竹本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和元年10月4日

(令和元年10月4日(金) 10:33~10:44  於:中央合同庁舎第8号館1階S101記者会見室)

1.発言要旨


 こちらへ参りましてから、現場を見なきゃいけないということで、この間、東京藝大と、それから東京大学を訪問してきました。そして昨日は筑波大学を見てきました。いずれにしろ、いろいろ驚きもありましたし、大分進んでいると感心したところもあります。
 特に東京藝大では、「アートアンドサイエンスラボ」を見学いたしました。この中でいわゆる古文化財、例えば世界的に有名な壁画だとか、そういったものをきっちりと再現する技術を身につけておられて、その成果品も見させていただきました。
 私はシリアの友好議員連盟の会長をやっているんですが、シリアは政情が不安で、日本との外交もそんなに普通にいってるわけではないんですけれども、すばらしい文化財がどんどん暴徒によって壊されていく、一度壊されたものは復元されないわけですから、もし写真等できっちりと記録があって、それを再現できるこの技術が使われるんであれば、非常に救いになるという個人的な思いをした次第であります。
 2番目に、東京大学ですけれども、アントレプレナープラザというのができておりまして、産学連携の本部ですけれども、大学が一定のお金を出してスタートアップする企業を助けている、もう一つびっくりしましたのは、東京大学は御承知のとおり、レンガづくりの古色蒼然とした教室ですけれども、その中に新しい、完全に新しいものではないようですけれども、非常に明るい研究施設になっているのは非常に驚きであり、何か救われたような気持ちになりました。
 そういう意味で、いわゆるアントレプレナーを育ててスタートアップさせるという体制が、徐々に進んできているという印象を受けた次第であります。
 それから、昨日行きました筑波大学ですけれども、御承知のとおり、筑波大学は東京教育大を基に新しくあの地に建てられた大学であり、日本の大学でないアメリカの大学かと思わせるような広大な敷地の中で新しい建物があり、非常に快適な環境で研究がなされている実態を見ました。
 担当の先生をはじめ、ほぼ全員の方が出迎えていただきまして、非常に感激した次第でありますが、そこでやはりノーベル賞クラスの研究がなされているということであります。
 例えば睡眠の研究、近代人は皆、睡眠がなかなかできないということで困ってる人が非常に多いんですけれども、なぜ睡眠が必要なのかというようなこと、特にびっくりしましたのは、何か牛とか豚というのは4時間ぐらいしか寝ないらしいですね。ほかの動物は結構10時間とか寝るんですが、そういうことで、線虫が睡眠するかどうかを研究したり、なかなか面白いことをやっておられると思いました。
 また、試験用のネズミに電極を埋め込む技術の現場も視察させていただきました。非常に手先のかかる作業であり、かつそれなりにお金もかかるんだと思いますが、それをきっちり1万個以上やれるというような研究体制を持っていること自身が、やはりすごい施設だという感動を覚えた次第であります。
 日本は、21世紀になってから取ったノーベル賞の数が17個、世界でアメリカに次いで第2位だと、国別に見ますと。と聞いておりますので、こういったところから新しいノーベル賞が生まれてくれれば、来週がノーベル賞週間のようですけれども、いいなと思った次第であります。
 今後の予定なんですけれども、10月6日に開催されます第16回国際科学技術関係大臣会合、それから第16回STSフォーラム年次総会に出席するため、京都に出張いたします。
 大臣会合では私が議長を務めまして、20か国以上の科学技術大臣等との意見交換を行う予定であります。会合のテーマは、STI for SDGs推進のための国際協力と研究開発ということになっております。
 また、STSフォーラム開会式に出席するとともに、タイ、ケニア及び欧州連合の大臣等ともバイの会談を予定いたしております。
 今回の京都出張を通じまして、科学技術・イノベーション分野における国際連携を更に推進してまいりたいと考えております。

2.質疑応答

(問)東京藝大、東大、筑波大と大学の現場を見られて、今の大学の現状はかなり分かったかと思うんですけど、課題についてはどんな課題があるかなとお感じになったでしょうか。
(答)基礎研究も課題でしょうけども、新しい発明、発見に対して企業としてスタートアップさせることに力を注いでおられる姿を見てきたところであります。
(問)それを今後の科学技術政策にどのように活かしたいのか、大臣としては。
(答)科学技術関係予算というのは4兆5,000億円ぐらいとか何かなってますよね。それで5か年計画で26兆円ですか。あと、だから8兆円ぐらいこれから1年間の間に調達しなくてはならないということでありますが、科学技術にかける予算が、国及び民間両方において増大してくること、そのことが日本の科学技術を向上させる原因になることは間違いないと思っております。だから、各大学においてもどのように、国費はもちろん使うんですけれども、プラスアルファ、民間をどのように呼び込んで、その総合力でどれだけの成果を挙げるかということを競争しておられるような感じがいたしました。今回の視察は、それを見に行ったというところであります。
(問)今のお話の続きなんですが、大学、東大、藝大、そして筑波へ行かれて、民間資金を呼び込んでるというのは、具体的にどういうふうに視察をされたのかお話を聞かせていただければというふうに思います。
(答)東京大学の場合ですと、いろいろなスタートアップしようとする人たちがいるわけですけれども、それを公にしましても、なかなか民間企業が即お金を付けてくれない、そういうケースが結構あるわけで、当然だと思いますが。そういうときに大学側で、これは物になりそうだと思うものについては一定の、少ない額でしょうけど、お金を付けていきます。そして、そのお金を使って成長してきたら、民間企業が、あれひょっとしたら物になるんじゃないかと、こう思った場合に、民間企業はついてきます、出資をしてくれます。それでだんだん大きくなってスタートアップできると、こういうことであります。
(問)ということは、東大の場合は、スタートアップのリスクマネーというのは東大が手当をしているというような御理解をされているということ。
(答)そういうことですね。意外と大きいというか、私、その数字はつまびらかに、この業界を知っていたわけじゃありませんけれども、意外とやってるという感じを受けました。
 研究開発費で、何か国からもらっているお金が1,000億円、4分の1ですか、東大、京大、東北大、それからあと阪大。それでもらっているお金を使って、そこに出しておられるということでありますから、4等分しましても250億円ですから、その前後の金がそういったところに使われているということです。
(問)ということは、グループインタビューのときに大臣お話ししてた、リスクマネーが日本はまだちょっと足りないんじゃないかという意味で言えば、そういう資金手当というのが大学にされているんだなというふうな御理解をされたという理解でよろしいでしょうか。
(答)はい、意外とやっておられるという感じがしました。
(問)臨時国会、この後招集されるんですけれども、大臣としては初めての国会となると思うんですけれども、抱負ですとか、あと大臣としての立場でやりたいことがあればお聞かせいただけたらと思います。
(答)私の担当はたくさんあるわけですけども、全て未来に関することであり、日本の国家戦略に関することだと認識しております。したがって、今の日本が諸外国と比してどの分野に力をどのように入れていくかという司令塔の役割を果たすのが私の仕事かと思っております。そういったことに力を注いでいきたいと思っています。
(問)この国会の中でもそういうことに。
(答)この臨時国会は関連法律、通す法律はありませんけれども、基本的にはそういう姿勢で臨んでいきたいと思っております。

(以上)