竹本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和元年11月29日

(令和元年11月29日(金) 9:02~9:11  於:中央合同庁舎第8号館1階S101記者会見室)

1.発言要旨


 今週、現場を視察してまいりました。
 1つは、株式会社アストロスケールの視察を行いました。26日に行ったんですけども、この会社は現在、世界的な問題となっている宇宙ごみの除去サービスの開発に取り組んでいるスタートアップ企業です。
 クリーンルームにおきまして、来年夏に打ち上げ予定のスペースデブリ除去衛星の開発現場を見せてもらったわけですが、狭いスペースで多くの人が精緻な作業を行っていることに驚きますとともに、日本の技術力の源泉に触れた感じがいたしました。
 引き続き、こうした宇宙分野のスタートアップ企業の取組を応援してまいりたいと思っております。
 実際、墨田区の小さい本当に狭いところで、僕が目にしたのは20人ぐらいだったんですけど、非常に細かい作業をやっておられて、本当すごいというか、大丈夫かと思うほどの狭いところで一生懸命皆さんがやっておられました。みんな若い人たちばかりです。
 これがやはり日本のエネルギーの源泉かと思ったりもしましたけれども、要は、宇宙はごみでいっぱいになってきていますから、それを取り去らないといけないわけですけども、これが一民間企業でやるということは、やはりそれに対してビジネスモデルが成り立たないといけない。つまり使ったコストを誰かが払ってくれなきゃいけない。加えて利益も出してくれないと株式会社は成り立たない。その辺の仕組みは今後の大きい課題だと思いますが、随分そういう意味ではまだそういうものができていないんだろうと思いますので、極めて大きな賭けだと思いますが、社長さんは非常に自信がおありのようなことを言っておりました。成功していただければ非常にいいと思っておりますけども、そのような視察でございました。
 それから、もう1つ発表するものがあります。発表事項はクールジャパン関連です。
 内閣府で今年9月に決定した「クールジャパン戦略」を効果的に実施していくため、クールジャパン関連コンテストに向けた募集を開始しました。
 日本の魅力を効果的に発信するためには、その魅力の背景にある歴史、文化等を踏まえた魅力的なストーリーを発信することが重要であります。このため、2つのコンテストを開催したわけであります。
 1つは、日本在住の高校生を対象とした「クールジャパン高校生ストーリーコンテスト」でございます。もう1つは、「外国人を対象とした動画投稿コンテスト(仮称)」であります。対象はアジア7か国と地域の22歳以下の若者が対象であります。
 これらのコンテストの優秀者は、3月に東京で予定している表彰式に参加し、お互いの発表、交流の場としてもらうことになります。ここから生まれる彼らの若い世代の交流が、次世代を担うクールジャパン人材の育成につながることを期待いたしております。
 最後に、日本の魅力を深堀りし、分野や地域、海外との連携で世界の「共感」を得た優良な取組を募集、表彰する「クールジャパン・マッチングアワード」であります。当該イベントが国内外のCJ、クールジャパンに関心のある方々にとって、日本の魅力を深堀りし、ネットワークを拡大する場となることを期待いたしております。
 それぞれのイベントについて詳細は内閣府のウェブサイトに随時公表しておりますので、積極的に応募をいただきたいと思います。
 この3つのイベントは、今日、対外的に公募を打ち出しまして、所定の範囲内で一定の結果を出して、大体年度末ぐらいには結果が出るように持っていきたいと思っております。

2.質疑応答

(問)有識者会議が量子技術戦略の案をまとめたんですが、グーグル、IBMの例でも分かるように、民間企業が本気でやらないとなかなか量子も進まないと。今後、民間企業をちゃんと日本の戦略に巻き込んでいくためにどのような取組をされるのか、そこら辺について教えてください。
(答)おっしゃるとおりでありまして、グーグルとかアリババとかいろいろありますが、既に活発に動いているわけであります。我が国はこの量子戦略についてどう対応するか、これを早く決めないといけないということでございまして、できるだけ早くそれを決めて、その中に民間企業の参画は当然あるだろうと思っております。
 特に今考えておりますのは、企業からの積極的な投資を呼び込むために、量子拠点をつくる必要があると。場所というか施設ですか。それから、産学官による協議会の創設を支援するということ、これは官民一体の動きです。それからもう1つはスタートアップ支援等の拡大、こんなことをやることによって、とにかく政府は量子戦略を真剣に考え実行しようとしている、産業界の連携、協力もいただいて進めていきたい、こういうふうに呼びかけることが大事かと思っています。
(問)宇宙政策についてお聞きします。大臣が先日視察された企業以外にも宇宙に関する事業を行っている民間企業はいくつかあると思います。こういった企業に対する今後何か期待等ありましたら、お聞かせください。
(答)1つはいわゆるスタートアップにものすごく期待をしておりますが、アイデアがいっぱいで、ものになるものもあればならないものも当然あるだろうと思っております。
 したがって、フィージビリティのあるものについては必要があればというか、できるのであれば政府も適切な支援をしなければいけないと思っております。技術者の支援、それから、財政支援、いろいろあると思いますが、ものによって判断していく必要があると思いますが、いずれにしろ多くの知恵が出てきておりますので、それを応援することは当然でありますが、その応援の中でやはり先程ちょっと言いましたように、デブリで申し上げましたように、ビジネスモデルとして成り立つかどうかということが問題なんです。だから、費用を払ってくれるところは民間企業があれば言うことないですけど、JAXAとか公的機関、アメリカではNASAですけども、そういったところがベンチャーでやったことに対して、その費用に対して場合によっては払うというようなことがあり得るとすれば、そういうこともやはり考えなければいけないと思っています。
(問)1問目と重複する部分もありますけれども、量子技術イノベーション戦略の案が取りまとめられたことを受けて、その案の改めて意義と、国際競争の中で日本として量子戦略の分野でどう取り組んでいきたいかお聞かせいただけますでしょうか。
(答)例えば量子コンピュータでは、大量の入力データを短時間に取り込んで桁違いの効果を得るわけで、世界が走っておりますから、日本も絶対にこれは遅れてはいけない、将来の基幹技術であることは間違いないと思っております。ですから、先程申し上げましたように、国家戦略として早く政府の考え方、方針を決めて、関係者に参加を呼びかけて、集中して研究をしていくということだろうと思っております。
 ただ、いずれにしましても、相当のお金が必要なことは間違いなくて、そういう意味で官民合わせた活動がしやすいような環境づくりがやはり政府の役割かと思っております。
 特に中国とかEU、アメリカ、特に中国はものすごくやっているようなのでありまして、それをやはり横目に見ながら対応しなければいけない。特に財政的な投資、例えば報道によりますと、中国は量子関係の研究所を1,200億円掛けて建設中だというようなことを聞いておりますし、EUもほぼ同じことをやっており、アメリカは更に5年間で1,400億円の投資をやるとか言っておりますので、こういったことを参考に、日本もそれに負けないようなことをやはりやる必要があるだろうと思っております。

(以上)