竹本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和元年10月29日

(令和元年10月29日(火) 10:04~10:12  於:中央合同庁舎第8号館1階S101記者会見室)

1.発言要旨


 この先週、京都市に出張してまいりました。科学技術担当大臣として報告したいと思います。訪問先は株式会社島津製作所、それから京都大学、この二つであります。
 まず、「(株式会社)島津製作所」では、田中耕一シニアフェローから「ヘルスケアR&Dセンター」におけるオープンイノベーションへの取組について説明を受けました。同社の持つ分析測定技術や科学機器の組合せ、新たな分野への応用を試みるイノベーティブな取組を視察した次第であります。非常に明るくて、いかにも関係者の集まりの中でイノベーティブな発想ができるような環境の素晴らしさを実感いたしてまいりました。
 続きまして、「京都大学iPS細胞研究所(CiRA)」では、山中伸弥所長からiPS細胞研究の現場の状況に関して説明を受けました。iPS細胞を用いた臨床試験も多く始まっているとの説明を受け、今後の社会実装、実用化に向け、非常に大きな期待が持てた次第であります。その後、京都大学の山極総長と懇談を行い、若手研究者への支援の取組をどうするかということについて意見交換を行いました。
 世界に誇る最先端の基礎研究の現場を体感し、有意義な意見交換ができたと思っております。特に我が国の研究力を更に伸ばすためには、若い世代が挑戦的な課題にじっくり取り組めるような環境の整備が重要であると改めて実感しております。今後の政策に必ず活かしていきたいと思っております。

2.質疑応答

(問)最近、台風とか大雨による災害が続いているんですけれども、SIPでも確か防災関連のプロジェクトをやったかと思うんですけれども、今回の災害について何か対応はされているんでしょうか。
(答)おっしゃるとおりSIPではSIP4Dという「防災情報共有システム」の開発をやっておりましたけれども、福島等で災害が起こりましたので、9月11日に千葉県庁、それから(10月)13日から18日にかけまして福島県庁、栃木県庁にそれぞれ専門家を派遣しております。
 そしてそのSIP4Dで開発した電子地図でございますが、それを活用することによって効率的に情報が関係者のところに伝達できると、こういう手助けをしたと、こういうことでございます。従来の紙の災害情報ですが、例えば渋滞情報なんかもよく分かっていますが、1時間ぐらいでもう変わるわけですから、電子地図であればそれがずっと表示されるということで、それは確かに効率的だったんだろうと思います。
(問)CiRAの視察に行かれたということで、京都大学の方ではiPS細胞の備蓄事業について財団法人にして、そこで民間の資金とかも入れてということを今やろうとしていて、先日の自民党の部会でも山中先生が説明をされていましたけれども、国費をどこまで入れるかという議論があると思うんですけれども、大臣はその辺りどうお考えですか。
(答)iPS細胞という非常に有能な細胞をつくることは、国としても非常に重要なことであるので、可能な限り国で支援すべきものだと私は考えております。そういう中で、今まで過去7年間ぐらいこの支援をしているわけですけれども、約10年その支援をするという話は聞いておりますので、それは引き続きやっていく中で、今のCiRAですか、これの研究所の財団法人、公益法人化を目指しておられると聞いております。
 もろもろの要請の上で、これがしっかりとその本来の細胞の提供という基幹的な事業が円滑に遂行できるような応援は、しっかりとさせていただきたいと思っています。
(問)私は昨日まで長野市に被災地に行ってきたんですけれども、正にSIP4Dを使われていて、かなり効率的な運用ができているんじゃないかなと思いました。
 IT技術を使って災害支援をしていくということは、今後もっと必要になってくると思うんですけれども、今後大臣としてはどのようにIT技術、防災や復興にですね、導入していきたいというふうに検討していらっしゃるのか、そこをお願いします。
(答)実は私の経験を言いますと、私は国交省、旧建設省におって、今のこの内閣府における災害対応の責任者のような仕事をずっとやっておりました。ですから、三原山噴火のときは中曽根内閣だったんですが、後藤田官房長官の下で毎日災害情報を持って官邸に上がって説明していたわけでありますが、ともかく集まったと言ってもどんどん相手が変わるわけですから、そういうことで紙情報だと非常に時間的なずれが生じるのは事実であります。
 だから、そういう昔の経験からしましても、電子地図を使って時々刻々と現状を把握できるという態勢を組むということは、ITを使って効率的な対応ができるということだろうと思っております。
 よく考えますと、そういうふうなことがいろいろな場面であるんではないかと、もっとそういう目で、このITという目で災害の実態を見て、そこでITをどう役立てることができるかということは当然考えるべきだと思っております。内閣府でやっておりますSIP4D、これがやはり結構役立つのではないかと期待をしておるところであります。
(問)先程の質問にあったストック事業の国費の件なんですけれども、ストック事業はその後当初の計画から数を縮小させて、実際ダウンサイジングするような方向に舵を切っていて、かつ製薬企業の中では、ホームストックを使ってもHLAのマッチングをしないというような企業が出てきていると思うんですけれども、今ストック事業が抱えている課題というのはどういうところにあるというふうに視察をして感じられましたか。
(答)特に課題という意味では何か感じたかというと、そうですね、今は研究段階で公の立場でこういう研究をやり、それを一般に提供するという活動をやっているわけですが、将来、やはり実用化、商業化、ビジネス化という視点からこれを捉える人たちも当然もういるんだろうと思いますから、その辺の調整をうまくやっていきたいと思います。

(以上)