茂木内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成31年4月18日

(平成31年4月18日(木) 18:35~18:47  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 それでは、概要を報告を致します。
 景気の現状についての総括判断は、「景気は、このところ輸出や生産の一部に弱さもみられるが、緩やかに回復している」として、先月から据え置いております。
 先行きについては、当面、一部に弱さが残るものの、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待をされます。ただし、通商問題の動向が世界経済に与える影響や、中国経済の先行き、海外経済の動向と政策に関する不確実性、金融資本市場の変動の影響に留意する必要があります。
 次に、今月のポイントとして、私の方から2点申し上げました。
 1点目は、企業の景況感についてであります。
 日銀の短観では、景況感が「良い」と答えた企業数が、「悪い」と答えた企業数を上回っている状況は続いているものの、その割合は、製造業を中心に、前回12月調査よりも低下しました。生産用機械や電気機械など中国経済の減速の影響を受けやすい業種で景況感が低下する一方、非製造業の景況感は、堅調な内需を背景に高い水準が続いております。
 2点目でありますが、今月が平成最後の月例経済報告ということで、平成の30年間の日本経済と国際経済をそれぞれ振り返る総括的な分析を行いました。
 まず、国内経済については、平成の30年間、日本の経済規模、名目GDPは、420兆円から550兆円に130兆円拡大しました。バブル景気の後、90年代終わりからデフレに入り、リーマンショック、東日本大震災による大きな落ち込みを経験しましたが、平成最後の6年間で再び拡大基調に戻りました。
 同様に、株価・地価についても、バブルの崩壊やデフレによる下落、低迷が長く続いた後、近年、上昇に転じているところであります。
 その間、人口構造は大きく変化をして、生産年齢人口は、1995年(平成7年)をピークに減少に転じましたが、その一方で、女性や高齢者の労働参加の拡大、特に最近は、雇用環境の改善もあって、就業者数は大きく増加をしました。
 その結果、失業率は、平成初めのバブル景気並みの低水準、有効求人倍率は、バブル期を超えて45年ぶりの高さと、現在はなっているところであります。
 国際経済に関しては、平成の30年間、日本経済は大きくグローバル化しました。貿易額は、67兆円から164兆円へ2.5倍、海外直接投資は6倍となり、特にインバウンドは、この30年間で10倍、3,000万人を超えました。
 海外との取引内容も変化しております。経常収支は、平成の30年間一貫して黒字でありますが、その内訳は大きく変わり、モノの取引であります貿易黒字が大幅に減少する一方、海外からの投資収益など所得収支の黒字が着実に増加しております。
 これが、平成30年間を振り返っての内外経済の分析ということになります。
 私から以上です。

2.質疑応答

(問)今回の月例経済報告でも、「緩やかに景気は回復している」という総括判断を維持されたので、戦後最長の景気回復が続いている可能性があるという御認識に変わりはないでしょうか、確認させてください。
(答)先程申し上げましたが、雇用・所得環境の改善、高水準の企業収益など、内需を支えるファンダメンタルズはしっかりしています。「緩やかに回復している」という景気の基調は変わっていないと考えております。
 景気の山、谷の判断につきましては、専門家によります事後的な検証を経て正式に決定をされるものでありますが、政府としては、現時点で景気回復が途切れたとは考えておりません。
(問)消費税率の引上げの関係なんですが、萩生田幹事長代行が、次の日銀短観の結果次第では延期もあり得るといったような発言、ありました。今回の月例経済報告を踏まえまして、大臣としては10月の消費税率引上げ、予定どおりに行える経済環境になってきているのかどうか、大臣どのようにお考えでしょうか。
(答)政府としては、消費税率の10%への引上げは財政の健全化のみならず、社会保障の充実・安定化、教育の無償化を始めとする人づくり革命の実現に不可欠なものだと考えております。法律で定められたとおり、今年の10月に現行の8%から10%へ引上げる予定であります。
 そして、日本経済の現状は先程申し上げたように、雇用・所得環境の改善、高水準の企業収益など、内需を支えるファンダメンタルズがしっかりとしており、緩やかな回復が続いているという認識であります。
 中国経済の先行きであったり、通商問題の動向など、海外経済のリスクには十分注意をしつつ、30年度の補正予算、そして2兆円規模の臨時・特別の措置を含む今年度予算を着実に執行しつつ、経済運営に万全を期していきたいと考えております。
(問)中国経済の先行きについてのお伺いなんですが、昨日、中国1-3月のGDPが出まして、公共投資の下支えにより成長率が想定よりも底堅かったかなという評価なんですが、一方で、持続性は疑問視されていますが、今、中国政府の政策効果がどのような形で今後出てくると見ていらっしゃるのか、大臣の御見解をお願いします。
(答)数字だけを見ると、政府の景気対策の効果が出ている可能性はあるんだと思っております。昨日発表されました中国の本年1-3月期の実質成長率は前年同期比6.4%と、前期と同じ成長率となりまして、昨年から続いてきた成長率の減速がひとまず止まった形になったわけであります。インフラ投資の伸びが高まっておりまして、冒頭申し上げたように昨年秋以降の政府の景気対策の効果が出ている可能性はあると考えております。
 今後、こういった予算措置だけではなくて、個人所得減税であったりとか、企業減税など2兆元、つまり、33兆円を超える対策の効果が徐々に現れてくることが期待されるわけであります。
 一方で、中国経済に内在しております過剰債務の削減などの構造問題への対応であったりとか、今も続いておりますアメリカとの通商問題の影響など、中国経済の先行きには注意すべき点も残っているわけでありまして、今後の動向をしっかり注視をしていきたいと思っています。
(問)すみません、ちょっとずれてしまうかもしれないんですが、先程、月例の終了後に総理と面会されていたようなんですけども、訪米の報告等もされたのかなと思うんですけど、どういったやり取りがあったか、御紹介できる範囲でお願いいたします。
(答)先程、月例経済の後に短時間お会いしました。そして、先程私も日本に帰国しましたので、今回の日米通商交渉の結果につきまして、総理の方に報告をさせていただきました。
 報告させていただいた内容につきましては、既に現地ワシントンでの記者会見で発表したとおりです。
(問)総理から何か反応は。
(答)反応といいますか、ちゃんと聞いていただいたと思います。
(問)先程、御報告されたという日米の貿易協議についてなんですけれども、まだ帰ってこられたばかりですけれども、今後の、今週の日程ですとか、何か改めて記者会見以降で決まったことがあれば教えてください。
(答)記者会見のときもお話し申し上げたと思いますが、恐らく私も来週、諸般の情勢が許せば米国に出張することになると思いますので、せっかくアメリカに行きますから、ライトハイザー通商代表とも、日米首脳会談の前にお会いをするということになると思います。

(以上)