茂木内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成31年1月11日

(平成31年1月11日(金) 10:03~10:14  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 1月の8日から10日まで、中国の深センに出張いたしまして、グローバルに活躍するベンチャー企業を数多く生み出している深センのエコシステムの現場に、直接触れてまいりました。ユニークなAIを搭載した人型のロボット、様々なタイプの人型ロボットがありましたが、これを開発するユニコーン企業、大体5年前に10人で立ち上げて、今は1,400人で総資産額5,000億というユニコーン企業であったりとか、アプリによって部品の調達から配送までスマートな製造現場を実現した中小企業を訪問し、若く優秀な人材がチャレンジ精神とスピード感を持って新たなビジネスに取り組んでいる姿に接して、深センの活力を改めて実感をしたところであります。
 電気製品やあらゆる種類の部品を販売している深センの電気街、華強北に私も行ってまいりましたけど、東西が1.5キロ、南北が1キロと、売場面積では秋葉原の30倍という大きさであります。ものづくりのサプライチェーンの様々な企業、部品メーカーなどの巨大な集積に多くの資金、そして優秀な人材が引き寄せられて、新しい製品やシステム開発が行われていくという深センの特徴を感じるとともに、第4次産業革命、AIとロボット、スマホとアプリ、こういったものの無限の可能性というのも実感をいたしました。
 来週は14日から17日までインドのムンバイ、そしてバングラデシュのダッカに出張いたします。今回の出張では躍進するインドのIT大手、定点観測じゃないですけれど、前回行ったのは多分10年ぐらい前ですから、どれぐらい変わっているか。さらには日本にもIT技術者を送り込んでいるバングラデシュのシステム開発の現場を視察する予定であります。
 こういった中国、インド等新興国の技術革新の実態や活力をこの目で実際に見ることによって、今年の夏の未来投資戦略の策定にも生かしていきたいと考えております。

2.質疑応答

(問)2点お願いしたいんですが、1点目、今、お話がありました中国に御出張とのお話で、深センには日本企業もたくさん出ていると思いますけれども、一方で景気がかなり心配をされていて、技術革新の状況も含めて、現地に行かれて中国の景気状況についてどのようにお考えになったかというのを1点お願いします。
 2点目もいいですか。2点目は毎勤の問題でして、GDPと同時に発表される雇用者報酬とか、政府の景気判断にも影響があるのではというふうな見方が出ています。現時点で内閣府の統計や景気判断にどのような影響が及ぶと考えていらっしゃるでしょうか。また、毎勤問題は、2018年にも指摘されましたけれども、雇用者報酬も修正した経緯がありますが、なぜこのようなことが起きるのか、現時点での御見解をお願いします。
(答)今回、深セン訪問した印象では、冒頭申し上げたとおり、ユニコーン企業であったりとか中小企業において、非常にスピード感を持って若く優秀な人材が新たなビジネスに積極的にチャレンジするなど、深センの活力というのを感じたところであります。マーケット的にはかなりグローバルなマーケットを相手にしている企業がありますし、ドメスティックな市場も広い。例えば街を走っている車を見てみますと、日本車が大体3割ぐらいという部分はあるわけでありますが、そういった中で中国全体の景気動向については減速している分野もあると言われておりまして、種々の統計から全体像を把握して判断する必要があると考えておりまして、輸出入の動向であったりとか、中国国内の需要、さらには今、資金供給にも懸念が出ているところでありまして、こういった問題も含め今後の動向をよく注視をしていきたいと思っております。
 今回訪問した企業に関しては、米中の通商摩擦の影響は特段ないという話でありましたが、現地との意見交換の中では、ここにきて米国企業との交流がしにくくなっているなど、米中の通商摩擦の影響を受けている企業もあると、こういう話も聞いております。
 いずれにしても、この米中摩擦の動向であったりとか、それが世界経済に与える影響については、今後とも注視をしてまいりたいと考えているところであります。
 そしてもう一点でありますが、毎月勤労統計の問題につきましては、今日の昼に厚労大臣が記者会見で説明を行い、再集計をした結果を公表すると承知をいたしております。今日の厚労省の再集計結果を踏まえて、GDP統計においても雇用者報酬等を改定することが必要になってくると考えておりまして、今月中にも改定値が公表できるように準備をさせたいと考えているところであります。
 内閣府の統計のうち基幹統計に指定されているものは、国民経済計算、いわゆるGDP統計のみでありますが、これは各種基礎統計をもとに集計値を推計する加工統計と呼ばれるものであります。これは加工統計でありますから、今回のように基礎統計に問題が生じると正しい推計というのはできず修正が余儀なくされることになるわけでありますから、まずは各種基礎統計の正確性を期してもらうとともに、推計方法の公開であったりとか、推計手法の改善なども不断に進めて、統計の信頼性の確保に努めていくことが必要と考えております。
 基本となります毎月勤労統計になぜこのような問題が起こってしまったのかと、このことについては根本大臣の方から昼に説明があるんだと思います。
(問)今おっしゃった雇用者報酬の関係なんですけれども、GDP統計にも変更が生じる可能性があるという意味でしょうか。
(答)GDP統計については雇用者報酬等を改定することが必要になってくると考えております。今月中にも改定値、公表できるように準備をしたいと思っているところであります。ただ、政府の経済見通し、昨年の12月に閣議了解いたしましたが、これは毎月勤労統計の結果を直接用いているものでありませんので、見直す必要はないと認識をいたしております。
(問)今の関連で、景気動向指数も改定したりするものなんでしょうか。
(答)基幹統計でない統計として、内閣府、私が担当する部門でいいますと、今の景気動向指数であったりとか、消費者動向調査、これは消費者のマインド等のアンケート調査を行うものであります。それから景気ウオッチャー調査、これも景況感のアンケート調査を行うものであります。さらには機械受注調査、これは受注額等のサンプル調査を行うものであります。さらには企業行動に関するアンケート調査。これらを作成して公表しておりますが、いずれも例えば何かの支払をするとか給付をするという行政措置に直接使われているものではございません。
 ただ、そうであっても様々な調査結果、アンケート調査であっても経済の実態をしっかりと反映させるものにするべく不断の見直しというのを行っていく必要があると考えております。
(問)今の毎月勤労統計の話に関連しまして、政府は毎月公表なさっている月例経済報告で景気が緩やかに回復しているというふうな、そういう基調判断をされていますけれども、その判断に影響されることかどうかという、現在の御認識をお聞かせください。
(答)まずは今日、厚労大臣がどう発表されるか、発表を見たいと思いますが、御案内のとおり、緩やかな回復基調を見せているという判断は単純に雇用者報酬だけの話ではなくて、GDP全体の伸びであったりとか、また設備投資の動向であったりとか、内需がどうなっているか、様々な指標を総合的に検討して総括判断を下しているものでありまして、その全体の判断が一つの統計調査によって大きく変わるということはないと考えております。

(以上)