平井内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和元年8月15日

(令和元年8月15日(木) 10:30~10:42  於:中央合同庁舎第8号館1階S101記者会見室)

1.発言要旨


 まず、私から、昨日戻ってまいりましたフランス、ポルトガル出張について報告します。
 8月9日から14日にかけて、科学技術、ITに係る要人との会談、スタートアップ・エコシステム形成に係る視察等のため、フランス及びポルトガルを訪問しました。
 パリでは、シェレゲンホフOECD事務次長と、デジタル・ガバメントに関する政策や「ムーンショット型研究開発制度」等について意見交換を行いました。日本とOECDの連携を深めていくことで合意をしました。
 また、海外で初めて「Pitch to the Minister懇談会:HIRAI Pitch」を開催して、フランスのスタートアップ企業等6社からピッチを受けました。この企業は非常に日本マーケットに興味があり、また、もう既に幾つかの企業と連携をし始めているということであります。
 さらに、世界に伍するスタートアップ・エコシステムの拠点形成の参考にするため、フランスのスタートアップ育成拠点「Station F」を視察して、これは大変勉強になりました。
 リスボンでは、モエダス欧州委員と会談して、5月の会談で合意した、ムーンショット型研究開発制度とEUのHorizon Europeとの連携強化について、意見交換をいろいろさせていただきました。
 先月末にビジョナリー会議が示したムーンショットの「野心的な目標例」等を紹介して、年内に開催予定のムーンショット国際シンポジウムへのEUからの参加に関しても、前向きなお答えを頂きました。
 また、テイシェイラ科学技術・高等教育副大臣ほかと会談して、両国の科学技術・イノベーション政策及び宇宙政策と、今後の協力について意見交換を行いました。
 そして、リスボン市が推進するスマートシティ・プロジェクトについて、リスボン市から説明を受けました。このリスボン市は、NECがFIWAREで仕事を請け負っているということもあり、日本との連携のしやすいスマートシティの一つだなというふうに思いました。
 さらには、リスボンで毎年開催されている、世界最大級のテック・カンファレンス「Web Summit」について、コスグレイブCEOから詳細に説明を受けて、現地を視察しました。日本企業の参加をもっと増やしたいというふうに向こうもおっしゃっておりますので、そのように対応したいと思います。
 いずれにしても、大変有意義な視察でしたので、今後の政策に生かしていきたいと思います。
 来週月曜日の19日、宮城県仙台市を訪問して、東北大学を視察するとともに、「HIRAI Pitch in 仙台」を開催します。
 東北大学青葉山新キャンパスでは、国内外の材料・装置・デバイス・回路・システムなどの多様な企業と連携を進めている「国際集積エレクトロニクス研究開発センター」、次世代放射光施設建設予定地及び災害科学国際研究所を視察します。
 その後、東北大学星稜キャンパスでは、宮城県、岩手県、35を超える市町村と連携し、地域住民15万人の信頼と協力によって構築されている「東北メディカル・メガバンク機構」を視察をさせていただきます。
 また、東北大学片平キャンパスにおいては、文部科学省世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)アカデミーメンバーのひとつである「材料科学高等研究所」の視察及び研究者との意見交換を行います。
 さらに、「HIRAI Pitch in 仙台」を開催して、仙台市を拠点に活躍するスタートアップや、その支援者らと意見交換を行います。仙台はあまりスタートアップのイメージが今までなかったんですが、ここに来て急激に出てきているということで、楽しみにしています。
 「HIRAI Pitch in 仙台」は全て公開しておりますので、記者の皆さんは是非取材に来ていただければと思います。
私からは以上です。
 

2.質疑応答

(問)フランス、ポルトガルで各国の要人とお会いして、結構ムーンショットだとかいろいろお話ししたかと思うんですけども、今後の科学技術政策に具体的にこんなことがいかせるぞという、そういう成果というのはあったわけでしょうか。
(答)「Station F」というのは、個人の一人の財団がお金をどんと出して創設したということなんですが、世界中から1,000社以上のスタートアップが集まって活躍しています。35の行政機関、40のベンチャーキャピタルが同居していて、1か所で年間600回以上のイベントが行われているんです。今回、私が進めていますスタートアップ・エコシステムの拠点形成も、正に一つの方向性だなというふうに思いました。
 また、フランスはスタートアップに関する全ての関係者を「フレンチ・テック」という一つのブランドの下にまとめているんですね。
 これでフランスのスタートアップの成長と国外展開を支援して、国外の優れたスタートアップや人材のフランスへの誘致もやっているんです。これも負けてはいられないなというふうに思っていて、我々の政策の中に取り入れたいと思います。
 そして、「Web Summit」で日本のプレゼンスを高める、日本のスタートアップの成長、海外展開を図るうえで非常に重要ですね。この「Web Summit」というのは、今後10年間ポルトガルで開催するということが決まっているんですが、このコスグレイブCEOがポルトガルでやりたいということで、非常にうまくいっているのではないかなと思います。
 ポルトガルというのは人口が約1,000万人しかいないのに、このような流れでユニコーンも3社生まれています。考えてみると、ついこの間まで田舎の国だなというイメージだったんですが、様変わりしているので、やればできるんだなというふうに思うし、海外の大学とのネットワーク、例えばカーネギーメロン大学、MIT、ハーバード大学、そこら辺りをうまく取り入れてやっていると。ポルトガルというのは、皆さん英語をしゃべれるので、それも非常に強みだなというふうに思いました。
 ムーンショット型研究開発については、モエダス欧州委員、OECDのシェレゲンホフ事務次長、ポルトガル政府要人と意見交換しましたが、ビジョナリー会議で示したムーンショットの目標の3つの領域と25の「野心的な目標例」、これ英語にすると非常に野心的な目標なんですね。非常に関心を持っていただき、賛同もいただきました。
 「ムーンショット型研究開発制度」は、国際的に開かれた開発プログラムなので、国際的に積極的に発信していきたいというふうに思っています。これは英語での発信とムーンショットの海外に対するイメージ戦略、この辺りもやっていきたいというふうに思います。
 12月中旬に開催するシンポジウムですが、欧州をはじめ、世界の政府機関の研究者・科学者等の参加を得るべく、呼びかけてまいりましたけど、非常に感触はいいんですね。ただ、今回の出張が夏休み、これが冬、クリスマス休暇、日本人はそういうのを無視して仕事しているんだなと自分で感じた次第でございます。
 以上です。
(問)今、スタートアップ・エコシステムの拠点形成のお話が出たんですけども、日本の拠点というのはいつ頃決まりそうな感じなんでしょうか。
(答)年明け公募という形になりますが、もう既に私のところには、いろいろな水面下でのプレゼンテーションがどんどん来ています。それはそれで話を承っているという段階です。
 各地域、こっちの方面でやりたいという首長さんが多いというのがよく分かりました。
(問)仙台出張の件なんですけれども、仙台は今までスタートアップというような印象がなかったけど、ここに来て元気が出てきているとご発言ありましたけれども、それは最近になって何か仙台でそういったものの機運があるということでしょうか。
(答)それは日本の国全体だと思うし、東北大学に起業部みたいなものもできているというふうに聞いていますし、大学生や大学の教授陣のマインドセットが変わってきたんだなというふうに思います。
 もともとそういう技術的なものもあるし、今回東北大学は三つキャンパスを回りますけど、それぞれオンリーワンの存在ですよね。そういう意味では、復興予算の執行という段階から次の段階に行くんだろうと思います。是非自分の目で確かめた方がよろしいのではないかと思います。

(以上)