平井内閣府特命担当大臣閣議後記者会見要旨 令和元年6月14日

(令和元年6月14日(金) 9:24~9:43  於:中央合同庁舎第8号館1階S101記者会見室)

1.発言要旨


 おはようございます。
 まずは、本日の閣議で、政府の新たなIT戦略であります「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」を閣議決定をしました。
 本戦略は、全ての国民がデジタル技術とデータ利活用の恩恵を享受するとともに、安全で安心な暮らしや豊かさを実感できるデジタル社会の実現に向けた、政府全体のデジタル政策を取りまとめたものです。
 今般の戦略では、国際データ流通網の構築を含めた「データ利活用」と、今国会で成立したデジタル手続法を起点とした「デジタル・ガバメント」を両輪で実行しつつ、5Gと交通信号機との連携をはじめとした「社会実装プロジェクトの推進」、インフラからデジタル格差対策までを含む「社会基盤の整備」に取り組むこととしています。
 世界に先駆けて少子高齢化を迎える我が国が、デジタル技術を徹底的に活用して社会課題の解決を図ろうとする取組は、これはもう本当に世界から注目されています。今後も、IT総合戦略本部を司令塔として、社会全体のデジタル化を強力に進めていきたいと考えています。
 詳細は、事務方からまたブリーフィングさせていただきます。
 次に、クールジャパン戦略担当大臣として、6月14日、渋谷の「コネクション株式会社」において、新たな戦略について議論する第3回「Create Japan WG」を開催します。
 第1回及び第2回において、新しい戦略の策定に向けて、基本的な考え方や横連携のためのネットワークの必要性や日本ファンを増やす仕組みについて活発な議論が行われました。今回は、第1回、第2回の議論を振り返った上で、ネットワークや日本ファンを増やすための取組について、戦略の策定について議論を深めたいと思います。
 これに関しましても、今までもずっとオープンでやっていますし、今日もオープンで、ある程度の形になると思っておりますので、是非お越しいただければと思います。
 そして、これは今週末の話ですが、6月15日に新潟県小千谷市において、「クールジャパン推進会議in新潟」を開催します。これの主催者として出席をしてまいりますが、この会議では、コンテンツや食など新潟県の様々なクールジャパン・コンテンツの活用・展開等について議論する予定です。
 なお、この会議にあわせ、錦鯉フォーラムが開催されます。錦鯉フォーラムでは、重要なクールジャパン・コンテンツの一つである錦鯉を今後どのように世界に発信・展開していくかについて議論をする予定です。
 また、この機会に雪解け水を利用するなど、新潟ならではの方法で、錦鯉を育てている塩谷棚池等の錦鯉関連施設を視察してまいります。
 本会議を通じて、日本の魅力を世界に発信し、日本への共感を高める方法について考え、新たなクールジャパン戦略の策定に活かしていきたいと思います。
 自民党の方でも議員連盟ができて、錦鯉をクールジャパンのコンテンツとしてもっと世界にアピールしてほしいという要望も受け取っておりまして、その意味で、今回の視察で見てきたいというふうに思っています。
 そして、今日の話ですが、もう既に資料等は皆さんのお手元にあるかもわかりませんが、今日の18時30分に、小学生の井上美奈さんに大臣室へお越しいただきます。
 井上さんは、エストニアのSTREAM教育(サイエンス、テクノロジー、ロボット、エンジニアリング、アート、マスマティクス)に関心をもって、エストニアで開催されるロボット関係のワークショップに参加するため、来週、エストニアに渡航することになっています。
 渡航のための資金を、クラウドファンディングで、無事に必要額を集めたというふうに承知しております。
 この話は一昨日、私が偶然スマートフォンでReadyforのサイトを見ていて、井上さんがエストニアに行くと、小学生がエストニアに行くって、えっと思って見ていて中身を見ていると、これは余りにもすばらしい子供の感性と実行力と、そしてまた私自身エストニアと日本の友好議連の会長もしておりますし、小学生がエストニアに行ってこういうふうに向こうの子供たちと交流をして、そしてなおかつロボット関係のワークショップに行って発表もするというような、こんな取組は聞いたことないので支援したいと思い、連絡をとって今日の大臣室でのミーティングにつながったわけです。
 そのミーティングには、駐日エストニア大使にも来ていただいて、彼女のエストニア滞在中の協力も要請したいというふうに思います。
 この話はいろいろな形で受け止めていただいていいんですけれども、まず日本の小学生のポテンシャル、私、何度もかつていろいろなところでお話しさせていただいていますが、デジタルネイティブの世代のポテンシャルは我々が想像しているより高い、これは間違いありません。彼らの潜在能力を開放するというのが次の社会にとって必要だろうと。今までこの井上さんだけではなくて、ついこの間、AIのプレゼンテーションされた福岡の女性、また沖縄のスタートアップカフェでパイソンを使って新しいシステムを作っている中学生等々を見ると、我々とは全く違うなと。この部屋にデジタルネイティブの方は一人もおりませんが、彼らの能力は我々が思っている以上に高いということを是非皆さんにも知ってもらいたいという思いで、マスコミフルオープンで、彼女と会うのは当然私も初めてですけど、皆さんの目で一体どうしてこういうふうな思いで、そういうことを思い付いて、自分たちが10歳の頃を考えてみたら、エストニアなんていう国、知らなかったですよ。そんなことを考えると、すごいなということが1点。
 それと、これ単に誰かが、親がお金を出してエストニアに行ったり、どなたかがスポンサーになって送ったのでは、私が知る由はなかったと思います。つまり、クラウドファンディングというプラットフォームでお金を広く募集したがために、私の目に留まって、私自身はお金を出すということが立場上できませんので、それ以外の何かの応援をしたいと思うと。つまり、このネットの中でのセレンディピティというのは、今までとは全く違うということです。彼女も思わぬ展開になっているはずです。明日か明後日からもうエストニアに行く前に大臣室に来て大使に会って、そして意見交換してと。
 これもまた話が広がったんですが、同時に、エストニアのワークショップに80歳代のプログラマーも行くらしいんです。井上さんが私の部屋に来るなら私も参加したいということで、80代のプログラマーも来室するということになっています。
 こういうことは子供たちのポジティブな取組を我々が応援すると、我々世代が応援するという意味で一つ象徴的な出来事だと思いましたので、マスコミフルオープンにさせていただきますので、是非取材をしていただければと思います。そして、皆さんの目で見ていただければと思います。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)話は全く変わるんですけれども、統合イノベーション戦略の中で、PRISMの今後の在り方について検討するというふうになっているんですけれども、大臣としては現在のPRISMについてどういう問題意識を持っているのかというのと、今後の方向性についてどのようにお考えなのか教えてください。
(答)PRISMとSIPの関係とか、PRISMに対する我々のグリップとか、いろいろ思うところはあります。各府省への施策を誘導することを目的に、これ創設されたということですけど、統合イノベーション戦略を策定して、司令塔が連携する仕組みが動き出すという状況の中では、民間投資拡大による科学技術イノベーションの活性化により一層貢献するPRISMにしたいと。例えば、「AI戦略」や「バイオ戦略」など司令塔が連携して策定する戦略に基づく予算配分、SIPとの連携強化等が必要だろうというふうに思っていて、今月、CSTIの有識者である「ガバニングボード」でも議論をしていただきますけれども、どうせやるならもっと連携がとれるような形にしたいというふうに思っています。SIPとPRISMの関係、今の状況だと余り連携がうまくいくとは思わないので、その辺りも含めてこれは考えていくべき課題だと思います。
(問)要は、今のところは余りPRISMが効果的に使われていないんじゃないかなという問題意識ということでよろしいんでしょうか。
(答)いや。その内容に関して言えば、各省がそれぞれお考えで、ただ、PDを置いてちゃんとやるとか、その手法の問題も含めて、もう少しできるだろうと。ちゃんとできていないとは言いません。ただ、もう少しできるだろうというふうに思います。
(問)閣議決定した「IT戦略」についてなんですけど、全体としてデジタル化、社会全体で進めるために、今回5Gの整備のために、社会インフラ化しましょうという話が盛り込まれていると思うんですが、そのために信号機も連携しましょうと。この点、大臣としては重要性など、お考えありましたら一言お願いします。
(答)5Gの基地局と信号機のロケーションは非常に親和性が高いというふうに思います。
 そういうことで、基地局の数がたくさん要るのは5Gの特徴でもあるので、そういう資源の有効活用という観点からも、一つの合理的な考え方だと思います。
 あとは、5Gを今後社会の中でどう実装していくかという中で、これからいろいろな議論が始まってくるのではないかと、そう思います。
(問)話題は変わりますけども、先程のエストニアの件なんですけれども、そのReadyforでそもそもクラウドファンディングが集まり切るということ自体もかなり、必ずしも集まり切るわけではないかと思うんですけど、彼女自身がお金を集め切ったというのを、どうして集め切っていくことができたか、大臣として、何か分析とかありますか。
(答)彼女が集めようとした金額が、そんな大きな金額じゃないということと、ギフトがほとんどないわけですよね。お友達と交流してきたいということと、内容からして、後でいろいろ聞いてみると、IT業界の人たちが見ると、ほっとけなくなってお金を出してたというふうなことも聞きました。知らないうちに私の友人も1,000円とか5,000円とか、お金を出したくなる、頑張れというような感じでしょうか。
 そういうことで、金額は小さかったということと、小学生がエストニアに行ってロボティクスのワークショップでトライして、海外の子供たちと交流するということを目的に取り組んでいるというのは、いろんなクラウドファンディングがある中では、非常にチャレンジングだし、少なくとも私の目を引くぐらいですから、集まったと思いますよ、これは。
 集まらなかったら流れるという、行けなくなるというスタイルだったので、集まって良かったなと思います。
(問)それと、話題またもう1点変わるんですけれども、厚生労働省の方が半年間の試行期間として、国会議員の方に対してこれまで議員会館に行って職員の方がレクをするということを、その移動時間を省略するために、インターネット電話を使って議員レクをするということを、昨日から導入というか、試験的に導入が始まっているんですけども、大臣はITも担当されているかと思うんですけれども、所管の職員の方にそういったことを導入するとか、こういった働き方改革の一環で始まったということだと思うんですけれども、こういった動きについて、どのようにお考えですか。
(答)報道ベースしか知りませんが、結局、その辺のところの話のポイントは、それで本当に便利になるかということなんですよ。紙とデジタルの比較をするときに、圧倒的にデジタルが便利で、時間の節約にもなって、生産性が上がるというモデルにしてもらいたいなというふうに思います。
 ですから、何となく無理にやるんではなくて、必然的にそれがいいっていうふうになったときに、一気にそっちに変わると思います。
 今までのデジタル化の進み具合の弱かったところは、それまでより圧倒的に便利になってないというところが問題なんですね。
 ですから、それを圧倒的に利便性が上がり、生産性が上がり、そして、なおかつコストもダウンできるとなると、これはもうやらない理由がなくなるじゃないですか。
 今はそこまでできていなかったので、単にレクをインターネット電話でやるということではなくて、そのレクというものも含めた全部の仕事のフローを見直す中で、最善の方法を見付けるべきだろうと、そんなふうに思います。

(以上)