茂木内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成31年1月29日

(平成31年1月29日(火) 9:44~9:54  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 それでは、まず、今日の閣議の後に行われました「月例経済報告等に関する関係閣僚会議」の概要について御報告を致します。
 景気の現状についての総括判断は、「緩やかに回復している」として先月から据え置いております。
 先行きについては、雇用所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって緩やかな回復が続くことが期待されます。ただし、通商問題の動向が世界経済に与える影響や、中国経済の先行きなど海外経済の不確実性、金融資本市場の変動の影響に留意する必要があります。
 次に、今月のポイントとして私から2点を申し上げました。
 1点目は、お手元の資料でいいますと3ページ目になりますが、景気回復の長さについてであります。2012年12月、我々が政権復帰をしたときに始まりました今回の景気回復期間は、今月で74か月、6年と2か月となり、戦後最長になったとみられます。今回の景気回復では、デフレではない状況を実現するなか、左側上のグラフ、そして、下の図表にあるように、名目成長率が実質成長率を上回る健全な成長の姿となっております。また、右上の図、雇用環境が大幅に改善し、人口減少の中でも就業者数がバブル期並みに増加をし、右下の図に示したように、企業収益は過去最高となっております。
 2点目は4ページになりますが、中国経済の減速についてであります。左上の図、中国の実質成長率は昨年から徐々に減速をし、10-12月期は6.4%となりました。この背景には、左下の図、債務削減に向けた取組の影響などもあり、インフラ投資の伸びが低下したこと、さらには、右上の図、消費の伸びが昨年秋以降やや低下していることがあります。また、米中の通商問題を背景に、右下の図、輸出と輸入の伸びが共に低下をしております。中国経済の景気下振れリスクに留意をする必要がある、このように考えております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)2点お願いしたいんですが、1点目、景気回復についてですが、先程戦後最長になった可能性があるということなんですけれども、今回の景気回復は成長率が過去の景気回復に比べて低く、回復の実感がないという声も多く聞かれます。この点についての御所見をお願いしますというのと、あと、海外経済のリスクが高まっていますけれども、日本経済の景気回復の持続性についてはどのように御覧になっているかお願いします。
(答)今回の景気回復では、デフレではない状況を実現をする中で、名目成長率が実質成長率を上回る健全な成長の姿となっております。これは、これまで最長でありました2000年代の景気回復期と大きく異なるところと認識を致しております。
 確かに高度成長期の「いざなぎ景気」のころは平均成長率が実質で11.5%。さらには80年代後半の「バブル景気」のころは平均成長率が実質で5.3%。これらと比べてみますと、今回の成長率は平均で実質1.2%程度でありますが、いざなぎ景気のころは、ちょうど東京オリンピックから大阪万博にかけての時期でありまして、日本は高度成長期でありました。さらに、バブルのころは、株価、土地が大きく上がり、人口も増えている。こういう時代でありましたが、今は人口減少に入っています。ただ、この人口減少の中でも就業者数がバブル期並みに増加したこと、また、景況感の地域間格差が小さくなっていることは、今回の景気回復の優れた特徴ではないかなと考えております。
 ただ、冒頭申し上げたように、海外経済のリスク等には十分注意する必要があると考えておりまして、日本経済の潜在成長率の向上が極めて重要になっています。そのため、「人づくり革命」、「生産性革命」に取り組み、日本経済を更に持続、そして、加速させ、景気回復の実感を高めていきたいと思っております。
(問)もう一点お願いしたいんですが、ごめんなさい。昨日ですけれども、統計問題に絡みまして、厚生労働省の「賃金構造基本統計」でも新たに不適切な調査が分かりました。これに関連しまして、GDPを含め「国民経済計算」、それから、景気判断への影響はないのかお聞かせください。
(答)景気判断については、先週、お答えしたとおりであります。それだけでみているのではない。さらに、「国民経済計算」の推計において、今御指摘のありました「賃金構造基本統計調査」における「宿泊業、飲食サービス業」の数値は用いておりませんので、その影響はないと考えております。
(問)今回の判断では、消費者物価の上昇テンポが鈍化しているというのから横ばいとなっているというふうに、下方修正とは言わないが、表現変更なんですけれども、デフレ脱却を目指すという観点から見ると一歩後退というふうに言えると思います。これに対しての受け止めをお願いします。
(答)消費者物価につきましては、資料7ページの図の右側にありますように、人件費の増加等を背景にしまして、外食や旅行などのサービス価格が上昇しているものの、全体として横ばい圏内の動きとなっているわけであります。
 日本経済は、雇用・所得環境の改善が続いておりますが、デフレ脱却を実現していくためには、更なる賃金の上昇が鍵になっていくと考えております。このため、企業収益を一層改善し、賃上げの原資をしっかりと確保するとともに、賃上げや投資に前向きな企業マインドを拡大していくことが極めて重要になってくると考えております。
(問)2点お願いしたいんですけれども、まず1点目は、月例経済関係閣僚会議で安倍総理からは何か発言はございましたでしょうか。安倍総理からの発言というのはありましたか。
(答)ありません。
(問)あともう一点なんですけれども、冒頭にお話がありました安倍政権が発足してから景気拡大ということなんですが、戦後最長とみられる今回の景気拡大期を仮に大臣として名前を付けるとすると、何景気というふうに。
(答)そこまで考えていません。
(問)すみません、話題変わりまして、首都圏のマンション売買が27年ぶりの低水準と減速感を示す民間の調査が先週発表されました。こうした不動産市場の減速が日本経済に与える影響、どのようにお考えになりますでしょうか。
(答)まず、正確に申し上げると、契約率は下がっておりますけれど、価格については高止まりの状況ということなんだと思います。不動産価格や不動産取引といった資産市場の動向については、日本国内の実需だけでなく海外からの資金の流れなど、様々な要因を背景に変動するものと考えております。
 住宅投資、それだけを取ってみますと、GDPでいいますと3%程度です。経済に与える影響はそれほど大きなものでありませんが、不動産を含めた金融資本市場の変化、冒頭申し上げたようにこれが経済に与える影響については、しっかりと注視をしていきたいと思っております。

(以上)