竹本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年4月3日

(令和2年4月3日(金) 10:02~10:14  於:中央合同庁舎第8号館1階S108記者会見室)

1.発言要旨


 積極発言が1つございます。クールジャパン戦略特別委員会というのが自民党にあるんですけど、そこからの陳情がございまして、ライブエンターテインメント業界が非常に困っているということでございまして、損失として2,000億円ぐらい既に出ていると。彼らとしてはイベント中止等により5,800万人もの人の移動を止めたと、にもかかわらず大変な損失をこうむっていると、何とかしてくれと、こういう陳情がございました。
 どこの業界もそういうことであると思いますが、特に私の方の立場としてはクールジャパン戦略を進めておりますので、こういった芸術家、あるいは芸術家の卵が生活に窮してその業界を離れなければならないなど、ということになると非常に困るものですから、何か手を打ってほしいと、こういう要望でありました。
 経済対策への提言は既に党からも出ておりますが、その中にこういう業界を何とかしてくれという要望は出てくるであろうと思いますし、私の方としても、経済対策の取りまとめに向け、そういう要望を出そうと思っております。
 こちらの申し上げたいことはそういうことですが、雇用を確保し、そして事業の損失を埋めていかないと、大変なことになるだろうと思っております。これについては雇用調整助成金で、ある程度まで、9割までいけますけれども、事業損失をどうするかということについては、ケース・バイ・ケースというか、なかなか全面的にこちらで補填するという体制にはもちろんなっていないということであります。

2.質疑応答

(問)内閣府の科学技術の部局が、先週、イノベーション人材の流動化に係る要因調査を行いまして、その結果が出されたんですけれども、その結果を今後の政策にどのように活かしていくのか、これについて教えてください。
(答)「(イノベーション)人材の流動化に係る要因調査」というのをやったわけでございますが、内閣府でその結果をどうするかということでございますけれども、大学や企業等の多様な人材組織による競争の場としてのエコシステムをつくる必要があるだろうと思っております。オープンイノベーションによる共同研究を促進するとともに、研究人材のマッチングをやっていきたい、このように考えております。
 この調査で、第6期科学技術基本計画の検討を通じまして、産学官連携のより一層の促進、研究人材の流動化の向上に努めていきたい、こういうことでございますが、要はエコシステムを近々やりますけれども、そういった場を通じていろいろな異業種が共に集まって、そこでイノベーションが生まれる、そういう環境を作らなければいけないだろうと思っておりまして、しかもその中でマッチングも必要でしょうし、M&Aも必要でしょうし、いろいろなことが起こるんであろうと思っております。
 多様な発想の中でいいイノベーションが出てくれればいいだろうと、そういう環境作りに全力を上げたいと思っております。
(問)新年度が始まりました。科学技術政策で昨年度を振り返っていただくとともに、今年度の課題、抱負をお聞かせいただければというふうに思います。
(答)昨年の9月に就任いたしましたので、約半年経っているんですけれども、当初いろいろ問題もありましたけれども、一応それにはきちっと対応できたと思っておりますが、何といっても印象に残るのは新型コロナウイルス感染症対策に邁進したということでございました。
 ここでも発表いたしましたけれども、AMEDの調整費とそれから予備費も使って、最初20億円、それからその後トータルで31億円になりましたけれども、合計51億円の新型コロナウイルス対策の研究開発を打ち出したわけでございます。
 それから2番目に、やはりこういう危機に至ったときに、ITという新しいツールを使って新型コロナウイルス対策を有効にやっていくことが必要であろうと思っております。
 参考になるか、ならないかよくわかりませんが、情報によれば中国ではITの、要するに、テレワークなどを抜本的に進めることによって、コロナを抑えたと。抑えたかどうかわかりませんが、という報道もありますし、韓国もやはりITを使って相当結果を出しておるし、それから台湾も、予防という意味では、ITを使っていろいろな取組を行い成功していると思います。
 そういう他国の例を見まして、我が国においてやはり同じようにITを使ってやっていきたいと思っておりますが、何といってもデータが十分そろっていないと。例えば台湾ですと、マスクは配給制になっているから、どこに幾らあるというのがすぐわかるんですが、我が国はそうではない。そういう国の違いはありますけれども、それを乗り越えて、何とかITを使って新型コロナウイルスを防ぐと同時に、ピンチではありますがある意味ではチャンスでございまして、この際、社会の構造をより将来に適したような構造に変えていく絶好のチャンスかとも考えております。
 そういう意味で、デジタル遷都という言葉を使う人もいますけれども、いずれにしろ機能を分散することによって、集中からくる、例えば新型コロナウイルス等の疫病の蔓延を防止していくということになればいいと思っております。
 それから、関連のことで申し上げますと、イノベーションの総合的な推進という意味で、科学技術基本法等の改正を今国会で目指している、こういうことでございます。
 さらに宇宙政策でございますけれども、先般宇宙政策委員会を開きまして中身をまとめました。日本の宇宙政策の予算は3,600億(円)ぐらいになるんですけれども、アメリカの15分の1、中国の10分の1ぐらいだろうと思います。これではこういった国のコンペティターになりにくいと、これではいけないと。幸いなことに、宇宙分野はまだこれからの可能性が十分にありますので、「アルテミス計画」にアメリカと一緒に協力すると同時に、そのほかのこともきっちりやりながら、やはり宇宙大国となるか、宇宙に対する存在感を大きく高める、そういう努力はぜひやりたいと思っておりまして、この「宇宙基本計画」の方は、先般総理にも説明したんですけれども、あと、現在パブリックコメントにかけているところでありまして、6月ごろに正式に決定したいと、このように思っております。
(問)先ほど大臣がおっしゃられた宇宙基本計画の改訂案が出されていて、アルテミス計画について、日本としては日本の宇宙飛行士が活躍する機会を確保したいというようにしましたが、具体的にどこまでどういう活動をするのかというのが、まだこれから具体的に記入していくんだと思いますが、大臣としてはこれをいつまでに明確化していきたいかという見通しを教えてください。
(答)今後4年ぐらいの間に大体その中身を詰めていきたいと思っております。2024年、それぐらいの感じだと思います。
 「アルテミス計画」は、2024年ぐらいに何か打ち上げたいという希望でございますので、計画どおりいくかどうかわかりませんけれども、日本の宇宙飛行士もそれに参画させたいと思っております。まだ正式に決まっているわけではないんですけれども、強い希望を持っております。
(問)一番注目されているのは、月面着陸について日本が参加するのかどうかというところだと思うんですけれども、その辺について大臣の考えは。
(答)私はぜひ参加してもらいたいと思っております。
 日本の持っている強みというのありますね。ローバーを作ったり、あるいは運ぶ手段とか、いろいろな、あるいはリチウムイオン電池等もそうです。そういう日本の強みを活かすことによって、アメリカ側も助かるわけですから、共に同じ経験をしていただきたいという意味で月面着陸は当然やっていただきたい。
 アメリカが1969年に、アポロ計画で月に着陸してから50年であります。遅まきながらですけれども、日本にもそういう経験を積んで、これから宇宙が我々の生活の場になってきているわけですから、ぜひ日本の技術力をもってその存在感を高めていきたいと思っている次第であります。
(問)冒頭にあったクールジャパンの関連でお伺いしたいんですけれども、やはり、まさにそのおっしゃったように芸術家の卵がこれでいなくなってしまうと、今後のクールジャパン戦略にも大きく影響してくると思いますが、そこについて手を打ってほしいという要望があったということですけども、大臣自身はやっぱりどういうことをやっていかなきゃいけないなという、今、思いがありますでしょうか。まだ計画はないとは思うんですけれども。
(答)まだ計画はないですけれども、やはり何といっても一つは雇用の維持です。だから雇用調整助成金を有効に使っていただいて、雇用を確保していただくということ。それから、ずっと無収入で何カ月も過ごすわけですから、企業そのものがつぶれる可能性があります。それはできるだけそうならないようにあらゆる手段を講じて、継続していただくようにもっていきたいと思っております。既存の補助制度では、例えば、「経営持続化補助金」というのが経済産業省にありますが、これは金額は微々たるものですが、ほか、例えばIT補助金は450万(円)までいきますし、ものづくり補助金というのを使えるのであれば、あれは1,000万(円)までいきますし、そういう細々したところを連合的に使うことによって、何とか生き延びていただくような手だてを考えなければいけないと思っております。

(以上)