竹本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年1月24日

(令和2年1月24日(金) 9:32~9:44  於:中央合同庁舎第8号館1階S101記者会見室)

1.発言要旨


 2件ほど、こちらから読み上げがございます。
 一つは、総合科学技術・イノベーション会議についてであります。
 昨日、第48回総合科学技術・イノベーション会議を開催し、「研究力強化・若手研究者支援総合パッケージ」、さらに、「ムーンショット型研究開発制度の目標設定」等について、議論をいたしました。
 「研究力強化・若手研究者支援総合パッケージ」につきましては、若手研究者のポストの確保や表彰、それから挑戦的研究を最長10年間支援する創発的研究の支援、さらに、博士後期課程学生の処遇の改善など、大胆な目標と具体策を盛り込みました。これらを一体的に実施することにより、研究者にとって魅力ある研究環境を提供し、社会全体から求められる研究者等を生み出す好循環を実現していきたいと考えております。
 次に、「ムーンショット型研究開発制度」についてでございますが、超高齢者化や地球温暖化など重要な社会課題を踏まえて、「身体、脳、空間、時間の制約からの解放」や、「地球環境再生に向けた持続可能な資源循環」など6つの目標を決定いたしました。
 また、これらの議題のほか、ムーンショット研究開発制度などに関連するデモンストレーションとして、遠隔操作ロボットの実演や、人工光合成の実験が行われました。
 総理からは私、科学技術担当大臣を含む関係大臣に対し、これらの政策、改革を力強く進めるとともに、現在検討が進められている第6期科学技術基本計画について、次の50年、60年を見据えながら、新しい時代も、日本がイノベーション大国であり続けるための基礎を築くものとするよう指示がありました。
 総理のこの指示を踏まえまして、科学技術政策担当として関係大臣と引き続き連携・協力し、第6期科学技術基本計画の策定等に取り組んでまいりたいと考えております。
 もう一点は、産学連携に関する意見交換会の結果でございます。
 1月21日、私の大臣室において、医薬品等ライフサイエンス分野の研究開発の産学連携に関して、有識者との意見交換会を開催いたしました。
 有識者の主な御意見を紹介したいと思います。サイエンスをビジネスに結び付けるエコシステムが重要であるとか、あるいはベンチャーを支える仕組みや人材育成、大学の産学連携支援機能が重要であるとか、あるいは産学連携のためにはアカデミアと企業との相互理解が重要である、特に、製薬は事業リスクの高さや基本特許の重要性といった特徴を踏まえることが重要であると。さらに、一方でエコシステムや大学の支援機能は日本でも進みつつある。加えて、基礎研究も重要であり、若手研究者への支援が必要であると、こういう意見がございました。
 私は、我が国が今後も科学技術立国として世界と伍していくためには、研究開発がリスペクトされる社会を目指さなければならないと強く考えております。
 今回、有識者の皆さん方の生の声をお伺いして、産業界とアカデミアのサイエンスが重要であるとの共通認識を持ちつつ、相互にリスペクトしながら連携を進め、それぞれの役割を果たしていくことが必要と改めて認識を致しました。
 産学連携の取組は、過去に比べると随分進んできているけれども、国の科学技術政策や健康・医療戦略においても、産学連携への支援や環境整備に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
 また、大学の産学連携の支援体制が弱いなど、様々な要因で円滑な産学連携につながらなかったケースがあるのも事実でございます。産学連携が十分でなかった時期の研究成果に対しても、適切な評価が行われていくことが望ましいと考えております。実態や海外の事例を少し見ていきたいと考えております。
 海外においても、これは有識者の中から、そういった場合における見直しで成功している例があるというお話がございましたので、その辺の研究をしっかりとしていきたい。
 いずれにいたしましても、一方でアカデミアの科学技術の発展ということは重要でありますが、せっかく発明、発見したそのインテリジェンスが、社会においてどういうふうに評価されるかと。それは製薬業界が評価するわけであります。そこの中に共通認識を欠いているようなものがあったとすれば、それはやはり是正していく必要があるのではないかと、こういうことを考えたわけでございます。

2.質疑応答

(問)この間から健康・医療分野の調整費について何度かお聞きしているんですけれども、今回の調整費の配分は、透明性とかエビデンスの問題でちょっと滞っているかと思うんですけども、この元凶になったのがAMEDの理事長の末松先生によると、健康・医療戦略室の問題じゃないかという話もあるんですけども、健康・医療戦略室の人員体制については、今後どのようにお考えでしょうか、大臣。
(答)健康・医療戦略室の人員の任命権は総理にありまして、私にはないんです。
(問)担当大臣としては、例えばこれはどうなのということを総理におっしゃるとか、そういうことは特にない。
(答)意見を聞かれれば当然申し上げますが、特に今までのところはありません。
(問)あと、末松理事長とお会いするような予定というのはあるのでしょうか。
(答)私はないですね、最近は。
(問)お会いする気は。
(答)お会いしたいと言ったことはありますよ、当然。拒否するものでは全くありませんけど。
(問)あともう一つ、昨日の意見交換会を踏まえて、先程共通認識を欠いていることに問題があるとおっしゃったんですけども、その認識を共有するために、どういうふうな取組が必要だと大臣はお考えですか。
(答)この間は有識者、アカデミアとプロダクションというか、製薬業界の代表の製薬協会会長の中山先生に来てもらったんですが、やはり出来上がった科学技術の成果品については、アカデミアとしての評価は当然あるでしょう。
 それから、それに対して薬品として出すときに、製薬業界の評価も当然あるでしょう。それは一致することもあれば、多少違うこともあるとは思いますが、ただ、アカデミアがあって初めて製薬業界は品物を作ることができる、こういう関係であるということを考えれば、たまたまその契約でどんな契約でもいいということには必ずしもならないのではないか。みんなのコンセンサスに合ったような範囲の中でやっていただくことが、我が国全体のアカデミアと製薬業界の関係が健全になり、特に、外から見ておりまして、何だ日本という国は、そんなことで裁判でもなるのかというようなことを言われることがちらちらあります。それはやはりちょっとまずいと思っております。然るべき評価は、して当然ではないかという意味です。
(問)昨日の総合科学技術・イノベーション会議で種々決定があったと思いますが、その中で、若手の支援策も取りまとめられました。
 やっぱり博士課程の進学者が減るとか、将来的なことに関してのその危機感が政府の中でも強かったから、こういう検討が進められたんだと思うんですけれども、昨日取りまとめられた支援策というのが、その将来、日本の科学技術を担うような若者とか、あるいは子供とかに対して、メッセージになり得るというふうに思いますか。どういうふうにメッセージを込めたと思いますか。
(答)十分なり得ると思っています。ただ、打ち出したからそれでいいというものではこれはなくて、このようにしますと言っている以上は、それをきっちり遂行する必要があると思うんです。その結果として、研究者がその恩恵に与ると。そして、研究環境が良くなって、更に素晴らしいものが出てくるということになるんだろうと思います。
 例えば我々が調査したところによりますと、研究者の全勤務時間の4割足らずしか、その実際の研究時間がない。比べて、アメリカの研究者は、ほぼ100%時間がある。この差はやはり大きいんだと思います。
 ほかの6割はどんな仕事であるかというと、役所との手続とか、人の採用とか、あるいは自分の師事している大先生のお手伝いとか、いろいろあるんだと思いますが、そういう雑用が多過ぎることが困るという声が一つあります。
 それから、やはりその大学院の学生になりまして、ドクターを目指す人とマスターで終わる人と、両方あるんですけれども、共に学生ですから、授業料を納めているんです。ところが、やっていることが相当もう研究の真髄に至るようなことをやっているわけで、本来なら授業料を取ってそういう研究をさせるのがいいのかどうかという問題もあるんです。
 だから、学生ではありながら、しかし、研究所から見たら、これは給料を払うべき対象だという考え方も当然あると思いますので、今回はその両方の併用をやる。あるいは研究所で国家公務員としてやっておりました場合に、給与が例えば1,000万(円)足らずで安いと。そういう場合に、勤務時間全体の3割ぐらいをほかのメーカーに行って働いてもらって、そこでしかるべき報酬を取ることによって、その研究者の全体の収入が、例えば2,000万(円)近くなると。ならば、研究開発環境としては悪くないと、こんなことを考えております。
 ですから、打ち出しましたことをきっちりと関係者に説明して、それで実感をしていただくということが大事で、それをやりますと、研究開発に打ち込むことが、こんなにまず待遇がいいと。それから、社会もリスペクトしてくれると、それならやりがいがあるという、そういう雰囲気を是非、作りたいと思って意気込んでいるところであります。

(以上)