社会で高く評価されなければ、そういう優秀な人が海外へ行ってしまう。そうするとますますひどいことになるのではないかと思います。ですから、やはり産業界もアカデミアとの付き合いをよく反省していただいて、もっと世界標準並みの評価をしていただかないと、この環境は変わらないのではないかと思っております。
 もう一つ、やはり研究者の研究環境が非常に厳しいものがございます。例えば、ポスドクの人が研究していても、給料が余り高くない。それから将来の約束がないと。例えば5年雇用だとかそういうのが非常に多いものですから、非常に環境が悪い。これを改善しなければいけない。
 その一環で、この間の補正予算で、毎年700万円ぐらいの研究助成金を10年間特定の人にあげる仕組みをつくりました。全部で予算が500億円ぐらいありますけれども、こういうのを使って助成はしていきます。していきますが、やはり最後は社会がこの科学技術をどう評価してくるか。それが低いと、儲かればいいという話ではないから、そこはアカデミアと産業界が本当にコンセンサスを持って、お互いを理解し合いながらやっていかないといけないと思っております。ですから、今回10位までに日本の大学が入らなかったということは、本当によく皆さん反省していただかないといけないのではないかと思っております。
(問)新型コロナのPCR検査に関連してお伺いしたいんですけれども、農水省と文科省が所管の国立研究開発法人を活用して、PCR検査の協力に乗り出していますけれども、ほかの省庁も含めて政府一丸となって同様の取り組みを広げるという考えというのはございますでしょうか。
(答)PCR検査は要するに最初のステージなものですから、いろいろな知恵を各関係者で絞っていただいて、いろいろなものを具体化しつつあるものがあります。けれどその検査には、PCRの方法もありますが、抗原検査で調べるというやり方もあります。いろいろなやり方があると思いますが、今、例に出された農水省ですか、そういったところがそういうことをやっておられるという、もろもろいろいろあると思うんですけれど、お互いに知恵を出し合って、制約するつもりはさらさらないので、知恵をください、努力してください、お願いしますという立場でやっております。
 もともとPCR検査は6時間ぐらいかかっております。今でも4時間ぐらいかかると言われております。ドライブスルーとかであればもう少し短い時間で済みますが、ドライブスルーでも検体を持って帰って、後で検査するから数日かかるわけです。あれやこれやいろいろな知恵を絞ってやらなければいけませんが、日本の場合は、やはり基本的に医療崩壊という言葉でささやかれますけれども、医療従事者のマンパワーがもう限定されているんです。ですから超超過労働を強いられて、そして中には犠牲になる方も出てくると。
 例えばイタリアなんかは大体かかった人の10数%、13%ぐらいだったと思いますが、犠牲になっておられます。その犠牲になった人の10%はなんと医療従事者なんです。ですから、治療にあたった人が病気にかかって死んでしまった、そういう非常に危険な状態にありますので、検査キットによる検査も知恵を絞ってやりますが、たくさんできない本当の理由というのは、マンパワー不足なんです。そういう事情があるということを御理解いただきたいと思います。
(問)先ほど大臣が、産業界は反省すべきだというふうに言いましたけれども、具体的にどういう反省をすることを求めているんでしょうか。
(答)やはりデータを見ましたら、アメリカでの特許等に対する評価の額と、日本の結果として見ておりましたら額が全然違う。これではやはり世界標準についていっていることにならないと私は思います。
(問)特許のいろいろな価値を企業は見て、私企業ですから、その場合に日本の大学が所有している特許とグローバルに戦っているアメリカの特許という形で、価値が違うというところに値段の違いがあるということも考えられるんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
(答)グローバルに活動しているアメリカ系と余りそこまでやっていない日本系とは、確かに全世界での評価、俎上に乗ってくるところ、乗ってこないところがありますが、基本的に産学協同というのがありますけれど、日本の大学はそういうのが非常に遅れているんです。だからすばらしい発明があっても、それを特許にして医薬品業界に渡すときに、相場を余り考えずにやっているところもあるんではないかという感じがします。ですから結果として、非常に極端に安い評価しか受けていない。結果としてやはりアメリカの大学で論文を発表した方がいいというような人がちょくちょく出ているという噂も聞きます。そういうことではないかと。だからやはり日本全体としてよくなるためには、アカデミアと、それと産業界、製造業界とが一定のコンセンサスを持ってやらなければいけないと思います。
(問)ちょっと認識が違うので、また改めて質問させていただきます。ありがとうございました。
(答)そうですか。
(問)冒頭発言のネットワーク環境の話を。省庁間のネットワーク環境の再構築の件で、まだ検討中かもしれませんが、事務局がどこになるのかというのと、あとどういった人を会議のメンバーに置くのかというのを教えていただけますでしょうか。
(答)事務局はうちです。政府CIOを持っておりますので、各省に副CIOを置いておりますので、そのメンバーが基本的には中心になると思っております。

(以上)