宮下内閣府副大臣記者会見要旨 令和2年1月22日

(令和2年1月22日(水) 17:45~17:57  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 西村大臣が「月例経済報告等に関する関係閣僚会議」を欠席のため、私が代わりに概要を報告いたします。景気の現状についての総括判断は、「景気は、輸出が引き続き弱含むなかで、製造業を中心に弱さが一段と増しているものの、緩やかに回復している」として、判断を据え置いております。
 先行きについては、「当面、弱さが残るものの、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、通商問題を巡る動向、中国経済の先行き、英国のEU離脱、中東地域を巡る情勢等の海外経済の動向や金融資本市場の変動の影響に加え、消費税率引上げ後の消費者マインドの動向に留意する必要がある」としております。
 次に、今月のポイントとして、私の方から2点申し上げました。お手元に閣僚会議資料というものがお配りしてあると思いますが、その3ページ目をご覧ください。
 3ページ目、輸出についてです。左の図ですけれども、海外経済の減速を背景に、黒い線の輸出全体は弱含んでおり、引き続き、海外発の下方リスクには注意が必要です。ただし、赤い線のアジア向けは11月に上向いています。
 アジア向けの内訳をみると、右の図にあるとおり、このところ黒い線の中国向け輸出は下げ止まりの兆しがみられており、赤い線の「半導体等の情報関連財」や緑の線「自動車部品等の自動車関連財」、さらに青い線、設備投資に用いられる「コンベヤ等の資本財」が足下で増加しています。
 次に4ページ目をご覧ください。中国向け輸出に続いて、中国経済について御説明します。左上の図ですが、2019年10―12月期の中国の成長率は前期に続いて前年比6.0%と、経済全体としては緩やかな減速が続いており、足下の景気刺激策と中長期的な構造改革の両立が課題です。ただし、我が国の中国向け輸出が下げ止まりつつある背景として、左下図のとおり、中国の製造業の一部に下げ止まりの兆しもみられます。
 また、右上の図にあるとおり、これまで、米中貿易摩擦を背景に、世界の財貿易量が減少するとともに、特に、中国の対米輸出が減少し、米国の対中赤字は縮小しています。そうした中、米中間の通商交渉の第1段階合意を受けて、右下図のとおり、中国製造業の景況感は改善しており、人民元も安定して推移しています。
 私からは、まず、以上であります。

2.質疑応答

(問)今、御紹介にあった中国のところなんですけど、表現が39か月ぶりに上方修正になったということなんですが、足下、中国の方で、また、新型コロナウイルスの発生なども大きく取り上げられていますが、今後の中国経済の先行きをどんなふうにみていらっしゃるのでしょうか。
(答)先程御説明したとおり、昨年10月―12月期の中国の成長率は前期に続いて、前年比6.0%ということで、グラフをみていただいても分かりますように、製造業の一部に下げ止まりの兆しはみられるんですが、まず、経済全体としては緩やかな減速が続いているという認識です。
 それから、先行きにつきましては、当面は緩やかな減速が続くことが見込まれるわけですけれども、中国も最近、公共投資の拡大であるとか、減税、社会保険料の軽減による企業負担の軽減とか、自動車の購入制限の緩和とか、預金準備率の引下げとか、様々な政策を打っておりますので、こうしたものが次第に発現することは期待されると思います。
 なお、コロナウイルスにつきましては、今も感染が拡大していると承知しておりまして、経済の拡大も含めて、引き続き、中国経済の動向はしっかりと注視してまいりたいと思っています。
(問)総括判断の中には、景気は緩やかに回復しているという文言を残していて、判断も据え置きとされていますが、これまで戦後最長の景気回復が続いているという認識を示し続けてきていたんですけれども、今月もその認識は変わっていないと考えてもよろしいでしょうか。
(答)我が国の景気判断は、輸出が引き続き弱含むなかで、製造業を中心に弱さが一段と増しているものの、内需が引き続き底堅く推移していることから、緩やかに回復していると、こういう認識であります。
 景気動向指数は、足下悪化ということなんですけれども、月例経済報告では、様々な指標を総合的に判断をしています。名目GDP、実質GDPも右肩上がりですし、公共工事出来高とか、第3次産業活動指数だとか、いろいろプラスの指標もあります。何よりGDPが安定的に増加しているというのが一番大きいとは思いますが、総合的に緩やかに回復している、その回復基調にまだあるという認識は変わりません。
(問)個人消費について持ち直しているという判断を24か月連続で維持していると思うんですけれども、昨年10月の消費増税の影響というのは、もう収束したというふうにお考えでしょうか。
(答)まず消費の前提となります、雇用・所得環境の改善は引き続き続いている。総雇用者所得が緩やかに増加しているというのがまずあります。その上で、消費税率引上げの駆け込み、そして落ち込みということをみても、前回引上げ時と比較して、ショックが小さいと、こういうことでありまして、週次や日次、ヒアリング結果、いろんな分析をしているわけですけれども、消費の持ち直しの基調に変化はないというのが認識です。
 ただ、先行きについては、消費者マインド、持ち直しの動きはみられるんですけども、まだ低水準というところもありますので、その消費に与える影響については、引き続きしっかりと注視してまいりたいと思っています。
(問)今回、個別項目の中で設備投資のところを8か月ぶりに引き下げたわけですけれども、その一方で、総括判断は維持されました。この理由について教えてください。
(答)設備投資の判断につきましては、これまでも機械投資に弱さがみられるという表現をしていたわけですけれども、このところ、工場・店舗等の構築物の投資の動きに増勢がみられないと。機械投資も若干弱いと。横ばいですけれども、そういうことから若干の下方修正を行っています。しかしながら、研究開発投資、ソフトウェア投資、これは各産業で大変大きく伸びておりますし、設備投資全体も伸びています。設備投資の動き全体をみても、確実な上昇トレンドにありますので、そういった意味で、設備投資全体は緩やかな増加傾向にあると、こういう判断をしておりまして、その認識は変わっていないということです。
 消費等も含めた経済全体として、引き続き内需が底堅く推移している状況に変わりないということで、総括判断も据え置きという判断をいたしました。
(問)これも消費増税の影響のところに重なるかもしれないんですけれども景気動向指数の基調判断と政府の景気認識にずれが生じているのが続いているわけですけれども、副大臣の方からみられて、やはり一番、今後の焦点となるのは、個人消費の動向という理解でよろしいでしょうか。
(答)そうですね、まず景気動向指数は過去の連続性をみるという意味では大変重要な指標だとは思うんですけれども、九つの経済指標の合成の指数ということもあって、特に鉱工業生産指数だとか、鉱工業出荷指数とか、企業側、供給側から、ものづくり側といいますか、そういったところが若干強めに出る。今のGDPの伸びは非製造業部門とか、そういったところで伸びているというところもあるので、そういう意味では、景気動向指数も重要な指標ではありますけれども、先程来言いました、個人消費の底堅い伸び、何よりも総雇用者所得が順調に伸びていると。こういうことが、この景気の今後のトレンドをみる上では重要ではないかなと思っています。

(以上)