茂木内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和元年5月20日

(令和元年5月20日(月) 9:01~9:12  於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

 本日公表の2019年1-3月期GDP1次速報では、実質成長率は前期比プラス0.5%、年率に換算するとプラス2.1%と、2期連続のプラスとなりました。
 公共投資が昨年度の補正予算等の執行を背景に5期ぶりにプラスとなる一方で、中国経済の減速等を背景に輸出が2期ぶりのマイナス、設備投資についても製造業を中心に先送りの動きが見られることなどから、今期は小幅なマイナスとなりました。
 また、個人消費については、今期はおおむね横ばいとなっております。
 名目成長率については、前期比プラス0.8%、年率に換算しますと、プラス3.3%と2期連続のプラスとなり、GDPデフレーターも前期比0.3%のプラスとなりました。
 また、2018年度を通して見ますと、実質成長率はプラス0.6%、名目成長率はプラス0.5%と4年度連続で、名目、実質ともにプラスの成長となっております。
 我が国経済は、中国経済の減速などから輸出の伸びが鈍化し、製造業を中心とした生産活動に弱さが続いておりますが、雇用者報酬は前年比で増加が続くなど、雇用・所得環境の改善や、高い水準にある企業収益など内需を支えるファンダメンタルズはしっかりしております。個人消費や設備投資も前期はかなりプラスでありました。その反動によるところもありまして、また、昨年度補正予算や今年度予算執行による公共投資の増加も期待をされ、内需の増加傾向は崩れていないと考えております。
 今後とも、通商問題の動向が世界経済に与える影響や金融資本市場の変動の影響等を十分注視しつつ、2兆円規模の臨時特別の措置を含みます今年度予算等を迅速かつ着実に執行し、経済財政運営に万全を期してまいりたいと考えております。
 以上です。

2.質疑応答

(問)このQE発表前の御認識として、製造業の生産輸出が内需に影響してくるようだと、今後よく見ていかないといけないけれども、現段階では輸出や生産が内需全体を腰折れさせる状況にはないという御認識の表明がありましたが、この先程のコメントの中にも一部含まれていると思いますが、改めて認識をお聞かせください。
(答)認識は変わっておりません。
 先程申し上げたように、設備投資については今期は小幅なマイナス、個人消費については、今期はおおむね横ばいということでありますが、これは、前期の反動によるところもあると考えております。
(問)今回は外需の寄与度がかなり高く影響してると思うんですけれども、これは輸出の落ち込みよりも輸入の落ち込みの方がかなり大きかったということが影響しているんじゃないでしょうか。それの受け止めをお願いします。
(答)数字から見ればそうかもしれません。
 いずれにしても、実質成長率は前期比プラス0.5、年率に換算するとプラス2.1と、2期連続のプラスになった。これは間違いないわけです。
(問)消費増税の延期の意見も、ここ数週間出ておりましたけれども、プラスの成長が出たということで、大臣の予定どおり行うという認識は変わらずということでよろしいでしょうか。
(答)この数字が出たからどうだということよりも、このところずっと申し上げているように、我が国経済は、確かに中国経済の減速などから輸出の伸びが鈍化し、製造業を中心とした生産活動の弱さが続いておりますが、雇用・所得環境の改善や高水準にある企業収益など内需を支えるファンダメンタルズはこれまで同様しっかりしていることに変わりないと考えてきております。
 そして、消費税率10%への引上げは、財政健全化のみならず、社会保障の充実・安定化、教育無償化を初めとする人づくり革命の実現に不可欠なものでありまして、法律で定めたとおり、本年10月に現行の8%から10%に引き上げる予定であります。この考え方は一貫して変わっておりません。
(問)個人消費についてお伺いしたいんですけれども、今期、マイナス0.1でほぼ横ばいということですけれども、第2次安倍政権が発足してからを見ても、若干伸びているか、ほぼ横ばいかなという印象を受けるんですが、この点についてどういう評価をされているのかということと、今後、個人消費の部分をもう少し底上げしていく必要があるかどうかという点、この2点教えてください。
(答)そういう印象を持ってるということに対してどう答えるというのは、非常に難しいところなんですけど、個人消費は、大体GDPの55%を占めるということでありまして、非常に重要な項目であるのは間違いありません。この引上げと、消費の拡大によって、またそれが生産の拡大、投資の拡大につながる、こういった好循環を生み出す上からも極めて重要だと考えております。
 そして消費を拡大させることを考えたときには、やはり所得の向上と、こういったことが重要でありまして、これまで一貫して賃上げ等々に、政府としても全力で取り組んできたところでありまして、引き続きこういった動きというのは続けていきたいと思っています。
(問)個人消費を底上げするために、ほかに賃上げ以外で何かできることというのはあるんでしょうか。
(答)個人消費の底上げの仕方はいろいろあります。例えば、結局消費者というのは、基本的には見たことない商品というのを欲しがりません。やはり新しい商品であったりとか、新しいサービス、供給の側で、それを、広げていくということが一つ大きな要因になります。
 それから、基本的には個人が得た所得は消費に回すか、それとも貯蓄に回すかということになるわけでありまして、その消費に回す比率を多くする、そのためにはやはり、将来に対する見通しの安定が重要になってくるという形でありまして、様々な形での社会保障の持続可能性というのを追及していかなくてはならない。
 特にこれから人生100年時代を迎えるといった中で、教育、雇用、そして社会保障全体についてですね、全世帯型に改革をしていくということによって、安心感を高めることが、消費の拡大にもつながっていくと考えております。
(問)雇用者報酬についてお尋ねしたいんですが、名目値がマイナス0.1ということで、久しぶりにマイナスになったようなんですが、ここについての受け止めをお願いします。
(答)細かい点は事務方で後でお答えさせていただきます。
(問)今回、事前予想ではGDPが横ばい、ないしはマイナスになるんではないかという声も多かったんですが、このようにプラスの強めの結果が出たというのは、大臣としては率直に安心したというような感じでしょうか。
(答)いえ、そんなことありません。常々、GDPの速報値を初め、足元の経済の状況は正確に客観的に算出をされるものでありまして、そういったものを見ながら、またその動きを注視しながら、経済財政運営に万全を期していきたいと考えておりまして、数字がよかったから、悪かったから、これで一喜一憂するつもりはございません。
(問)三か月前の大臣の談話と比較してみたんですけども、景気が緩やかに回復しているという文言が、今回は書かれていないような気がしますが、この中身を見てますと、認識は余り変わらないということでよろしいんでしょうか。それともちょっと心配があるので、回復という言葉が今回は出ていないということなのか、お願いいたします。
(答)今、3か月前の文言を持ってないので、幾ら記憶があっても、3か月前の文言はこうだったと、それに対して今と比べるのは、質問として、私限界があると思います。
(問)今回、プラス成長を維持なさいましたけれども、一方で、政府の1月時点の実績見込みでは、実質が0.9%増、名目0.9%増を見込んでいたのに対して、今回年度ではそれぞれ下回っていますけれども、これはやはり海外経済の影響が結構強いという御認識なんでしょうか。
(答)一つは、やはり中国経済の減速を初めとする海外経済の影響はあると思っておりますが、今日出たばかりの数字でありますから、よく今後分析をしてみたいと考えております。

(以上)