竹本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年3月24日

(令和2年3月24日(火) 8:32~8:49  於:中央合同庁舎8号館1階S101会見室)

1.発言要旨


 こちらから発表するものが二つございます。
 一つは「宇宙開発利用大賞」の表彰でございます。先般ちょっと申し上げましたけれども、内閣総理大臣賞と科学技術担当大臣賞、宇宙政策担当大臣賞、この二つを渡したわけでございますが、内閣総理大臣賞については株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所の岩本匡平さん、それから伊藤大二さん、更にもう一人おられまして、JAXAの澤田弘崇さん、この3人に小型光通信装置SOLISS(ソリス)による宇宙通信インフラ構築への貢献ということで総理大臣賞をお渡しいたしました。
 もう一つは宇宙政策担当大臣賞、私の賞でございますが、インターステラテクノロジズ株式会社による「民間企業単独で開発したロケットとして我が国初の宇宙空間到達」が達成されたということでございます。これは民間資金によって100キロを超えるところまで到達したロケットの打上げであります。割合安価でやりましたということと、100キロを超えたということが、非常に新しさがあるということで、今後民間活力を活用してやっていくことが宇宙開発政策の基本だと思っておりますので、その突破口を開いてもらったということでございます。
 それから、最初の内閣総理大臣賞でございますが、ソニーのグループがやっていただいたわけでございますが、ソニーの小型技術の開発がずばり活きて小さいものを作って、それによって宇宙と地上との交信、それから衛星間の交信、こういったものがこんな小さいものでできるということで、さすが日本ならではのものだと思った次第でありまして、この二つを表彰いたしました。
 もう一つは、スマートシティ関連事業についてでございます。内閣府地方創生推進事務局、総務省、経済産業省、国土交通省は4月からスマートシティの五つの関連事業について実施者の募集を開始することと致しました。
 我が方の内閣府といたしましては、この五つの事業の全てについて内閣府が主導いたしましてタスクフォースをつくりまして、相互の運用性や拡張性などいろいろ共通部分もありますので、その辺の相互調整を内閣府でしっかりと図っていくと、こういうことでございます。
 これから具体的にスマートシティの展開がなされるわけでございますが、先般、4週間ほど前だと思いますが、和歌山県白浜町に私も視察に行ってまいりました。ホテルのチェックインやキャッシュレスでのショッピングなどの実証実験でございますが、全部顔情報を使ってやると。ホテルの宿泊もそれでやるということで、一つの新しい生活スタイルを提示したのではないかと思っておりますが、内部でも言っておったんですけれども、やはりこれが全国的なものに広がるためにはもっと慣れ親しんでいただく必要があると。最初の試みですので、非常に違和感のある人も結構多いわけでございますので、そういった工夫も必要だろうと。したがって、この関係省庁でやりますスマートシティのプロジェクトについて共通の部分、あるいは異なる部分、それをきっちり仕分けしながら全体の整合性を取っていきたいと、このように思っているわけであります。
 

2.質疑応答

(問)通常ならば毎年、統合イノベーション戦略という形で昨年は2019、恐らく今年は2020ということで、再来年度2021年度の予算編成の指針になると思うんですが、検討の進捗状況というのを、もし大臣のところにお耳に入っていればお聞かせください。
(答)来年度予算の組み方ということでしょうか。
(問)統合戦略2020です。
(答)新型コロナウイルスが発生したこういう状況ですので、新年度早々補正は間違いなく組んでおりますし、現在、各業界からヒアリングしております。その中身を頭に入れて早急に経済対策を含む総合的な体制を組んでいきたいと思っておりますので、その中の一環として科学技術関係も相当影響されるところもあろうかと思いますが、今現在詰めているところであります。
(問)今、お話あった大型補正の件なんですけれども、科学技術関係という形での検討というのは現在されているという理解でよろしいでしょうか。
(答)それで結構です。私のところにも海外から入ってきておりますけれども、例えば韓国でITを使って新型コロナウイルス感染症対策を打って、それが非常に成功してクールダウンしてきたと、こういうメールが来ておりました。こういうことが台湾でも先進的にそういうことをやっているということでございます。うまく成功した例もございますが、今回の経済対策関連については、やはり人が集中することによって濃厚接触を起こす。それによってパンデミック的な状況になると。だから、離れて仕事をすることを進めた方がいいのではないかという議論もあります。現実に中央区はサテライトオフィスというか、テレワークを大きく進めておりまして、それがある程度新型コロナウイルス感染症の鎮静化に役立っているんだと思っておりまして、そういったことを横に見まして、我が国においてもテレワークを始めとした仕事のやり方の改革、しかもそれをITを使ってやる、こういうことも考えなければいけないだろうと思っております。やがてこの審議が始まりましたら、我々としてはそのことを主張して、全体の整合性を図ってやっていきたいと思っております。
(問)今、実は予算のお話を聞かせていただいた一つとして、新型コロナで研究活動そのものがとてもやりにくくなってきているというところ、それから予算的にもやはり緊急性の高い新型コロナの研究開発というのがクローズアップされていると。ただ、いずれは平時に戻る中で、予算配分も含めてどういうふうになっているのかなということを聞かせていただきたかったということが本心なんですけれども、その辺を含めて研究開発の支障がありそうな形ですよね。それをどういうふうにサポートするかということも含めてお話を聞かせていただければと思います。
(答)とにかく今は異常事態というか緊急事態なので、あらゆるものを新型コロナウイルス感染症の研究開発に注がなければいけないということで、先般、年度末で5億足らずしか残っていなかった研究費に予備費を足し、それから既に執行先を決めていたものを振り替えまして、この新型コロナウイルス感染症対策に研究開発費としてトータルで51億円ぐらい投入しました。新型コロナウイルス感染症対策に万全を期していきたいと思っております。
 結局、検査キットの開発、治療薬の開発、それからワクチンの開発、この3段階でやらなければいけないんですけれども、ワクチンは長時間かかりますからこれは別としまして、検査キットの開発についてはいろいろ御提案も出ておりまして、実験を済ませて実用の一歩手前というところまで来ておりますし、治療薬についても同じような状況であろうかと思います。日本国内のみならず、海外からもいろいろな御提案があります。海外の例えばアメリカの会社が新しいワクチンの治験を開始したというニュースもございます。こんなことを参考にしながら、使えるものをきちっと使っていきたいと思っております。アビガンにつきましても、これはもともと日本の企業が開発したものでありますけれども、それを中国が使うことによって、どうも新型コロナウイルス感染症の鎮静化に成功したと言えるんでしょうが、ただ実態よく分からないところもありますので、もともとほかの感染症に使う予定のものでありますが、使ったことによる弊害を非常に心配しているところもございまして、我が国においては備蓄はありますけれども、現在臨床研究中という状況でありまして、一般的に全部無条件で回付しているわけではないという状況であります。このようにあらゆる努力をしていくことによって、ともかく鎮静化を図っていきたい。結果として今朝のニュースによりますと、イタリアが5,400人だったと思いますが、中国をはるかに抜いてしまったと。完全な爆発現象になっております。そういう世界の中で我が国はまだ1,000名ぐらいの感染者の中で、死者数が40名ぐらいだと思いますが非常に少ない。同じように少ないのはドイツでありまして、これは2万人近い感染者がおりますが、そこで五十数名と出ておりますけれども、どういうんでしょうか、死者の数では一番日本が少ない。そういう意味では日本は中国に始まった病気でありますけれども、対応に医療体制が充実しているということもあるんでしょうけれども、まあまあ成功している方かと。したがって、日本の成功体験を海外に伝えることによって、海外のパンデミック現象を抑えるのに貢献できればいいと思っている次第であります。
 
(問)先般、東京オリンピック・パラリンピックについてIOC、安倍総理も含めて延期を検討しているという表明がされまして、政府としてもこの何年間ずっと2020年に向けて準備をしてきて、まずこの延期も含めて検討しているということについて大臣の御所感について伺いたいと思います。
(答)東京大会の開催に関する最終的な決定権者はIOCにあると考えておりますが、本日の参議院の予算委員会において、昨日ですか、昨日ですね、総理から「仮に完全な形での実施が困難な場合には、アスリートの皆さんのことを第一に考え延期の判断を行わざるを得ない」、このように述べております。競技の詳細は今後検討されるものと考えられますけれども、大会組織委員会や東京都、こういった関係者と緊密に連携をしてやっていきたいと政府としては考えているということであります。
(問)関連してなんですが、研究開発という面で言うと、例えば海外の研究者、日本の研究者も渡航ができなくなったりして、大型プロジェクトへの影響みたいなのも考えられると思うんですけれども、今現在把握している限りで何か日本の研究開発において影響があるものについて把握されているものがあれば教えてください。
(答)海外との交流の中で支障が生じているという話は研究部門については聞いておりません。ただ、おっしゃるように、アメリカに対しても4月末まで入国制限がかかるというような状態であります。日本も各国に対してそういうことでありますから、そういうことも起こり得ないとは断言はできませんけれども、非常に厳しい状況の中で、しかしながら研究開発だけは早くやらなければいけないということで努力をしているということであります。
(問)先程、アビガンの関係で臨床研究中だということでおっしゃっていたんですけれども、この治療薬に関して、今どういう状況でどれぐらいを目途に実用化を目指す、今後のスケジュール感を教えていただけたらと思います。
(答)アビガンはさっき言いましたように、日本の企業が開発して、それをライセンスアウトして中国が生産して、それを実際に患者に適用して恐らく成功したんだろうと思いますが、鎮静化してきております。日本ではどうかというと、アビガンはほかの感染症に使うために開発されたものでありまして、予備がたしか200万人分ぐらいあるというふうに聞いておりますけれども、ただこれをコロナに使うには副作用があるのではないかという心配があるんです。だから、今までは人間に対して実験というとおかしいですけど、一般の医療に用いたことがないんですが、これからは実施したい人に医師の許可の下にそれを使ってどういう効果が出るかということ、副作用があるかないかということをきっちり検証して、それが成功すればもちろんこちらでも日本においても使いたい、こういうことであります。
(問)それに関してなんですけど、今どれぐらい検証、例えば何件ぐらい行われていて、今後どれぐらい行った上で分析して実用化とか、そういうことは今出ているものなんですかね。
(答)まず、今言いましたアビガンについて言いますと、製造企業は富士フィルム富山化学ですけれども、現在、臨床研究については藤田医科大学等で3月に特定臨床研究を今月開始したと、こういう状況であります。ですから、それが1か月で終わるのか半年ぐらいかかるのか、ちょっと分からないですけども精力的にやっているということであります。これ以外にもいろいろオルベスコという帝人ファーマが開発したものでありますが、これも現在臨床研究中でありますし、それからカレトラというのがございます。これはアメリカの会社が開発したものですけど、HIV感染症の薬でありますが、これが重症患者などに効果があるかどうか、現在、患者に適用することによって臨床研究中というところであります。
(問)先程大臣、コロナ対策として仕事のやり方の改革をITを使ってやりたいというお話をされておられましたけれども、これについて今、何か具体的に考えていらっしゃること、もしあるのであれば教えていただけますでしょうか。
(答)実際成功した例を参考にしながら日本でやれないかということを考えているんですが、まだ確たる情報はないんですけど、いろいろなルートから聞いたところによりますと、中国では企業の数が2,000万あるというんです。そのうちの半分ぐらいにテレワークのやり方のソフトを無償で提供して、そしてそれを使うことによって上海とか北京とか特定の都市に大勢が集まらないように、しかしながら仕事は進むという状態をつくり出したという話は聞いております。ですから、こういう時代ですから、先程話しました白浜町の場合でも、これはデジタルの実験ですけれども、同時にサテライトオフィスを持っておりましたから、それでうまくいっているかというと、全然支障がないというお話もありました。だから、それを全国的に広めることについて問題があるかないか、それはちょっとやってみなければ分からないところがありますけれども、一つの試みとして我々は提案したいと思っております、検討会議において。

(以上)