茂木内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和元年7月23日

(令和元年7月23日(火) 17:37~17:51  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 それでは、最初に今日午前の閣議におきまして、「令和元年度年次経済財政報告」、経済財政白書を公表いたしました。 今年の白書は、サブタイトルを「「令和」新時代の日本経済」とし、新たな時代への三つのメッセージを打ち出しております。
 まず、第4次産業革命が拓く「Society 5.0」を実現することにより、新たな財・サービスを創出し、消費や投資を喚起し、生産性を向上させることです。
 二つ目に、人生100年時代を見据え、誰もが幾つになっても活躍できる場を拡げ、多様な人材の活躍を日本経済の活力につなげていくことです。
 三つ目は、自由貿易体制を維持・発展させ、グローバル化を通じて日本の成長力強化を図っていくことであります。
 こうした取組を進め、人口減少、少子高齢化が進む中にあっても令和の時代、日本経済の潜在成長率を高めていくことが重要であるといった点を今年の白書には記しております。
 次に、夕方の「月例経済報告等に関する関係閣僚会議」の概要について、報告をいたします。
 景気の現状についての総括判断は、「景気は、輸出を中心に弱さが続いているものの、緩やかに回復している」として、判断を据え置いております。
 後程詳しく説明いたしますが、今月は生産活動に改善が見られる一方で、輸出関連の製造業を中心に景況感が低下をしております。このため、前段部分の表現のみ若干変更しております。
 先行きについては、当面、弱さが残るものの、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されます。ただし、通商問題の動向が世界経済に与える影響に一層注意するとともに、中国経済の先行き、海外経済の動向と政策に関する不確実性、金融資本市場の変動の影響に留意する必要があります。
 次に、今月のポイントとして、私の方から2点説明いたしました。
 一つ目は、輸出と生産についてであります。横長の会議資料3ページ目にありますように、輸出は中国経済の減速や世界的な情報関連財の需要一服などの影響により、弱含んでおります。このため、輸出向けの製品が多い生産用機械や電子部品など、生産の一部には弱さが続いています。
 一方、国内向けの生産では内需の底堅さを背景に、自動車などの輸送機械や建設機械を中心に増加が続いております。生産活動全体としても、先月より改善が見られます。
 二点目は、4ページ目、企業の景況感と設備投資計画についてであります。
 景況感は全体として「良い」が「悪い」を上回る状況が続いておりますが、直近では輸出鈍化の影響を受けやすい製造業を中心に低下をしております。
 その一方で、設備投資については、最新の6月調査によります今年度の設備投資計画を見ていますと、前年比で6%近い増加が見込まれております。製造業の設備投資計画も強く、日本企業全体の設備投資意欲は底堅いと考えております。
 私の方からの報告は以上です。

2.質疑応答

(問)2点あるのですけれども、まず、月例経済報告ですけれども、基調判断は前月と変わらず「緩やかに回復」を維持しました。
 改めて伺いますけれども、2012年末から始まった戦後最長の景気回復は続いているという認識でよろしいでしょうか。 
(答)景気の山谷の判定につきましては、専門家によります事後的な検証を経て、正式に決定をされるものでありますが、政府としては今月の月例経済報告でお示ししたとおり、「緩やかに回復している」という景気の基調は続いていると考えております。
(問)その上でもう1点伺いたいんですけれども、経済財政白書について、18年度の白書では景気回復は「戦後最長に迫っている」と強調して、第1章の題名でも「景気回復の現状と課題」ということでしたけれども、一方で、今年1月に戦後最長になった可能性が高いと表明されましたけれども、今回の白書ではその「戦後最長」という言葉が見当たりませんでした。
 一つの大きな節目だったかと思いますけれども、白書にこの見解を入れなかった理由と、今回全体的なトーンはどういったことを意識してまとめられたのか、よろしくお願いします。
(答)白書の内容については、先程概要を説明したところでありますが、この白書は毎年同じことを書いてもしようがないわけでありまして、それぞれ特集を組んだり、章の構成等も工夫をしたりしているところでありますが、今年の経済財政白書でも、1章を御覧いただきますと、月例経済報告と同様に「緩やかな回復が続いている」といった景気認識を示しているところであります。
(問)2点あるのですけれども、月例経済報告の方で、個別項目の生産は上方への変更ということだったのですけれども、一方でその業況判断の方は下方への修正というふうになりました。
 今回、総括判断を微妙に表現を変更されましたけれども、景気の見方は据え置くという形となりました。
 これは今のこの現状の景気なんですけれども、一進一退といいますか、凸凹といいますか、一律に上向いていくような力強さがないといったようなことの表れなのかなと思うんですけれども、改めてそういった現状の景気への見方を教えてくださいというのが1点目です。
(答)緩やかに回復しているということでありまして、決して一進一退とは考えておりません。ただ、何というか、弱い面と強い面が確かにあるといったことを総合的に判断して景気の総括判断は据え置いているということであります。
(問)もう一点、ちょっと別件なんですけれども、安倍総理が、今年の10月に消費増税をした後は、今後10年は消費増税の必要はないというふうに発言をされました。今後、社会保障費が増大をしていくと思うのですけれども、一方で、政府が目標とする2025年度までのプライマリーバランスの黒字化という目標というのがありますが、その消費増税を今後10年間しないということをもって、この2025年度の黒字化というのは可能になると思いますでしょうか。
(答)2025年度にプライマリーバランスを黒字化する、基本的にこの前提でおきます消費税率、これは10%であります。そして今後、負担と給付の見直しを始め社会保障についての改革は御案内のとおり2022年から団塊の世代が75歳に入るということで、その前までにこの給付と負担も含めた社会保障の抜本改革を進めるということにしておりまして、そういったものを行い、また、景気をしっかりと更に回復をさせていくことにより、2025年度のPB黒字化を達成していきたいと考えております。
(問)参院選の夜のテレビ番組で安倍首相が、増税時の経済対策に関して、必要があれば躊躇なく対応するというふうにおっしゃっていたのですけれども、取りまとめの担当大臣である茂木大臣は、現時点の日本経済の状況も踏まえて、この必要性についてはどう考えていらっしゃいますでしょうか。
(答)多分、「増税時の」とは言ってなかったと思います。いずれにしても、10月の消費税率引上げに対しては、あらゆる施策を総動員して、経済に影響を及ぼさないよう全力で対応している。既に軽減税率の導入、そして幼児教育無償化等によって経済の影響、これを2兆円程度に抑制した上で、この影響を十分に乗り越える2.3兆円の予算・税制上の措置など具体的な対策も決定をしております。ポイント還元、プレミアム付商品券、中小・小規模事業者への設備導入支援など準備作業の方も進んでいるところであります。こういった政策を着実に実行し、また国際経済の動向にも注意をしつつ、今後とも経済運営に万全を期していきたい。
 その上で、決して時期を区切って話をされたとか、タイミングについてそのまま触れたとは私は認識をしておりませんが、いずれにしろ、その上で海外発の下方リスクなどのリスクが顕在化する場合には、機動的なマクロ経済政策を躊躇なく実行していく考えに変わりありません。
(問)改めて、日曜日の参院選の結果の受け止めと、あと、午前中に麻生大臣が閣議後会見で、この参院選をもって消費増税の信認を受けたと考えているという旨をおっしゃっていましたが、その点について大臣のお考えをお聞かせください。
(答)今回の参院選は、安定した政治の下で、「令和」の日本を更に前に進めるのか、あるいは混乱の時代に逆戻りをしてしまうのか、これが問われる重要な選挙、また、これを国民の皆さんに御判断を頂く、選挙であったと考えております。
 そう位置付け、自民党は「日本の明日を切り拓く」、こういったキャッチフレーズ、スローガンを掲げて、各種の政策を力強く訴えてきました。私も、北は北海道から南は鹿児島まで全国を応援で回りまして、期間中だけでも70回以上の街頭演説等を行ったところであります。
 日本各地には、本当にすばらしい人たちがたくさんいるわけであります。自分のつくったお米であったり農作物、これをおいしいと言ってもらえることが何よりうれしい農家の方、そして、会社の規模や建物は決して自慢できないけれど、自分の持っている技術、そしてまた丁寧な仕事については誰にも負けない、このように思っている中小企業、町工場の方々、我々はそういった人たちが更に輝く令和の日本、こういったものをつくっていきたいと考えておりまして、そうした訴え、また自民党の選挙公約に対して、全国各地、各層から大変力強い手応えを感じたところであります。
 北海道のある村に行きまして演説をやったんですが、その村では、今までの街頭演説で最高の人数が集まってくれた。鹿児島中央駅でも、2,000人を超える聴衆の方が集まっていただいたという形であります。
 結果として、与党で71議席、自民党も前回の56議席を上回る57議席と、改選議席の過半数を与党で上回るという大きな御支持をいただくことができたと考えております。
 多くの国民の皆さんの御支持が得られたことをしっかり受け止め、責任感、そして緊張感を持って安定した政治基盤の下、経済運営、成長戦略、全世代型社会保障改革、日米貿易交渉など私に課せられた一つ一つの課題に全力で取り組んでいきたいと考えております。
 麻生さんの捉え方については、麻生さんにお聞きいただければと思います。

(以上)