茂木内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成30年12月25日

(平成30年12月25日(火) 10:49~11:01  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 特になし。

2.質疑応答

(問)賃上げについて1点お伺いします。今日、日経平均株価が2万円を割り込むなど景気の先行きに不透明感が増していますけれども、そんな中、安倍総理が、経済の好循環の実現に向けて、週内にも経済界に6年連続の賃上げを要請するとの一部報道もありますけれども、政府として賃上げについてどのような取組を進めていくお考えかお聞かせください。
(答)経済の持続的な成長のためには、何と言ってもGDPの6割を占める個人消費の喚起が重要でありまして、それにつながる所得環境の改善、つまり賃上げが大きな鍵であることは経済界の方々も十分認識をされており、そのような方向で検討しているんではないかと考えております。
 その上で申し上げれば、ここ数年の賃上げの動きを更に力強く進めていくため、企業収益を一層改善し、賃上げの原資をしっかりと確保し、賃上げや投資に前向きな企業マインドを拡大していくことが政府としても必要であると考えております。
 この観点からも、企業の生産性を着実に高め、技術革新を生産性向上につなげることが大きな課題であると考え、一連の成長戦略の推進、そして減税措置等も講じているところであります。
(問)今ちょっと質問にもありましたけれども、今日、株価は大きく値下がりして2万円割り込んだということで、日本経済への影響なんですけど、政府は経済見通しで、当面緩やかな回復という見通しを示されてたと思いますけども、これに影響してくるような状況でしょうか、そうではないでしょうか、大臣のお考えをお伺いします。
(答)これは御案内のとおり、日本のマーケットだけではなくて、先週末少し上げた上海も今日は下げているようでありまして、金融市場そのものについてはコメントは差し控えますが、我が国を含め各国の株価は、ここのところ米国の株価に連れる形で振れの大きな動きが続いていると認識をいたしております。
 その上で、まず我が国の実体経済について申し上げると、過去最高の企業収益であったり、雇用・所得環境の改善、堅調な内需など経済のファンダメンタルズはしっかりしていると、このように考えております。
 また米国についても、堅調な経済成長や低水準の失業率など、実体経済は堅調に推移していると認識をいたしております。
 いずれにせよ、金融資本市場の変動が我が国経済に与える影響についてはしっかりと注視していきたいと思っておりますし、また、各国の金融政策の動向であったり、通商問題を始めとする国際経済の動向も引き続き注視をしていきたいと考えております。
(問)株安の話なんですが、日銀の試算なんかを見ますと、資産価格が個人消費に影響を及ぼすということで、このまま株式市場が下落が続くと個人消費の影響が心配されると思います。来年10月、消費増税が予定されておりますけれども、いかなる理由があっても実施するというお考えか、それとも延期の可能性があるのか、またその場合、どういう理由があったときに延期をするのか、現時点のお考えをお願いします。
(答)経済運営ということから言いますと、株価については日々の動きというよりも、長期的なトレンドがどうであるかと、また、その根底にある日本経済のファンダメンタルズがどうであるかといったことが重要であると考えております。
 その上で、来年10月の消費税率の引上げに向けて景気の回復基調を持続できるように、国内外の経済情勢にも十分注視をしながら、経済運営に万全を期すことで、しっかりと引き上げられる経済環境にしていきたいと思っております。
(問)先週末にUSTRが公表した日本との貿易交渉の目的についてお伺いしますが、物品以外にもルールやサービスなど包括的な内容が含まれておりましたが、年明けの交渉ではどのように日本政府として対応していく方針でしょうか。
(答)この「United States-Japan Trade Agreement Negotiations」を拝見しましたが、全く驚いていません。
 21日にこのUSTRが日本との交渉目的等を公表しておりますけれど、これは米国側はTPA(Trade Promotion Authority)を取るのに当たっての一般的な手続と理解をしておりまして、NAFTAのと基本的にほとんど変わっていません。我が国として米国の国内手続についてコメントすることは控えたいと思っております。
 いずれにしても、日米交渉については9月の共同声明に書かれている内容に沿って交渉を進めるということにしておりまして、そこで具体的に決まってないこと、特に、物品貿易以外の何を当面の交渉の対象とするかについては、ライトハイザー通商代表と今後協議し、合意したもののみが入ることになると考えております。決して簡単な交渉とは思っておりませんが、共同声明の内容に沿って、また国益に沿った形で交渉を進めていきたいと思っております。
 ぱっと拝見しても、最初のページの最後のパラのところもですね、“We may seek to pursue negotiations with Japan in stages, as appropriate. ” こういう形になっておりまして、共同声明の内容とそごは全くないと思っております。
(問)関連してお尋ねします。先程のお話ですと、国会答弁でもおっしゃっているように、今後のTAG交渉というのは、物品と税関手続の円滑化など早期に結論が出る一部サービスという認識でよろしいのでしょうか。その物品以外の交渉目的に入っているものというのは、共同声明の4.に書いてあった、TAGの交渉が完了した後のものも含まれているという認識でよろしいでしょうか。
(答)今申し上げたと思いますが、英語の表現で。最初のページの最後のパラの3行目の途中から、“We may seek to pursue negotiations with Japan in stages, as appropriate. ” そのパラ4と一緒だと思いますよ。
(問)大臣個人としてなんですけれども、例えば輸入や輸出に対して、食品などの分野で特に大臣として楽しみなものだったり、海外にこれは輸出を頑張っていきたいという具体的な物品などありますでしょうか、教えてください。
(答)12月30日にTPPが発効します。TPPは、昨年の1月23日に米国がTPPから離脱を表明して、一時これが漂流してしまうんではないかという懸念もある中で、正に我が国が議論を主導し、昨年11月のダナンで大筋合意、そして今年の3月8日、チリのサンティアゴで署名式を行い、恐らく各国が国内手続を進める。年内に発効ということを想定した国というのは少なかったんじゃないか。また、関係者の間でも、これほど早くと思っていたところはないと思いますが、世界的に今保護主義の動きが起こる中で、自由で公正な21世紀型の共通ルールを作っていくことの重要性について、参加各国がその強い意思を示すことができたと思っているところであります。
 日本にとりましても、まず、日本の優れた製品、サービスをこの成長が期待されるアジア・太平洋マーケットに今後更にアクセスが容易になってくる。大企業だけではなくて中小企業等の海外展開も後押しをしていきたいと思っております。
 農林水産品についても、非常に安全で、そしておいしい日本の様々な農林水産品を海外に打って出るチャンスであると考えております。
 一方で、海外から、家計にとってみると、消費者にとってみると非常にこれまで以上に安価な商品というのが入ってくる。これによって家計にとってもメリットというものはもたらされると思っているところであります。もちろん国内の農業等々につきましては、その体質強化であったりとか経営安定の対策も、しっかりととっていきたいと考えています。

(以上)