茂木内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和元年6月18日

(令和元年6月18日(火) 17:54~18:03  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 それでは、私の方からはまず、「月例経済報告等に関する関係閣僚会議」の概要について報告をしたいと思います。
 景気の現状についての総括判断は、「景気は、輸出や生産の弱さが続いているものの、緩やかに回復している」として、判断を据え置いております。
 先行きについては、当面、弱さが残るものの、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待をされます。ただし、通商問題の動向が世界経済に与える影響に一層注意するとともに、中国経済の先行き、海外経済の動向と政策に関する不確実性、金融資本市場の変動の影響に留意する必要があります。
 次に、今月のポイントとして、私の方から2点申し上げました。
 1点目は、横長の会議資料3ページ目の設備投資の増加とそれを支える高水準の企業収益です。設備投資については、中国経済の減速からその動向が注目をされますが、お手元にあります左上の図のように、直近の統計を見ても非製造業を中心に増加傾向が続いています。製造業については、機械投資には弱い動きが見られますが、第4次産業革命への対応などからソフトウエア投資が昨年来高い伸びを続けております。
 この背景には、設備投資の原資となる企業収益が非製造業を中心に底堅く、高い水準が続いていることがあります。ただし、電気機械など中国経済減速の影響を受けやすい業種では、足もと減益となっている点に留意が必要です。一方、建設業は、堅調な建設投資を背景に増益が続いております。
 2点目は、資料の4ページ目、世界経済の先行きについてです。
 IMFの予測では、世界経済は足もとで成長が鈍化しているものの、本年後半には回復し、2020年には3.6%成長になる見込みです。インドを始め、赤いラインで示しました新興国経済の成長が牽引役になると予測をされております。
 ただし、米中摩擦が更に悪化をし、仮に米中ほぼ全ての貿易財に25%の関税が課せられた場合、世界のGDPは追加的に0.3%押し下げられるとも警告をしております。米中摩擦の動向には一層の注意が必要であると考えております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)今回の月例の判断、個人消費は持ち直しているという全体としての判断である一方で、この消費者マインドについては弱含んでいるという評価になっておりますけども、この乖離をどのように見ておられるか、御所見をお願いします。
(答)個人消費は、基本的には、買えるか買えないかという問題と、買いたいと思うか思わないかという問題があるわけであります。雇用・所得環境の改善が消費を支える最も基本的な条件でありまして、つまり、買える条件ということです。これがしっかりしているなかで、持ち直しの基調が続いていると判断をしております。
 直近のデータでも、本日の会議資料にあるとおり、新車販売や、家電販売の好調もあって、個人消費の最も包括的な指標であります消費総合指数は堅調な伸びとなっております。
 その一方で、マインドはどうかということでありますが、消費者の先行きに対する見方、いわゆる消費マインドについて、昨年後半、中国経済の先行き懸念等からマーケットが世界的に不安定な動きを示し始めた頃から、弱い動きが続いていることについては留意が必要だと思っております。
(問)景気動向指数では、一致指数の基調判断が2か月連続で景気後退の可能性が高いことを示す悪化となっています。
 先月に引き続き、2か月連続で月例経済報告の回復という判断と、景気後退の可能性という判断が分かれています。この判断の乖離について、改めて説明をお願いします。
(答)お分かりの上で質問しているんだと思いますけど、その上でお答えをさせてもらいますが、経済の中のどの部分を見るか、また、経済は様々な指標があるわけでありまして、そのどこに焦点を当てるかということで、おっしゃられた二つで、違いがあるにしても、両者の判断に齟齬(そご)はないということであります。
 直近の景気動向指数の4月分については、鉱工業生産や耐久消費財の出荷などの増加によりまして、前月比、それから3か月移動平均ともに改善しているのは御案内のとおりであります。
 これによりまして、機械的な基調判断を上方修正するための3条件のうち、二つはクリアされたわけでありますが、残っているもう一つの条件、改善の累積幅が満たされなかったために基調判断は据置きとなったわけであります。
 いずれにせよ、景気動向指数が3月に悪化となった主な要因は、中国経済減速の影響を受けて、製造業の生産や、出荷を示す指標が低下したことによるものでありまして、月例経済報告で示しました輸出や生産の弱さが続いているとの表現と整合的であると考えております。
 その上で、日本経済全体を見ますと、何度も申し上げておりますが、需要面で見れば輸出はGDPの18%。供給面で見ても製造業、生産の2割でありまして、8割を占める非製造業は堅調であります。
 日本経済、雇用・所得環境の改善、高水準にある企業収益などその大半を占める内需を支えるファンダメンタルズはしっかりとしておりまして、緩やかな回復という景気の基調は変わっていないと考えております。
(問)先程、緩やかな回復基調は変わっていないというお話でしたけれども、戦後最長の景気回復は拡大が続いているという認識でよろしいでしょうか。
(答)変わっていません。もちろんその前の前提条件、専門家による事後的な検証を経て正式に決定されるわけでありますけれど、その判断は現在のところ変わっておりません。
(問)先程、新車の販売台数だったり、個人消費が持ち直しているというお話でしたけれども、これは増税前の駆け込み需要も中には見られるのでしょうか。
(答)恐らく全体的に今は住宅も含めて、前回2014年の引上げ時と比べて、その引上げから逆算をした時期でいいますと、駆け込み需要が大きく起こっているとは考えておりません。
 今回御案内のとおり、10月に予定しております消費税の引上げと、これに伴う駆け込み需要、そしてその後の反動減を平準化するための十分な対策を打っており、御案内のとおり、軽減税率であったりとか、教育の無償化といった恒久的な措置をとることによって、経済への影響を2兆円程度に抑制をした上で、それを上回る2.3兆円のしっかりとした対策、例えばポイント還元であったり、プレミアム付商品券であったり、更には住宅、そして自動車といった耐久消費財に対する減税措置をとることによって、しっかりした平準化対策をとろうと思っておりまして、現時点において大きな駆け込み需要が出ているということではないと思っております。

(以上)