茂木内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成30年10月10日

(平成30年10月10日(水) 10:11~10:20  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

  特になし

2.質疑応答

(問)昨日発表の9月の景気ウォッチャー調査なんですが、大きな地震の影響のあった北海道は2桁低下になりましたけれども、全体では0.1ポイント低下ということで、相次いでいる災害が及ぼしている景況感への影響を大臣がどのように見ておられるか、御所見をお願いします。
(答)御指摘のように、全体では景気の現状判断DI、これは前月比横ばいでありましたが、これはあくまで全国平均の数字でありまして、北海道は御指摘のように前月差がマイナス11.6ポイント。また、大雨災害等のありました近畿では前月差マイナス0.8ポイントと、被害の大きかった地域の景況感が悪化していることには留意が必要だと思っております。
 北海道や近畿のコメントを見てみますと、インバウンド需要をはじめとする観光需要の減少であったり、宿泊予約のキャンセル、そして嗜好品や高額商品の買い控えを指摘する声もありました。ただし、今後についてどうかということについては、例えば北海道では「停電による影響が回復傾向にあることから、今後はよくなる」。また近畿においても、「関西国際空港の連絡橋の復旧などに伴い、徐々に訪日外国人の宿泊客が戻っている」と、こういった前向きな声も出てきております。
 政府としては、被災者の支援、農林水産業、中小企業・小規模事業者に寄り添った支援、観光事業の早期回復に向けた情報発信など、被災地の復旧・復興に全力で取り組んで、経済への影響も最小限に抑えていきたいと考えております。
(問)昨日、経団連の中西会長が、就職活動の解禁時期などを定めてきた指針の廃止を表明されました。
 今後、未来投資会議で新卒一括採用など、これまで続いてきた雇用慣行をどうしていくべきなのか議論されることと思います。想定される論点など、改めて教えていただければと思うのと、また、大臣御自身はどのような新卒採用のあり方が望ましいのか、お考えをお持ちでしたらお聞かせいただけますでしょうか。
(答)まず、長寿社会の進展であったり、最近の雇用環境の変化によって、これまでの新卒一括採用、終身雇用といった雇用形態、慣行が変化しつつあるのも事実だと思います。
 申し上げますと、この終身雇用制度は、日本でずっとあるわけではなくて、これは戦後の問題です。基本的に、戦前はこういった終身雇用という雇用形態が、あまり一般的ではなかったと考えておりますが、いずれにしても、こういう形態、慣行というのは、実際に変化しつつあるのも事実でありますし、今後、自身の能力をより発揮できる仕事への転身であったり、また65歳を超えても生涯現役で活動したいと考えている方々が活躍できるような雇用環境、そして制度を整備していくことは大きな課題であり、喫緊の課題だと、このように考えております。
 この中で、未来投資会議では中途採用の拡大であったりとか、新卒一括採用の見直しといった雇用問題についても、全世代型社会保障への改革の一つのテーマとして、集中的に議論を進めたいと思っているところであります。
スケジュールについては、他のテーマであります第四次産業革命と地方施策と併せて、これら3つの柱について本年末までに中間報告を行い、3年間の「工程表」を含む実行計画を来年の夏までに閣議決定をすることとしております。
 新卒一括採用、これをどう見直していくかというと、これは学生の立場をきちんと考えてやっていかなければいけないと思っておりまして、今後、この問題につきましては経団連や大学も入った議論の場が設けられるだろうと思っております。
(問)内閣府の方で算出している統計値の雇用者報酬についてお尋ねします。
 算出計数である毎月勤労統計の公式値が、今年に入って高目に出ている状況を受けて、雇用者報酬も過大推計になっている可能性が指摘されています。
 さきの会見では、大臣は対応の要否も含め検討されているというふうにおっしゃっていましたが、その後の検討状況はいかがでしょうか。今後の対応方針などあれば、お聞かせください。
(答)まず、前提になります厚労省の「毎月勤労統計」では、先週発表された8月分の公表資料から、これまで同様の本系列に加えて、サンプル入れ替え等の影響を受けない「共通事業所」による前年同期比を併記する公表形態となったと承知をしております。
 この「毎月勤労統計」、これを基礎とする内閣府の雇用者報酬においても、利用者の利便性を考えて、必要な対応を行ってまいりたいと考えております。具体的な対応方法については、現在内閣府の経済社会総合研究所において検討を行っているところでありまして、今後、統計委員会における専門的な議論を経て、過去との段差が生じないような対応方法を公表していくことになると思います。
(問)推計値そのものを修正するという可能性についてはいかがでしょうか。
(答)今申し上げたとおり、過去との段差が生じないような対応方法を検討しているということです。
(問)TAG協議についての質問なんですけれども、金曜日の会見で大臣は、ペンス副大統領が日本とFTA交渉を始めると発言したという報道について、ペンス副大統領がFTAという言葉は使っていない、DealとAgreementは明らかに異なるとお答えになりました。
 使っている言葉が違うのは分かるんですけれども、FTAの定義内容と、ペンス副大統領が使ったFree Trade Dealという、その言葉の意味する内容と、どこが明らかに異なるのか、その違いを教えていただけますでしょうか。
(答)先日も申し上げたとおり、海外の方々のコメントや、発表していることに対して、一つ一つこちらからその全てのコメントをする、例えばインドネシアの外務大臣がTPPについて何か発言したと、それについてどうである、こういったことは控えたいと思っております。
 あえて、先週はこういうお話がありましたので、そこは明らかに違うと申し上げました。それはFTAというのは、ある程度の決まった概念があるわけであります。そこの中には当然、物品貿易も、サービス貿易も入ってくるというものであります。これまで、日本がシンガポールから始まって累次結んできたFTA、さらにはより広い概念のEPAと、一つのディールというもの、なかなか日本語にはしにくい部分はありますが、何らかを取り扱うとか、そういうことが違うのは明らかだと思います。
 使っていない言葉を引用してFTAと言っているかと言われますと、それは言っていないと、そういう事実関係をお答えしたまででありまして、それ以上、FTAとDealというものの違いは何なのかと、それは御自身で決定されたらいかがでしょうか。
(問)それでは、少なくとも、副大統領が使ったFree Trade Dealという言葉の意味は、茂木大臣をはじめみんなが思っているTAGとイコールで、そこの認識の違いは少なくともないと理解してよろしいですか。
(答)冒頭申し上げたとおりです。そこまでお話をされると、全てに私はコメントしなければいけないということになって、日米の間で決まっていますことは、あの共同声明で発表されたとおりであります。そして、私のカウンターパートはライトハイザー通商代表であります。

(以上)