竹本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和元年12月20日

(令和元年12月20日(金) 11:55~12:09  於:中央合同庁舎第8号館1階S101記者会見室)

1.発言要旨


 ちょっと私の方から報告することがあります。
 一つは、現場を見てまいりました。
 量子科学技術研究開発機構(QST)の視察に行ってまいりました。これは、千葉にある有名な施設ですけれども、随分立派な研究をたくさんやっておられることに感銘を受けました。
 行ったのは12月18日、QSTを訪問しまして、重粒子線がん治療装置(HIMAC)や分子イメージング施設などを視察いたしました。
 重粒子線がん治療装置については、12月5日に開催されましたアジア原子力協力フォーラム(FNCA)第20回大臣級会合において、QSTの平野理事長から取組状況を各国に対して紹介いただいたところでありまして、私自身も非常に関心を持っておった件でございます。
 医療分野での放射線利用は国内のみならず、諸外国からも関心が高い分野でございまして、今後とも重粒子線がん治療装置等の日本の優れた技術について、FNCAの場を活用するなど対外発信に努めてまいりたい、こう考えております。それが1点です。
 それから、もう一点は、次世代医療基盤法に関する話でございます。
 健康・医療戦略担当の立場にあるわけですけれども、お手元にお配りしておりますとおり、昨日19日に、次世代医療基盤法に基づき事業者の認定を行いました。これは、昨年5月の法施行後初めての認定でございます。
 次世代医療基盤法は、匿名加工された医療情報を安心して利活用することができるよう、高い情報セキュリティを確保し、医療情報の管理や匿名加工を適正かつ確実に行うことができる者を認定する仕組みになっております。
 主務府省において厳格な審査を行いまして、認定匿名加工医療情報作成事業者として一般社団法人ライフデータイニシアティブを、認定医療情報等取扱受託事業者として株式会社エヌ・ティ・ティ・データを認定いたしました。
 今後、我が国の医療分野の研究開発に資する匿名加工医療情報の利活用が進むよう、国民の皆様の御参加と医療機関等の皆様の御協力をお願いしたいと考えております。
 事業者の概要等は、配付資料を御覧いただきますとともに、詳細は健康・医療戦略室にお問い合わせいただければ有り難い、このように思っております。
 もう一点ございます。デジタル手続法に基づきます新たなデジタル・ガバメント実行計画の決定でございます。
 本日、私はこの担当大臣として、閣議前に「デジタル・ガバメント閣僚会議」を開催いたしまして、本部長は官房長官ですけれども、デジタル手続法に基づく新たな「デジタル・ガバメント実行計画」を取りまとめ、閣議において決定しました。
 少子高齢化をはじめとした社会課題の解決に向けて、急速に進展するデジタル技術を十分に活用し、行政の在り方をはじめ、社会全体のデジタル化を前提としたものにつくり変えていく必要があります。
 このため、従来のデジタル・ガバメント実行計画と、行政手続のオンライン化や添付書類の省略等の実現に必要な事項を定めたデジタル手続法に基づく計画を、一体的なものとして新たに策定いたしました。
 あらゆる方にとって、安全で安心、豊かな社会を実現するため、この実行計画に基づく取組を着実に実施し、国だけでなく地方公共団体、民間を含めた社会全体のデジタル化を実現していく方針でございます。

2.質疑応答

(問)来年度予算が閣議決定されましたけども、対GDP比1%という科学技術基本計画の目標について、これからどのように取り組んでいくのか教えてください。
(答)おっしゃるとおり、基本計画では対GDP比1%が科学技術予算の目標でございます。5年間で総額26兆円ということで、まだちょっと届いていないんですけど、今回の予算を含めて頑張らないといけないと思っておりますが、ちょっと主な点を申し上げますと、政府全体の令和元年度補正予算案、それから令和2年度の当初予算案における科学技術関係予算の総額でございますけれども、柱としては、創発的研究支援、これに500億円、それから、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)等に当初予算で555億円が盛り込まれたところであります。これらの予算の早期成立に向け尽力しますとともに、公共調達等における科学技術イノベーションの活用を促進するなど投資目標の達成に努めてまいりたい。しっかり努力するつもりでございます。
(問)もう一つ。次世代医療基盤法に基づく認定事業者が初めて決まったわけですけども、今後の医療への期待について、新しい医療への期待について教えてください。
(答)異なる医療機関や診療領域の情報を統合した治療成績の評価や、医師の診療支援ソフトの開発等が行われ、個々人に適した科学的で合理的な医療の実現につながることが期待されるものと考えているというのがオフィシャル答弁でありますが、要は、名前を出すと個人情報が漏れますから、名前を隠して、ただし、事実であるデータはデータとして扱う。そのことによって病気に対する一定のトレンドを見て、それを医療に応用しようというわけであります。ですから、その個人情報との境目をどう整理するかというのが結構時間がかかった原因であります。
(問)iPSの関連予算について、文科省の当初予算に前年と同額が盛り込まれましたけれども、衆院の科技特で(健康・医療)戦略室が出している回答の中に、支援ゼロにするということは言っていないということが入っていて、与党を含め山中さんがこれまで訴えてきたことと食い違いが生じています。そのことについて、大臣としてはどう考えていますか。
(答)事実は、おっしゃるとおり言っていることが違うんだろうと思うんです。事実は私も分からないんですけど、関係者から聞いた話では、言っていないということを委員会に答弁したようであります。そこまでしかちょっと言いようがないんですけど。
(問)事実が異なっているということは、国側は、山中先生が言っていることが違うんじゃないのかというふうなことになると思うんですけれども、それはそういう対応でよいという考えなんですか。
(答)事実は一つしかないんですが、やはり山中先生が会見でも言っておられましたように、言った、言わないで感情的なもつれになるのは嫌だというお気持ちがあるんだろうと思うんです。そこまでしか私は申し上げられないんですけど。
(問)そもそも言った、言わないになるということを作っている原因は(健康・医療)戦略室側にあると思うんですが、その点についてはどうでしょうか。
(答)8月ですので、私が来る前に起こったことなんですけど、事実がどうかというのは、私も確かめようが今のところないというところなんです。
(問)今後、その言った、言わないにならないために、どういう場での議論というのが、その調整も含めてやっていくべきだという方針なんでしょうか。
(答)私は、前もここで申し上げましたように、これはノーベル賞を受賞されたときに、1,100億円というお金を国として付けて、是非iPS細胞をしっかりとした成果を挙げてもらって国民の医療に尽くしたいという思いで、総理が1,100億円付けられたわけでしょう。だから、国が約束したことはきちっと最後までやるべきだということをここで申し上げたと思います。そういうつもりでこの問題を見ておりましたけれども、全部やらなくても、途中でほかのことをやってもいいんじゃないかという意見は政策論として出てきて別にそれは悪いとは私は思いませんが、いろいろ討論した結果、私が申し上げたように、山中先生が言っておられる通り、当初の予算が大体認められたという結末になっているわけであります。
(問)その山中先生がおっしゃっていることの中に、例えば今回の場合ですと、8月8日に文科省の作業部会が行われていて、その翌日にそういう、クローズの場でそういう議論がされているという状況にあるわけですけれども、その状況は大臣としては正しい検討過程だったのでしょうか。
(答)どういう用事があって現場へ赴いたのか、その辺はちょっと私、知る立場にも当時はもちろんなかったし、何とも言えないというところなんです。
(問)今、科技特から野党の国対ですかね、に出しているその回答というのは、もう変わらない形ですか、その提案はなかったということ自体に対して。
(答)いや、提案がなかったと回答しているというふうに下から聞いているだけであります。
(問)そこはもう変わらない。
(答)それが事実かどうか、いや、それはもう聞いてみなければ分かりません。変わらないんだと思いますけども、何とも私は聞いて、全く分からないから。
(問)関連してお伺いします。
 竹本大臣が、12月6日の閣議後の記者会見で、iPSストックへの予算の継続を明言されたというふうに記憶しております。このときに、残り3年間の補助を完了する前に、少し別の動きをしようという動きもあったというふうにおっしゃっているんですが、これは何の動きだったというふうに理解したらいいんでしょうか。
(答)いろいろなところから聞いている話では、実用化に向けたプロダクションの研究をしようということではなかったかと思いますけど。
(問)もう少し詳しく伺えますか。
(答)iPS細胞というのはまだ研究段階、完全に終わってないんです。だから、どうすれば安全性が確実に確保されるかということはきちっと研究をなお続けなければいけない。そこで、その研究費を減らされるということはまずいんだろうと思っておりましたので、それはやはり発明された先生の御意向に沿って予算を付けるのがいいんだろうと私は思ってましたけども、ただ、政策論として、いつまでも研究じゃなくて、生産とかそういうことを研究してもいいんじゃないかという話が出てきても、別にそれは悪いとは言えないとは思いますけど。討論した結果、研究を当初どおり進めてもらうということで、iPS細胞というのは素晴らしい細胞だという評価を非常に権威ある人が言っておられるようでありますので、そういうものを日本が持っているということは非常な有意性のある話ですから、やはりそこはきちっとやっていただいた方がいいと私は思ってます。
(問)そうすると、政策論としては、そういうお話もあったというのは大臣としては聞いていらっしゃると。
(答)聞いているというか、まあ、そういうことです。
(問)あともう一点だけ。同日の閣議後の会見の際に、一番最後に大臣は「喜んでおります」という、「これが継続されることについて喜んでおります」と発言されていました。そうすると、大臣の立場、お考えとしては、当初から、これは継続していくべきだという考えだったという理解でよろしいんでしょうか。
(答)基本的にそうですね。やはり政府が約束したことはきちっと実行しないと、我々は科学技術大国を目指す、イノベーション大国を目指すと言っておりまして、そこでその経費の点で使い方について揉めているようでは、決していいことではないと私は印象的にもそう思いますから、やはり一旦決めたことはやるべきだろうと思っておりましたから、喜んでおりますと言ったんだと思います。

(以上)