竹本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年4月24日

(令和2年4月24日(金) 11:01~11:18  於:中央合同庁舎第8号館1階S108記者会見室)

1.発言要旨


 こちらから報告すべきことが一つございます。IT総合戦略本部の開催でございますが、先日、22日にIT総合戦略本部、それから官民データ活用推進戦略会議、この合同会議を開きました。
 これは、新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するため必要な施策とか、人と人との間の社会的距離を確保しながら、今までの働き方を変えていくことによって少しでも感染症の蔓延を防止したいとこういうことで、要はIT戦略を活用してあらゆる分野でしなやかで危機に強い社会を構築したいと、こういうデジタル強靭化戦略をこれから私IT担当大臣を中心に、全閣僚と協力して速やかにまとめていきたいと、こういうことを申し合わせました。
 今後ですけれども、これから議論いただきますが、本年6月に最終的な戦略が確定できると、こういう見通しでございます。

2.質疑応答

(問)今の御発言に関連すると思うんですが、ITの活用、それから研究開発のコロナ対策に対して、新たな動きがあればお聞かせいただきたいと思います。
(答)一つは薬の開発について、少しずつ進んできております。ただ、段階が進むという程度でありまして。具体的に申し上げますと、アビガンですが、これは3月31日から。それからレムデシビル、これはエボラ出血熱の治療薬ですけれども、これが4月14日から、それぞれ治験が開始され、さらに関節リウマチの治療薬でありますアクテムラがございますが、これが4月8日に、治験の届けが提出されております。
 この企業治験ですが、薬機法上の承認申請を目的として新しい医薬品、医療機等について安全性及び有効性を検証する企業主導型の試験であります。
 企業の治験が終わりますと、あとは医薬品として使うためにPMDAの審査にかけていくということでございます。
 ただ、PMDAの審査はある程度時間がかかるというのは相場でありますが、もうこういう事態でございますので、そんなにのんびりしていられないので、相当急いでやられることにはなると思いますが、一応そういう状況であります。
 何度も申し上げますが、(新型)コロナ(ウイルス感染症について)は、これといった確定した治療薬がないというのが非常に怖いところでございまして、全力を挙げて薬の開発に努力をしているということでございます。
(問)続けてなんですけれども、IT活用という意味でも、テック会議をやられて、その点についてもちょっと御所見をいただければというふうに思うんですが。
(答)今、テックチームで一番、(感染者と接触した濃厚接触者をスマートフォン間のデータのやりとりで把握するいわゆる)シンガポール方式を何とか国内で使いたいという思いのもとにコード・フォー・ジャパンという団体でございますが、そこが主体となって開発をしております。
 5月に入れば実際にそれを使っていくようになる目標でおりまして、まだ4月ですのでもうちょっと集中して努力をしていただいているというところであります。
 問題は個人情報の保護をどう確保するかということでございます。 聞きますと何かシンガポールでも、最初はさっとアプリをみんなが登録しなければいけないんですが、90万人ぐらいは登録した。最初はばっときたんですけど、なかなか、やはり自分の電話番号を全部人に知られるということは、必ずしも皆が好まないことでありますので、アプリを装着する人が、率がそんなに上がってないという、こういう問題があります。
 じゃあ韓国はどうしたのかと。韓国は恐らくその辺は割り切ってやっているんだと思うんです。ですから、成功していると言えば成功しているという。
 だから、シンガポールでもそうでございますので、他の国においても、日本も含めて、やはり個人情報の漏えいをもたらさないようにしつつ、かつ濃厚接触者を割り出すということをどのようにして持っていくかということが一番難題にはなるのですけれども、今、それに挑戦していただいているところであります。
(問)今、コロナ治療薬の治験の状況を教えていただきましたけれども、改めて、こういう治療薬の治験に対する期待を大臣のお言葉でいただけると。
(答)何度も申し上げますが、(新型)コロナ(ウイルス感染症)はやはり確定した治療薬がまだ見つからないというのが一番の問題でありまして、今まで経験したことがないことであります。したがいまして、診断キットの開発、治療薬、そしてワクチンの開発、この3段階に全力を挙げているところであります。
 診断キットの開発の方には、いろいろな関係者がそれぞれに工夫をしていただいて、今まで6時間かかっていたのが1時間ぐらいでできるようなものも出てきてはおります。
 また、やり方等につきましても、PCR検査等についてもドライブスルー方式をやっている国もありますけれども、あれは検体をとるだけで恐らく10分ぐらいでできるのでしょう。ただ、その場で結果が出るわけではなくて、そこから検査をしますから、恐らく3日後ぐらいにやっと検査が出るということで、病院でやるのとどう違うのかという問題もありますが、病院でやると他の感染者と接触する機会があるから少し危険であるということと、医師がずっと対面して向き合っていなければいけない、リスクがあると、こんな問題もあるわけであります。
 ワクチンの開発は、これは時間がかかるのは相場だといわれておりますので、しかし最終的には再度こういうパンデミック的な被害に遭わないようには、どうしてもやはりワクチンの開発が絶対に必要なことだと思っておりまして、関係のところに今お願いをしております。
 我々としてはもう、この前、第1次、第2次と50数億円のお金を充てて研究をしていただいておりますが、さらに力を入れてやるように督励をしているところであります。
(問)シンガポール方式のアプリの件なんですが、従来言っているように、ガイドラインを策定することになるとおっしゃっていたと思うんですけれども、このガイドラインの策定状況と、できた場合どういう場で扱ったりとか、簡単な内容で、どういう場合、誰に向けてどういう内容なのか教えてください。
(答)対象者が、相当数の割合で同じアプリを装着してくれていないと話にならないんです。ただ、使っている、ある人はiPhoneで、ある人は別のものであると、同じアプリを入れていると、こういう状態で、アプリを入れている人が8割とかそれぐらいにならないと傾向を見ることができないと思うんです。そこで、それは政府がやるかどうかは別として、こういうアプリを付けてくださいという勧めをやはりやらなくてはいけないと思っています。
(問)策定状況ですと、あと、いつ出すのか、5月上旬までに実証試験をやると思うのでそれまでにはつくるという。
(答)ええ、そういうつもりでやっております。頑張っています。
(問)テックチームに関していろいろなアイデアが詰まっていると大臣の発言がありましたが、今、どのくらいのものが集まっていて、どんなものがあるのか、わかる範囲で紹介できたらお願いします。
(答)もろもろございますが、1つずつを言うわけにも実はいかないんですけれども、テックチームをこの間、2回目をやりました。これから、3回目以降は企業等から新たな提案をいただいて議論をする場にしたいと思っております。
 実は、昨日も実験的に関係者とテレビ対談でいろいろな意見を聞いたわけでございますが、いろいろな知恵をやはり民間の方はお持ちでございますので、それをどのように整理をして、具体的に国の施策として対応していくかということは大きい問題だと思っていますが、3回目からはきちんといろいろな民間の人に来ていただいてアイデアを聞くというのが今の状況であります。
(問)関連で、数としては10何個や20何個とか、そういうある程度の目安ってあったりしますか。
(答)十分あると思います。
(問)もっとあるということ。
(答)はい、もっとあると思います。
(問)100を超えるアイデアとか。
(答)そこはちょっとわかりませんけれど、いろいろあると思います。
(問)先日、総理の方から、民間の経済活動においても紙や押印を前提とした慣行を見直して総点検してほしいという指示が出ました。それについてまず、竹本さんの受けとめをお聞きしたいんですけれども。
(答)総理のおっしゃるとおりでありまして、それに従ってデジタル化を進めているわけでありまして、法人登録の手続については従来は印鑑を必要としておりましたが、印鑑をなくしてもできるという任意性を持たせましてできました。したがってそこは印鑑がなくてもできる。
 ただ、民と民の商業上の慣行とかございますし、また、役所の手続の中でも例えば省庁への届け出にはどうしても印鑑が必要だといわれるケースがあるというのは聞いております。そういうものを我々の立場としては、こういう事態に直面しているわけですから、できるだけはんこを省略できないかというお願いはしておりますし、これからもするつもりであります。
 結局は関係者の話し合いの中で、それでははんこをやめにしようと、あるいは、それでは緊急事態の間だけやめようとか、何か、そういう話がいろいろでき得ると思います。政府の方では規制改革会議でその合理化を図るということで検討していただいておりますので、そちらの意見も参考にしながら、私の方も歩調を合わせてやっていきたいと思っています。
(問)あと、人と人との接触を8割減らすという目標がありますけれども、その一環として企業の中でテレワークを拡大しているところが多いですが、一方でいろいろなアンケートを見ると、はんこを押すためだけに出社しなければいけないといったような声も寄せられて、押印というのはひとつ、テレワークをさらに進めるにあたっての課題になっているという声がありますが、それについては竹本大臣はどうお考えですか。
(答)それはそういうことだと思います。やはり、家で仕事をしていても、テレワークしていても、わざわざ、はんこのために行かなければいけないということは公共交通機関を使いますよね。その中に、密の状態が発生する可能性が十分ありますから、できるだけ省いたほうが密にならないと思います。
 私はこの問題をずっと見ておりまして、やはり国民みんな、私も含めて認識しなければいけないのは、この医療従事者の感染の怖さです。率が非常に高いんです。(報道によると)イタリアなんかは死者の10%以上が医療従事者だという。病気になって診てもらいに来る方は御自身の責任ではありますけれども、医療従事者は仕事としてやって、下手をすると命にかかわるというわけですから、そこは医療崩壊の問題もありますが、無理を言うのもなかなか難しいところもあるという実態がわかりまして、なかなか大変だと思っております。
 現実に、今は死者がどんどん増えていましてアメリカは4万6千人ぐらい、90万人近い感染者、これは(感染者の)致死率5.5%だったと思いますが、びっくりしましたのはフランスです。死者が2万人ぐらい出ているんですが、何と(感染者の)致死率が17%台です。イタリアは13.4%。それに比べれば日本は2%台なので低いと言えば低いんですけれども、そういうことで密により病気に感染する、そのことが本人にとっても大変な災難ですけれども、社会にとっても大変な害を及ぼすという。特に医療従事者の御苦労を考えますと、できるだけやはりもっと意識を持って密にならないようにみんなが心がける必要があると私は思います。
(問)ということは、密にならないためにはテレワークを拡大するべきだということと、そのために押印作業が、押印という慣行が障害になっているのであれば、それをやめるべきだというお考えということですか。
(答)そうです。結局、はんこを使うというのは、本人の確たる意思かどうかということを確認したいということの中で実印でなければいけないとか、こういう話になってきているわけでありまして、それがはんこを使わなくても確認をできるのであれば省略するということも十分ありうるのではないか。
 ただ、利害関係者の中で、話し合いで合意をしていただかないといけないものですから、精力的に話し合いをしていただくように我々の方からもお願いをしております。
 他方、先ほど言いましたように、規制改革会議でその議論をしていただいておりますので、いろいろ御提言をまたいただけると思っております。
(問)この前はんこ議連の会合がありまして、その印鑑業者の方は、今、テレワークの障害だというふうに、はんこが悪者にされていて、このままでははんこ離れが進むと、これは一種、風評被害であるというようなことをおっしゃっていましたが、それについては、はんこ議連の会長でもあられるのでお聞きしますけれども、そういった声にはどのように対応されますか。
(答)はんこ業界は、山梨県に多いんです。それで、山梨県の議員の方がたくさん入っておられるんですけれども、私はあまり、大阪ですから、関係ないと言えばないんですが、多少、問屋さんが幾つかある程度ですけれど。皆さん方の話を聞いていると、確かに風評被害だと言っておられる方もおられますし、そういう誤解を受けている面もあるだろうと思いますが、ただ、やはりこういう時代ですので、時代に合った中で、はんこという日本の文化をどう共存させていくか考えた方がいいですという話を彼らにはしております。
(問)はんこ議連の会長は続けられるわけですよね。
(答)いや、別に、やめろと言われればやめても構いませんけれど。けれども、やはり彼らの生活もかかっておりますし、彼らの本当のところをやはり社会に訴えておいてあげるのをサポートしてやる必要はあると思います。
 ただ、行政は国全体で均一してやるものですから、合理化を図る、デジタル化を図るという国の大方針の下に支障にならないように、どう工夫があるかということを知恵を絞りたいと思っております。

(以上)