平井内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和元年8月22日

(令和元年8月22日(木) 10:25~10:40  於:中央合同庁舎第8号館1階S101記者会見室)

1.発言要旨


 まずは、今週月曜日の仙台出張についてです。
 東北大学を視察して、「HIRAI Pitch in 仙台」を開催しました。
 まず東北大学の青葉山新キャンパスでは、世界に先駆けたスピントロニクス技術の研究を進めている「国際集積エレクトロニクス研究開発センター」を訪問して、遠藤センター長との意見交換及びメモリ素子などの研究現場の視察を行いました。また、次世代放射光施設の建設予定地を見学して、災害科学国際研究所では、リアルタイム津波浸水・被害予測システム及び災害ロボットの説明を受けました。
 東北大学星陵キャンパスでは、「東北メディカル・メガバンク機構」を視察して、バイオバンクの取り組みと現状、今後の課題について山本機構長と突っ込んだ意見交換を行うことができました。
 また、東北大学片平キャンパスでは、「材料科学高等研究所」を訪問して、CSTI議員でもある小谷所長と、外国人研究者の受入れ体制、数学と材料研究の融合の強みなど、これはWPIの卒業生として頑張っている姿をいろいろ拝見させていただきました。
 「HIRAI Pitch in 仙台」では、主に仙台市を拠点に活動するスタートアップや、その支援者らと、仙台ならではのテック系のスタートアップの現状、支援者の密なネットワークや大企業との連携等の課題などについて、意見交換をしました。
 今回の視察は、一日大変でしたけど、東北大学の三つのキャンパスを詳しく見た上で、意見交換の時間も十分ありましたので、我々がいろいろ考えていたこと、例えばスピントロニクスなどは、日本版IMECになれる可能性は十分にあるというふうに思っていますし、あと、新しい次世代放射光施設の整備を民間が相当程度お金を出してくれるというような状況ですし、そういう意味では東北大学は非常にポテンシャルがあるなと思いました。
 続いて、昨日、川崎市を訪問して、殿町国際拠点キングスカイフロントを視察しました。
 川崎生命科学・環境研究センターでは、加藤副市長をはじめ関係者より、キングスカイフロントの概要、及びCOIプログラムなどキングスカイフロントが関与しているプロジェクトについて説明を受け、意見交換しました。
 また、キングスカイフロント内にある、実験動物中央研究所では、野村理事長から概要説明を受け、小型霊長類のマーモセットの実験施設を視察させていただきました。
 さらに、ジョンソンエンドジョンソン インスティチュートでは、医療従事者向けのトレーニング機器を使ったデモなどを視察をさせていただきました。
 今回の視察で得られた知見で、これはもうバイオ戦略の中に生かせるなというふうに思いますし、川崎を考えてみると、スタートアップエコシステムの拠点へのポテンシャルもあるだろうと。ただ、条件は全部そろってはいないなという印象も持ちました。
 次に、宇宙政策担当大臣としての報告ですが、来週26日、神奈川県相模原市にある宇宙航空研究開発機構(JAXA)相模原キャンパスを視察します。
 JAXA相模原キャンパスは、宇宙科学研究所(ISAS)のメインキャンパスであって、科学衛星・探査機の研究開発や運用等を行っています。
 今回は、「はやぶさ2」の管制室や持ち帰る試料の受け入れ設備、月表面の環境を模擬した「宇宙探査フィールド」、科学衛星の組み立てや総合試験等を行う試験棟等を視察する予定です。
 本視察は一部を除いて取材可能ということですので、時間のある方はお出でいただければと思います。
 そして、最後に科学技術政策担当大臣として、内閣府は、今年10月8日から11日にかけて、横浜市内において、国土交通省、横浜市、世界経済フォーラム等と共同で、「アジア・スマートシティ・ウィーク」として、一連の国際会合を開催する予定です。
 具体的には、内閣府等による「グローバル・スマートシティ・アライアンス設立会合」、国土交通省による「日ASEANスマートシティ・ネットワーク ハイレベル会合」、横浜市等による「アジア・スマートシティ会議」、の3つのイベントを一体的に開催することになります。
 このうち、「グローバル・スマートシティ・アライアンス」は、スマートシティを目指す世界の都市間のネットワークを強化して、成功事例を共有するための場であって、我が国が設立を提唱したものです。6月のG20大阪サミットにおける「G20大阪首脳宣言」でも、スマートシティの開発に向けたこうした取組が奨励されています。
 今回の設立会合の参加都市については、欧米や新興国の都市を中心に、先進スマートシティ地域の参加を見込んでいます。
 私も、先日の欧州出張では、スマートシティの取組みが進むリスボン市のシティーホールを訪問して、同市の取組みを視察するとともに、アライアンスへの参加を直接呼びかけ、検討をお願いして、恐らくは参加していただけると考えているところであります。
 また、同時に開催される「日ASEANスマートシティ・ネットワーク ハイレベル会合」では、国土交通省の主催により、日ASEAN間の官民のマッチングを行って、ビジネス化に繋げていければと思います。
 「アジア・スマートシティ会議」では、横浜市が中心となって、アジアの都市のリーダーたちが集い、ベストプラクティスを共有するということになります。
 これらの複数のスマートシティの国際会議を一体的に開催することで、安全で開かれたスマートシティという日本の理念や、日本の企業や自治体に蓄積されつつあるノウハウ・技術を、海外の各都市と共有し、世界のスマートシティ化をリードしたいというふうに考えております。
 詳細につきましては、後程事務方から説明をさせていただきます。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)20日にオープンサイエンスに関する検討会の報告書がまとまったんですけども、大臣としては、今後オープンデータの活用をどのように進めてくのか、そこら辺について教えてください。
(答)それは喜連川先生に座長をお願いしている、「研究データ基盤整備と国際展開ワーキング・グループ」の報告書だと思います。20日に公表をされましたが、この報告書では、国際的にも、論文のみならず、研究の過程で生まれるデータの重要性があり、世界的な出版社やIT・データ企業が関心を持ちつつあるという背景の下、我が国としての研究データの利活用のあり方について有識者にご検討をいただいたということであります。
 具体的には、NIIにおける研究データ基盤システムの2020年度内の本格運用開始に向けた、国のデータ・ポリシーに求められる項目、公的資金による研究データの横断的な検索のための環境整備の必要性、ムーンショット型研究開発制度における先進的な研究データマネジメント等の提言が行われていました。
 この報告書を踏まえまして、まず国全体の研究データ管理及び利活用に関する基本方針、いわゆる「ナショナル・研究データ・ポリシー」の策定について検討を進めたいと思います。次に、NIIの研究データ基盤システムの本格運用に向けて、関係各省・機関との連携体制を整備したいと思います。そして、ムーンショット型研究開発制度におけるNIIシステムを活用した研究データ利活用のための制度設計、欧州連合、G7をはじめとした各国・国際機関等との連携など、提言の実施状況を踏まえつつ、政策の検討・展開を進めてまいります。
 国のデータ・ポリシーは公的資金全般を対象にするものですが、NIIの研究データ基盤システムの本格運用に向けては、まずは、ムーンショット型研究開発制度に関してシステムを使って先進的な研究データマネジメントを導入したいと、これでうまくいけば更に他の公的資金に拡げていきたいというふうに、今もくろんでいるところでございます。
(問)冒頭の発言の中で、殿町のスカイフロントのところでスタートアップのエコシステムの拠点へのポテンシャルはあるという上で条件足りないと言ったのは、少し意外だったんですけど、どの辺が足りないと思ったんでしょうか。
(答)条件が足りないというふうに思うのは、大学の関与度合いがもっと高くなるべきだというふうに思いました。それと、あのエリアはエリアでまとまっていますけど、例えばあそこに更なる大学誘致等々になると、エリア的にもきついんじゃないかなというふうに思います。
 そしてスカイフロント全体を見ても、およそ半分がヨドバシカメラであったり、そういう意味ではコンセプトが拠点としては十分じゃない面もあると、ただ、実験動物研究所であるとか、バイオのペプチドドリーム関連とか見てると、これは世界に出せるなと、そういうふうに思うんで、そこら辺りがうまくそろえば可能性はあるんじゃないかと思います。
(問)仙台出張の時に東北大学3キャンパスに行って、その中で東北メディカル・メガバンクについては、かなり突っ込んだお話をしたというぐらいの報告だったんですけども、どのような突っ込んだ話をされて課題としてはどんなことがあるんだと、大臣は認識されてますか。
(答)あそこは健常者のデータ、3世代コホートを集めてるという一方で、あとの二つのコホートとはちょっと違って、結局この三つのコホートの連携をどうやっていくのかと、そしてこれ、サグラダファミリアみたいにしちゃ駄目だよということで、成果の活用ということと、最終的にどこまでやるのかという意識合わせ、そして今後の予算の獲得の方針等について、突っ込んだ意見交換をしましたが、その内容については、まだ不確定なので今はお話しできないということです。

(以上)