平井内閣府特命担当大臣閣議後記者会見要旨 令和元年7月2日

(令和元年7月2日(火) 10:23~10:40  於:中央合同庁舎第8号館1階S101記者会見室)

1.発言要旨


 おはようございます。
 それでは、まずは科学技術政策担当及び宇宙政策担当大臣としての報告をさせていただきます。
 6月28日・29日に、G20大阪サミットが開催され、成果として「G20大阪首脳宣言」が採択されました。
 会合では、経済発展や社会的課題解決に資するイノベーションの役割などが議論され、本首脳宣言においては、日本が推進する人間中心の未来社会であるSociety5.0に対する考え方の共有、AIへの人間中心アプローチへのコミット及び、G20茨城つくば貿易・デジタル経済大臣会合で合意された「G20 AI原則」の歓迎、スマートシティ開発のための都市間のネットワーク化と経験共有の奨励、「SDGs達成のためのSTIロードマップ策定の基本的考え方」の承認、などが合意されました。
 また、本サミットでは、宇宙デブリ対策の重要性を世界に向けて発信いたしました。
 展示会場において、我が国の世界最先端のデブリ除去技術に関する取組を紹介することに加えて、デブリ問題の重要性と国際協力の必要性をビデオメッセージで発信するとともに、私は28日、現地を視察させていただきまして、発信させていただきました。
 翌29日のワーキングランチでは、安倍総理からも直接、各国首脳に対して、宇宙デブリ対策に国際社会が協力して取り組むことの必要性と、日本が今後もこうした取組をリードしていく考えをご発信いただきました。
 今後も日本が「宇宙開発の老舗」として宇宙デブリ対策を主導していけるよう、世界に先駆けたデブリ除去技術の実証をしっかり進めるとともに、あらゆる機会をとらえて国際協調を呼び掛けていきます。
 今回のG20大阪サミットの成果を踏まえて、科学技術・イノベーション政策、宇宙政策分野における国際連携について、引き続き推進をしていきたいと考えています。
 次に、クールジャパン戦略担当の大臣として、一昨日6月30日、「瀬戸内国際芸術祭」が本年開催されている瀬戸内の島々を、クールジャパンに関心の高い民間有識者の皆様と共に視察をしてまいりました。
 「瀬戸内国際芸術祭」では春、夏、秋の3会期にて開催される芸術祭ですが、今年の春会期、これは4月26日から5月26日の間ですが、来場者数は、約38万7千人とのことで、3年前の前回を52%も上回る過去最高でありました。そのうち外国からの来場者は約2割以上で、人数としては約3倍にもなったと聞いています。
 今回改めて感じたことは、古民家などの地域の生活、瀬戸内海の豊かな自然の風景に現代アートが融合することが、新しい価値を創造しているということです。それが世界の多くの方々を惹きつけ、まさにクールジャパンであるという評価を受けています。本年開催したEUREKA(ユーリカ)!懇談会や、Create Japan WGに参加いただいた内外有識者の方々にも芸術祭の作品や美術館の一部をじっくり巡りながら、そうしたことを体験・体感して頂きました。
 それぞれの方の経験や関心などによって、自然や作品や実際の人々の生活への興味の持ち方は違います。クールジャパンの幅の広さと、奥行きや深さを維持し、進化させていくことが重要だと考えています。今回の新しいクールジャパン戦略へのヒントを得たと思います。
 新たな戦略については、先月5回開催したCreate Japan WGにおいて議論を進めてきたところです。今後、WGの議論や視察で得た知見なども踏まえて、関係省庁とも調整の上で、知的財産戦略本部において、夏頃までには新たな戦略を策定する方向でおります。
 香川県については、以上です。
 最後に、私からはIT政策担当として、報告します。
 今日、官民データ活用推進基本計画実行委員会のもと、新たに「5Gと交通信号機との連携によるトラステッドネットの全国展開に向けた関係府省等連絡会議」を開催します。
 5Gは、超高速・低遅延・多数同時接続を可能とし、例えば、スマート工業から自動運転、農業、医療、防災、エンターテインメントなどの多種多様なシーンでの活用が可能で、生産性の向上から人手不足の解消をはじめ、地域や社会の抱える問題解決の切り札としても期待されています。
 本会議においては、5Gの導入・交通信号機の高度化に向けた課題や、本年度実施する研究開発の内容について関係省庁間で認識を共有するとともに、今後のスケジュールについて議論をしてまいります。
 このプロジェクトの実現に向けて、私が中心となって、オールジャパンで進めていくということになりますが、詳細については、内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室までお問合せを頂ければと思います。これは今日の話ということになります。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)SIPの第2期で、スマート物流があったかと思うんですけども、それが昨年は応募が集まらずに計画を見直すことになって、先週の金曜日に新しい研究開発計画案がパブリックコメントに掛けられたんですけれども、従来、これまで応募が集まらなかった計画と、今度の新しい計画では何が違うのか、大臣から教えてください。
(答)前回、応募件数が極端に少なかったので、「研究開発計画」の見直しなんかをプログラム・ディレクターと一緒にやりました。
 産学の関係者が多数参画するオール・ジャパンのプロジェクトになるように、物流に関わる多くの業界、研究機関からのヒアリングを行って、多くの業界の課題解決に繋がる従来より幅広い研究開発テーマの設定や、データ基盤に集めたデータの一部はベンチャー等でも活用できるようにして新たなデータ活用サービスの創出や人材育成に繋がるようにするなどの見直しをやったということです。
 6月27日に開催されたガバニングボード会議において、「スマート物流サービス」の研究開発計画については今後パブリックコメントの手続きを行うというふうにされているんですが、新たな研究開発計画は、パブリックコメントの結果の反映を行った後、もう一回ガバニングボード会議において審議されることになりますが、「物流」は我が国の社会基盤であって、物流に関する生産性向上と労働力不足の解決の両立を図っていくことは、我が国の社会・産業上の重要課題なので、今後、所要の手続を経た上で、SIPに相応しい研究開発がスタート出来るよう、最大限の努力をしていきたいということです。ですから、見直しで参画しやすくなったとは思います。
(問)もう一つは先程の5Gの、交通信号機のお話なんですけれども、これは各省連携だけじゃなくて、民間事業者と各県警との連携が重要になるかと思うんですけれども、ここら辺について、大臣はどのように進めていくお考えでしょうか。
(答)5Gと交通信号機との連携に当たっては、通信事業者と交通信号機を設置・管理する都道府県県警との連携が不可欠であるというふうに思っています。
 今日のその連絡会議を立ち上げ、今後、民間事業者、都道府県等に対するヒアリングをやった上で、5Gと交通信号機の連携によるトラステッドネットの全国展開に向けたシナリオについて議論をしようというふうにしています。
 だから、これはいいアイデアなんですけど、実現するには結構な、いろいろな問題もあって、総務省及び警察庁において実施する研究開発においては、5Gアンテナ等の交通信号機への設置や更新時の対応、運用・保守方法等、それぞれの行為の実施主体や責任分担、コストの負担などの在り方をまず検討していきたいというふうに思っています。ですから、当然民間の負担というようなことも考えていくというけど、便宜を図るということにもなり得るのかなと思ったりもします。
 これは野心的な取組なので、オールジャパンで推進できるように、これから話し合いながら調整したいと思います。
(問)G20でのデブリのアピールに関してですけど、各国の反応というか、手応えはいかがでしたか。
(答)誰もが反対するわけではなく、総理もワーキングランチの中できっちりと、スペースデブリの増加は安定利用のリスクとなっており、国際社会が協力して取り組む必要があると発信しています。日本が世界に先駆けて大型デブリ除去のプロジェクトを開始して、今後リードしていくという旨の発言に対しては、おおむね皆さんお認めいただいたというふうに思います。
 ただ、このデブリの問題に関しては、日本は平和国家ということでリードをしておりますが、各国それぞれの事情もあるのではないかとは推察されます。私は日本のリーダーシップを発揮すべき局面だというふうに考えています。
(問)クールジャパン戦略なんですけれども、夏頃までにというお話だったかと思うんですけど、今日7月でちょっともう夏というのもあって、夏頃というのは具体的に。
(答)予算要求に間に合うように、それなりにしたいと。もう今やっています。
(問)今月中。
(答)まだ決まっていない。
(問)G20関連でお話を聞かせていただきたいと思います。
 SDGsのロードマップの件なんですけれども、基本的考え方が承認されたということなんですけれども、ちょっとよく理解ができないので、かみ砕いていただければ大変有り難いんですが。
(答)これはSDGs達成のための科学技術イノベーション(STI)の重要性を認識し、「SDGs達成のためのSTIロードマップ策定の基本的考え方」を承認するというのが、G20大阪首脳宣言の中の文章なんですよね。
 基本的には、これ以上のことでもなく、これ以下でもないということで、SDGsに対しては方向性は決まっているので、それに対して具体的なスケジュール感を共有するということで、これから作業に入ると聞いています。
(問)日本だけで作るのではなくて、各国が優良事例やなんかを出し合うという形のロードマップを作っていきましょうねということでしょうか。
(答)一緒に作りましょうねということを承認したということです。考え方を承認したと。こういう国際会議の場合は、こういう感じになってしまうので、しかし、やらないということではない。やりましょうねということは承認したと。
(問)日本は率先して作りますという形の理解でよろしいわけですね。
(答)そうですね。はい。日本の提案ということですから。
(問)G20に関して、デブリ問題を取り上げたこの意義、画期的な取組だと思いますけれども、意義について改めて教えてください。
(答)海洋プラスチックデブリの方は、皆さんいろいろな面で合意をして、具体的に進めていけるということなんですが、私が考える我が国にとっての意義は、まず宇宙開発の老舗としての実績、技術蓄積があって、宇宙開発に関する高い評価を得ているということと、平和国家としての国際的信頼を有しているというポジションの日本が、このデブリ対策に対して、これは相当積極的に発信するということ、逆に言うと、日本以外がこういうふうに積極的な発信は無理だったと思います。そういう意味で、そういう方向性を出したことは非常に意義があると思います。

(以上)