茂木内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成30年10月23日

(平成30年10月23日(火) 16:50~17:00  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

  概要報告いたします。
 景気の現状についての総括判断は、「緩やかに回復している」として、先月から据え置いております。先行きについては、雇用・所得環境の改善が続く中で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されます。ただし、通商問題の動向が世界経済に与える影響や、海外経済の不確実性、金融資本市場の変動の影響に留意する必要があります。また、自然災害の経済に与える影響に十分留意する必要があると考えております。
政策の基本的態度については、全世代型社会保障の実現に向けた改革を進めること、また、来年10月に予定されている消費税率の引上げを控え、経済財政運営に万全を期すことを明記いたしました。
 今月のポイントとしては、私から2点申し上げました。お手元の資料でいいますと、3ページ目、4ページ目となります。
 1点目は3ページ目、景況感についてであります。図の左側にありますように、企業の景況感は引き続き良好でありますが、夏以降の自然災害の影響や海外経済の不確実性が足元の景況感を押し下げていることに留意が必要であります。
 右上にありますように、製造業では、非鉄金属や生産用機械の景況感が低下し、海外経済の不確実性の高まり等が影響したと見られます。
 また、右下、非製造業では、北海道、近畿、中国地方の宿泊・飲食サービス、運輸業等の景況感が低下し、自然災害が景況感を押し下げたと見られております。
 2点目、4ページになりますが、中国経済についてであります。中国の景気は左側にありますように、持ち直しの動きに足踏みが見られます。本年7-9月期の実質GDP成長率は、前年同期比6.5%と、前期から0.2ポイント低下いたしました。中国政府は投資から消費主導の経済への転換を進めており、固定資産投資の伸びは、左下にありますように、本年に入り低下をしております。
 また、米中の通商問題の懸念とともに、右上にありますように、本年半ばより人民元安が進んでおります。これまでのところ、外貨準備の減少や、貿易量の増減は比較的小幅にとどまっておりますが、今後の動向には留意が必要だと考えております
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)改めまして、中国経済についてお伺いします。先日発表されました中国の7-9月期の実質GDPは、前期比6.5%増と、四半期連続で成長が鈍化しまして、今日の月例経済報告でも中国の景気判断を3年3か月ぶりに下方修正なさっています。構造改革の過渡期でもあると思うんですけれども、改めまして、中国経済の減速が日本経済に与える影響について、御見解をお聞かせください。
(答)先程申し上げましたが、中国経済については、投資から消費主導の経済への転換など、政府の構造調整の取組の影響もあり、固定資産投資の伸びが本年に入り低下をしております。こうしたことから、今月の月例経済報告では、中国経済の判断を下方修正し、「景気は持ち直しの動きに足踏みがみられる」としたところであります。
 また、米中の通商問題については、先程申し上げたように、貿易への影響とともに、企業の投資マインドや金融資本市場を通じた影響を通じて、世界経済にも影響を与える可能性があると考えておりまして、その動向をしっかりと注視をしていきたいと考えております。
(問)今回、国内景気のところで唯一、輸出を下方修正していると思うんですけれども、これは今大臣からもお話ありましたけれども、米中の通商問題というのが世界経済に影響を与える可能性あるという話だったんですが、これは実際、輸出の減という形で影響が出ているというふうに見ていいのか、大臣、どのように御覧になっていますでしょうか。
(答)統計の数字に出ているものはそうではないと思っておりまして、我が国の輸出動向について、「おおむね横ばいとなっている」と判断をしておりますが、この背景には、中国におけるスマホ生産の減速であったり、データサーバー需要の一服等によりまして、半導体等電子部品の輸出が減少するなど、これまで我が国の輸出を牽引してきたアジア向け情報関連材の伸びが鈍化したことがあります。
 さらに、9月は台風による関西空港の被災など、資料でいいますと、7ページに書いてあったと思いますけれど、自然災害による一時的な要因もあるところです。
米中の通商問題が我が国の輸出に与える影響についてはこれまでのところ、統計に表れるほどのはっきりした影響は確認できておりませんが、今後の状況については、しっかりと注視をしていきたいと思っております。
(問)雇用者報酬についてお尋ねします。基礎統計である毎月勤労統計の上振れを受けて、実績値の修正を行うというふうに聞いています。今回のような重要な統計が基礎統計のゆがみで修正を余儀なくされることを大臣としてはどう受け止めますでしょうか。
 また、今回の修正に伴う景気判断、デフレ脱却判断への影響見通しについて、御説明いただければと思います。
(答)統計については、ずっと一緒であればいいということよりも、重要なことは、常に最新の経済構造が反映されるように、不断の改善を続けていくことが何より重要であると、このように考えております。
 御指摘の点、厚労省の「毎月勤労統計」において、最新の経済構造を反映するために行った、一つはサンプルの入れ替え。そしてもう一つがサンプルを加重平均する際のウエイトの更新。この二つの変更によりまして、毎月勤労統計を元データとする内閣府の「雇用者報酬」についても、昨年以前の数字と段差が生じているという指摘であると理解をしております。
 この点について、内閣府において、厚労省から新たに提供を受けたデータをもとに検証した結果、サンプルの入れ替え及びウエイト更新、それぞれの影響を特定し、昨年以前の数字を最新の経済構造を反映した基準で再推計することが可能であると判断をしたところであります。
 この推計方法につきましては、昨日、統計委員会において説明をし、了承されたと聞いております。次回のQEに向けて準備を進めたいと思います。
(問)すみません、質問でお尋ねした件なんですが、景気判断、あるいはデフレ脱却判断への影響については、どうお考えでしょうか。
(答)まだ新しい数字が出てきておりませんので、この段階で予断を持ってお話しすることは控えたいと思いますが、いずれにしても、統計は最新の経済構造が反映できるもの。こういったものにおいて、様々なことを判断していく必要があると思っております。
(問)毎月勤労統計に関する厚労省の対応については、どういうふうに受け止めていらっしゃいますか。
(答)厚労省にお聞きください。
(問)今日の株式市場、直接のコメントは難しいと思うんですけれども、先程の御発言ですと、米中などがいろいろ影響しているということなのか、あと長期的トレンドで株価マーケットは見ておられるというお立場だと思いますが、もしかしたらトレンド転換点になり得るようなリスクもあると見るべきなのか、御所見をお願いします。
(答)日本経済のファンダメンタルズは堅調であると考えております。

(以上)