竹本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年1月31日

(令和2年1月31日(金) 9:14~9:26  於:中央合同庁舎第8号館1階S101記者会見室)

1.発言要旨


 冒頭発言なし

2.質疑応答

(問)昨日、日本学術会議でILC、国際リニアコライダー計画が重点計画に選ばれなかったという決定がなされたんですけれども、大臣としてはこの受け止めについてちょっと教えてください。
(答)学術会議で昨日発表されたようですけれども、一言言えば、第1次審査には受かっていて、その中には入って、60ぐらいあるんですが、さらに第2次審査で31選んだと聞いていますが、その中には入っていなかったということであります。ただ、それは学術会議での見方ですから、どういう可能性が今後あるのかとなりますと、文科省で重点的な研究テーマを見ていくわけですけれども、そのときには、その対象には入っていると聞いておりますので、そこで審査された結果、どういう評価を受けるかということだろうと思います。
(問)もう一つ。話は変わるんですけれども、今、新型コロナウイルスの問題が世間を騒がせているかと思うんですけれども、ImPACTで体内のウイルスの数が少なくても簡単に検知できるような技術が開発されているんですが、それで実用化に向けて研究開発も進んでいるんですけれども、例えばこういう事態だからこそ、こういった技術を先行的に導入したりとか、それで感染拡大防止だとか、技術実証を行うというか、そういうようなお考えはあるんでしょうか。
(答)おっしゃるとおり、ImPACTで野地プロジェクトといいましたっけ、東大の野地先生がやっておられるので一応終わっているんですが、これから更に研究を進めなければいけない、そういう段階なんです。今すぐ、おっしゃったように、何かに使えるかというと、ちょっとそれには間に合いそうもないと報告は受けております。
(問)更に研究開発が必要な部分はあるんですけれども、例えば医療分野の調整費ありますよね。ああいうのなんかは、むしろこういうところに重点的に投入して一気に開発を進めるとか、そういうふうなことというのは考えられないんでしょうか。
(答)調整費はもともと研究分野の中身として、こういうパンデミック的な流行がぱっと来て緊急に対策を講じなければいけないと、こういうときには使える項目には調整費の中には入っているんです。ところが、この間、執行が全部終わってしまって残っているのはゼロなんです。各省へ配分したばかりなんです。何とかならないかとちょっと検討しろとは言っておりますけれども、そういうときのための調整費であることは間違いないと思います。引き続き研究していきます、早急に。
(問)ILCの関係で一つお聞きしたいんですけれども、科学的な成果ということと、あと費用はどうしても大きいということと、それから北上のところに作るということで、復興の支援というか、復興を盛り上げるという、そういう幾つかの側面というか要因があると思っていまして、特に復興という観点で地元とか議連の先生方とかの関心も高いところもあって、少し問題というのが関心を高めているのかなと思うんですけれども、大臣の個人の政治家としてILCというものの日本の誘致というのについてどういう思いを持っていらっしゃるか聞いてもいいですか。
(答)私は今おっしゃったように、議連の先生方からの強い要望もこの間受けました。また、想定されている岩手県の方からも関係者からいろいろ陳情を受けております。類似するものとしてはスイスとフランスに既にあるわけですが、やはりそこには、もちろん田舎でしょうけど、結構科学者が集まって一つの町の活性化を図れていると。岩手の方はこの間、災害に遭って、ばかりというか、まだどういう復活のプロジェクトがありやなしやという状況のものですから、これは一つの希望のある話だろうと思っております。ただ、問題は非常にお金がかかるということでして、約1兆円近くかかるのではないかという説もあります。多国間で分担はするんですけれども、ほとんど日本が持たないと進まないのではないかと、こういう話もあります。
 そういうことを前提に、私は強く実現を求めていっていいのではないかと。結果として地域活性化に役立つと。それから激甚の災害を受けて希望をなくしている人に対して希望を与えると。加えて日本の技術陣が世界の科学研究の分野で大きい地位を占める材料を送ることができるんであろうというふうなことを考えますと、私はしっかり前向きに検討すべきものだろうと思っています。
(問)もう一点だけ、どうしても費用のことで考えると、額がやっぱり桁が大きくて、昨日議論されたものの中でも、復興の観点で考えるものと科学の観点というか、学術界の中で考えるとやっぱりお金が大き過ぎて、それにお金が全部いってしまって、ほかのことが何もできなくなるんじゃないかと、極端にそういう懸念みたいなのもあると思うんです。復興に関してもやっぱり一理あると思うんですけど、それであればやっぱり財源とかまた別で考えるような措置があればまた違ってきたのかなと思うんですけど、その辺り議連でもそういった議論はさんざんされてきたと思いますが、大臣どう思いますか。
(答)おっしゃるとおりだと思います。私はコストの負担についてはやはり多面的な検討をしないとなかなか。例えば科学技術予算だけで1兆円なんていったら、ほかに使えなくなりますから、それはちょっと無理で、地域振興からこれこれと、あるいはその他の名目でこれこれと足していって、何とかできるというようなプロジェクトだろうと思います。問題はやはり激甚な災害を受けたところに町を整備してもなかなか人が帰ってこないんです。神戸でさえ、やはりもう20年以上経っていますけど、なかなか昔の賑わいはないですよね。だから、そういうことを考えますと、やはり賑わいをもたらすために一つの希望の光のような存在になれば、このリニアコライダーは一つの価値があるものになってくるのではないかと。そういう多面的な費用負担と多面的な見方で、このプロジェクトを進めていかないと実現しないのではないかと思っております。
(問)補正が成立しましたけれども、来週から来年度の予算案の審議に入るというふうに聞いています。科学技術関係予算に関してちょっとお話をいただきたいんですけれども、昨年までは1月中に政府全体の予算の中の科学技術関係予算というのが公表されていたんですけれども、まだされていません。これの理由と、それから3年間で9,000億円、科学技術関係予算の積上げを表明されていますが、現在の状況というのはどうなっているのかということをお聞かせいただければというふうに思います。
(答)去年と比べて少し遅れているというか、今日が1月の末ですから。ですが集計の真っ最中で、もう数日以内に出てくるんだと思います。そういうふうに聞いております。ですから、あまり特別な理由があって遅れているということではないということです。
(問)9,000億円の積上げということに関しては、大臣の感触としてはどんな感じというふうに今、現段階では聞かれていますか。
(答)要するに科学技術がリスペクトされる社会を作ろうというのは、我々、私が考えていることでありまして、そのためには当然費用が必要ですから、予算はあらん限り集めてこなければいけないと思っております。そういう意味では、まあまあ予算は取れてきているのかという感じがしております。
(問)今の段階では大体積み上がったかなという感じの感触はお持ちというふうに理解してよろしいと。
(答)物によっては大体想定どおりいっておりますし、物によってはちょっと少ないというところもないわけではないんですけど、全体としては結構良い方ではないかと思っております。
(問)ILCの関係で、先程大臣がおっしゃられたことで、今後は文科省の学術審議会での議論になっていくと思うんですけれども、そこで議論していると、どうしても科学技術予算での話になっていくと思うんですが、今おっしゃられたように、多面的な検討というのは何か竹本大臣がリードされて、ILCについていろんなところから予算を付けられるようなことというので動いていく意思というのがあるんでしょうか。
(答)私の立場はやはり全体の総合調整であり、各省予算に対して、そこはもっと増やすべきだとかいうようなことを言う立場にもありますので、これが成功するためにはどういう方法を採ればいいかということを積極的に意見具申はしていこうと思っております。と申しますのは、例えば筑波(研究)学園都市でもそうですし、けいはんな学研都市もそうですが、当初の目的とはなかなか時期が遅れたり、特にけいはんながそうでありますが、そういったときに、ならばこういう方法で資金を集めたらどうかというような検討を過去においてやったこともございます。そんなことを考えますと、やはりそこは知恵を絞ってやっていけば何とかなるのかと、またそうすべきものだと思っております。
 そんなことで、だから今、文科省でこれから検討されますので、そのときに我々としては科学技術を振興するという意味においても、また地域振興云々の目的も併せ持って、これはもっと積極的にやるべきだという意見は申し上げていこうと思っています。

(以上)