平井内閣府特命担当大臣閣議後記者会見要旨 令和元年8月2日

(令和元年8月2日(金) 10:51~11:08  於:中央合同庁舎第8号館1階S101記者会見室)

1.発言要旨


 まず、科学技術政策担当大臣として、ムーンショット型研究開発制度についてご報告します。
 一昨日、第4回のビジョナリー会議を開催して、本制度が「目指すべき未来像」と「その実現に向けた野心的な目標例(25のミッション目標例)」についての提言を取りまとめていただきました。
 私、Disruptiveなイノベーションを起こすには、これまでの常識を覆すような構想力が必要であり、この目標設定が最も重要なプロセスになると考えてきました。
 そのような意味で、今回お示しいただいた未来像及び25の目標例は、いずれも壮大かつチャレンジングなものであって、多くの国民や世界の国々とも、この取組のイメージや価値観を共有できるのではないかと期待をしています。
 昨日の会合では、ビジョナリーから、今後、国際社会との連携が非常に重要になる。今回の目標達成には、米国のアポロ計画とは異なり、サイエンスの貢献が必要になる。基礎研究への資金的なサポートも重要と考える等のご意見をいただきました。
 今後は、1,000億円という予算の中で、CSTIとして具体的にどのような目標から着手していくべきか、さらに専門家からの意見聴取や国際シンポジウムの開催等を経て、年末には判断・決定していきたいと思います。
 時間があるようでないので、これから国際シンポジウムの開催等に向けて、その準備を加速化していきたいと考えています。まず、それが1点。
 そしてもう一点は、これも科学技術政策担当としての報告ですが、来週の6日、第1回基本計画専門調査会を開催します。
 この会議は、我が国の科学技術・イノベーション政策の基本的な枠組みとなる「科学技術基本計画」を検討するものであります。今回検討を始めるのは、2021年度から2025年度までの5年間を対象とする第6期の計画です。
 平成28年度からの第5期計画ではSociety5.0という将来像を打ち出し、国を挙げてその実現に向けて取り組んできました。次期計画では、その構想を引き継ぎながら、国内外の急速な情勢変化をいかに乗り越え、経済成長を果たしつつ、世界に貢献することができるのか、その具体的な戦略を打ち出していくことが必要だというふうに考えます。
 第1回会合には私も参加して、構成員の皆様に対して、我が国が世界で最もイノベーティブな国になれるよう、尖った議論を期待している旨、お願いをしたいと考えています。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)一昨日のビジョナリー会議で、大臣、最後の最後で、基礎研究とか創発的研究への予算を別途、1,000億円と同額程度検討するというようなことをおっしゃったんですけども、具体的にこれからどうしていくのか。
(答)これからです。あのとき、ビジョナリーの北野委員が、別途ペーパーを用意して、あそこまで我々に打ち込んでいただくのを全く受けないというわけにもいきませんので、気持ち的には完全に受け止めて、しかし、非常にハードルが高い話なので、これから検討しながら進めていきたいというふうに思います。
 これからの資金投入ということを考えたら、多様な資金源から実現する必要があるという、北野委員のイメージ、それは私は正しいと思っていて、いろいろな形でこれから民間資金であるとか、補正予算も出るのか出ないのか分かりませんがそういうものとか、ありとあらゆるものを対象にしながら、予算確保の在り方についてはこれから考えていきたいと思います。
(問)例えば今回、ムーンショット自体はJSTとNEDOが具体的なところは担うことになると思うんですけど、基礎研究については、その担い手というのはどのようにお考えでしょうか。
(答)基礎研究についての担い手に関しても、これから検討するということにはなると思います。25の目標を見ていただいても、いろいろな形で広がりますよね、それぞれ見ると。それとは別に、AMED、農研機構にも基金を積もうと今考えています。ですから、あそこであった健康・医療関係のものに関しては、そういう形が望ましいのではないかと今思っています。
(問)先程の閣議で、韓国のホワイト国の除外というのが閣議決定されたということなんですけども、日本の材料の科学技術というのはお家芸でもあるし、これからも世界マーケットを考えなければいけないかなと思うんですけども、科学技術の政策の観点から、今回の閣議決定をどのようにお考えになるでしょうか。
(答)これは、安全保障というようなところからの判断と理解をしていて、直接その科学技術においてどのように判断するかということに関しては、今特段、私、意見がありません。ただ、これから、今回の判断にどのような影響があるのかについては注視をした上で、考えさせていただこうとは思います。あくまでも安全保障上の観点からの判断というふうな閣議決定ですので、それ以上ではないというふうに思っています。
(問)先程の基礎研究にも1,000億円と同額程度ということについてなんですけれども、多様な資金源から集めるための方策を、今年度の概算要求で検討されているということなんでしょうか。
(答)検討中です。今まさに検討を始めているということですね。北野委員の強い申入れだったので、ビジョナリーで今回非常にご活躍もいただいておりますので、それを受けてこれから関係部局と検討をしていきたいということです。
 さっきムーンショットで、今JSTとNEDOという話に、AMEDとか農研機構というのも、私自身の考えで、今後お願いしていきたいというふうに、まだ決まっているわけではありません。ただ、そうした方が多分全体としてはいいだろうというふうに考えていると。25の分野を見ていただくと、その農業の分野とか、人間の生命に関わる分野、健康長寿みたいなものも随分あるので、そこら辺りをどうしていくかとなると、広げた方が良かろうと、法律的にはできるというふうに考えているところです。
(問)今の予算の関連なんですけれども、今回、特別枠ということで4.4兆円設けることが決まっているかと思うんですね、概算要求で。その成長戦略に関連するもの、そこに入れることは可能なのかどうかという大臣のご見解を。
(答)それも検討中です。
(問)不可能ではないということですか。
(答)世の中に不可能なことはないんじゃないでしょうか。
(問)話題変わるんですけれども、知的財産戦略本部の中にある検証・評価・企画委員会の中で、吉本の大崎会長が委員を務められているかと思います。先日、その会議、大崎会長自身は欠席されているということなんですけれども、その中で、吉本興業が所属芸人との間で契約書を交わしていない点などを挙げて、クールとは言えないというような批判が委員の一人から出たというようなこともありまして、委員というのは、知的財産の創造や保護、活用に関して優れた見識を有する者を大臣が選ぶというふうに決まっているかと思うんですけれども、改めて、大崎会長がふさわしいかどうかのご認識と、今後何か検討されて、対応などがあれば教えてください。
(答)あのときには大崎会長は欠席だったのかな。で、委員の皆さんから、吉本興業を例に挙げて、契約関係の話の発言があったときには私もおりましたので聞いておりますが、今まで、このコンテンツを制作するというような観点からは、随分いろいろな意見も頂いているというふうに聞いてますし、その話と今回の話というのがどうなるのかというのは、私自身、現時点ではコメントを控えさせていただきますが、引き続き、できればクールジャパンに関しては、各方面の知見を有する方々にご意見を頂きたいと、そのように思います。
 今回、ここで同じような質問があったときに答えたと思うんですけれども、間違いなくクールジャパンのコンテンツの有力な担い手であるということもあり、私としては、法令遵守の徹底や説明責任を果たしてもらいたいというふうに希望しているということです。
(問)今回、この吉本興業の一連の中で、契約書を交わしていないことに加えて、合宿に参加するNSCの研修生に対して、死亡しても一切責任は求めていないというような誓約書を交わしていたりとか、もちろん元となっている反社会的勢力による闇営業の問題とかたくさん出てきていて、そういった問題は、きちんとした上であれば問題ないということでよろしいでしょうか。
(答)というか、今そういう事実関係を私も注視をしていて、それはやはりちゃんと説明責任を果たしていただければ、また法律的に問題がなければ、それは我々としても問題はないというふうに思います。ですから、これからの経緯を注視していきたいと思います。
(問)冒頭あった基本計画専門調査会についてお伺いしたいんですけども、今、科学技術力が問われている中で、次期科学技術基本計画、大臣としてはどういう検討が具体的に必要で、今後どういう議論をしていきたいというふうに考えていらっしゃるか、それについてお願いします。
(答)これからの話ですので、私自身が事前にあんまり方向を定めるべきではないというふうに思うんですが、ただ、次の時代の国家像みたいなものがそこでちゃんと浮き上がってきてほしいなというふうには思っています。
(問)その国家像というのは、どういうふうに、日本がどうなってほしいというようなイメージで。
(答)「Society5.0」と言われて、次の時代をイメージできる人は少なかったと思います。少子高齢化とか人口減少ということが正に実現、進行するという中で、デジタルとかいろいろなイノベーションで社会の変革をしていくといったときには、多分、現状とは違う国家像というものがそこには出てくるのではないかと想像しているので、「Society5.0」も社会実装になった後どうなるのかという議論も当然その中には含まれるんだろうと考えているということです。
(問)そうすると、日本の将来のビジョンというものをしっかりと打ち出せるような計画にしていきたいと。
(答)そうです。結局、科学技術の変革によって社会が変わるというフェーズに今来ているので、単に切り離しては考えられないということだと思います。

(以上)