茂木内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成30年11月30日

(平成30年11月30日(金) 9:02~9:14  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 特になし

2.質疑応答

(問)一昨日、消費税増税に伴う価格設定のガイドラインがまとまりましたけれども、改めて狙いを教えてください。
(答)我が国においては消費税が1989年に導入されたわけでありますが、最初の導入時及び税率引上げ時に、一律一斉に価格が引き上げられるものとの認識が一般に広く定着をしているわけであります。前回、2014年の消費税率引上げ時にも様々なものの価格が一律一斉に上昇したことで、大きな駆け込み需要と反動減につながった面もあると考えております。
 それに対して今回は、欧米諸国、ドイツやイギリスの例も参考にするというお話を申し上げてきましたが、欧米諸国では1960年代から70年代前半に付加価値税、Value Added Taxが導入されまして、税率引上げの経験を積み重ねてきている中で、税率引上げに当たり、どのようなタイミングでどのように価格を設定するかは事業者がそれぞれに自由に判断している。必ずしもその値上げの日だけではなくて、その前であったり後であったりとか、言ってみるとばらばらというか、自由に価格設定が行われている。このために税率引上げの日に一律一斉に税込価格の引上げが行われることはなく、その前後でその分大きな駆け込み需要・反動減も発生していないわけであります。
 こうした欧州諸国の例や我が国における前回の反省も踏まえて、来年10月に予定をされております消費税率引上げでは、その前後において事業者それぞれの判断で柔軟に価格付けができるように、また、消費者は安心して購買ができるように、駆け込み需要と反動減を平準化する観点も含めて、今回、価格設定に関するガイドラインを整備し、公表したということでありまして、別に法律を変えたわけではありません。
 ただ、より明確にこういうことをやっても問題ありませんよということを整理をさせていただいたわけでありまして、例えば消費税還元セールなど消費税と直接関連した形での宣伝・広告はいけないわけでありますが、値引きセール等の宣伝・広告は規制されない。つまり10月1日以降2%値下げをしますという広告を出すことは規制されない。また、従来、便乗値上げの抑制を求めてきましたが、これは消費税率引上げ前に需要に応じて値上げを行うなど、経営判断に基づく自由な価格設定を何ら妨げるものではない。つまり非常に売れるようになった、需要が増えたときに、その需要に応じて値上げをすると、それは便乗値上げではないという形でありまして、こういった点を明確にさせていただいたところであります。
 同時に今度は事業者間の取引を考えますと、中小企業等が取引先との間でのしわ寄せを受けて、増税分を負担させられることがないように、転嫁対策については今後ともしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
 今回のガイドラインは、かなり明確にこれまでも禁止されていることと、やって構わないと、大丈夫ですよということを明確にしたわけでありますが、これを政府広報であったりとか地域別の経済団体、商工会議所、商工会、更にはそれぞれの省庁が所管をしております業界団体等々を通じて、しっかりと末端まで周知、広報していくことで、需要変動の平準化に万全を期してまいりたいと考えております。
(問)直接御担当の案件ではなくて恐れ入りますが、昨日、文化庁、宮内庁、読売新聞社が「日本美を守り伝える『紡ぐプロジェクト』」というものを始めると発表いたしました。皇室ゆかりの名品や国宝、重要文化財など日本の美と文化を象徴する美術品や文化財について、保存・修理・公開を一体的に進める国内初めての取組となります。こうした日本の文化財の利活用が経済の活性化にもつながる可能性につきまして、どのような御見解をお持ちでしょうか。お聞かせください。
(答)キャンペーンを始めたようですね。歓迎したいと思います。『紡ぐプロジェクト』によりまして、国宝であったりとか重要文化財といった日本美術の名品であったり、宮内庁の皇室ゆかりの名品が様々な形で多くの方の目に触れる機会がより一層充実することになると思っております。
 経済という観点から申し上げますと、国内外の多くの方々に日本文化の魅力やすばらしさを感じていただくことで、インバウンドについても更に弾みが付くなど、経済活性化にもつながることを期待をいたしたいと思っております。
 若い人がいろんな、例えば刀剣であったりとか、そういう新しいものにも非常に興味を持っておりますようで、例えば何とかゆかりの刀剣とかいうフェアとかやりますと、そこはもう若い20代の男女が相当列をつくって、そういった展示会にも来ているということでありまして、やっぱりいろんな形で日本が持っている文化というものに更に理解が広まっているなと感じています。
(問)これもまた直接御関係のない話で質問するのはちょっと恐縮なんですけれども、秋篠宮様が記者会見で大嘗祭に国費を支出すべきでないという発言をされまして、これに対して政治判断に踏み込んだような発言をするべきでないという見方もあるかもしれませんし、一方で、内容自体には理解が得られるんじゃないかという御意見もあるかもしれません。大臣の受け止めをお聞かせください。お願いいたします。
(答)所管外です。
(問)トランプ大統領なんですけれども、アメリカのゼネラル・モーターズの北米工場閉鎖に伴って追加関税をまた検討するというようなことを示しているんですけれども、大臣はこれまでにも日本製の自動車については特にアメリカの安全保障に影響がないとおっしゃっていらっしゃったと思うんですけれども、今後、来年始まる物品貿易協定の交渉に何か影響することというのは特にないでしょうか。
(答)海外のコメントといいますか、報道については承知をしておりますが、あのコメントが日本の自動車についてどうという内容の言及とは思っておりません。いずれにしても、日米の物品貿易協定、これは9月26日に発表されました日米の共同声明に沿ってしっかり進めていきたいと思っております。
(問)IMFが日本経済の年次報告を公表しました。人口減少で40年後の日本のGDPが25%程度減少する見通しを示した一方で、労働人口を増やすための政府の取組について評価もしておりますが、改めて大臣の受け止めをお願いいたします。
(答)今後40年間で日本のGDPが25%押し下げられる可能性がある。これは最近の経済成長率が続くベースラインに対して、人口減少により実質GDPは年平均で0.8%程度低下し、40年後には実質GDPがベースラインから25%減少する、ある意味機械的な試算ということであります。もっと大事なことは、今触れていただいたように、IMFの報告書のその後のパラグラフだと思っておりまして、構造改革が人口構造のマイナスの影響を逆転するために極めて重要ということでありまして、女性や高齢者の労働参加、外国人労働者の受入れ、更には生産性の向上などによって実質GDPは40年間で15%程度押し上げられるとも分析をしているわけであります。
 正に日本が今直面しております少子高齢化という壁を乗り越えるために今の政権が取り組んでいる政策でありまして、人生100年時代に対応した雇用、教育、更には社会保障制度全体の改革、同時に第四次産業革命の様々な技術革新をいかに社会実装していくか、時代の変化に対応した成長戦略をとっていく、同時に構造改革を進めていく、極めて我々も重要なテーマだと思っておりまして、それに沿ってしっかりと進めていきたいと思っております。

(以上)