平井内閣府特命担当大臣閣議後記者会見要旨 令和元年6月21日

(令和元年6月21日(金) 10:02~10:20  於:中央合同庁舎第8号館1階S101記者会見室)

1.発言要旨


 私の方から4件。まず一つ目は、科学技術政策担当として報告します。
 一昨日、第45回総合科学技術・イノベーション会議(CSTI本会議)が開催され、「統合イノベーション戦略2019」について諮問・答申がなされました。これを受けて、本日の閣議で、本戦略について閣議決定をいたしました。
 本戦略では、この1年間の国内外における科学技術イノベーションを巡る情勢を分析して、強化すべき課題、新たに取り組むべき課題を抽出して、施策の見直しを行っています。
 また、会議の中で、安倍総理大臣から私と関係大臣に対して、創業について、スタートアップの育成に繋がる、いわば「好循環」を作り上げるために、具体的、かつ、きめ細やかな政策を講じること、量子技術、AI技術などの最先端技術について、国内外からトップレベルの人材や投資を結集できる「場」を作り上げること、これまでの発想にとらわれない大胆な政策を一丸となって迅速かつ確実に、実行に移すことについて、指示がありました。
 我が国を「世界で最もイノベーションに適した国」とすべく、担当大臣として、引き続き、関係閣僚と連携・協力して、本戦略を着実に実行してまいります。
 次に、健康・医療戦略担当として、昨日、第24回「健康・医療戦略推進本部」を開催し、例年実施しているフォローアップや来年度の資源配分方針等のほか、アジアと同様に、我が国の優れたヘルスケアサービスを国際展開していく「アフリカ健康構想に向けた基本方針」の決定などがなされました。
 また会議の最後、総理からは、アフリカ健康構想を今年の8月、TICAD7で発信する旨のご発言とともに、私を含む各大臣に対して、来年度より始まる次期の健康・医療戦略の策定に向けて検討を進めるようなご指示がありました。
 このご指示を踏まえまして、健康長寿社会の一層の実現にしっかりとアプローチできる次期戦略を作ってまいりたいと思います。
 次は、知的財産戦略担当として報告です。
 先ほど、安倍総理出席の下、知的財産戦略本部会合を開催し、「知的財産推進計画2019」を決定しました。
 「知的財産推進計画2019」では、昨年6月に決定した「知的財産戦略ビジョン」に掲げた「価値デザイン社会」の実現のため、「脱平均」「融合」「共感」の3つを柱として、具体的な施策をまとめております。
 「脱平均」の柱では、個々の才能を開花させる教育やスタートアップの拠点都市形成に向けた集中支援、「融合」の柱では、オープンイノベーションを加速するための場の整備や意識の向上、「共感」の柱では、経営デザインシートの活用や、コンテンツの利活用のための新しいプラットフォームの仕組みの検討、新たなクールジャパン戦略の策定などを盛り込んでいます。
 今後は、総理のご発言にあったとおり、関係省庁が連携して、政府一丸となって、各施策に早急に取り組んでいきたいと思います。
 そして、科学技術政策担当としての報告です。
 明日6月22日、兵庫県を訪問し、神戸市にある理化学研究所の計算科学研究センター及び生命機能科学研究センター、神戸市立神戸アイセンター病院を訪問・視察するとともに、「HIRAI Pitch in 神戸」を開催いたします。その後、佐用町に移動し、理化学研究所の放射光科学研究センターを訪問・視察します。
 理化学研究所の計算科学研究センターでは、スーパーコンピュータ「京」を視察するとともに、次世代スーパーコンピュータ「富岳」の開発等について意見交換を行うつもりです。
 また、理化学研究所の生命機能科学研究センターでは、iPS細胞を用いた再生医療の取り組みの一環として、「網膜再生医療研究開発プロジェクト」の研究室を訪問させていただいて、高橋政代プロジェクトリーダーと意見交換を行います。その後神戸市立神戸アイセンター病院に移動して、同プロジェクトの現場を視察するつもりです。
 さらに、「HIRAI Pitch in 神戸」を開催して、神戸を拠点に活動するスタートアップや、その支援者らと意見交換を行います。
 そして、理化学研究所の放射光科学研究センターでは、微細な物質構造や状態解析が可能な大型放射光施設「SPring-8」、及び原子レベルの超微細構造や化学反応の超高速動態・変化の瞬間計測・分析が可能なX線自由電子レーザー施設「SACⅬA」を視察します。
 「HIRAI Pitch in 神戸」については、取材可能ですので、是非取材をしていただければと思います。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)昨日の健康・医療戦略本部でもろもろ決定して、それで来年度から次期戦略が始まるかと思うんですけれども、次期戦略で大臣としてはどのような点を重視していこうとお考えなのか教えてください。
(答)昨日決定した来年度の資源配分方針は、次期健康・医療戦略の対象期間の初年度ということになるので、これまでの専門調査会とか参与会合でご議論いただいた「検討の方向性」を踏まえた形になっています。
 具体的には、昨日の健康・医療戦略推進本部の資料に示しているとおりですが、次期戦略は「研究開発」と「新産業創出・国際展開」この二つを二本柱にします。「研究開発」については、予防、診断、治療、予後といった開発目的に着目して統合プロジェクトを定めて、健康寿命の延伸という目標のための最適なアプローチを選択できるようにしたいと思います。
 この方向性を踏まえて、検討を進めたいと考えています。
(問)デブリ対策について伺いたいんですけれども、本日最終日となります国連のCOPUOSの方で、デブリ除去の取組が繰り込まれたLTSガイドラインが採択される見通しとなっております。それの受け止めと、あと、G20で日本がデブリ対策を発信する意義について教えてください。
(答)国連の宇宙空間平和利用委員会(COPUOS)で、宇宙デブリへの対応を含む宇宙活動の長期的持続可能性(LTS)に関するガイドラインの採択に向けた議論が行われてるということはご指摘のとおりです。
 宇宙デブリ問題は、国際協調して取り組むことが重要で、本ガイドラインが各国において着実に実行されていくことにより、デブリを低減し宇宙空間の安定利用につながることから、意義あるものだというふうに考えています。
 このため、私が主催しての「スペースデブリに関する関係府省等タスクフォース」においても、先日、こうした国際的な取組を含めて、今後の取組の方向性をまとめています。その取組のポイントとしては、デブリの観測・予測能力の向上、デブリ発生の抑制やデブリ除去等の低減対策、国際的なルール整備、国際的なデブリ対策の働きかけ、これにはCOPUOSのガイドラインを含むいうことですが、本検討においては、今後、民間等による宇宙活動が一層の拡大が見込まれる中、対策を講じなければ更なるデブリが発生して、長期的に見て宇宙空間の安定的な利用に支障が生じる可能性を、関係府省で共有いたしました。
 これを踏まえて、デブリ対策に向けて、可能なことから早急に取り組み、その際、JAXAがこれまで取り組んできた知見やノウハウを有効に活用して、宇宙先進国として我が国の国際的なリーダーシップの発揮に努めて、各国と連携して推進していくということにしてます。本国連COPUOSにおけるガイドラインの採択に向けた活動もその一環ですし、今月開催予定のG20などのハイレベルの議論の場は、国際社会におけるデブリ対策の重要性を共有する絶好の機会となります。あわせて、我が国が先行するデブリ除去の技術開発や実証の取組をPRしたいというふうに思います。
 こうした方針で、引き続き関係府省と一体となって取り組みたいと考えています。
(問)重ねてなんですけども、デブリ除去の技術は、軍民両用技術がデュアルユースとも言われていて、2007年以降ですね、除去に向けた国際ルールづくり、なかなか動かなかったかのように思いますけれども、大臣としまして、ルールづくりの難しさについてはどういうふうに思われますか。
(答)宇宙空間がますます混雑していくということはもう間違いないので、宇宙活動の長期的かつ安定的な利用には、宇宙デブリ対策の取組みが一層重要になる、ということを国際的な共通認識にしていきたいというふうにまず思います。
 その上で、私たちは「宇宙開発の老舗」としての実績、技術蓄積、宇宙開発に関する高い評価を有してるということに加えて、平和国家としての国際的信頼を有してるというポジションがあります。
 このような我が国が、国際的なリーダーシップの発揮に努め、各国と連携して、世界的な課題に対応してくというのは、正に重要なことだと考えています。
(問)統合戦略2019について、ちょっと改めてポイントを簡単にお話をいただければということと、概算に向けて各省が動き出して、本格的に動き出すと思うんですが、その中で来年度は最終年度ですよね、第5期の。26兆円という目標がありますけれども、そこに向けてのご所感をいただければというふうに思います。
(答)第5期科学技術基本計画において、我が国を世界で最もイノベーションに適した国とすると、Society5.0の実現を目標として掲げて、昨年、統合イノベーション戦略を策定して、基礎研究から社会実装までのイノベーション政策を統合して、強力に推進してまいりました。
 一方で、この1年間の情勢を見ただけでも、国外における科学技術イノベーションの進展などはもう状況がものすごく変化をしました。そのため、強化すべき課題、新たに取り組むべき課題を抽出して、政策の見直しを行って、目標の達成に向けた統合イノベーション戦略2019を取りまとめたということです。
 特にスマートシティの実現とか、世界に伍するスタートアップエコシステムの拠点形成などの、Society5.0の社会実装、創業や政府事業・制度におけるイノベーション化の推進、基礎研究を中心とする研究力の強化、国際連携の抜本的強化、AI技術、バイオテクノロジー、量子技術などの重要分野の重点的戦略の構築、これが四つの柱になっているんですね。これを速やかに実行するために、予算も当然獲得をしていかなきゃいかんということで、もう正にこれから戦略に説得力を持たさなきゃいかんというふうに考えてます。
(問)フェイスブックがですね、仮想通貨を使った金融サービスに本格参入するということを表明しました。そのプラットフォーマーの本格参入によってですね、日本のユーザー、国内市場に与える影響についてお伺いしたいと。あと、普及への見通し、その受け止めとか期待、あと課題、また、IT担当大臣として、この暗号資産に関して、どのような政策が今後必要だとお考えでしょうか。
(答)私もマスコミで報道されてる以上には知らないんですが、まずはちょっと注視したいというふうに思います。
 仮想通貨については所管外ということにはなるんですが、自民党のフィンテック議連の会長という立場もあり、全くコメントしないのも何かと思いますので、コメントさせていただきますと、暗号資産については、低コストの金融取引を可能にすると。で、新たな金融手段として社会のデジタル化の可能性を広げ、経済成長につながるということを皆さん期待してるんだと思います。
 これは、フェイスブックが導入する資産に関して、金融庁が検討するというふうに思うんですが、巨大プラットフォーマーが、仮想通貨、暗号資産の分野に参入するのであれば、より一層の透明性とか公平性というものが必要になってくるというふうに思います。今いろいろな方々がこれに対して反応してると思うんですが、必ずしも歓迎するということではないのではないかなというふうに思います。
 ただ、まだ詳細が分かりませんので、これ以上のコメントはちょっとできないと思います。

(以上)